機動戦士ガンダムUC 〜Another War of Pegasus〜 作:希望光
希望光です。
初めてこの系列を書くので不安がいっぱいですが、どうぞお読みいただけると幸いです。
では、本編どうぞ。
———UC.0095。
モビルスーツ産業に置いて、トップクラスに躍り出ている会社『アナハイム・エレクトロニクス』は、『UC計画』に基づき『サイコフレーム』と呼ばれ特殊な金属を使ったフル・サイコフレームのモビルスーツ『RX-0 ユニコーン』と同系列機『RX-0 バンシィ』を制作した。
そんな『UC計画』の最中、この計画に『ビスト財団』が関わるのをよく思わない地球連邦軍参謀達は、2機の開発データを流用して、独自に『RX-0 フェネクス』を開発した。
この時、さらに極秘裏で地球軍はもう1機の『RX-0』を開発していた。
そして———UC.0096。
『ラプラスの箱』を巡った争いが勃発した傍らで、別の争いが起こった。
それは、4機目の『RX-0』を巡り、3機目の『RX-0』捕獲作戦『不死鳥狩り』が行われる翌年、UC.0097まで続いていくこととなる———
———UC.0096。4月某日。
地球と月の間のラグランジェポイントに留まる戦艦から、1機のモビルスーツが発艦した。
その機体は、突き出た1本の角を頭部に持ち、全身が若干青みのかかった白色———蒼白と言った具合の機体であった。
「作戦配置につきました」
艦内のオペレーターが、上官に向かってそう告げる。
「作戦開始」
その合図とともに、蒼白の機体は行動を開始する。
その機体は、右手に装備した銃を付近を浮遊する小惑星へと発砲する。
ズキューン! と言った具合の音ともに、銃口からは赤と白のビームが発射される。
そのビームは、一瞬にして小惑星を溶かした。
「ビームマグナム出力安定」
「E・パック排出機構問題なし」
「了解。作戦を継続せよ」
通信を受けた機体は、左手に装備したシールドを背部にマウントし、右腕部に搭載されたサーベルホルダーからビームサーベルを抜くと、自身の正面にある、デブリの1つに斬りかかる。
その、デブリは両断された。
「現武装、問題なし」
「航行出力測定へと移行」
機体は、ビームサーベルをホルダーに仕舞うと、猛スピードで進み始めた。
そしてそのまま、小惑星やデブリの合間を縫うようにして飛び回った。
「ジェネレーター出力、安定。目標平均値を超えました」
「パイロット、脈圧、呼吸共に正常。セカンドシークエンスに移行します」
オペレーターはそう告げた。
すると、モニターに映る機体は、その場に止まった。
それを見た上官は、指示を出した。
「よし、『RX-0 ペガスス』NT-D疑似起動」
その合図により、機体———ペガススは全身の装甲がスライドし、中から青白く発光する、別のフレームが露わになる。
そして、フェイスのマスクの部分上部へと上がり、新たなマスク———俗に『ガンダムフェイス』と呼ばれる物が露わになり、突き出た角は中心から左右に割れ、ブレードアンテナへと変化した。
「NT-D疑似起動確認。パイロット、バイタル安定」
「ペガスス、作戦を続行せよ」
指示を受けたペガススは、再び作戦宙域を飛び回った。
「出力値、プラスα。現時点での出力測定限界を突破」
「まさか疑似起動でこれほどとは……」
上官は、ペガススの叩き出した数値を見て唖然としていた。
試作機のテストという名目でこの艦———強襲揚陸艦『アルビオン
「わざわざ来た甲斐があったな……。よし、疑似NT-Dシステム終了。ペガスス、帰投せよ」
モニターに映るペガススは、再び装甲を閉じた形態へと戻る。
そして、アルビオンⅡ正面のカタパルトから着艦した。
格納庫では、整備班が駆け回っていた。
「よし、ペガススの整備急げ!」
「推進剤の補充を優先だ!」
「E・パック予備の確認!」
など言った具合で、言葉が飛び交っていた。
そんな中、ペガススのコックピットハッチが開き、パイロットが降りてくる。
そこへ、先程までブリッジで指揮をしていた上官がやってきた。
「お疲れさん。どうだ、このテスト機ってのは?」
「ナック艦長……とんでもない機体ですよ。この、
「そうか……。何はともあれ、トライアルを受けてくれて感謝するよ、カイト少尉」
