「王城ってどうやっていくんです?」
「は?みりゃわかんだろ、あぁ行って、まっすぐどーんって行くんだよ」
なるほど、わからん。
俺はアリアンテさん───今度はちゃんと服を着ている───に部屋の設備を説明してもらいながら、ふと思った疑問を口にした。
勇者であると証明するために、王城に行く必要がある。
「観光ならオススメしないぞ。今は勇者がどうのって警備を厳重にしてるからな。勇者候補だっていうヤツがめちゃくちゃいるんだ、これが。おかげで連日うるさいったらありゃしない」
「なるほど……ギルドみたいなのは?」
「ギルドぉ?……あぁ、酒場のことか。なんでだ?」
「一緒に旅をする仲間を探したくって」
「仲間探しか!今ならルイーダっていう仲間探しのプロがいるぜ。ルイーダさんは人と人との相性を一瞬で見抜く人なんだ。……実年齢は不明。美魔女だよ、あの人は」
美魔女……。
アリアンテさんも十分美人な気がするけれど。
「ギルドへの道は少し入り組んでるからな」と、アリアンテさんが地図を描いてくれる。
まぁ確かに、王城は門から入ってすぐの大通りに直結してるからなぁ。
パレードとかやるんだろうか。
「ほらよ」
「ありがとうございます」
「そんじゃ、あとは自由にしな。アタシはちょっと用事があるから、寝るも歩くも好きにしな」
「はい」
そう言ってアリアンテさんは居間に戻って服の上から胸当てや籠手を着け、小さなオノを持って出て行った。
借りた自分の部屋に戻り、ベッドに座って一息つく。
屋根裏部屋だ。意外と不便はしなさそう。
窓には緑のカーテンがあったり、収納箱が横に並んで圧迫感をなくしていたり……アリアンテさんが掃除ができる人だという事はわかった。
「窓の外にはレンガ造りの建物。並べられた壺。……ドラゴンクエストの、世界」
清々しいようなもやもやするような。
……うん。ずっと考えていたって仕方ない。
まずは王城に行ってみよう!!
◇
「今は王城には入れないぞ」
はぁ!?
「や、だって勇者を探してるって……」
「あぁ、勇者候補の人?勇者候補として入れるのは昼だ。また明日来い」
「は、はぁ……わかりました……」
警備が厳重になってるって、そういうことか。
出鼻を挫かれ、王城を後にする。
じゃあもう魔物狩りしかやることない……あぁ、魔物狩り。
「俺の剣よりも強い武器あるかな」
王都ってくらいなんだから、もしかしたら俺の剣よりも良いものがあるかもしれない。
防具も揃えたいし、一度行ってみたい。
……場所は聞いてないけど、多分大通りに面してるんじゃないだろうか。
振り返ると、城下町が見えた。
王城までは階段になっているから、高低差があるんだな。
……意外と良い眺めじゃないか。
村ののどかな景色も悪くはないけど、栄えている国を見るのも悪くない。
階段を降りながら考える。
元の世界に帰る方法を探すなんて、絶対に長旅になる。
だったら、色んな景色を見るのを趣味にして旅をすれば、長旅も苦にならないんじゃなかろうか。
……カメラ欲しいなぁ!!
そんなことを考えている間に、武器屋らしきものを見つけた。
うん。看板に『武器屋』って大文字で書いてあるしね、普通気付くよね。
「いらっしゃいませー」
のんびりとした声。女の人だ。
店先に置いてある剣を何気なく見る。
俺は今のところ他の武器は使えないからね。
『兵士のつるぎ』
『レイピア』
『ひのきのぼう』
お、このレイピアっての良いじゃないか。
本当は説明書にあった『てつのつるぎ』ってのが欲しかったんだけど……てか『てつのつるぎ』が鉄でできてるんなら『兵士のつるぎ』は何でできてんの?もしかして兵士……いや、よそう。怖い怖い。
で、レイピアの値段は……?
『レイピア』『320G』
高ぇ!!
待てよ?今の所持金が32G +リリパットを倒した5Gで37G。
兵士のつるぎは80Gで売れるから、売ったとすると所持金は117G。
足りねぇ……!!
これは……魔物を倒すしか道はなさそうだ。
待ってろよ、王都の魔物!
日暮れまでに狩り尽くしてやるかんな!