ぷしゅうう...と今にも音を立てそうなロゼさんにアル兄が説明を始める。
「えーっとね、質量が1の物からは同じく1の物しか、水の性質の物からは同じく水属性の物しか錬成できないってこと」
自分より確かにわかりやすい。
だけど簡単に認めるのはおれのプライドが許さない。
ぷう、と頬を膨らませアル兄の背中によじ登り全体重をかける。
流石のアル兄でもこれは重いだろう、と内心ほくそ笑む。
「もう、ハルったらー」
しかし鎧の体はそんなものではビクともしなかったようだ。
ぐ、と両手を握られる。
あ、やばい。と思い離れようともがくが1度掴んだ手をアル兄が簡単に離すはずはなく。
キラン、と無いはずのアル兄の目が光った気がした。
次の瞬間おれは宙に浮いていた...と言うより遠心力によって固定されている手以外の体が浮き上がった、と言った方がわかりやすいだろう。
「ハルたのしいー?」
腑抜けた兄の声を聞きながら絶叫したいような気分にかられる。
しかしそれをしたくても両手を塞がれていてはできようがない。
[〜〜〜〜〜!!!!!!]
声にならない悲鳴を上げながらしばらくアル兄のなすがままにされる。
しばらくおれをぐるぐると回すと満足したのか下ろしてくれた。
[何すんだバカアル兄ぃぃぃ!!!!!]
即座に手を合わせ全力で叫ぶ。
ケラケラとアル兄が笑っている奥でエド兄も笑っているのをおれは見逃していないからなっ...!
「まあ話を戻すとw」
笑いすぎたのか目じりの涙を拭いながらエド兄がロゼさんに言う。
「錬金術の基本は「等価交換」!何かを手に入れようとするならそれと同様の代価が必要ってこった」
[でもねーそれを無視してやっちゃってるのさ、あのおじさん]
エド兄に続くとロゼさんのこめかみにぴき、と何かが走った音が聞こえた気がした。
「だからいい加減!奇跡の業を信じてはどうですか御三方!!」
むきー!!という感じでロゼさんが叫ぶ。
それに3人苦笑いで返しているとアル兄がコソッと話しかけてくる。
「兄さん、ハル、ひょっとしてあれは...」
[うん、ひょっとすると...]
「ビンゴだぜ」
ニヤリ、とエド兄が何か企んでるふうなわるーい笑みを浮かべる。
その笑みのままくるっとロゼさんに向き直り、
「おねぇさん、ボクこの宗教に興味持っちゃったなあ!ぜひ教主様とお話したいんだけど案内してくれる??」
と怪しさ満点で話しかけた。
ロゼさんのことをおねぇさんと言ったり一人称が変わっていたり色々とツッコミどころはあるはずなのだが、ロゼさんはそんなことは露ほども気にしていないようだった。
寧ろ信じてくれたことが嬉しかったのかぱあ、と顔を輝かせて
「まあ♡やっと信じてくれたのですね!」
と言った。
おれは思わず心の中でロゼさんに謝罪をした。
そのままロゼさんに連れられて教会へ向かう。
おれは定位置のアル兄の背中に乗っかってぽかぽかとしたお日様の光が心地いいなーなんて思っていた。