[鋼の錬金術師]エルリックの三男は「男主」   作:春川遥

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二十一話「セントラルとドクターマルコー」

[お世話になりました]

 

 

ぺこり、と頭を下げる。宣言通り怪我を一週間で治したおれは東方司令部を出て中央(セントラル)に向かおうとしていた。

 

 

「もう少し居てくれてもよかったんだがな」

 

「大佐より仕事してくれましたもんね、彼」

 

「...ホークアイ中尉?」

 

 

ふい、と目をそらしてリザさんはおれを見る。

 

 

「一週間お疲れ様。とても助かったわ。道中気を付けて」

 

[ありがとうございます。皆さんお元気で]

 

 

もう一度深く礼をし、荷物を持って駅に向かう。後ろからハボックさんやブレダさん、ファルマンさん、ケインさんがまたねー!と言っている声が聞こえた。

 

 

 

 

 

 

「長旅お疲れ様です。ハルフェス・エルリックさんですよね...?」

 

 

セントラルの駅に降り立ったおれにおずおずといった感じで話しかけてきたのは短い髪はしっかりとセットされていて、目元にほくろのある軍服を着た女性だった。

 

 

[ええ、おれはハルフェスですが...失礼ながらお名前をうかがってもよろしいでしょうか?]

 

 

荷物を床に置き応対する。おそらく兄さんたちが寄こしてくれたのだろうが一応名前を聞く。

 

 

「これは失礼しました。マリア・ロスと申します。地位は少尉です。鋼の錬金術師殿に頼まれてお迎えに上がりました!」

 

[丁寧に、ありがとうございます]

 

 

ぺこ、と頭を下げる。表に車を用意してますので、と案内される。

 

 

[あ、おれに敬語使わなくていいですよ、年下ですし]

 

「え、あら、そう?ありがとう」

 

 

やはり年下に敬語を使うのは大変だったのだろう。一瞬ためらったもののすぐに敬語を解いてくれた。堅苦しいのはあまり好きじゃないのでそっちの方が接しやすい。

 

兄さんたちが泊まっているという宿につく。少尉に案内してもらった部屋の扉をこんこん、と叩く。

 

 

「はーいどちらさま...ってハル!!」

 

[アル兄、なんか久しぶり]

 

 

ガチャリと扉を開けてくれたのはアル兄だった。驚いたジェスチャーのあと入って入って、と中に案内される。

 

 

「おお、ハル。早かったな。もう少しかかると思ってた」

 

[急いだからね。リゼンブールに行ったんだろ?ウィンリィやばっちゃんどうだった?]

 

 

エド兄は読んでいた本からかすかに顔を上げてこっちを見た。どさり、と荷物を下ろしてエド兄の向かいに腰を下ろす。

 

 

「お前...錬金したのか?」

 

[...うん]

 

「はぁ...あれは身体に負担かかるからあんますんなって言ってるだろ」

 

 

頭を抱えたエド兄。気まずくて俯くおれ。見かねたアル兄が助け舟を出してくれた。

 

 

「ハル、反省したらこれからはできるだけしないこと。いいね?」

 

[うん...ごめん]

 

「いっつも無理するんだから」

 

 

ぷんぷん、とアル兄が言う。口でそういうもんだから、おれとエド兄はそろって吹き出した。

 

 

「ウィンリィもばっちゃんも元気そうだったよ」

 

[そっか、よかった。...ところでなんで行き先をセントラルにしたの?]

 

 

ひとしきり笑いが収まったのを見計らってリゼンブールの様子を教えてくれたアル兄。元気そう、という答えに満足したおれは、純粋に疑問に思っていたことを聞く。

 

 

「そうだよ、聞けよハルフェス!!!」

 

 

興奮した様子でエド兄はリゼンブールにつく前にあった医者の話を...ドクターマルコーの話をしてくれた。

 

 

[賢者の石の資料がセントラルに...]

 

「ああ、けどな...」

 

 

そこまで話すとエド兄はげっそりとした顔をし、アル兄と顔を見合わせる。

 

 

「その資料が置いてあった図書館で火災が発生したらしくて...」

 

[資料が燃えちゃった、と]

 

「今は内容覚えてるって人がいたからその人待ちの時間ってわけ」

 

[内容覚えてるって半端ないね...]

 

「ま、ゆっくりしてけよ。多分もうしばらくかかるぜ」

 

 

そういってエド兄は再びページをめくり始める。アル兄は頭をとって布で拭き始める。おれは荷物の中からスケッチブックを取り出してソファの上で体育座りをしながら鉛筆を走らせた。

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