「俺の邪魔をするなァーッ!!」
連打連打連打連打連打ァーッ!
斬る、斬る、叩き斬る!
野を駆け林を抜け、目につく魔物を片っ端から切り裂いていく。
おかげでウハウハだぜ!
度重なる成長───レベルアップの恩恵か、ここらへんの魔物も一撃で葬れるようになってきた。
「ヒーハーッ!!」
この辺りで一番金を落とすのは……
『ドロザラー』
『リリパット』
『ドラキー』
ドロザラー、貴様だッ!!
あそーれ!
「ふふふリリパット……新しく覚えたコレの実験台にしてやるよ!『メラ』!!」
指先から蝋燭の火ほどの小さな炎が飛び出る。
炎はリリパットに直撃すると、リリパットは白眼を剥きながら青い粒子になった。
新魔法メラ。ちっちゃい炎を敵一体に飛ばす魔法。
使い方次第で面白くなりそうだ。
「キキーッ!」
「おっと」
お前を忘れていた。
やっぱり戦闘中は油断ならないな。
気を引き締めないと。
青い粒子の中から小銭が浮き出てくる。
相変わらずよくわからないシステムだこと。
魔物はこんなにも弱いのに、どうして狩るような者がいないのだろうか。
肩の力を抜いて空を見ると、そこには既に茜色に染まった空が見受けられた。
あっやば、早めに帰らないと。
武器屋、まだ開いてるよね……。
森から出て、夕暮れの平原を駆ける。
もちろんすれ違ったモンスターを狩るのも忘れない。
ちょっとずつ重くなっていく金貨の重みが堪らんのですよ。
城下の門を抜ける。
息を整えながら武器屋に……って思ったけど、やっぱりもう遅いからやってないかな。
昼に候補ができるらしいから、明日の朝にでも武器屋に寄ればいい話だ。
今日のところは家に帰って、ぐっすりすやすやが一番だ。
扉を開けると、既に帰っていたのか、アリアンテさんがチェストプレートを外しているところだった。
「おぉーお帰りヒロ。早速だが後ろの金具取ってくんねえか」
「え、あ、はい」
アリアンテさんの後ろに回ってチェストプレートの金具を外して行く。
「あ、ブラとれた」
「ッ!?す、すみません!」
「いいっての。多分最初っから外れてたんだと思うぞー」
…………。
この人がおかしいんだよな?普通、外されたら怒るよな?
精神力をすり減らしながら最後の金具を外す。
「あんがとな。……ところでよ、今日は狩に出てて金が多く入ったんだが……いっちょ酒場、いかねえか?」
「酒場、ですか」
「んお?お前もう16は行ってるだろ」
「まぁ、はい」
「おし、その年齢なら自己責任で飲めるな!酒場いくぞ酒場!」
「え、ちょ、えええええ!?」
手を引かれて家を出る。
アリアンテさんはすぐ近くのゴミ捨て場を人目見て首を傾げたが、何かあったのだろうか。
「ここにな、ホームレスの冒険者がいたんだよなぁ」
「はぁ」
「あいつも誘おうと思ったんだが……いねぇならしょうがねぇ、行くぞ」
「あちょ、ホント自由なんだから……」
歩いて行ったアリアンテさんを追おうとしたとき、何故か頭痛がした。
左手の甲もなんだかチリチリする。
なんだろう、ここに何かある、もしくはあったのだろうか。
……知らね。
◇
飲めや歌えや、旅人の憩い。
王都の酒場は劇場と繋がっているため広い!
「ここが酒場ってやつかぁ……」
「お前んとこの村には酒場が無かったのか?楽しくねぇ街だなぁ!!」
うーん?
子供が多かったから目立たないようにしてただけで、本当はどこかにあったのかも。
すれ違ったじいさんから鼻をつくアルコールの香りが漂っていたことを覚えている。
「まぁ今は関係ねぇ!まずは酒飲みな!」
「あ、え、俺は未成年……」
「未成年が酒飲んじゃいけないとはだぁれも言ってねぇだろ!」
「言ってるんだけどなぁ……?」
なに?
ドラクエの世界と地球では法律が違うの?
……そりゃそうか。
なんだか罪悪感があるけど、ここは飲む他にあるまい。
「おいそこのお嬢ー!!こっちにエール二つくれ!!」
「かしこまりましたーっ」
手の甲をさする。
チリチリとした感覚は消えていた。
なんだったんだ、アレは……?