機動戦士ガンダムUC 〜Another War of Pegasus〜 作:希望光
最新話完成いたしました。
戦闘がありませんが、どうぞ。
アルビオン
「救護班! 担架もってこい!」
整備班に応答した救護班が、担架を持って格納庫へと現れる。
そして、カイトを乗せると医務室まで連れていくのだった。
そこへ、遅れてナックが現れる。
「カイトは?」
「先程ストレッチャーで医務室に」
整備班長が答えた。
「そうか……。RX-0は?」
「これといった外傷はありません。ほぼ無傷です」
RX-0を見上げたナックは、バケモノだと思うのであった———
戦闘宙域を脱出したアルビオンⅡは、月面都市『アナハイム』を目指して航行していた。
クルー達は、いつまたネオ・ジオン残党と当たるか分からないと言う緊張感に覆われており、ブリッジにはピリピリとした空気が流れていた。
それはブリッジだけでは無く、カイト以外のパイロット達も同様であった。
カイトはと言うと、意識こそ戻ったが、戦闘に参加できる状況ではなかった。
同時に、カイトはこの艦の部隊のエースパイロットでもあった。
そんなカイトがいないという状況が、パイロット達を余計にピリピリさせるのだった。
「クソッ……どうすんだよ」
そう怒鳴り、ロッカーへ拳を叩きつけたのは、カイトの先輩に当たる『リュウ・カトウ』少佐。
彼は、カイトがアルビオンⅡに配属された際の教育係でもあった。
「……落ち着きなよ、リュウ。君がそうなるのも分からなくもない。だが、そうしたところで現状は変わらないんだ」
そう冷静に分析して宥めるのは、リュウの同僚である『ジョー・フラブスキー』少佐。
「ま、前回の戦闘で誰も落とされなかったのは、カイトとあの機体のお陰……ですかね」
ジョーに同調するかのように、口を開いたのは『ロー・ヴァルス』中尉。
「かもな……それは分かってはいるんだが……」
「そんなに落ち込むなって。落ち込んでるのは、こっちも同じなんだからさ」
そういって、ジョーは、リュウを慰めていた。
「そう言えば、艦長はどこへ向かうって?」
「なんでも、フォン・ブラウンに寄るらしいぞ」
「なんで?」
「アナハイムに用があるんじゃねぇのかな?」
「補給……って訳か」
3人がそう話している間も、艦は月面フォン・ブラウン市を目指して進み続けていくのだった———
その後、目立った戦闘なども無く、アルビオンⅡはフォン・ブラウン市へと入港した。
そして、カイトを含むパイロット達と、ナックは同市内にあるアナハイムの
「久しぶりだね。ナック」
「嗚呼。また、ここへ寄らせてもらったよ」
出迎えたのはアナハイムの制服を着た、ナックと同い年ぐらいの男。
「で、今日はどういう要件なんだい?」
「ああ、艦のメンテナスと……極秘案件なんだが……」
「ふむ」
「艦長……そちらの方は?」
ジョーに尋ねられたナックは、男を紹介した。
「彼は『レイン・カーレス』。私の古い友人だよ。彼等は、私の艦のパイロット達だ」
「レイン・カーレスだ。気軽にレインと呼んでくれたまえ。で、君の言う極秘案件とは?」
その言葉に、ナックは神妙そうな面持ちをした。
それをみたカイトもハッとした。
「まさか……」
「当たりだカイト。見てもらいたい機体があるんだ」
「機体? どんなのだい?」
「RX-0……」
その言葉を聞いたレインは、眉を潜めた。
「そうか、取り敢えず実物を見せてくれないか?」
「ああ」
そういって、全員は停泊しているアルビオンⅡへと向かう。
そして、格納庫に収容されている、
「……ユニコーンか」
「矢張り知ってたか」
レインは、なんとも言えない表情をしていた。
「この機体、何処で?」
「上層部が試験を行えって、押し付けてきたんだ。確かフル———」
「フルサイコフレーム採用式の機体だ」
「そこまでわかってるか。なら、システムについては?」
ナックの問いに、レインは少しばかり考え込むような仕草をした。
「このRX-0は、我々アナハイムが作った。だが、その中身を知っているものはごく僅か。そして、搭載されているシステム『
「ま、待て!」
ナックは、レインの言葉に慄いた。
「それじゃあ、オリジナルの再現なんて理論上は不可能なはず……!」
「そうなるね」
「まさか……なら、連邦のお偉いさん方は、どうやってあんなもん再現したんだ……」
ナックの問いに、レインは答えるのだった。
「NT-Dは、その名の通りニュータイプのみを抹殺することを前提にしたシステムだと聞いている」
「じゃあ……」
「恐らく、君の思う通り、『EXAM』や、『HADES』の技術を応用したものだろう」
「その『EXAM』や『HADES』というのは?」
レインの言葉に、カイトが問いかけた。
「まず、EXAMというのが、
「そして、HADESはEXAMをベースとした強引に機体のリミッターを外すシステムだ」
ナック、レインの順番に答えるのだった。
「『蒼い死神』って知ってるか? これは『ブルーデスティニー』って機体を示して呼ばれていたんだが、この機体に搭載されていたのがまさしくEXAM」
「そして『第4の騎士』こと『ペイルライダー』に搭載されたのが、派生型のHADESだったんだよ」
2人はそう説明するのだった。
「どっちも……聞いたことがある……」
「まさかそんなシステムが……」
リュウ、カイトの順に呟いた。
「と、これに関してはまだまだ謎が多いってことか?」
「そうだね……。残念だけど、私にもわからないな」
そうか……、と言ったナックは、次の話を振るのだった。
