ドラえもんとオリ主の奇妙な冒険   作:クリスチーネ小林

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8話 逸見エリカVSロゥリィ・マーキュリー

俺は自分の口の軽さと、うかつさに猛省している。

 

うっかりと口を滑らせて彼女の怒りを買ってしまい、斧を身体から僅か数㎝の所まで叩きつけられていた。こっ、怖えぇ⋅⋅⋅⋅⋅  

   ((( ;゚Д゚)))

 

アズサの説明でどの作品のキャラか、俺もようやく理解した。

彼女は「GATE(ゲート)自衛隊斯く戦えり」からのキャラでロゥリィ・マーキュリーと言う。

 

最初に名乗ったらしいのだが俺はまたも女の子キャラを引いたショックによりまともに聞いていなかったのだ。それにしても似たような感じのキャラが多くてライトオタの俺にはちと、厳しい⋅⋅⋅⋅

 

「貴方が私のマスターである晴明なのねぇ。次は気をつけなさぁい」

 

独特の喋り方をする彼女は俺より年下に見えるが、アズサの説明によるとお歳は961歳で、絶大な戦闘力を誇るそうだ。まあ、あんなバカでっかい斧を軽々と片手で振るうんだから頼もしいやら、恐ろしいやらだ。

 

 

「はっはい!すいませんでしたぁ!」

俺は気合いを込めて謝った。

 

「うふふ⋅⋅⋅⋅いい子ねぇ、素直が一番だわぁ⋅⋅⋅⋅」

 

何とも妖しい魅力が漂うお姉さんだ⋅⋅⋅!

 

「にっ、してもぉ、此方に呼ばれた時に大体の事情を女神リンネの使いから教えてもらったけど、なかなかに凄いメンバーよねぇ⋅⋅⋅この巨大な魔物を従えるなんて、ソコのドラえもんちゃん⋅⋅⋅だっけ?貴方すごいのねぇ♪それに結構かわいいじゃなぁい♥」

 

かっ、かわいい?えっと⋅⋅⋅ドラえもんが?俺は自分の耳を疑ってしまった。

 

「えっ?僕がかわいい!?イヤ~そんなぁ照れるなぁ~ウヘウヘ、デヘデヘ~♥」

 

「貴方のぉその真ん丸なぁ、身体におヒゲもとぉっても素敵よぉ♥」

 

「うふふ、ありがとう♥ロゥリィちゃんの頭のネコ耳リボンもかわいいよ♥」

 

かわいい、素敵と言われてドラえもんのヤツは何ともしまりのないだらしない顔を見せていた⋅⋅⋅お前、今は俺のスタンドなんだから、もちっとどうにかならんのか⋅⋅⋅⋅

 

「まあ、何にせよ心強い仲間だね。良かったねぇ晴明くん!」

 

「ははっ、まあ、そうだな⋅⋅⋅」

正直な所、何とも複雑な気分だけどな⋅⋅⋅

 

 

「ふむ、ではとうとう私が回すのはこれで最後!気合いを入れて回そう!晴明くん、皆!しっかり見守っておくれよ!」

 

アズサがガチャを回すのは最後なので俺や皆しっかりと注目する。ごくっ。

 

 

アズサがハンドルを回した⋅⋅⋅⋅⋅

 

   ガチャ!ゴチャ!

    

   プシュウウウ!!

 

巨大なカプセルが落ちて来て中が割れる!!スモークが辺り一面に漂い人影が見えてきた。

 

 

「⋅⋅⋅⋅願いの為に此処に来たわ⋅⋅⋅⋅名門黒森峰女学園の戦車道副隊長⋅⋅⋅⋅

逸見エリカよ⋅⋅⋅⋅まあ、よろしく⋅⋅⋅⋅」

 

アズサは俺でも知っているキャラを引き当てた!彼女は「ガールズ&パンツァー」の最強と名高い黒森峰のキャラだ。

 

⋅⋅⋅しかし、彼女はとてもプライドが高くて、自分にも他人にも厳しく男嫌いのはず⋅⋅⋅⋅上手くやっていける自信がないぞ。大丈夫か俺⋅⋅⋅⋅⋅

 

「いやぁ、素晴らしい!君のような人材が来てくれるとは歓迎するよ!私の名前は東雲アズサ、そっちに居るのは我が親友、御奈巳晴明くんだ!仲良くしておくれよ♪」

 

