アル兄に「寝ないでね?」と定期的に揺さぶられながらロゼさんに連れられて教主様の元へ向かう。
「教主様は忙しい身でなかなか時間が取れないのですがあなた方は運がいい」
ロゼさんに代わって案内してくれている男性がそういう。
大広間のような場所へ足を踏み入れる。
「悪いね、なるべく長話しないようにするからさ」
微塵も悪いと思ってなさそうな顔でエド兄が言う。
ばたん、と扉が閉じられる音。
部屋を薄い暗闇が包む。
「ええ、すぐ終わらせてしまいましょう....」
男性がなんだか怪しげな雰囲気を纏う。
アル兄にこっそり「ヤバそうだから投げて」と伝える。
ぐるりと男性が振り返る。
ニヤリ、と歪められた口元に、チャキリとアル兄の目元へ向けられた銃口。
「このように!!!」
ガン!!と鈍い音がしてアル兄の首が吹き飛ぶ。
それと同時におれは上へとアル兄に飛ばしてもらう。
おれが地面に着地すると同時にアル兄の体がぐらりと傾ぐ。
ドオッ!!という大きな音を立てて背中から倒れ込むアル兄。
ゴガラン...!とアル兄の頭が転がった。
そちらに気を取られていると背後に気配が2つ。
逃げるまもなく棒が両肩に1本ずつ添えられる。
ガッと首の前でクロスした棒はおれの動きを封じようとしていることは明白だった。
この状況に声をあげたのはロゼさんだった。
「師兄!何をなさるのですか!!」
アル兄を撃った男性にそう食ってかかる。
男性は銃を構えたままロゼさんに言葉を返す。
「ロゼ、この者達は教主様を陥れようとする異教徒の悪なのだよ」
「そんな!だからといってこんなことを教主様がお許しになるはず...!!」
「教主様がお許しになられたのだ!」
男性が勝ち誇ったように言う。
「教主様のお言葉は我らが神のお言葉...これは神の意思だ!!!」
高らかにそう言いながらエド兄へと銃を向ける。
エド兄は男性をキッと睨みつけたまま動かない。
万事休す。きっと誰もがそう思っただろう。
_______2人を除いて。
「へー____ひどい神もいたもんだ」
そう言いながらぐっと銃を持った手を握る《空っぽの鎧》____アル兄。
「んなっ...!!!」
ありえない。そう言いたげな男性。
そこに出来た大きな隙をおれとエド兄は見逃さない。
おれは軽く身を引きながら驚いたままのおれを拘束していた男達を見比べる。
そして細そうな方の男の鳩尾目掛けて回し蹴りを決める。
「げはっ!!」
ドスン!盛大な音を立てて男がその場へ崩れ落ちる。
同時にエド兄、アル兄の元でも轟音が響いた。
あっちも上手くやっているようだ。
苦しげに腹を抑え、蹲る男の背中へかかと落としを決める。
「〜〜〜〜〜っ!!!!!」
声にならない悲鳴をあげてその場に伸びた男を見て、もう1人は声を上げながら逃げ出そうとする。
「ストライク!」
そのエド兄の声の後、ちょうどいい所にアル兄の頭が飛んできたのでおれも使わせて貰うことにする。
アル兄の髪の毛?の部分を持ってぐるぐると回し勢いを付けて狙いを定める。
ぱっと手を離すと目標の場所へまっすぐと飛んでいき、がぃん!と鈍い音を立てて男にぶつかる。
ぐっとガッツポーズを作る後ろでアル兄が
「ボクの頭!」
と怒っていたのは聞かなかったことにしよう。
「ど、どどど、どうなってっ...!!」
ロゼさんがアル兄を指さしながら混乱状態で言う。
「どうもこうも」
エド兄が腰に手を当てながら
「こういうことで」
アル兄が自身の体を指さしながら続けた。
おれはアル兄の体をカンカン、と叩いてみせる。
それを見たロゼさんは顔が真っ青になっていく。
「なっ...中身がない...空っぽ!?」
ほい、とアル兄に頭を渡す。
ありがとう、と受け取ったアル兄はそれをガチ、とつけながら
「これはね、人としておかしてはならない神の聖域とやらに踏み込んだ罪とか言うやつさ
ボクも、兄さんも、ハルもね」
「エドワードと、ハルフェス...も?」
ボリボリ、とエド兄が頭を掻く。
「ま、その話は置いといて」
無理矢理な話題転換。
だけどそれに敢えて俺は乗る。
[神様の正体見たり、だね]
「そんな!何かの間違いよ!!」
「あーもー!このねぇちゃんはここまでされてまだペテン教主を信じるかね!」
いらだちを隠そうともせずエド兄が言う。
ちらり、とロゼさんを一瞥してエド兄は歩き出した。
(素直じゃないなあ、全く...)
そんなひねくれた兄のフォローをすべく両手を合わせる。
[ロゼさん。
真実を見る勇気はある?]