夜、空気が汚染されていないせいか星が近くにあるように見える中、焚き火を囲み私たちはドラえもんから貰った物を食べていた。
……大きい。
ドラえもんはどこか上の空、それ以外は楽しそうに喋っている。
だからだろう、ゆっくりとくるそれに気が付かなかった。
「ひっひいっ!!」
最初に気がついたのはスネ夫だ。
木の中こちらを見ている猛禽類のようにとがった目が2つ、それに気がついてしまった。
余談だがティラノサウルスの大きさは、約4メートルから6メートル弱。
そして重さは4.500から、14000キロ程だ。
私たちの目の前に現れたティラノサウルスはそれをはるかに超えていた。
「み、みんなこっちへ!」
ドラえもんがみんなの盾になるように前に出る
「のび郎くんも!はやく!」
だが、私は限界だった。
分かっているこれは八つ当たりだ。
大人気なくみっともないただの八つ当たりである。
これでも自分は頑張ったと思うんだ。
のび太に勉強を教えテストの最低ラインを5点にまで引きあげ、パパが持ち帰ってきた会社の仕事をたまに気づかれないように手伝い部長の地位まで引きあげ。
フエール銀行や、ハツメイカーを使い資金を作り、そのお金でドラえもんに頼んで買ってもらったひみつ道具を自分なりに改造し、これから来る未来のトラブルのために備え。
その他のフォローも欠かさなかった。
だから、これは今日は楽しんでもいいやと思ったのに邪魔をされたという子供特有の八つ当たりなのだ。
「の、のび郎!早くこっちへ」
ポケットから煙草を取りだし焚き火に入っていた木の枝で火をつける。
「ふぅ」
ゆっくりとフィルターを越してくる紫煙を肺の中にゆっくりと染み込ませる。
実際にこれが正しい煙草の吸い方かは、分からないが私は前の時も同じような吸い方だったから問題は無いだろう。
「のび郎!何してんだよ!」
こちらを睨みつけているティラノサウルス。
襲うなら早く襲えばよかったのだ。
その巨体なら、私など瞬殺だっただろうに。
警戒していれば、辞めていれば、そもそも近づかなければ。
まあ、この時代の頂点に近いものに何を言っても仕方ないのだろう。
「駄目だのび郎くん!!」
ピキピキと、額や首の血管が浮いてくる。
ビリッ。
大きく変化するからだに耐えきれず服が破れていく。
「あ、あああhhhhhhhhhhhhhhhhhhhh!!!!!」
人だった喉からその姿とは似合わない美しい声が漏れる
「Gruuu」
どおした?
来いよ?
腹が減ってんだろ?
ほら?
吸盤が着いた右手だったものをティラノサウルスに伸ばすとゆっくりとこの時代の王者とも言える恐竜が後ずさる。
来いよ!
「Hahhhhhhhhh!!!」
★
「やりすぎたか」
ティラノサウルスはその体の大きさに似合わない速度で逃げていった。
いやもうほんと、ストレス溜まるよ。
ようやく落ち着けるかなと思ったら邪魔してくるんだもん。
まだまだやる事あるんだからこの時ぐらいは静かにゆっくりしたいよ。
てか君らいつまで固まってんの?