アズサが俺を紹介してくれたので俺もヨロシクと挨拶をした⋅⋅⋅⋅がっ、やはりと言うか、俺の予想どうり⋅⋅⋅⋅⋅

 

「⋅⋅⋅⋅フン!別に男に何の期待はしてないわ⋅⋅⋅それは貴方にもよ!私のマスターだか、リーダーだか知らないけど、私に命令出来るのは西住隊長只一人だけよ!!調子にのらない事ね!!」

 

 

⋅⋅⋅やはりコイツはやたらめったら気位が高い⋅⋅⋅ことごとく俺の予想どうりで今から胃が痛くなってきた⋅⋅⋅⋅この手のタイプは俺、苦手なんだよなぁ⋅⋅⋅⋅ズキズキ

 

 

「フフフ⋅⋅⋅いいねえ、実に良い!それぐらいの気構えが無いとコチラも張り合いというモノが無いからねぇ⋅⋅⋅言葉による説得は不粋!これからの私の行動と背中を見て私が君のマスターに相応しいか、否かしっかり判断したまえ!!

そして、私が相応しく無いと判断したら切り捨てたまえ!!」 

 

 

上から目線だが、威風堂々と男の俺から見てもカッコよくアズサは決めた。

それに比べると本当に俺ってヘタレだわ⋅⋅⋅⋅

 

「フン!いいわよ⋅⋅⋅精々自分の言葉に後悔しない事ね!」

 

はぁ~これから先が思いやられるなぁ⋅⋅⋅

 

「まあまあ、えっとエリカちゃんだっけ?そんなにツンツンしないでこれでも食べてリラックスしなよ。とっても美味しいんだから♪」

 

ドラえもんのヤツ空気を読まずに、イヤ、読むつもりもなく逸見エリカにポケットからどら焼きを取り出して渡そうとした⋅⋅⋅⋅!?お前ポケットにもどら焼きを忍ばせていたの?

 

     バシィッ!  

 

逸見エリカはドラえもんが差し出したどら焼きを持った手をはね除けた!!

皆目を見開き、緊張が走った⋅⋅⋅!!

 

「いい加減にして!!私は仲良しごっこをするためにわざわざ来たわけじゃないわ!此方の世界に覚悟を決めてやって来たのよ!そんなのは他所でやってちょうだい!」

 

⋅⋅⋅⋅さすがにヘタレな俺でもこれにはムカッときたぜ!俺は逸見エリカに文句を叩きつけようとした⋅⋅⋅がっ、いち早くその出番をロゥリィ・マーキュリーにとられた!!

 

   

   ドゴォンッ!!!

 

 

ロゥリィさんが巨大な斧⋅⋅⋅いや斧槍、ハルバードを逸見エリカの身体スレスレの所に叩きつけた!

 

エリカは何故か少しもたじろぐ事もなく目の前のロゥリィさんを睨みつけている。オイオイマジか?目の前にあんな物騒なもん叩きつけられたのに⋅⋅⋅いくら日頃から戦車道で激しく鍛えてるとはいえ、あの胆力はなんかおかしいぞ?

 

「あなた、何様のつもりぃ?せっかくドラちゃんが大好物のどら焼きをあげて緊張をほぐそうとしてあげたのにぃ⋅⋅⋅不愉快だわぁ⋅⋅⋅あなた消えちゃいなさぁい」

 

そう言ったロゥリィさんの唇はみるみる内に鮮やかな紅色から妖しい紫へと変化する。この変化は完全に相手を殲滅する言わばバトルモードだ!

 

えっ、エリカ!土下座でもしてとにかく謝れ!いくら戦車道での実力があってもそれは戦車有ってのこと。生身ではどうあがいても太刀打ちできないぞ!!

 

「ハンッ!見くびらないでよね!私は黒森峰の、西住流の戦車道を学んだ選手よ!西住隊長の背中を追い続けた私の力はこれよ!」

 

エリカの身体からオーラがほとばしった!?えっ、えっ?ま、まさかコレって!?スタンド能力⋅⋅⋅⋅⋅!!

 

「はあー!!出てきなさい私のスタンド、シュバルツバルド・パンツァー(黒き森の戦車隊)!!」

 

そう叫んだエリカから無数のミニチュアサイズの戦車が現れた!

