ストライクウィッチーズの世界に日本が転移!?(リメイク) 作:RIM-156 SM-2ER
ストパン放送記念第3弾
”日本が敗北した”
この知らせは、扶桑皇国内を駆け巡った。今まで怪異に対し、無敵とも思える強さを誇っていた日本国防軍の敗北は、扶桑皇国民に絶望を与えた。
それは、国防軍上層部も同じであった。自身の誇る最新鋭の超音速ステルス巡航ミサイルが全く効かないという事実は、国防軍にに衝撃を与えたのだ。今回の作戦失敗を受けて防衛省では作戦評価会議が開かれていた。
出席者は全員、前の作戦会議時と同じ人間であった。
「まず、椎名中佐。説明を」
「はい」
椎名は立ち上がると、R-3Aが撮影した作戦記録をモニターに映し出した。
「まずは作戦時の記録をご覧ください」
1時間以上にわたるビデオの内容は、作戦当日にもリアルタイムで見ていたものだった。しかし、参謀らがビデオを見る目は真剣そのものであった。
ビデオを見終わったあと、椎名が説明を始めた。
「作戦の全容はご覧のとおりであります」
ビデオから切り取った画像が映し出された。
「まず作戦の第1段階である中型怪異の地上撃破は成功いたしました。これにより、大陸の中型怪異は一掃することができたと思われます」
「ああ、完全な奇襲が成功していた。完璧だった」
空軍司令長官は、うんうんと頷き同意を示す。ほかの参加者も同じような反応であった。
「第2段階の制空権の確保ですが、小型怪異が出現しなかったためにあっさりと制空権を確保できました。問題は第3段階の巡航ミサイル攻撃でした」
すると再び映像が映し出される。それは”山”に巡航ミサイルが命中する瞬間であった。6回の爆発が立て続けに起こり、”山”の頂上が爆炎につつまれる。作戦時にリアルタイムで彼らが見ていた映像であった。
「このように巡航ミサイルの発射、命中までは成功でした。しかし・・・・・」
命中した後の映像が映し出され、巡航ミサイルの着弾点付近が拡大される。そこには6発もの巡航ミサイルが命中しつつも、傷一つつかない”山”の表面装甲が映し出されていた。
「”山”は巡航ミサイル6発の命中を完全に防ぎきりました」
空軍司令長官は苦々しい顔持ちをする。
「今までの怪異の装甲の強度から推定していたが・・・・どうやらこいつの装甲強度は格段に高いということか・・・・」
「その通りです。威力偵察の一つも行わなかった我々のおごりの結果としか言えません」
椎名も悔しそうな顔を浮かべる。”山”の情報収集・情報分析は彼らの仕事であった。ろくな偵察も行わず、推定だけで作戦立案にかかわってしまった自分を悔いているのだ。
「装甲の強度は?」
「へこみもひび割れも見えないですから、厚さ20センチのVH鋼板以上の強度があるかと・・・・」
海軍軍令部司令長官は腕を組み、非常に厳しい表情をした。
「それだけの装甲に有効な兵器など、我が国には5つしかない。地中貫通爆弾、レールガン、APHE弾頭の空対地ミサイル、極超音速滑空体・・・・そして・・・・」
海軍司令長官は、次の言葉を言うのをためらった。そして厳しい表情を、一層深くさせると口を開いた。
「核兵器か・・・・・だ」
なんとなく察してはいたものの、実際に言葉にされると会議室の空気が凍り付いた。唯一の被爆国が、違う世界で初の核兵器使用国になる。何という皮肉であろうか。
陸軍の参謀が首を横に振りながら反論する。
「しかし、浦塩で核兵器を使えば放射能汚染物質が扶桑に流れ着く可能性があります。核兵器の使用は控えるべきです」
「いや。原爆症への治療は、ある程度できる。いま”山”を撃滅せねば、扶桑は滅亡する。うまくいけば少量の被爆で済むだろう。ここは核兵器を使用するべきだ」
違う陸軍参謀が核兵器の使用を検討すべきという意見を述べた。海軍司令長官はさらにつづける。
「そもそもレールガンもどこまで有効かわからない・・・・ならば日本の保有する
「「「「ッ!!!!」」」」
会議室にいた全員が海軍司令長官の方を向く。「日本が保有する最大火力を使用する」とはつまり、遠回しに水素爆弾の使用を検討すべきだということだった。陸軍参謀本部司令長官は、声を震わせながら恐る恐る聞いた。
「それは・・・・水爆を使用する・・・・ということか?」
陸軍司令長官の問いに、海軍司令長官は多く語らずこくりと頷くにとどまった。これには反発の声が強まった。
