[鋼の錬金術師]エルリックの三男は「男主」   作:春川遥

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九話「知られた野望と神の鉄槌」

[エド兄違うって!それはこっち!!〜ああもう!貸して!]

 

 

エド兄が提案してきたのは放送をジャックして教主との会話を教徒達に知らせよう、というものだった。

 

教主が来るまでにその下準備を終わらせなければならないのだが...エド兄が手伝おうとして配線をぐしゃぐしゃにする。

 

 

[エド兄はこれもってそこ座ってて!]

 

 

エド兄にスイッチを持たせ机を指さす。

 

 

「あ、ああ...すまん」

 

 

明らかにしょんぼり、という顔をしたエド兄を横目に配線をきっちりと隠しつつ完成させる。

 

あとはエド兄に任せるのだが...こんなしょんぼりした状態じゃだめか...しょうがない。

 

 

[エド兄、ここからはエド兄にかかってるんだよ!おれもアル兄もロゼさんもエド兄に期待してるからね!エド兄にしかできないんだから!]

 

 

そう言ってサムズアップ。

 

しょげていたエド兄のかおが、だんだんと上がってきて「そうかそうか...オレにしかできないか...」とニヤニヤしだす。

 

 

「よぉぉっしゃあ!兄ちゃんに任せとけ!ハル!」

 

 

それを聞いて内心ニヤリとしながらエド兄に手を振ってアル兄とロゼさんの元へ向かう。

 

ちょうどアル兄が錬成陣を書き終えていたところだった。

 

 

「あ、ハル〜兄さん大丈夫だった?」

 

[うん、なんとかしてきたw]

 

 

スピーカー代わりの鐘からじじ...とノイズが聞こえる。

 

とんとん、と足踏みの音が2回。

 

放送開始の合図だ。

 

おれは両手を合わせてそこらじゅうの音をかき集めてそれを全て鐘へと注ぎ込む。

 

隣でアル兄がロゼさんの耳を押さえてるのが見えた。

 

おれ?おれはもう耳栓詰めてるから大丈夫。

 

耳栓をしてても微かにエド兄と教主の会話が聞こえてくる。

 

程よく挑発しながら情報を教徒達にばらまけているようだ。いい調子b

 

だが次第に会話の雰囲気が怪しくなる。

 

そして教主はエド兄に襲いかかったようだ。

 

放送がぷつ、と切れる。

 

 

「あとは兄さんが上手くやってくれるはずだよ!」

 

 

アル兄がそう言ってエド兄のいるであろう方を見つめる。

 

その次の瞬間。教会が揺れ、天井からパラパラと砂埃が落ちてくる。

 

おれは慌てて3人を覆うくらいの土の箱を錬成して、2人を守ろうとした。

 

けど周りの土が全部持っていかれる。

 

多分エド兄が錬成しているんだろうと察したおれは周りにある土で最小限の壁を作った。

 

するとエド兄がいるであろう部屋のあたりから大きな神の石像が現れた。

 

石像はそのままぐらりと傾いて教会へその大きな拳を打ち付けた。

 

 

「神の鉄槌、くらっとけ!!!」

 

 

エド兄の言葉がはっきりと聞こえた。

 

爆風。瓦礫がかなりの勢いをもってあたりに散る。

 

 

(まったく、しょうがないなあ!)

 

 

自分で創り出した壁によじ登りぱん!と大きく手を合わせる。

 

そして石の飛んでくる勢いと周りの空気を錬成。

 

教会を囲う風のシェルターを創り出した。

 

飛んできた瓦礫は風に乗って上へと舞い上がり、教会中央へと落下する。

 

ゴドゴドゴドッ!!!という音と砂埃をあげながら瓦礫が1箇所へ集まったのを確認してシェルターを解く。

 

ふう、と額の汗を拭う仕草をする(実際は汗をかいてもないのだが)と瓦礫の中からエド兄が飛び出してきた。

 

 

「こんの馬鹿ハルがあああああ!!!!危うく死んじまうところじゃねえか!」

 

[いや、エド兄ならあれくらい大丈夫でしょ!]

 

「大丈夫!?兄さん!ハル!」

 

 

ぺたぺたとアル兄に身体を触られながら無事を確認され、「兄さんは勝手に行動し過ぎで街の被害をうんたらかんたら、ハルは街を守ったのはいいけど自分の身をうんたらかんたら...」と長い説教をうけ、エド兄と2人その場にしゃがみこむ。

 

 

[エド兄、結局賢者の石は...]

 

「ん?...ああ、ありゃぁハンパ物だったよ...」

 

「ハンパ物?」

 

「ああ。とんだムダ足だ。やっとお前の身体とハルの声や表情を取り戻せると思ったんだけどな...」

 

 

はー、と大きなため息を漏らすエド兄。

 

 

[アル兄はもちろんだけどおれよりエド兄の方が先でしょ...機械鎧っていろいろ大変なんだから]

 

「いやいや、ボクより兄さんとハルの方が先だろ...機械鎧は大変だし、声が出ないのも不便だろ」

 

 

3人顔を見合わせる。

 

大きなため息が3つ、廃墟となった教会で響いた。

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