[鋼の錬金術師]エルリックの三男は「男主」   作:春川遥

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二話「ロゼさんと錬金」

ととと、と軽やかな足音がする。

 

ひょいとそちらを仰ぎ見れば女性が1人露店に向かって来ていた。

 

 

「こんにちはおじさん。今日はなんだか賑やかね」

 

 

楽しそうな声が場を明るくする。

 

微笑みを湛えたその顔はその人の人柄を表しているのだろう。

 

おじさんがにいっ、と笑って

 

 

「おっ、いらっしゃいロゼ」

 

 

と話しかけた。

 

 

「今日も教会に?」

 

「ええ、お供え物を。いつものおねがい」

 

 

その横でエド兄がカウンターに直りたてのラジオを置く。

 

カタ、と音を立ててラジオは定位置に戻り調子良さげに放送を続けた。

 

 

「あら、見慣れない方が...」

 

「錬金術師さんだとよ。探し物探してるそうだ」

 

「ども」

 

 

商品を詰めながらおじさんがロゼさんに受け答えする。短くエド兄が挨拶をした。

 

程なく詰め終えた商品を手にロゼさんが店を離れる。

 

くるり、と振り返って一言

 

 

「探し物見つかるといいですね。レト神の御加護がありますように!」

 

 

と笑顔で言った。

 

柔らかそうな髪が風にふわりとなびいた。

 

 

ロゼさんがいなくなった後、ふわぁ、と抑えきれなかった欠伸をする。

 

立っているアル兄によじ登り、定位置でうつらうつらとする。

 

 

「ロゼもすっかり明るくなったなあ」

 

「ああ、これも_______」

 

 

すぐに睡魔が訪れて小さく「おやすみ」と言ってくれたアル兄の声を聞きながら意識を暗闇へと落として行った。

 

 

 

 

 

わあああああ!!!

 

「教主様!」

 

「奇跡の業を!」

 

 

そんな喧騒で目が覚める。

 

 

「おはようハル。ちょっとあの人見てみてよ」

 

 

かしゃ、と鎧が鳴る。

 

アル兄が指さした先にはでっぷりとした小太りの中年の男性が1人。

 

 

男性ははらはらと舞う小さな花を手に取ると手袋のはまった手で包み込んだ。

 

ぼ!!と聞きなれた音が小さく鳴ったあと、立派な向日葵の花が男の両手に生まれた。

 

 

「どう思う?」

 

 

エド兄がこちらを見ながら小さめの声で尋ねてきた。

 

どうもこうも、答えはひとつだ。

 

 

[錬金術だねぇどう見ても]

 

「やっぱり?あの変性反応だもんねえ」

 

「だよなあ...でもそれにしては法則が...」

 

 

そこまで話したところであら、と聞いた事のある声が聞こえた。

 

 

「御三方、来てらしたのですね!どうです!まさに奇跡の力でしょう。コーネロ様は太陽神の神子です!」

 

 

キラキラとした目でそう語るロゼさんににべもなくエド兄はいう。

 

 

「いや、ありゃーどう考えたって錬金術だよ。コーネロってのはペテン野郎だ」

 

 

じと、とした目でコーネロを見ながらエド兄が言うが、ロゼさんにとってその言葉がもたらす感情はムカつき以外ないだろう。

 

助け舟をだす、という訳では無いが気になっている事を音に出す。

 

 

[でも法則無視してるんだよね、あれ]

 

「うーーーーん...それだよなあ...」

 

「法則?」

 

 

きょとん、とした顔で聞き返すロゼさん。

 

何から話すべきか、と一瞬思案して言葉を紡ぐ。

 

 

[一般人が見たら錬金術っていうのは無制限になんでも出せる便利な術だと思われてるけど、実際はちゃんと法則があるんだ。大雑把にわかりやすく言うと質量保存の法則と自然摂理の法則かな。術士の中には四大元素や三原質を引き合いに出す人もいるけど____]

 

「ストップ、ハル。ロゼさんがついてこれてないよ」

 

 

精一杯わかりやすく噛み砕いて伝えたつもりだったんだが。

 

アル兄を少し睨むと呆れたようにちょいちょいと指さす。

 

その先でロゼさんが頭から煙をあげていた。

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