「水爆を使うなんて・・・・どれほどの悪影響があるか、海軍司令長官は認識しているのか!?」
「そうだ!戦術核ですら危険なのに・・・・戦略核なんて・・・・絶対に反対だ」
しかし、海軍司令長官の言葉にも一理あるため、賛成の意見も上がった。
「いや。司令長官のおっしゃる通りだ!水爆を使用し、”山”を撃滅すべきだ!!」
「どれだけの強度があるかわからんのだ!最初から全力でかからなければならないだろう!」
この日の作戦評価会議は、次の”山”を攻撃に関する作戦を話し合う会議に変わり核兵器使用派と核兵器不使用派の2派閥にわかれて議論が行われたが、結論が出ることはなく、次なる”山”攻撃作戦の会議に結論は持ち越されることとなった。
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一方、日本国防軍と扶桑皇国民が暗い雰囲気でいる中。作戦の失敗に笑う者たちもいた。
「日本は無様にも”山”に敗退したようですな」
扶桑皇国赤坂にある政府高官行きつけの料亭では、扶桑皇国海軍の高級将校らが集まっていた。
中将の階級章を付けた男が、日本の作戦失敗を笑う。するとこないだの日本との打ち合わせに参加していた参謀将校が、アルコールによって赤く染めた顔をにやつかせる。
「あれだけの大口をたたいておきながら・・・・いやはや、挺身作戦時のウィッチといい、まったく無様ですな。堀井大将」
堀井と呼ばれた着物姿の男は、酒を飲みながらニヤリと笑う。
「ああ、まったくだ。なんでも日本は高級将校にも女を入れてるそうじゃないか。女に軍事を任せているからそういうことになるのだ」
堀井は、挺身作戦時に海軍軍令部総長であった男で、ウィッチ部隊が提唱した作戦に最後まで反対し、勝手な命令まで出して作戦失敗の原因を作った人物であった。その後、作戦失敗の責任を取らされて、表向きは体調不良という理由で予備役になったのだ。しかし、彼のシンパはいまだに海軍内に多くおり、彼自身もいまだに復活を狙っていた。
その時、女性の声が聞こえてくる。
「お料理をお持ちしました」
どうやら仲居らしい。堀井は仲居に中に入るように言う。すると何人かの仲居がご馳走をもって入ってきた。手際よくご馳走が並べられていく中、幾人かの仲居の顔に見覚えがないことに堀井が気付いた。
顔なじみの仲居に声をかける。
「おい!見覚えのない仲居がいるようだが?」
「はい。一か月前より新しく何人か仲居が入りまして。研修も一通り終わりましたので、こちらに・・・・」
顔なじみの仲居がそういうと堀井は納得したようで、特段気にすることはなくなった。
「しかし、
アルコールが回って口が軽くなっているらしい。仲居がいまだにいるのにもかかわらず、ある参謀は少し大きな声を出す。
「いや。念には念を入れたほうがよかろう。結果的に日本は無様をさらしたんだからよかろう」
「それもそうだな」
ガハハと彼らは上機嫌で笑う。堀井も笑い声こそ出していないもののニヤリといやらしい笑みを浮かべる。
「どちらにせよ。現在建造中の46センチ砲戦艦ができ上れば、”山”など簡単に叩き潰せるだろう」
「紀伊型の41センチ砲でも、日本とは違って傷を負わせることは出来たんだ!46センチ砲があれば怖いものなんてない!」
いよいよ大きな声を出し始めた彼らを、堀井はたしなめた。
「そこらへんにしておけ・・・・。だれが盗み聞きしてるかわからんぞ?」
そういう堀井自身も盗み聞きされているとは考えていないようであった。そのうち一通り配膳し終えた仲居達が、部屋を退出していく。
彼らの笑い声が響き渡る。この日の彼らの会合は深夜まで続き、お開きとなった。
――――――――――――――――――――
作戦会議と堀井たちの会談の翌日。在扶日本大使館に派遣されている陸軍駐在武官が大使館の休館日を利用して東京を散歩していた。
レトロな街並みを堪能した駐在武官は、ある公園のベンチに座って休憩していた。すると公園の入り口に一台の黒塗りの自動車が止まった。駐在武官は特に気にしないでいると、車から降りてきた黒スーツ姿の男が彼の前にやってくる。
「日本の駐在武官の方ですね?」
「そうですが・・・・なにか?」
駐在武官は、少し怪しがりながらも質問に答える。
「少々お付き合いいただけますか?」