 

なっ、なっ何で、エリカがスタンド能力をー!?俺はオドオドしている女神リンネ様に一瞬で近づき説明を求めた!

 

「リンネ様、何で逸見エリカがスタンド能力を!?」

 

「え、えと、それはですね、いくら優秀な存在とはいえ生身では厳しく危険と判断して晴明さんとアズサさんを参考にスタンド能力を付与させて頂いたんです。スタンド能力ならある程度の精神力でどうにかなりそうだったので⋅⋅⋅⋅⋅

もしかしていけなかったですか⋅⋅⋅?」

 

い、いいえ⋅⋅⋅⋅⋅只、単純に同じスタンド使いとして個人的に惨めな気持ちになっただけです⋅⋅⋅⋅サーセン⋅⋅⋅⋅

 

俺は下手にでしゃばるのはまずいかと判断して成り行きを見守る事にした。他の人達もどうやら同じらしい。だが俺のスタンドにして相棒のドラえもんのヤツはと言うと⋅⋅⋅⋅⋅

 

「あわわ!?僕のどら焼き⋅⋅⋅ふー!ふー!セーフ♥汚れてないから食べられるぞ!」

 

⋅⋅⋅⋅オイ!、頼むから、これ以上恥ずかしい姿を去らさないでくれ⋅⋅⋅⋅うぅ⋅⋅⋅(T_T)

 

「ふぅ~ん⋅⋅⋅あなたぁ面白い能力を持っているのねぇ⋅⋅⋅お子様のオモチャ遊びみたいでとても愉快だわぁ⋅⋅⋅⋅」

 

「フン!言ってなさい!見た目で侮ると火傷程度じゃすまないわ!いくわよ!撃てば必中、守りは堅く、進む姿は乱れ無し!鉄の掟、鋼の心⋅⋅⋅⋅それが黒森峰西住流戦車道!特と味わいなさい!」

 

逸見エリカのスタンドははっきり言って、虹村形兆兄貴のスタンド、バッド・カンパニーと同じタイプだと判断する。

 

「晴明くん、君も同じ事を考えているね」

 

アズサが隣に立ち、俺の考えを言い当てる。ああ、ただし、エリカのは戦車オンリーだけどな。群体型のスタンドなので数を数えるとパッと見る限りは12台の戦車隊で構成されている。さすがに戦車のタイプまでは細かくて俺には判別しづらい。

 

俺とアズサはしっかりとエリカのスタンドを見る。するとステータスが見えてきた。

 

破壊力ーB    スピードーC

射程距離ーC  持続力ーC

精密動作性ーC 成長性ーB

 

⋅⋅⋅こう言っちゃアレだがステータスはさほど高いという訳ではない。だがステータスだけでスタンドというのは優劣を決められるモノじゃ無い。

 

「ウフフ、アハハいくわよぉ!」

 

ロゥリィさんはハルバードを大きく振りかぶってエリカに襲いかかる。対してエリカは全12車両の内の半分を前方のロゥリィさんに砲弾を射出した。

 

 

ドガンッ!ドガンッ!ドガンッ!

 

 

ステータスでの射程距離はCだが、射撃を含めるとB以上の距離は余裕で有るように思える。ロゥリィさんは砲弾をハルバードを回転させて難なく防ぐ。

 

 

「晴明くん、私はエリカくんの残り半分の戦車の動きが決め手になると考えているが、どう思う?」

 

「ああ、俺も同意見だ。半分の車両で前方のロゥリィさんを砲弾で牽制して足止めにして残り半分の車両でいろんな角度から死角を突く⋅⋅⋅⋅多分そうする。俺も同じスタンドならそうしているからな」

 

「ふむ、そうだね。だが、ロゥリィ様は百戦錬磨で凄まじい腕力、体力のみならず、軽やかでしなやかな動きも出来る⋅⋅⋅今のように前面からの火力集中砲火の攻撃にわざと受けて相手の動きを見計らっていると私は推測する」

 

俺とアズサは二人の戦闘の展開を予想して各々の考えを述べる。

 

そして⋅⋅⋅俺の予想どうりエリカは半分の車両を各々2両に分け、三方の死角から砲撃した!だが⋅⋅⋅⋅!ロゥリィさんは前面からの集中砲火の僅かな隙をついてハルバードを地面に突き刺し身体を引き上げてエリカの死角からの砲撃を難なく回避した。砲弾がむなしく空を切り、エリカは歯ぎしりをした。