「で、もう一つ。新たな機体を調達したい」
「……なるほど。付いてきてくれ」
そう言われた5人は、レインに連れられて工場の立ち入り禁止エリアへと足を運んだ。
「ここから先のことは、内密に頼むよ」
レインはそう断って、1つの扉にICカードを通す。
そして、開かれた扉の先には———格納庫があった。
「……おい、あれって!」
「間違いないよ。GP-03『ステイメン』だ」
ジョーの言葉に、リュウが答えた。
「とんでも無いものが出てきたな……」
「戦後、上層部がデータを抹消して行方知れずになってたが、極秘裏で入手した」
「動くのか?」
「勿論。近代化改修も済ませている。スラスターの推力強化はもちろん、装甲強度、エネルギー効率等全てな。だからこれは『ガンダム試作3号機ステイメン・リヴァイブ』として生まれ変わっている」
ただ、と言ってレインは告げた。
「あの機体、元々は全天周囲モニターだったのだが、コア・ブロック式のコックピットへと変更した」
「なんでだ?」
「あの機体は、本来の装備であるアームド・ベース『オーキス』が失われてしまったことが原因だよ。オーキスがあったのなら、モビルスーツが脱出艇の扱いになったのだが、オーキスが無い以上、機体にその機能を加えるしかなかった」
なるほど、とナックは頷いた。
「で、こいつを持ってて良いのか?」
「構わない。後、完成品ではないが、新たな武装も作成してある。それも一緒に持っていけ」
「助かる。後……」
「まだあるぞ」
そういったレインは、壁際にある、スイッチを押した。
すると、先程までステイメンのみが照らし出されていたが、ステイメンのまっ隣が明るくなる。
「アレは……ブルーデスティニーか?」
「1年戦争時代に大破した2号機と3号機の残骸を集め直して組み上げた、技術検証用の機体だ。EXAMも搭載されている。その機体を、さらに近代化改修し『ブルーデスティニー・セカンド』へと改造した」
「EXAMってことは……暴走の危険性は……」
「一概に、無いとは言い切れない。だが、君達なら乗りこなせると思った。だから、私はこうして差し出したのだ」
「だとさ。誰か、乗ってくれるか?」
ナックの問いに答えたのは、ジョーだった。
「自分が乗ります」
「危険な機体……だぞ?」
「承知の上さ。なんなら、カイトが乗った機体の方が危なかっただろうに」
「決まりだな。というわけだ、レイン。こいつも使わせてもらう」
「ああ、頼むよ。それと、あと2機あるのだが、どうする?」
「見せてくれ」
そう言われたレインは、再びスイッチを押した。
すると、今度は格納庫全体が明るくなる。
「これだよ」
そこあったのは、紛れも無いΖガンダムと、ペイルライダーだった。
「なんでペイルライダーが……!」
「量産目的に作られた型の機体情報を入手してね。それを逆にワンオフ機体として仕上げた。それがこの、『ペイルライダー・フラガラッハ』。先祖帰りみたいな感じだな。勿論、HADESも搭載してある」
「さっき危険って言ってた機能積んだ機体ばっかりじゃないですか……」
出てきたモビルスーツに、ローは思わずそうこぼしてしまうのだった。
それに対して、レインはこう答えた。
「さっきも言っただろう。君達だからこそ、たかそうと思うんだ」
「お前らを信用してくれてるってことさ。で、こっちに乗るやつ入るか?」
「自分が乗ります」
そう言ったのは、リュウだった。
「リュウさん、なんで?」
「信頼には、答えないと、だろ?」
「そうですね」
リュウの言葉に、カイトは頷いた。
そして、ペイルライダーを見上げた。
「これが、俺の次の機体……」
「じゃあ、自分はΖガンダムに乗ります」
「なら説明が必要だな」
そういったレインは、機体について説明を始めた。
「この機体はΖ開発時の余剰パーツで組み上げた機体だ。ただ、部分的に足りないものもあったから、規格が合いそうなパーツで補ったりもしている。無論、可変機構に問題は無い」
「武装は?」
「オリジナルと大差はないが、この機体は電子戦向けのカスタムが施されている。後は、哨戒能力が高い」
「偵察向き……ということですか」
「ああ。だが、先ほど言った通り、武装はオリジナルのものとは大差ない。それに、追加武装もあるからな」
「そうですか」
「そういうことだ。Ζガンダム2号機……こいつの名前だ。宜しく頼む」
「お任せを」
ローは敬礼しながら、そう返すのであった。
「良いのか? ステイメンじゃなくて?」
「自分は、ここへ配属される前は、リゼルになっていました。故に、可変機の方がしっくりくるのです」
「なるほど」
ナックは頷くと、カイトへと告げた。
「なら、カイト。お前の機体はステイメンだいいな?」
「え、自分アレがあるじゃないですか……」
「バカヤロウ、またああなるぞ?」
「たしかに艦長の言うことに一理ありますけど……」
まあまあと、レインがナックを宥めた。
「とりあえずは、暫くここに滞在することになるんだからゆっくり考えればいいさ」
「そうだったな……。艦の修復はどれくらいかかりそうだ?」
「1週間は必要だろうね」
「そうか」
「ああ。後、その滞在期間中に、RX-0を調べてもいいかい?」
「構わない」
ナックは了承した。
こうして、彼らは新たな
そして同時に、ペガススも新たな力を手に入れようとしていた———
はい、今回はここまで。
新たに出てきた機体ですが、設定がまとまり次1話の上に設定を挙げておきたいと思います。
最後に、読んでいただきありがとうございます。宜しければ感想・評価等お願いいたします。
では、これで