黒スーツの男の表情をうかがおうとするが、黒メガネをかけていてよくわからない。怪しいことこの上ないが、駐在武官は黒スーツの男についていくことにした。何か信用に足る根拠があるわけではないが、自分の直感を信じることにした。
「いいでしょう」
駐在武官は立ち上がると黒スーツの男に従って自動車に乗った。2人を乗せた自動車は郊外に向かって走り始めた。
扶桑の東京は、中心部こそビルが立ち並んで栄えているものの、郊外に出れば木造の住宅や小さな商店など下町らしい町並みが広がっていた。
駐在武官が変わりゆく街並みを眺めていると目的地についたようだった。車が止まり、助手席に座っていた黒スーツの男が振り返る。
「着きました」
駐在武官は扉を開けて外に出る。日本の自動車よりサスペンションの性能が悪いため、駐在武官は尻が痛くなっていた。
駐在武官の目の前には、庭付き二階建ての立派な豪邸がたっていた。
「はぁ・・・・立派なお宅ですね・・・・」
「こちらへ・・・・」
黒スーツの男の案内で敷地に足を踏み入れる。そのまま家に上がると応接室らしき部屋に通される。高価そうな調度品が並んでいた。それを鑑賞していると、ギィイという音がしてドアが開いた。
ハッとして駐在武官はドアの方を向いた。
そこには車いすに座った老紳士風の男性がいた。車いすが押されて老紳士風の男性が中に入ってくる。
男性は着物姿ではあったが、彼の目と態度を見て自分と同族であると確信した。彼はピシッと背筋を伸ばす。
「お初にお目にかかります。竹井というものです。このような姿で申し訳ない」
「いえ、お構いなく。・・・・ところで竹井さんは退役軍人でいらっしゃいますか?」
どうやらあたっていたようだ。竹井は一瞬驚いたように目を見開き、フッと微笑んだ。
「よくわかりましたね。その通りです」
「軍人というのは独特の気風があるものですから・・・・ところで、なぜ私は呼ばれたのでしょう?」
ここに呼ばれてから、駐在武官が最も気になっていたことを質問をした。竹井は一瞬厳しい顔を浮かべると、ソファーの方をさした。
「まぁ、ともかくそちらへ・・・・」
竹井の勧めで、駐在武官がソファーに座る。竹井も車椅子を駐在武官の反対側に持ってくる。
「今日、ここに来ていただいたのはほかでもありません。あることをお伝えするためです・・・・」
「あること・・・・?」
駐在武官は思わずそう聞き返した。竹井は重々しく頷くと口を開いた。
「先日、日本が”山”への攻撃作戦を行ったと伺いました」
「はい。結果も当然?」
再び竹井はうなずく。扶桑の新聞でも、今回の作戦失敗は大々的に報道されていた。
作戦の実施については、日本国内でも報道されていなかったので、扶桑の各新聞社がどこから情報を得ているのか日本政府は不思議であった。おそらく扶桑政府のどこからからだろうが、それがどこなのかは日本の情報機関を持ってしても把握できていなかった。
しかし、今回の作戦失敗と自分が呼び出された理由の関係性が駐在武官には理解できなかった。
「ですが、それとここに私が呼ばれたことにどんな関わりが?」
「実は”山”への攻撃作戦が行われたのは、これで3度目なのです」
1度目は挺身作戦ということはすぐにわかった。しかし、2度目は彼も聞いたことがなかった。それどころか日本政府の誰もが知らないだろう。
「3度目・・・・ですか?」
「はい・・・・挺身作戦から一か月たった時でした――」
竹井の口から聞かされたことに駐在武官は目を丸くした。
彼は大使館に帰ると、その日に聞いたことをすぐにレポートにまとめ、そのレポートを日本政府に送った。
このレポートがこの戦争の行方を左右することとなった。
申し訳ありません。投稿時間を間違えていました。どうかご容赦を。
次回 第20話 第一歩
ネウロイの瘴気の正体は?
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1:放射線もしくは放射能物質
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2:有毒な重金属などの微粒子
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3:毒ガス
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4:日本でもよくわからない