 

「アハハ!おバカァさぁん♥最初に自分の手駒を全て見せて、半分は姿を隠して行動してるからぁ、すぐに死角を突く事は簡単に予想できるわぁ」

 

ロゥリィさんの言葉にエリカは悔しい顔を見せる。

 

「ほうらぁ、イっちゃいなさぁい♥」

 

ロゥリィさんはハルバードの平べったい腹の部分で横から叩きつけようとする。さすがに殺すつもりはないのはわかるがそれでもロゥリィさんの腕力に加えて巨大で硬いハルバードをマトモに喰らったらマジヤバいぞ!?

 

無情にもロゥリィさんの攻撃が当たる瞬間⋅⋅⋅!

 

   ガキイィィィン!!!

 

デカい奇妙な衝撃音が鳴り響いた⋅⋅⋅!

しっかりと二人を見るとエリカの身体から半透明の戦車がエリカの身体を包み、ロゥリィさんの攻撃を防いでいる!?

 

「晴明くん、アレは恐らく劇中でエリカくんが搭乗していた戦車Ⅳ号戦車ティーガーⅡだ!高い装甲に火力を備えてはいるが足回りは弱く機動力には些か問題がある。恐らくそれらを考慮してミニチュアサイズの戦車隊には加えず接近された時の対応策として隠していたんだろう⋅⋅⋅!」

 

アズサは興奮しつつ、どこか自慢気に説明してくれた。

 

俺はアズサの家で一緒にガルパンを観賞してたのを思い出す。たしか、西住みほに戦車の足周り⋅⋅⋅キャタピラーだったか?を壊されて足止めされて悔しがってたもんなぁ⋅⋅⋅自分の乗っている戦車の長所、短所を把握してミニチュアサイズの戦車隊には加えずに接近戦の時に備えていたんだな。

 

 

「不用意に近づいた自分を呪いなさい!」

 

エリカがほんの一瞬動きを止めたロゥリィさんに発現させたⅣ号戦車ティーガーⅡの砲身を至近距離から向けた!

 

    ドバンッ!! 

 

至近距離から放たれた砲弾はロゥリィさんに直撃⋅⋅⋅⋅はしなかった⋅⋅⋅⋅!?ロゥリィさんは砲弾を目にも止まらぬ速さで真っ二つに割いた!

 

なっ、なんて速さと身体のキレなんだっ⋅⋅⋅俺はアニメ作品は数が多い為、よほど気に入った作品は最低基本情報しか仕入れない。うろ覚えのキャラの性格や能力は把握は出来ていなかった。今、目の前にいるロゥリィ・マーキュリーが自分の仲間だという事に心底奮えた。

 

 

「ザアァ~ネェン♥あなたぁ、私を舐めすぎよぉ♪悪い事は言わないからぁピーピー泣いて私とドラちゃんに土下座なさぁい」

 

「くっ!まさかあれだけの至近距離からの砲撃をっ⋅⋅⋅⋅⋅でもっ、まだ終わってないわよっ!!」

 

エリカは心底悔し顔を見せるが精神は折れず、全ての戦車隊を移動させロゥリィさんを取り囲んだ。

 

「西住流に逃げは無し!たとえあんたがどんなに強くても私は屈したりなんかしないわっ!!これが最後の集中砲撃よっ!!」

 

「いいわぁ⋅⋅⋅⋅貴方のその折れない信念⋅⋅⋅とても素敵だわぁ⋅⋅⋅⋅でもそんな貴方を叩いてベキベキにへし折ってあげるわねぇ♥」

 

互いに一歩も引かずぶつかり合うその瞬間⋅⋅⋅⋅

 

   「水遁滝壺の術!」

 

   

   ドバシャァァァ!!!

 

 

上空から大量の水が流れだし二人を一気に水浸しにした!?

 

「そこまでにしておけ⋅⋅⋅⋅熱くなりすぎるのは若い証拠よ⋅⋅⋅ある程度好きな様にやらせて静観していたが、ちと熱くなりすぎだ。少し頭を冷やせ⋅⋅⋅」

 

扉間さんがやれやれと言った感じで二人を見つめる。流石、扉間さん!グッドタイミングだ⋅⋅⋅⋅!

 

 

 

 


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