[鋼の錬金術師]エルリックの三男は「男主」   作:春川遥

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十三話「通信機器と焔の錬金術師」

おれは男に所持品を全部出させる。

 

そこには通信用の電話機があった。

 

着信を知らせるランプがチカチカとついているのを見て、おれは心の中でにやりとした。

 

 

「おい、定時連絡しっかりしろっつっただろ!何忘れてんだよ」

 

[すまんすまん!ところでちょっとめんどくさいことになってよー...1人応援来てくんね?]

 

「おう、了解。じゃあ俺が行くわ」

 

[すまん!サンキューな]

 

 

先程聞いた男の声を再現しながら通話を終える。

 

そしてアル兄に扉の方を指さした。

 

 

[1人来るっぽいからアル兄お願い。おれはここが襲われないように壁作っとく]

 

「おっけー」

 

 

ぱん、とあたりの鉄から壁を錬成。

 

 

「おいどうした?」

 

 

電話越しに聞こえた声だ。

 

声の元へアル兄がぬっと顔を出す。

 

 

「うっ....わあああああ!!!!!」

 

 

鎧がいきなり覗いてきたことにびびったのか大声を上げながら銃を乱射する。

 

 

「ちょっと待って...」

 

 

アル兄の言葉虚しく銃弾はギンギンギンとアル兄へ当たって跳弾する。

 

 

「跳弾して危ないよ...って遅いか」

 

「いいいでェ〜〜〜〜!!!」

 

 

弾は男の腿に跳弾し、男は呆気なく地面へ崩れ落ちる。

 

その声に反応し、奥からドタドタと足音がこちらへ向かってきた。

 

 

「おいどうし...でっ...うわあああああ!!!!」

 

 

やってきた男もアル兄に驚き銃をぶっぱなす。

 

当然跳弾し、見事に男に当たる。

 

 

[おっさんたち...バカだろ...]

 

 

ちなみに客やおれは錬成した壁の中にいたので無事だった。

 

 

[あ、そうだった]

 

 

やろうとしてたことを忘れていた。

 

ぱし、と手を合わせて列車の壁に触れる。

 

天井の方の鉄をを音が響かないような構造に組み替える。

 

これでエド兄がやりやすくなったんじゃないかと思う。

 

そして跳弾おじさん達にも通話機器を出させて

 

 

[こちら後部車両。異常なし]

 

 

と伝えた。

 

 

「了か...どうしたバルド」

 

「てめぇ...誰だ」

 

 

!?...バレたか。おれの声を再現する錬成は完璧じゃない。

 

慣れ親しんだ奴からしたら違和感があるのは当然だ。

 

完璧に再現できる声はアル兄、エド兄、ウィンリイ、ばっちゃんくらいだ。

 

 

[...なんのことだ?おれはおれだぜ?]

 

「ちっ...」

 

 

キレたのか舌打ちをし、ズガガガガっと銃を打った音がした。

 

 

「いっでェ!!」

 

 

....聞き覚えのある声がしたのはきっと気の所為だ、うん。

 

 

「上にもネズミがいやがる。見てこい。おい、電話のテメエ、そこを動くんじゃねえぞ」

 

 

わー...やらかした。存在がバレた上にエド兄のことまでバレてしまった。

 

アル兄を見やる。いつものようにやれやれと首を振ったあと

 

 

「やるしかないよね」

 

 

と指を鳴らした。実に心強い兄だ。

 

ドタドタドタっ!!二人分の足音。

 

こういうのはあんまり好まないんだけど...仕方ない。

 

 

[やめてくれ!それ以上来るなぁ!!]

 

「!?大丈夫か!」

 

 

予想以上に仲間思いのいい奴らだったみたいだ。声を真似すると銃を構え扉をぶち壊した。

 

 

「!?...だれも...いない?」

 

[ここだよ、ばーか]

 

 

被っていたマント(錬成で周りの風景と同化済み)を剥ぎ、男達の足元に袋に入れてた土をぶちまける。錬成。

 

 

「!?なんだこれ!」

 

「くそっ!!」

 

「おじさん達覚悟はできてる?」

 

 

固められた土に足を取られ、目の前にはでかい鎧。ゲームオーバーを悟った男達は顔を真っ青にさせていた。

 

 

 

 

アル兄が取り敢えずタコ殴りにした人たちを縛る。

 

 

「もう、ハルはいっつも勝手にやり始めちゃうんだから」

 

[...ごめん(´・ω・`)]

 

 

今回は完璧におれに非があるので何も言い返せない。しょんぼりとしながらアル兄の叱咤を受けていると

 

 

「ボクじゃ........かな」

 

 

ぽつ、とアル兄が呟く。

 

 

[...アル兄?]

