ストライクウィッチーズの世界に日本が転移!?(リメイク) 作:RIM-156 SM-2ER
ジャッジメント作戦失敗の1週間後。扶桑皇国外務省では再び作戦の打ち合わせが開かれていた。前回の打ち合わせにもいた中佐が作戦の説明を終えると、居並ぶ扶桑皇国高官らを見る。
「――以上がインドミタブル作戦の概要であります。説明からお分かりいただけるように、本作戦は扶桑皇国の協力がなくては不可能な作戦であります」
しかし、彼らの反応はあまり芳しくない。ジャッジメント作戦の失敗が響いているのだろう。
「・・・・こう言っては何だが、本当にうまくいくのか?前回の作戦はうまくいかなかったようだが・・・・」
「そうだ・・・・うまくいくかわからん作戦にウィッチを出せるものか!」
その中には皇国軍の参謀もいた。一見して自軍の人間が傷つくことを嫌っているようにも思えるが、野崎ら歴戦の軍人は彼らの本心を見抜くことができた。彼らの心にあるのは嫉妬だ。特に海軍の参謀らからは焦りも見える。彼らはこの作戦に成功する可能性が十分にあることがわかっているのだ。
レールガンの概要も説明されていた。破壊力は41センチ砲ほどではないものの、貫通力は現在開発中の46センチ砲ですらしのぐレールガンを使用する今回の作戦は、彼らのメンツにかかわる可能性が十二分にあった。
「この作戦は十分に成功する可能性があります。失敗したとしてもウィッチの方々には一切被害を出さないと約束いたします。どうか協力を・・・・」
中佐は深々と頭を下げて、協力を要請する。しかし、彼らの心は動かなかった。
「無理だ!前回の作戦だって、成功するといいながら失敗したではないか!信用できるか!」
海軍の参謀はそう怒鳴る。しかし、彼らの眼は優越に浸っていた。
その時、会議室の扉がと開く。その場にいた全員がハッとして扉の方に視線を向ける。そこには10代前半くらいの軍服姿の少女がいた。日本側の出席者は「なぜ少女がここに?」と不思議がるが、扶桑側の人間は違う意味で驚愕していた。
「で、殿下!?何故ここに・・・・」
「殿下?」
日本側の人間も、この少女の正体がようやく理解できた。おそらく扶桑皇国の皇族――内親王だ。
余りの大物の登場に、その場にいた全員が言葉を発せずにいた。すると内親王はつかつかと海軍参謀の方によって行く。そして、彼の目の前まで来ると思いっきり殴り飛ばした。
いくら相手が少女とはいえ、予想だにしていない一撃に海軍参謀は思わず倒れこむ。
「で、殿下!いったい何を・・・・」
彼らも予想してなかった、彼女の行動に驚愕する。しかし、内親王はそんな自軍の参謀を侮蔑の目で見た。
「わらわが何も知らぬと思ったか」
その言葉に陸軍の参謀らはキョトンとするが、海軍の参謀らは少し焦る。
「な、なんの事でありましょうか?」
「とぼけるつもりか。”山”に独断専行で攻撃を仕掛け、失敗したことはわらわも知っておるぞ」
とぼけようとしていたが、核心を突かれた彼らの顔から血の気が引く。内親王はそばにいた護衛から紙の束を受け取ると、それを倒れこんだ海軍参謀に向かって投げつけた。
「独断専行の作戦に、隠蔽。しかも、自身らの名誉欲のために同盟国に対し必要な情報を隠匿した。我が国の品位を貶めるにとどまらず、存続をも危うくする行為だ。軍法会議を楽しみにしておれ」
海軍参謀らはぐったりとうなだれた。
内親王は国防軍側の出席者らの方を向く。彼らはいまだに目の前で起きたことを飲み込めずに、唖然としていた。
「日本の方々お見苦しいものをお見せした」
「い、いえ・・・・」
一国を代表する人間が他国の人間に謝罪する。これは外交上とても珍しいことである。謝罪するということは国の非を認めるということだからだ。内親王はテーブルの上に置いてあった、インドミタブル作戦の概要書を手に取る。
「貴国らが提案してくれた作戦。協力させていただく」
「で、殿下!?」
そんな声を上げた皇国軍の参謀らを、内親王は鋭い目でにらみつける。にらみつけられた参謀らは何も言えなくなる。
「わらわが父上の名代であることを忘れるでない。これは父上の意思でもあるのだぞ」
父上――つまり扶桑皇国の帝ということだ。皇国陸海軍の統帥権を持つ人間の言葉を出されては彼らも何も反論できない。
内親王は再び国防軍の出席者の方を向く。
「どうかこの国を救っていただきたい。よろしく頼む」
自国のためにはプライドを捨ててでも助けを求める。そんな彼女の姿勢を見て国防軍の出席者らはこくりと頷いた。
野崎は一歩前に出て敬礼する。
「わかりました。日本国国防軍の誇りにかけて、次の作戦は必ずや成功させます」
いろいろあったものの打ち合わせは成功した。扶桑皇国軍はインドミタブル作戦に対する協力を約束し、江藤ら陸海軍ウィッチ6名とストライカーユニット6脚、整備兵20名を派遣することとなった。
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インドミタブル作戦の実施が決定すると、第1空母打撃艦隊は防空任務を海兵隊第82海兵戦闘航空団に移譲し、扶桑皇国佐世保鎮守府に寄港した。そこで最後の物資補給やストライカーユニットの運搬、整備兵の乗船を行うためだ。