艦長ことナックは、ペガススのパイロットことカイトにそう告げた。
「いいですよ。自分も、ちょっとした興味本位で乗っただけですし」
「相変わらずだな」
ナックはそう言って笑った。
「そういう艦長だって、相変わらずお人好しじゃないですか」
「どこがだよ」
ナックはカイトに反論した。
「こうやって、わざわざ様子を見にきてくれるところですよ」
カイトはそう言い残すと、通路の方へと進んでいった。
「フッ……お互い様だな」
ナックはそう言って、格納されているペガススを見上げた———
カイトは、自身の部屋に戻るとベットの上に横たわった。
「……地球軍は、とんでもない機体を作ってしまったのだろうな」
あの機体———ペガススに乗った時のことを思い浮かべながら、呟いた。
そこへ突如、警報が鳴り響いた。
「……敵襲?!」
カイトは、急いで部屋を出るとパイロットスーツに着替え格納庫へと向かった。
格納庫内では、既に何機かのジェガンDが発艦準備をしていた。
「おい! こっちの機体スタークに換装終わってるか?」
「やってある!」
そんな声を後ろにカイトは、壁面についた通信機で、ブリッジへと連絡した。
『どうした』
「何事ですか」
『ネオ・ジオン残党のモビルスーツがこちらに向かってきている。お前も出てくれるか?』
「もちろんです。ただ———」
カイトはそこで一度、言葉を飲み込んだ。
『どうした?』
「自分は、あのテスト機で出てもいいですか?」
『RX-0でか?』
ナックは、カイトの言葉に戦慄した。
『待て待て、あれを実戦に投入する訳には———』
「確か、まだ運用試験していない武装がありましたよね?」
『あ、ああ。あることにはあるが……まさか?』
カイトはニッ、と笑って言った。
「それの運用試験と、実戦におけるデータの採集を名目にすればできますね?」
『正気かよ……』
ナックは、額を抑えた。
そして、なにかを決めたかのように口を開いた。
『わかった。そいつで行け!』
『か、艦長!』
その言葉を聞いたオペレーターは、慌てていた。
『流石に不味くないですか?!』
『最悪責任は俺が取る。それなら文句ないだろ、メリー?』
『わかりました……』
メリーと呼ばれたオペレーターは、それっきり反論してこなかった。
『というわけだ』
「ありがとうございます」
『ただし、機体は無事に持ち帰って来いよ?』
「分かってますって」
そう言ってカイトは、通信を切断した。
それを見届けたナックはふぅ、と一息つくと指示を飛ばした。
「全く……メリー、整備班にRX-0をDW形態に換装するように伝えろ!」
「了解」
ナックに指示されたメリーは、即座に整備班へと指示を通達した。
そして、格納庫内では、急ピッチでペガススの換装が始められた。
コンテナ内から取り出された武装が、シールドへと取り付けられていく。
「アームド・アーマDE……」
カイトにそう呼ばれた武装が、2基組み上げられると、ペガススの背部ウェポンラックから伸びる、左右それぞれの稼働アームに取り付けられた。
そして、右手にビームマグナムを、左手に連邦軍共通規格のハイパーバズーカを装備した。
カイトは、ペガススのコックピットへと近づいた。
「換装終わりましたか?」
近くにいた整備員に尋ねた。
「ああ。すぐにでも出撃できるさ」
「わかりました」
そう言ってカイトは、コックピットへと乗り込んだ。
そして、カタパルトデッキへと移動する。
『1番カタパルト、RX-0発進どうぞ』
「カイト・ナカジマ、ペガスス行きます!」
その言葉とともに、カタパルトデッキからペガススが急速発進した。
外は既に、戦場と化していた。
先に出撃していた4機のジェガンは、応戦しているが押され気味であった。
「不味いな……」
呟きながらカイトは、フットペダルを強く踏み込んだ。
それに伴い機体も加速する。
そして、彼は遠距離からビームマグナムによる牽制射撃を行った。
無論、僚機がいない箇所へ向かって。
カイトが狙った敵———2機のギラ・ズールは、ビームに気付き射線から外れたが、僅かに発生したプラズマが掠り機体が爆散した。
「……これが、ビームマグナム。掠めただけでジェネレーターをオーバーヒートさせたのか……!」
