ストライクウィッチーズの世界に日本が転移!?(リメイク)   作:RIM-156 SM-2ER

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第35話 新人Ⅲ

この日は非番である桜田は、食堂でAR端末を使いながら新聞を読んでいた。コーヒーを片手に、他人から見れば何もない空間をタッチしたり、スライドさせたりするのは、何も知らない人からするとシュールであろう。

芸能人の不倫、日本で起きた殺人事件。そんな記事が紙面を飾っていた。桜田がコーヒーを飲もうとすると、食堂の扉が開いた。驚いて桜田が扉の方を見ると、リーネと宮藤がいた。

 

「二人ともどうしたの」

「桜田少尉・・・・でしたっけ」

 

いまだに名前と顔を完全に覚えきれていない宮藤は、桜田の名前を何とか思い出す。桜田は、AR端末の電源を切ると、椅子から立ち上がる。

 

「少尉は付けなくていいよ。僕はそこらへん厳しいわけじゃないし」

「わかりました」

 

年端も行かない少女が、軍隊の階級を付けて人を呼ぶことに、桜田はどうしても違和感があったのである。宮藤も、ついこの間まで民間人だったからか、すぐに了承する。

返事をしたときに、宮藤はあるものに気が付いた。

 

「あの、ところでそれは?」

 

宮藤が指をさしたのは、桜田の右耳についているAR端末であった。

 

「これかい?これはAR端末といってね・・・・」

 

桜田は、AR端末を外すと宮藤の耳につける。桜田が端末についている電源ボタンを押すと、宮藤の前には、先ほどまで桜田が見ていた新聞記事が映し出される。

 

「おお、すごい!」

 

初めて見るARに、宮藤ははしゃいでいる。

 

「すごいでしょ?それ一つで調べ物もできるし、電話もできるし、書類づくりもできるんだ」

「へぇ!すごいんですね」

 

宮藤は、ARを一通り堪能すると、端末を外して桜田に返した。桜田は、それを受け取ると右胸のポケットに入れた。

 

「ところで、どうしてここに?」

「あ!宮藤さんに食堂の案内をしてたんです。宮藤さんが大きな鍋が欲しいといっていたので」

 

リーネは、ここに来た理由を説明する。リーネから聞いた宮藤の要望に、桜田は首を傾げた。

 

「大きな鍋?どうしてまた?」

「私、みんなに料理を食べてもらうのが好きなんです」

「それならキッチンにあるよ。ついておいで」

 

桜田は、食堂横にあるキッチンに宮藤を案内する。

 

「調理班がいるんだけどね。時々、郷土料理をふるまったりするんだ。川野の卵焼きとか絶品だよ」

「え!川野さんって男の人ですよね。男の人が料理するんですか!?」

 

この時代は、男尊女卑が激しい時代である。男は仕事を、料理を含む家事は女性がやるものだという考え方が広く浸透している。特に扶桑ではその傾向が強い。宮藤にとっては男性が料理をするというのは、衝撃的であった。

 

「日本だと当たり前の話だよ。というか家事全般できないと生活できないし、結婚もできないよ」

「そうなんですか!?」

「日本だと共働きとかが普通だし、奥さんが働いて、旦那さんが家事をすることもあるからね。性別役割分業なんて、時代遅れになってるんだ」

 

これは国防軍でも戦闘機パイロット3割が女性であることからもわかるだろう。2040年代に入っていた日本では、性別よりも能力と本人の意思が尊重される国であった。

 

「僕もお菓子作りが趣味でね。時々ふるまうんだよ」

「へぇ・・・・」

 

宮藤は、桜田が作ったお菓子を食べてみたいを思った。

 

「そうだ。この後、他のところも回るでしょう?僕もついていっていいかい?」

「別にいいですけど、桜田さんは用事はないんですか?」

 

リーネはキョトンとしながら、そう聞いた。

 

「うん。今日は非番だし、特にやりたいこともないからね」

 