MV-22を使用して、新型の12試艦上戦闘脚2脚を含む6脚のストライカーユニットと整備兵20名を”あかぎ”に積み込んだ。
その日のうちにストライカーユニットの点検が行われ、特に損傷のないことが確認された。また。第1空母打撃艦隊各艦もたっぷり2日かけて、各種ミサイルや砲弾、航空燃料などの補給を行なった。
そして1939年2月15日。日本国国防海軍第1空母打撃艦隊は佐世保を出港する。佐世保沖合50kmで国防海軍第2艦隊と合流すると、彼らは一度、東シナ海に針路をとった。
この理由は訓練のためであった。ウィッチの運用経験・連携経験がない国防海軍は、訓練もせぬまま作戦に挑むことは無謀だとして2週間の訓練期間を設けたのだ。
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野崎は艦橋から、甲板にセットされたストライカーユニットを見ていた。
主な訓練は、空母からの発着艦訓練と艦隊の防護訓練であった。江藤らウィッチ隊は発艦した後に、艦隊から分離した”やはぎ”ら攻撃艦隊上空に展開。攻撃艦隊と行動を合わせつつ、攻撃役のヘリのドアガンから放たれたゴム弾が攻撃艦隊に着弾しないように防護するという訓練であった。
時々、MV-22に曳航された布をうつという射撃訓練も行われている。
「訓練は順調なようだね」
野崎がぽつりとつぶやくと艦長がそれに頷いた。
「ええ。日本の空母は扶桑のより甲板が広く長いから着艦も発艦もしやすいそうですよ」
「それはよかったね。連携も非常にうまくいっているそうじゃないか」
彼女らは日本製の最新無線機を使って、国防軍の各部隊との連絡が円滑にできるようにしていた。それによって連携は非常にうまくいっており、攻撃艦隊の防護も十分に行えていた。
攻撃艦隊の護衛艦による対空射撃時の連携も非常にうまくいっていた。
「このままいけば、今回の作戦は必ずや成功する・・・・いや、成功させる」
野崎は訓練しているウィッチ隊を眺めながら決意を新たにした。
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「この無線機はすごいわね。扶桑も導入してくれないかなぁ」
訓練を終えて無線機を返していた穴吹がぽつりとそんなことをつぶやく。無線機はイヤホンのような形をしているが、性能は彼女らの知る従来の無線機を圧倒するものだった。
「確かにそうね。横のボタンを押せば、無線通信だけでなく地図やレーダーの情報も確認できるなんて・・・・」
「確かにこれが導入できれば、便利だろうな」
江藤と北郷も無線機を返し終えたあとに穴吹の言葉に同意する。
江藤の言葉にあったように、この無線機は
軍用無線機であるため、高度に暗号化された電波によって通信傍受を困難にしている。また、いくつかの専用電波周波数帯を使うことでジャミングにも対抗できるようになっている。
「ほんとにどうやってるんだ?」
若本も無線機を返す前にあっちこっちを観察するも、何がどうなっているのか全く分からなかった。若本に続いて、坂本も無線機を眺めながらつぶやく。
「なんども思うけど、日本ってすごいよね」
「これが軍隊だけじゃなくて普通に使われてるんだよね」
竹井も彼女らの言葉に同意する。
無線機を返し終えて、雑談をしながら自室に戻る。その途中で、野崎とすれ違った。
「野崎司令!」
「江藤大佐ですか。訓練ご苦労様です」
野崎もいつもの人懐っこそうな笑みで返す。
「訓練は順調ですか?」
「はい。貸与していただいた無線機のおかげで連携が非常に取りやすいです」
「それは何よりです。今回は貴官らが作戦のかなめです。よろしくお願いします」
変におごることはなく、それでいていざというときは頼りになる野崎の人柄に、ウィッチ隊の面々もすでに魅了されていた。扶桑の下手な上官よりも尊敬できる野崎の言葉に江藤らは敬礼をして見せる。
「はい。ご期待にそえる様に努力します」
「期待していますよ」
そういうと野崎は軽く礼をしてどこかに行ってしまった。野崎の後ろ姿を見送ると、ウィッチらも自室に戻った。
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”あかぎ”の格納庫ではすでに明かりが落とされていた。航空機の整備やストライカーの整備はすでに終わっており、だれもいないはずの格納庫に何やら動く影があった。
「よし・・・・これで・・・・」
ひそひそと動く影が額の汗をぬぐう。その瞬間だった。
「・・・・おやおや。何をしているんですか?」
黒い影がバッと後ろを向くと同時に格納庫の明かりがつく。声の主の正体は野崎であった。周りにはテーザーガンを持った立検隊員がいる。
黒い影の正体は扶桑海軍より派遣されたストライカー整備兵であった。彼は一瞬、焦ったような表情をするとすぐに取り繕う。