カイトはその威力に驚きながらも、装填が完了したビームマグナムを再び発射した。
しかしこの攻撃は、どの機体をも掠めることがなかった。
カイトは、ビームマグナムを腰にマウントすると、加速しながらハイパーバズーカを敵機とのすれ違いざまに放ち、撃墜した。
この際、ハイパーバズーカはギラ・ドーガの剣状になったビーム・ソード・アックスに斬りつけられた為、カイトはそれを破棄した。
そして、一度離脱したペガススは、背部のアームド・アーマーDEを両腕に装備すると、再び敵めがけて突撃した。
それをみた敵モビルスーツ———ギラ・ズールは、迎撃する為にビーム・マシンガンを放ってきた。
「チッ……」
舌打ちをしたカイトは、両腕に装備したアームド・アーマーで防御しながらギラ・ズールに近づいていき、アームド・アーマーで殴りつけた。
殴られた相手は、バランスを崩していた。
カイトはその隙を逃さず、アームド・アーマーDEに装備されたメガキャノンの銃口を、ギラ・ズールに押し付けると、発射した。
そして、すぐさまアームド・アーマーに搭載されたブースターをそのままの向きで噴射させ、敵機から離れる。
直後、敵機は四方に爆散した。
「これが……アームド……アーマー」
そんな彼の元へ、通信が入った。
『カイト、疑似NT-Dを使うぞ。相手を一気に殲滅する』
「了解」
通信の直後、ペガススはその見た目を『ガンダム』へと変化させた。
同時に、コクピットのシートは変形した。
そして、ペガススは操縦者の意思のみで稼働する機体へと変化する。
「行くぞ……ペガスス!」
言葉に応えるかのように、ペガススは動き始めた。
そして、押されている僚機の元へと駆けつけ、敵モビルスーツをアームド・アーマーで撃破する。
これを1機、また1機と繰り返していく。
そんな中、一際目立つ若干大きな機体が現れた。
『アレは……サイコ・ザク……乗っているのは強化人間か?』
僚機がそう言った。
瞬間、ペガススのNT-Dが疑似起動から正規起動へと移行した。
「……!?」
カイトの体は、シートとボルトで接続・固定された。
そして、ペガススはパイロットの手を離れ、ニュータイプを抹殺するだけの兵器へと変貌した。
「艦長! ペガススの疑似NT-Dが、正規NT-Dへと移行しています!」
「何!? 制御は?」
「パイロットの手から離れていきます!」
「クッ……カイト……!」
ナックは今、想定していた最悪の事態にぶつかったと思った。
しかし、今の『
「クソッ……」
ナックはそう呟き、モニターを見つめることしかできなかった。
途端、ペガススはサイコ・ザクの前へと躍り出た。
対する敵機は、高速で上昇しペガススの攻撃から逃れた。
ペガススは即座に追撃へと移った。
2機はドッグファイトを始めた。お互い一歩も譲らない程の飛行で。
デブリ地帯を飛び回りながらも、2機の勢いは、とどまることを知らなかった。
ペガススは、右手に持っていたアームド・アーマーを背部にマウントすると、ビームマグナムを装備し、発射した。
この攻撃で、敵機の右足を溶かすことに成功したが、その機体はそのまま飛び続けていた。
そのまま、ペガススは追跡を続けていたが、デブリの陰から現れたギラ・ズールによって、煙幕を張られたが故に追跡が不可能となってしまった。
そこで、ペガススのNT-Dは終了した。
「ハァ……ハァ……ハァ……」
あまりの負荷に、カイトは意識が飛ぶ手前にまで追い込まれていた。
しかし彼は、必死に意識を保ちながら、レーダーを確認し、敵機が撤退したことを認識すると、アルビオンⅡへと帰投した———
「まさか……あんな機体に出会えるとはね」
母艦に向けて進み続けるモビルスーツ———サイコ・ザクのパイロットは呟いた。
「アレは恐らくだがガランシェールが受け取ろうとしていたモビルスーツと同型ので間違いない……」
そう割り切った彼は、口角を釣り上げた。
「いいねぇ……面白いじゃないか。あの機体、必ずこの手に」
そう呟くと母艦へと真っ直ぐに飛んでいくのであった———
こうして、『RX-0 ペガスス』を巡る戦いは、幕が開いたのであった。
はい。今回はここまでです。
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では、これで