教主は一瞬にして焦った顔になる。
額にはじわりと汗が滲んでいるようだ。
「ロ、ロゼ!?一体何がどうゆう....」
「教主様!今仰ったことは本当ですか!!!」
涙声でロゼさんが叫ぶ。
「私たちを騙していらっしゃたのですか!
......あの人を蘇らせてはくれないのですかっ...!!」
ロゼさんが宗教にのめり込んだ「あの人」。
おれたちがもう一度会いたいと焦がれたように、きっと彼女もそうだったのだろう。
ありえないかもしれない。けれどわずかでも可能性があるならと縋り続けた結果がこれだ。
あまりにも...残酷だ。
「確かに神の代理人というのは嘘だ...しかしな?この石があればお前の恋人を蘇らせることも可能かもしれんぞ!」
「ロゼ聞いちゃダメだ!!」
甘い言葉。
アル兄がロゼさんに声をかけるがロゼさんは教主の言葉に酷く惹かれている。
[行ったら、戻れなくなるよっ....]
意味の無い言葉だとわかっても言うしかない。
ロゼさんがこちらを選んでくれることを願いながら声をかけ続ける。
「さぁどうした?お前の願いを叶えられるのは私だけだ。そうだろう?
いい子だからこちらにおいで?
さあ!!!!」
こつり....
ロゼさんが教主の方へ足を踏み出す。
「3人とも、ごめんなさい」
振り返ったロゼさんの顔はどこか狂気じみていた。
「それでも私にはこれしか...これに縋るしかないのよ」
「いい子だ...本当に...」
不気味な笑みを浮かべる教主の元へとロゼさんが歩いていく。
彼女にとって恋人をなくした穴を埋めてくれていたのがこの宗教なのだろう。
だからこそ離れられない。
たとえそれが悪であるとわかっても、恋人が帰ってくるかもしれないから。
「さて、では我が教団の将来を脅かす異教徒は速やかに粛清するとしよう」
そう言いながら壁に取り付けられたレバーをガコンと下ろす教主。
ギギギ...ガシャンという音のあと、ばしん、と何かを打ち付ける音。
次いで唸り声が聞こえてきた。
「賢者の石と言うのは素晴らしいものでね...こんなものでも作れるのだよ。合成獣(キメラ)を見るのは初めてかね?ん?」
ようやく見えたソイツの体は、とても普通とは言いがたかった。
上半身はライオン。そして下半身は蛇のような尻尾。そして後ろ足は鳥の様な足。
異形、という言葉がまさしく当てはまる様な存在だ。
「ひゅー」
「こりゃあ丸腰でじゃれあうにはちとキツそうだな...と」
合わせた両の手を地面にペタリとつけるエド兄。
バシィッという錬成反応の後、一振の槍が地面から現れる。
「錬成陣もなしに錬成するとは...国家錬金術師の名は伊達ではないということか!!
だが甘い!!」
ガルルゥ!!と合成獣がエド兄へ突っ込んでいく。
その鋭い前足の爪で槍ごとエド兄の足を切り裂く。
[エド兄っ!!]
パシンと両手を合わせる。
狙うは猫避けの音。
空気を思い切り振動させて爆音の高音を生み出す。
キイイイイイインッという耳が痛くなりそうな音にギャウッと情けない声を上げる合成獣。
「たかが音遊びだ!それくらいで合成獣が倒せると思うな!...それに国家錬金術師の方は足をもがれたろう??」
「ん?なんのこと?」
バキン!と合成獣の爪が割れる。
何事もなかったかのように左足を振ってみせるエド兄に教主の顔が青ざめていく。
合成獣が怯んでいる隙にエド兄の強烈な蹴りが炸裂する。
「あいにくと特別製でね」
合成獣はドゴッという音を立てて吹き飛ぶ。
その様子にますます焦った様子の教主が指示を飛ばす。
「どうした!?爪が立たぬなら噛み殺せっ!!!」
「グルオオオオオッ」
合成獣がエド兄の右腕へと噛み付く。
そしてその異常さに気づくだろう。
自身の自慢の牙を持ってしても噛みちぎれない人間の腕に。
「どうしたネコ野郎?しっかり味わえよ」
何度噛み付いても痛みすら感じていないような男の前にもはや合成獣はなす術はない。
エド兄が蹴りあげた左足がその顎に見事に決まった。
破けた赤色のマントを破り捨てながらエド兄が言う。
「ロゼ。よく見ておけ
これが人体錬成を....神様とやらの領域を侵した咎人の姿だ!!!!」
マントがなくなり顕になったエド兄の右腕には本来あるはずの肌色の手はなく。
鋼の義肢______機械鎧(オートメイル)がはまっていた。
アル「ボク全然出番ない...」
原作でも出番なかったしねじ込んだら変な風になりそうだったから,,,ごめん☆