「なにって、ストライカーの整備ですよ」
「ほう。たった一人で、明かりもつけずにですか?ご苦労ですねぇ」
チッという舌打ちをすると、整備兵は逃げ出そうとした。しかし、そばにいた立検隊員らがテーザーガンをうち、整備兵に電気ショックを与える。
「ぎゃぁああああ!」
なれない電気ショックに彼はその場に倒れこんだ。ほかの隊員が整備兵を抑え込むと、テーザーガンの電源を切る。野崎は抑え込まれた整備兵に近づくと、彼の顔を覗き込む。
「誰の指示なのか。あとで聞かせていただきますよ?」
いよいよ整備兵は苦々しい顔をする。野崎は立ち上がると立検隊員らのほうを見渡す。
「船室に拘束しておけ」
整備兵は立検隊員らに連れられて行った。この作戦の裏側であった、このゴタゴタは扶桑政府と日本政府間で秘密裏に処理され、これを指示した海軍の参謀は別件で軍法会議にかけられ極刑となった。 どうやら、やけっぱちになって指示したようであった。
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そんなゴタゴタが起きている一方。日本国東京、赤坂にあるアメリカ大使館には外務副大臣の屋中の姿があった。
「ミスターヤナカ。突然呼び出して申し訳ありません」
屋中の向かい側に座った在日アメリカ大使がそういった。屋中はそんなアメリカ大使に外交官的笑みを浮かべて、首を横に振る。
「いえいえ。転移前も転移後も、アメリカは我が国の大切な同盟国ですから。それで・・・・今回はどのようなご用件で?」
「はい。今度、日本は大陸の怪異を攻撃するそうですね?」
怪異への情報流出の概念がないことから、日本は作戦実行日などの一部情報を除き作戦の詳細を公表していた。
「はい。そうですが・・・・なにか?」
「その後の大陸領の奪還作戦には地上戦力を投入するようですな?」
実は飛行型怪異は大半を撃破したものの、大陸には地上型怪異が大量にいる。そのため”山”を撃破した後に日本国国防陸軍と海兵隊などの地上戦力を投入して、大陸の怪異を一掃する計画であった。そのための海兵師団や陸軍師団はすでに舞鶴、佐世保、横須賀などの各海軍基地近くの駐屯地に集結していた。
「ええ・・・・発表した通りですが?」
「その作戦に在日米軍を参加させていただきたい」
屋中はキョトンとしてしまった。
「何がお望みですか?」
「大陸の奪還した領土に新たなアメリカ合衆国を建国していただきたい」
現在、日本国内にいる外国人は1000万人弱だ。日本政府はこれらの対応に非常に苦慮していた。故郷もなくし、仕事もなくなった彼らが暴動を起こすこともあったからだ。
在日米軍はその中でも最も警戒されていた。彼らが暴動を起こせば、日本は甚大な被害を出す。しかし、新たなアメリカ合衆国が作られ、そこに在日アメリカ兵やアメリカ人らを移住させれば、その心配はなくなる。
「ふむ・・・・。政府に戻って検討させていただきます。1週間以内に正式な回答を出しましょう」
屋中はそういうとスッと立ち上がった。
「頼みますよ」
アメリカ大使は屋中にそういうと頭を下げた。
日本政府ではアメリカ大使からの提案が検討された。その結果、扶桑皇国政府には関税自主権の復活を約束する代わりに大陸の皇国領の割譲を提案。アメリカには在日米軍の有する軍事・技術機密の情報開示と大陸での戦闘協力を条件として、アメリカ合衆国建国に協力することとした。
アメリカ大使はこの提案を了承。しかし、扶桑皇国政府は難色を示したが、浦塩などの一部港湾都市をアメリカ合衆国領としつつも特別行政区として、地区内ではアメリカ合衆国と扶桑皇国の定めた条約による法律が適応されることや元来の住人の所有していた土地の所有権を認めること、港湾設備など一部設備を共同使用すること、また、今戦争で破壊された町の復興に日本が無償で協力すること、そして日本政府は国防軍への妨害工作を追求しないことで条件に合意した。
戦争が一段落したあとに締結されることとなるこの条約は、「扶日米協力協定」と呼ばれ、もともと大陸にすんでいた住民からの反発があった。しかし、扶桑政府は港湾都市などでは今までとほとんど変わらない生活ができることなどを説明し、最終的には受け入れることとなった。
ついに新たな国家の誕生が、ここに決まったのであった。
次回の題名がまだ決まっていない・・・・・。今日中に決めますが楽しみに待っていてください。
次回 第23話
ネウロイの瘴気の正体は?
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1:放射線もしくは放射能物質
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2:有毒な重金属などの微粒子
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3:毒ガス
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4:日本でもよくわからない