ストライクウィッチーズの世界に日本が転移!?(リメイク)   作:RIM-156 SM-2ER

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第36話 初戦果(前編)

今浦に、こってり絞られた桜田は夜風に当たるべく滑走路に向かっていた。

 

「はぁ・・・・」

 

リーネに好意を抱いている―桜田は今浦に指摘されてようやくわかった。彼女のけなげに頑張る姿に自分は惹かれていたのだ。

実際、自分でもかなり驚いていた。桜田は高校時代に交際していた同級生の女子とひどい別れ方をしてから、誰かに恋愛感情を抱くということがなかった。一種の女性不信に陥っていたのだ。もちろん仲間としては、緑川のことを信用しているし、ミーナや坂本のことも一人の上官として尊敬している。

それでも異性としてみることはできなかったのである。だからこそ、リーネに抱いていた気持ちが何なのか、すぐに気づけなかったのであろう。

 

「おわっ!」

 

考え事をしていたからか、角から人が飛び指してきたときに反応できず、そのまましりもちをついてしまった。

 

「いたた・・・・。あれ、ビショップさん?」

 

痛そうにお尻をさすりながらぶつかってきた相手は大丈夫かと見てみると、そこにはリーネがいた。彼女の目には涙が浮かんでおり、桜田はどこかけがをしたのかと慌てた。

 

「あ!大丈夫かい?どこかけがを・・・・」

 

しかし、リーネは差し出された桜田の手を振り払うと走ってどこかに行ってしまった。

桜田は、何があったのか探るために彼女が来た道―滑走路の方を覗き込んだ。両目ともに2.0以上の視力を持つ桜田は、明かりのない暗い滑走路に誰か立っているのが見えた。

少し近づくとそれが誰なのかすぐにわかった。

 

「宮藤さん?」

 

宮藤もこちらに気が付いたようだ。

 

「桜田さん・・・・」

「さっきビショップさんとすれ違ったんだけど、何かあったのかい?」

 

桜田は、後ろを指さしながら尋ねると、宮藤は静かにうなずいた。

 

「良ければ聞かせてもらえる?」

「それが―――」

 

――――――――――――――――――――

 

時はさかのぼり、5分ほど前。

宮藤が一人、滑走路の端でドーバー海峡と星空を眺めていると、後ろから声をかけられた。宮藤がびっくりして後ろを見ると、そこにはリーネがたっていた。

彼女は、宮藤の了承を取って隣に座る。

 

「ここ、私のお気に入りの場所なんだ」

「へぇ。きれいだもんね」

 

宮藤は、星空を眺めながら今日の訓練のことを思い出す。

 

「今日もいっぱい怒られちゃった。もっと頑張らないと」

「宮藤さんがうらやましいな・・・・」

「え?なんで」

 

射撃も飛行も自分よりも何倍も上手なリーネが、なぜ自分のことをうらやましがるのか、宮藤には理解できなかった。

 

「諦めないで頑張れるところ」

「それ、通知表にも書いてあった」

 

そう言って笑う宮藤とは対照的にリーネの顔は暗くなる。

 

「私なんて、何も取り柄がなくて・・・・私なんかがここにいていいのかな?」

「ええ!射撃も飛行もあんなに上手なのに」

「そんなことないわ。実戦に出るとダメダメで、飛ぶのがやっとなの」

 

彼女の実戦を見たことのない宮藤は、びっくりする。あんなに上手に飛ぶことのできるリーネが、実戦ではダメダメというのが想像できなかったのだ。

 

「訓練でできれば実戦でも・・・・」

「訓練もなしに飛べた宮藤さんとは違うの!」

 

普段の姿からは考えられない、大声を出したリーネに宮藤はびっくりしてしまった。当のリーネも、ばつの悪そうな顔をすると、立ち上がってどこかに行ってしまった。

 

――――――――――――――――――――

 

宮藤から事の顛末を聞いて、桜田は考えるそぶりを見せる。

 

「なるほど・・・・そういうことか・・・・」

「何がそういうことかなんですか?」

 

桜田の言葉の意味が分からずに、聞き返す宮藤に、桜田は少しためらった後に誤射事故のことを話した

 

「そんなことが・・・・」

「うん。初陣なんだから、緊張でミスをしてしまうことはある。実戦じゃなくても誤射事故なんて起こる時は起こるからね。でも、ビショップさんは必要以上に自分を責めて、しばらくは訓練でもまともに飛べなかったんだ」

「そうだったんですか」

「うん。でも最近は、精神面でも安定してきて技術面でも上達していたから、ヴェルケ中佐たちは実戦に投入できるかなと思っていたみたいなんだけど・・・・」

 

そこまで言うと桜田は、宮藤を指さした。

 

「そこに君が来た」

「私ですか?」

 

