なんやかんやあってこの時代の日本に行くことになった。
「あれ、兄さん服変えたの?」
朝1番の私を見てのび太が声を出す。
「ああ、少し肌寒くてな」
私の服が半袖の服から長袖に変わっていることを気にしたみたいだ。
「季節的には夏だけどまだこの時期は、肌寒いもんね」
ドラえもんがも同意するように続いた。
さすが猫型ロボット、寒いのは苦手なのだろう。
「さて、みんなタケコプターはつけたね?」
昨日の話の通りだとみんなで飛ぶらしいが。
これ、一人を除いてスモールライトで小さくなって何か入れ物に入るなりして運んだほうがもっと効率がいいんじゃないかと思ったが、だめなんだろうなぁ。
さらに言えば故障したらタイム風呂敷で壊れる前まで戻すなり…やめとう、下手に私がこの行動に口を出せばわかっていることにたいして何か予測不可能なことが起こりそうだ。
「…人生ままならないものだな」
カチっ
皆がタケコプターのスイッチを入れる。
「海岸沿いに沿って北へ」
ドラえもんが先導を切りみんなの前へと動く。
皆が続く。
私は、かぐやへと近づいた。
「大丈夫だかぐや、みんな無事に戻れる。」
「はいっ」
かぐやもみんなの所へと急ぐ。
「ッ!」
1度だけ胸が強く脈打つ。
その時一瞬、本当に一瞬だが右手から鋼色の何かが生えた。
だが、もうそれは見えない。
何度右手を見てもそこにあるのは普通の人間の子供の手だ。
変身ドリンクを使いすぎたせいだろうか?
瓶のパッケージには成分をいじらないでくださいとご丁寧に書かれていたが……まあ、いいか。
自己責任とも書かれていたし。
……ま、まあいざとなればタイム風呂敷にでも包まれて体直せばいいし(暴論)
あれ?なんで地面が…めの……まえ…に。
「のび郎さん!!」
「兄さん!!」
★
のび郎君が目の前で落ちた。
間一髪のところでジャイアンが助けたが具合が顔色が悪い。
あの子は大人びている。
年相応な事もあるが周りの子供と比べるととても落ち着いてのび太くんがジャイアンやスネオと喧嘩になると仲裁もしたりする。
のび太くんが言う我儘も仕方ないと言ってどうにか叶えようとする。
今回も、みんなが遊んでいる時に周りに気を配ったり
夜のキャンプの時もティラノサウルスを追っ払った。
ボクも何処かでのび郎を特別視してたんだと思う。
だけど、この子は子供だったんだ。
『疲労』
お医者さんカバンにそう表示されたのび郎はベッドで寝ている。
「今日はここで泊まろう」
まだ日は高いが、のび郎くんに無理をさせる訳には行かない。
明日までかぐやちゃんがのび郎を見てくれるからその間に解決しなくちゃいけないことをみんなで担当しよう。
「……」
空気が悪い。
「いきなりのび郎が倒れてるじゃんか!」
騒ぐスネ夫。
当たり前だろう。
不甲斐ないが僕達の中で1番の支柱はのび郎くんだ。
そんな彼が倒れた。
黙っている皆も精神的な支えが倒れたのはやはりショックなのだろう。
「スネ夫」
ジャイアンがスネ夫を諌めるがスネ夫は止まらない。
「大体のび太があんなこと言わなけりゃこんなことにはならなかったんだ!」
「……勝手に着いてきたのはそっちだろ、それなのにまるで自分が被害者みたいに言うのはやめてよ」
「っぐ!」
お、おう…のび太くんが冷静にしかもどストレートな正論を返した。
「もう、やめなよ。ここで言い争っても仕方ないじゃないか」
言い争うなら行動を起こすべきだ。
幸いやることは多い。
「今日だって無駄にはできない、できることをやろう」
のび郎くんなら、もっと上手く収めるんだろうなと思いながらみんなにこれからの事を説明する。
★
「……」
目が覚めると知ってる天井が目に入った。
窓に目をやると月が登っている。
それなりの時間寝ていたのだろうと予想が着いた。
……?
体が動かない。
いや、動かそうとすると鈍い痛みが走る。
前世でも味わったことのある痛み。
これ、筋肉痛だ。
……軟体動物に体を変えたからだろうか?それとも日常的に使わない筋肉を使ったからだろうか?とてつもない筋肉痛が自身を襲っていた。
簡単にまとめると、やっべぇ筋肉痛だこれ?!ってな感じだろうか?
割とマジめに動けないレベルだ。
軟体動物になるのは控えよう
「目が覚めた?」
声がする方に目を向けると丁度入口からドラえもんが入ってきた所だった。
その顔はいつもの笑顔ではない。
「……ああ、どうやら心配をかけたみいだね」
「そうだね」
…………。
「怒ってる?」
「いや、別に勝手に道具を改造してその反動で倒れてみんなに心配かけたことに対してなら全然怒ってないよ」
体を起こすと今まで寝ていたせいかピキピキと軽い音が鳴る。
嘘だ。怒ってないならドラえもんはそんなに回りくどい言い回しはしない。
「……今は寝てるけど、かぐやちゃんすごい心配してたんだよ」
「そうか」
「なんでも一人で抱えると疲れるよ」
「ああ」
「のび太くんも心配してたよ」
「そうか」
「君は!自分の体がどうなってるか、分かってるの!?」
ドラえもんが私の肩に手を乗せる。
部屋の窓ガラスに写っている私の両目は人の丸い瞳孔ではなく猛禽類のように縦に長い形状になっていた。
「変身ドリンクの濃度を上げて成分もいじって、副作用がどれだけあるか!既に体の表面上にすぐ分かる形で出てきてる。内部にどれだけ影響が出ているか二十二世紀の病院で見てもらわないと何も分からないんだよ!」
「必要な事だ」
そう、必要な事なんだ。
これは現実。
アニメのように誰もが欠けないなんて事はありえない。
誰も欠けることもなく、皆で帰るには最低限の準備が必要だ。
最悪を考え、それに対しての対策を考え、適任者にそれを任せる。
何も代償がない成功なんてありえない。
アニメみたいに全てが成功に繋がるなんてそん都合のいいことはないんだから。
「現代にちゃんと帰れたら病院には行くから、みんなには黙っていてくれ」
「……かぐやちゃんは気付いてるかもしれないよ」
「賢い子だからな」
ほんと、ロボットとは思えないくらい人間臭くなっちゃったけど。
いい傾向だよ。
「……君は。……君はいつも何処か違う所から僕達を見てる」
「そこまでにしときなよ、ドラえもん。私も古くからの友をこの手で壊したくはない」
部屋に聞き覚えのない低い声が響く。
「っ!!!」「遅いな」
ドラえもんは、私を背に隠すように動くがすぐに声の持ち主に頭を掴まれた。
「A級犯罪者、ノビ・ノビロウ!何故ここに!」
はい?