 

「!?...なんでもない!それより兄さんは大丈夫かな!」

 

 

とても驚いた様子のアル兄を不審に思いつつエド兄が居るであろう先頭車両の方を眺める。

 

そのとき

 

 

「あーーあーー犯行グループの皆さん。機関室及び後部車両は我々が奪還致しました。残るはこの車両のみとなっております。大人しく人質を解放し投降するならよし、さもなくば強制排除させていただきますが...」

 

 

エド兄の声がアナウンスのように聞こえる。アル兄と顔を見合わせ、扉付近で構える。

 

 

「〜〜〜〜〜!!」

 

 

何か犯行グループの主格が叫んだ。それに呼応してエド兄の声が再び響く。

 

 

「あらら、抵抗する気満々?残念交渉決裂」

 

 

その言葉が聞こえた瞬間おれは扉を開けて車両を移動する。

 

 

「ちょっハル!」

 

 

怒ったようなアル兄の声に心の中で「ごめん!」と謝りながら走る。

 

ぎょっとした様子の強面の男___リーダーだろう__とバンダナをまいた男。そしてその奥に見えた錬成された水道管。

 

 

「人質の皆さんは物陰に伏せてくださいねー」

 

 

その声を聞いておれは車両で唯一あいていた客席へと飛び込む。錬成。即座に壁を作り出した。

 

ドバババババと壁の向こうで水が流れる音がする。ギリギリ間に合ったことに安堵しながら人質となっていた人たちを振り返る。

 

 

[大丈夫ですか?怪我とかしてません?]

 

「あ、ああ...妻や子供たちは無事だ...」

 

[あ、旦那さんは怪我してますねちょっと見せてください。応急処置位はできますから]

 

 

おれが旦那さんにきゅ、と包帯を巻いたと同時に壁の向こうでドガン!!と轟音が響いた。

 

 

 

 

「や、鋼の」

 

 

久々に聞く声に振り向くといい笑顔のロイさんが居た。

 

 

「あれ、大佐!こんにちは」

 

[ども、ロイさん]

 

 

おれとアル兄に「や」と片手をあげ、変な顔をしているエド兄を見てにや、とするロイさん。

 

 

「なんだねその嫌そうな顔は」

 

「くぁ〜〜〜〜〜大佐の管轄ならほっときゃよかった!!」

 

 

エド兄のロイさん嫌いは相変わらずのようだ。

 

2人の戯れを聴きながらおれとアル兄は後ろで控えていたホークアイさんに挨拶をする。

 

 

「ホークアイ中佐もこんにちは」

 

[お久しぶりですホークアイさん]

 

「アルフォンス君、ハルフェス君、こんにちは。久しぶりね」

 

 

ホークアイさんはかなりの美人さんだと思う。きりっとした目に結い上げた金髪。端正な顔立ちに男性なら魅入ってしまうだろう。

 

 

[最近どうですか?東方は]

 

「いろいろなことがおこってるわよ?あなた達が興味を持ちそうなことといえば...」

 

 

世間話に花を咲かせようとしたその時。

 

 

「うわぁ!!」「貴様...ぐぁっ!」

 

 

ただ事では無い声がする。

 

声を見やると先程捕まえられた男が仕込みナイフを手に軍の方を切り付けたところだった。

 

ちゃき、とホークアイさんが銃を構える。

 

 

「大佐。お下がりくだ...」

 

 

それをロイさんは手で制する。

 

 

「これでいい」

 

「おおおおおお!!!!」

 

 

刀を構え突進してくる男。

 

その男に向けてロイさんはぐっと指元に力を入れ、

 

パチン、と指を鳴らした。

 

発生した火花はヂッと空気を伝い、男の眼前でボッと大きな火球へ変わる。

 

ゴオッと凄まじい熱が男の傍で弾ける。

 

あれを受けたくはないなあ...

 

 

「手加減しておいた。まだ逆らうと言うなら次は消し炭にするが?」

 

「ド畜生め..てめえ何者だ!!」

 

「ロイ・マスタング。地位は大佐だ。そしてもうひとつ。

「焔の錬金術師」だ。覚えておきたまえ」

 

 

ロイさんのドヤ顔がやけに輝いていた。




ようやく一巻が終わった!!!!!!!
次回から二巻の内容に入っていきます!展開がカメさんですね、語彙力、表現力が欲しい
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