[鋼の錬金術師]エルリックの三男は「男主」   作:春川遥

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二十話「東方司令部とイシュヴァール」

[リゼンブールに?]

 

「うん、機械鎧の修理をって」

 

[そうですか...]

 

 

ケインさんによるとおれがいつ目を覚ますかわからない状況でエド兄の機械鎧の修理を一刻でも早く終わらせなければいけない、という結論に至ったようだ。エド兄とアル兄の護衛としてアームストロングという方がついているらしい。

 

 

「そうだ、先日エドワード君から連絡があってね。ハルフェスくんがよくなったら中央(セントラル)に行くようにって」

 

[わかりました。おれの病状ってどんな感じなんです?]

 

「右足の骨折だね。全治一か月って感じらしいよ」

 

[一週間で治します]

 

 

ぱし。手を合わせ体に当てる。細胞の動きを活性化させ治療が早くなるよう働きかける。本を読み漁ったおかげでおれは様々な知識を手に入れていた。役立つものからくだらないものまで、その種類は多岐にわたる。

 

 

「えっ...大丈夫?」

 

 

ケインさんが心配そうにこちらを見る。こくりとうなずいたところを、何かでパカーン!!と殴られた。

 

 

「何をしているんだ...音の」

 

 

はたかれた頭を押さえながらそちらを見やる。いつの間に入ってきたのかそこには青筋を浮かべたロイさんがいた。

 

 

「鋼のに音のを頼むといわれたから見に来てみれば...」

 

 

はあ、とため息をついて頭を抱えるロイさん。とにかく、といいそばにあった車いすを寄せてくる。

 

 

「錬成ができるほど元気であれば書類仕事くらいできるだろう。あいにくだが私たちは忙しいからな。毎回見舞いに来るわけにもいかん。」

 

[だから東方司令部で働かせながら療養させよう、と]

 

「よくわかっているじゃないか」

 

 

ニヤリと悪い笑みを浮かべるロイさん。

 

 

[じゃあ、しばらく...といっても一週間ほどになると思いますが。お世話になります、ロイさん...いや、大佐]

 

「君から大佐と呼ばれるのは何だか変な感じがするな...とりあえず、ここで話していても仕事がはかどるわけではない。東方司令部へ向かうとしようか」

 

[大佐ってそんな仕事大好きでしたっけ?]

 

「...怒らせると怖い部下が常に見張っているからな。口先だけでもしっかりしておかんといかん」

 

 

くだらないやりとりを交わしながら車いすに移動する。ケインさんが車いすを押してくれる。ありがとうございます、と頭を下げるといいよいいよ!と笑い返してくれた。

 

 

 

 

 

 

「早速だけどハルフェス君。これとこれをおねがいね」

 

 

司令部について早々、リザさんがどさっと書類の山を渡してくれる。

 

 

[了解です]

 

 

別に手伝うことは苦ではなかったし、逆にあのまま病院にいても暇しそうだったのでちょうどよかった。

 

書類に目を通しながらリザさんと会話をする。

 

 

[リザさん少しいいですか?]

 

「ええ、大丈夫よ」

 

[おれが気絶した後のことって聞けたりします?]

 

「ああ...そうよね、わかったわ」

 

 

そういってリザさんはすさまじいスピードで書類の山を減らしながら語ってくれた。

 

 

「まず...あの後大佐が前に出ようとしたんだけど、ほら、あの日って雨が降っていたじゃない。だから大佐は火花が出せないから下がらせたの。その代わりに救援の...いまエドワード君たちの護衛をしてくれている剛腕の錬金術師、アームストロング少佐が戦ったの。あの男...私たちは傷の男(スカー)と呼んでいるのだけれど、その錬金のカラクリを暴いて見せたのは驚いたわ」

 

[そのカラクリってなんだったんです?]

 

「錬金術の錬成過程、理解、分解、再構築の分解で止めることであたりのものを破壊していたみたい」

 

[なるほど...]

 

「少佐とやりあっている間に私が撃ったのだけれど...スカーは速くて、サングラスを外させることしかできなかったわ。サングラスの下の目は赤色の...イシュヴァールの民だったのよ」

 

[イシュヴァール...十三年ほど前の...]

 

「ええ。そこで国家錬金術師が投入されたのは知っているでしょう?国家錬金術師たちはその実力を遺憾なく発揮し...戦況を大きく動かしたのは言うまでもないわね」

 

「だからあの男の復讐には正当性があるんだよ」

 

 

話を聞いていたのか、机の上から目を離すことなく大佐がリザさんの後を継いだ。

 

 

[なるほど...ありがとうございます]

 

 

二人に礼を言う。それからはひたすら書類の処理を行った。

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