何を言いたいのかわからずに、宮藤はキョトンとした。自分のことを指をさして、首をかしげる宮藤に桜田は頷いて見せた。

 

「うん。初めての実戦で、君は見事に戦闘をこなして見せた。それがビショップさんの心に重くのしかかったんだと思う。自分より後に来た新人が、自分より活躍しているというのは彼女にとってプレッシャーだったんだと思う」

「そんな・・・・私のせいで・・・・」

 

桜田の話を聞いて自分を責めるような態度を見せる宮藤の両肩を、桜田はぐっとつかんだ。

 

「君は自分のできることをしただけだ。自分を責めるんじゃない。自分を責めて、前進できなくなることは最も恐ろしいことだから」

「わかりました」

 

宮藤の瞳を見て、心配なさそうだと桜田は安心すると両肩から手を放す。

 

「さて、僕はそろそろ戻るよ」

 

そういうと桜田は、建物の中に入っていった。

 

 

彼が向かったのは自室ではなく、リーネの部屋であった。彼女の部屋の前に立つと、扉をノックする。いつもならばリーネの声が聞こえてくるが、この時帰ってきたのは沈黙であった。

それでも桜田は構わなかった。扉に向かって語りかける。

 

「宮藤さんから話は聞いた。まだ誤射のことを引きずっているんだね」

「・・・・」

 

部屋の中から返事は聞こえなかった。それでも、桜田は部屋の中にリーネがいると確信していた。

 

「前に、僕が航空学生時代にミスをしたことがあるって言ったよね。本当にパイロットになれるかわからないようなミスをしてしまったんだ」

 

桜田は、恥ずかしそうにポリポリと鼻を掻く。

 

「飛行準備課程が終わって、初めて操縦訓練をした時だ。空間識失調になってしまってね、山に激突しそうになったんだ。ギリギリのところで教官が操縦してくれたから助かったけど、もしかしたら死んでたかもしれない」

 

空間識失調とは、飛行機パイロットなどが一時的に平衡感覚を失ってしまうことである。主に濃霧や夜間での飛行だったり、戦闘機動中に起こりやすいが気象条件や本人の体調などによっても引き起こされることがあるのだ。

この事故は、桜田を初等訓練課程から外すかどうかという議論まで発展した。しかし、桜田の戦闘機パイロットとしての素質があると判断した複数の教官が連名で嘆願書を提出したことで、桜田は初等訓練課程を続けることができた。

 

「訓練は続けられることになったけど、空を飛ぶことが怖くなってしまった。まさしく誤射事故を起こした直後のビショップさんのようにね。空を飛ぶとエアショックでまともに飛べなかった。その時に教官が親身になって話を聞いてくれた。とても気持ちが軽くなった。そして、前に言ったを教官に言われたんだ。あの人がいなかったら、僕はここにはいない」

 

本当にぎりぎりだったのだ。その状態が続けば、今頃桜田は別の人生を歩んでいたことであろう。

 

「誰だってミスすることはある。その時、何もかもを抱え込むんじゃなくて信頼できる誰かに何もかも、しゃべってみるといい。そうすれば、少しは気持ちが軽くなるんじゃないかな?仲間っていうのは、そうやってお互いを支えあって、欠点を補いあうためにいると思うから」

「・・・・」

 

最後の最後まで返事は聞こえなかった。

 

「僕は君を信じてる。君はきっと、いざというときに大事な人をまもれる人間だって」

 

桜田は、そういうと自室に戻った。

 

――――――――――――――――――――

 

翌日。基地では朝からサイレンが鳴っていた。

基地に設置されたレーダーにネウロイが探知されたからだ。この日、スクランブル当番であった桜田は待機所から走って、格納庫に向かう。

戦闘機に乗ろうと梯子に手をかけた瞬間、リーネと目があった。リーネは、気まずそうにうつむいて顔をそらす。

しばらくリーネの方を心配そうに見ていると、今浦の怒声が聞こえた。

 

「桜田!集中できないなら出撃するな!」

「いえ。やれます!」

 

そういうと桜田は集中した顔になり、戦闘機に乗り込んだ。ヘルメットをかぶり、計器を素早く確認する

と今浦の後に続いて滑走路に出て行った。

 

「ストライカー1-2th。テイクオフ(離陸する)

 

2機の戦闘機は、アフターバーナーを点火して急上昇していった。

 

 

それをリーネと宮藤は格納庫横にでてみていた。

 

「行っちゃったね。私たちにできることってなにかな?」

「役立たずの私にできることなんて・・・・」

 

リーネは、そういうと昨日と同じように自室に戻ってしまった。すると横からミーナが声をかけてきた。

 

「宮藤さん」

「はい?」

 

ミーナは、リーネが行ってしまった方を見ながらしゃべり始めた。

 