こうして3人で基地を回ることとなった。

射撃訓練場や格納庫、浴場*1を回り、管制塔への道中で、報道陣に囲まれるハルトマンの姿があった。

 

「あの人は?」

「ああ、エーリカ・ハルトマン中尉だよ。先日の出撃で200機撃墜になったから、マスコミが来てるみたいだね」

 

物凄い数の撃墜数に、宮藤は驚愕した。

 

「200!今まで、そんなに多くのネウロイと戦ってきたんだ」

「隣にいるゲルトルート・バルクホルン大尉は250機撃墜だよ?彼女らがいなかったら、僕たちが欧州に派遣される前にブリタニアも落とされていただろうね」

「他の人たちも、すごい固有魔法を持っていたりして・・・・ほんとにすごいんですよ」

 

リーネは、暗い顔をしながらそう言った。

 

「すごいな。私、治療しかできないよ」

「それでもすごいですよ。私なんか、みんなに迷惑をかけてばかりの足手まといですから・・・・」

 

一層暗い顔をするリーネを見て、桜田は前に起きた誤射事故のことを思い出しているのだろうと思った。こないだの件は吹っ切れたと思っていたが、どうやら何らかが原因で再発してしまったらしい。桜田は、どうしたものかと考える。

 

「次に行きましょう」

 

そう言ってリーネが管制塔に向かおうとすると、柱にぶつかってしまった。リーネは、人にぶつかったと勘違いして、柱に謝っている。

 

「ビショップさん。それ、人じゃないよ」

「え・・・・」

 

リーネも柱に謝っていたと気が付き、顔を赤くした。

 

 

その後、3人は管制塔に上がった。管制塔の中では、各地から送られてきたレーダー情報やこの基地に設置されているレーダーの情報が日本製のモニターに映し出され、要撃管制官や航空管制官がそれらとにらめっこしている。

この日の当直指揮官である初老の国防空軍少尉の姿をみとめると、桜田は彼に近づいた。

 

「嘉田少尉。失礼しますよ」

「桜田さん。邪魔しないのであれば、どうぞどうぞ」

 

中央の当直指揮官席で腕を組んでモニターを眺めていた少尉は、柔和な笑顔で返事した。

3人は管制室を突っ切ると、ベランダに出た。基地で一番高いそこは、基地全体だけでなくドーバー海峡をも眺めることができる。

 

「うわぁ!すごいきれい!」

「基地で一番高いですからね」

「あれが欧州大陸だね。大半がネウロイの支配下に入っちゃっているけど」

 

桜田の言葉を聞いた宮藤の顔は、少しだけ曇った。

 

――――――――――――――――――――

 

午後からは、彼女らは訓練であった。

最初は、簡単な走り込みと筋トレであった。暇な桜田は、筋トレ後に2人に清涼飲料水を差し入れようと食堂に戻っていた。

スポーツドリンクを2本持って彼女たちのもとに向かうと、ちょうど休憩時間だったらしく。地べたに倒れこんでいた。

 

「お疲れ様。差し入れをもってきたよ。熱中症にならないように飲むといいよ」

 

そう言って冷えたスポーツドリンクを彼女たちの前に置いた。2人は、飲料水を手に取るが、前に日本製のペットボトルを扱ったことがあるリーネと違い、宮藤はどうやって開けるのかわからなかった。

 

「貸してみ?」

 

桜田はそう言って、宮藤からペットボトルを受け取ると彼女の前でキャップを開けて、渡してやる。

2人の体は、運動の後で水分と塩分を失っており、スポーツドリンクを勢いよく飲む。

 

「甘い。それにおいしい」

「運動後で、水分と塩分を失った後だからね」

 

ものの2分で500mlペットボトルを空にしてしまった2人を見て、桜田は苦笑を禁じえなかった。すると、坂本が2人に近づいてきた。

 

「よし、休憩終了!射撃訓練に移る。2人とも銃を持ってこい」

「じゃぁ、2人とも頑張ってね」

 