「リーネさんは、ブリタニアが故郷なの。欧州最後の砦、そして故郷であるブリタニアをまもるというプレッシャーから、初めての実戦で誤射事故を起こしてしまったの」

「それは、昨日桜田さんから聞きました。しばらく空を飛ぶのも無理だったって」

「ええ。今でも実戦に出るとそのことを思い出してダメになっちゃうの」

 

それも宮藤は桜田から聞いていた。昨日のことを思い出し、自分のせいなのではないかと思って宮藤の顔は暗くなる。

 

「ところで宮藤さんは何でウィッチーズに入ろうと思ったの?」

「それは、みんなを守れたらって」

「リーネさんも、ウィッチとして入隊したばかりのころは同じ気持ちだったと思うわ。その思いを忘れちゃだめよ。そうすれば、あなたはきっとみんなの力になれる」

 

ミーナの言葉を聞いて、宮藤は暗い顔をやめた。そして強い意志を感じる瞳で答えた。

 

「はい!」

 

――――――――――――――――――――

 

「ストライカー01。エネミーインサイト(目標視認)ブレイク(散開)!」

 

今浦がネウロイを見つけた。戦闘に入る前、桜田は少しばかり嫌な予感がして、基地で待機しているリーネが心配になる。しかし、すぐに思考を切り替えると操縦桿を引いて急上昇した。

ネウロイの上方1000mほどに陣取ると、ウェポンベイの31式短距離空対空ミサイルを発射した。

 

「FOX-1!」

 

発射されたミサイルは、まっすぐネウロイに飛んでいく。ネウロイに着弾すると、金属片を降らせて装甲を削った。

しかし、今浦と桜田は、ここで異変に気が付いた。

 

「何故だ?コアが見えない・・・・」

 

上空から赤外線カメラでネウロイのコアを探していた今浦はぽつりとつぶやいた。

扶桑海事変の時から戦っている今浦は、これがコアを持たないタイプのネウロイではないかと疑うが、それにしては大きいし何より攻撃箇所が再生している。

コアを保有しないタイプのネウロイは、攻撃があたりある程度の損害が与えられれば撃破できるのだ。

 

「まさか・・・・こいつは子機?」

 

桜田のつぶやきは、同じくコアを探していた坂本の耳にも届いた。そして坂本は、気が付いた。

 

「だとしたら基地が危ない!!」

 

その瞬間、基地から通信が届いた。

 

『こちら管制隊!新たな目標探知!詳細を送る!』

 

画面に映し出されたレーダー情報を見た今浦は、舌打ちをした。新たに出現したネウロイが本体であろうが、子機への攻撃を弱めて本体の攻撃に集中した場合、子機が基地に到達する前に本体を撃墜できればいいが、間に合わなかった場合は子機によって基地には甚大な被害が出ることは間違いなかった。

頼りになる戦力は基地にいる、ミーナとエイラそれくらいであった。

 

「くそっ!」

 

桜田は悪態をついた。

 

――――――――――――――――――――

 

「リネットさん」

 

少しばかり時を戻して、ミーナにアドバイスをもらった後、宮藤はリーネの部屋に向かった。そして、桜田と同じように返事の聞こえない部屋に向かって話しかけていた。

 

「私、魔法はへたっぴだし、上手に飛べないし、銃は満足に扱えないし、怒られてばっかりだし、ネウロイともほんとは戦いたくない。それでも私はウィッチーズにいたい。私の魔法でも役に立つなら、誰かの役に立ちたいの」

 

案の定、部屋の中でリーネは宮藤の話を聞いていた。そして、次に宮藤から放たれた言葉がリーネをハッとさせた。

 

「それでみんなをまもれたらって・・・・」

 

それはウィッチ養成学校から501に配属されるときに、自分の心に確かにあった思いであった。

その瞬間、基地内にサイレンが鳴り響いた。新たなネウロイの出現を知らせるものである。

 

「ネウロイ!?」

 

宮藤はサイレンを聞くや否やどこかに走って行ってしまった。慌てて、リーネが扉を開けると宮藤の後ろ姿が見えた。その時、昨日の夜に桜田に言われたことを思い出した。

 

――僕は君を信じてる。君はきっと、いざというときに大事な人をまもれる人間だって

 

リーネは、桜田の信頼を裏切るまいと誰かをまもろうと決意した。

 




申し訳ありません。本来なら前後編に分けるつもりはなかったのですが、話が思ったよりも長くなってしまいました。次回でリーネ編終了です。
ご意見ご感想お気に入り登録お待ちしております。
ではまた次回。さようならぁ

次回 第37話 初戦果(後編)

お楽しみに

ネウロイの瘴気の正体は?

  • 1:放射線もしくは放射能物質
  • 2:有毒な重金属などの微粒子
  • 3:毒ガス
  • 4:日本でもよくわからない
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