そういうと、桜田は自室に戻った。銃なんて、1年に1度撃つか撃たないかの自分では、大したアドバイスもできないだろうから邪魔になることがわかっていたからであった。

 

――――――――――――――――――――

 

翌日。桜田は訓練飛行に出るまでの間、滑走路横で上空で飛行訓練をしている宮藤とリーネを見ていた。その横には、同じように訓練飛行の間、暇な今浦もいた。

ベテランパイロットである今浦は、2人の飛行をみてポツリとつぶやいた。

 

「うーん。宮藤さんは、そのうち空中衝突でも起こして墜落しそうだな」

 

その声は少し苦笑交じりであった。

 

「ビショップさんは、初実戦の時に比べれば大分上達したように思える。技術が大丈夫なら、あとはメンタルだけなんだがなぁ」

 

リーネの実戦投入に関しては、ここ最近、ミーナと坂本と今浦の3人の話し合いが行われていた。技術面は問題ないのだが、メンタル面が弱く、実戦に参加したときにパニックになって墜落したり、誤射をしてしまったりするのではないか、として実戦投入は避けられていた。

特に宮藤が基地にやってきてからは、前よりもコンプレックスを抱いているようであった。

今浦の言葉を聞いて、リーネがどうすればメンタル面の問題を克服できるか、桜田は真剣に考えていた。

 

「どうすればいいんですかね・・・・」

「わからん。なんかのきっかけがあればいいんだが・・・・」

 

精神カウンセラーでもない彼らには、どうすればいいかなどわかるはずもなかった。

 

「そろそろ行くぞ」

「了解です」

 

2人は、飛行訓練に向かうために格納庫に向かった。

 

―――――――――――――――――――――――――

 

訓練後、桜田は今浦に呼び出された。

 

「さっきのは何だ?」

 

今浦の言葉には、怒りが混じっていた。

原因は、さっきの訓練が原因である。心ここにあらずという様子の桜田は、簡単に今浦に後ろを取られ撃墜判定を取られてしまったのだ。編隊飛行訓練でも、桜田は少し遅れ気味であった。

このままでは実戦に出たときに、命にかかわると思った今浦は、桜田を呼び出したのだ。

 

「すいません」

「何考えていた?」

 

謝る桜田に、今浦は問いかけた。桜田は、少しためらった後に口を開いた。

 

「ビショップ軍曹のことを・・・・」

「どうしたらメンタル面を克服できるか、か?」

「はい」

 

桜田は、申し訳なさそうに頷く。今浦は、少し考えるそぶりを見せると1つのことを聞いた。

 

「ビショップ君に好意を抱いているのか?」

「・・・・そうなのかもしれません」

 

桜田の答えに、「やっぱりか」という顔をする今浦。そして厳しい顔をして桜田をみる。

 

「桜田。お前がビショップ君に好意を抱こうとかまわん。お前は犯罪を犯すような人間じゃないからだ。だが、それで訓練中にも集中力が切れるのであれば、明日のスクランブル当番にも参加させるわけにはいかない。わかるな?」

「はい」

「うん。なら、まずはビショップ君の前に目の前に集中しろ。そうでなければ仲間の命も、ビショップ君の命をも危険にさらす。それができないなら、明日は自室待機とする。できるか?」

 

桜田は、強い意志を感じさせるひとみで返事をした。

 

「できます」

「ならいい。俺は、信じているからな。ただ、危険だと思ったらすぐに後退させる。いいな」

「はい」

 

桜田の返事に満足すると、今浦は厳しい表情を解いた。

 

「よし。下がっていいぞ」

「失礼します」

 

桜田が部屋から出て行くと、今浦は背もたれに寄りかかって大きなため息をついた。

*1
もちろんだが、桜田は外で待たされた




いかがでしたでしょうか。
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ではまた次回。さようならぁ!

第36話 初戦果

お楽しみに

ネウロイの瘴気の正体は?

  • 1:放射線もしくは放射能物質
  • 2:有毒な重金属などの微粒子
  • 3:毒ガス
  • 4:日本でもよくわからない
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