ストライクウィッチーズの世界に日本が転移!?(リメイク)   作:RIM-156 SM-2ER

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皆様どうもSM-2です。
今回は長めの話です。久しぶりにこんなに長い話書いたかも・・・・。
では、本編どうぞ


第43話 音速を目指す

日本の転移事件以降、この世界において最も強大な軍事力を保有するのは、日本国防軍であった。では、2番目は、どこなのか。それは転移に巻き込まれた在日米軍であった。日中紛争後に、中国や年々力を増すロシア、北朝鮮への対策として強化されていた在日米軍は、正面打撃力だけで言えば、国防軍と対等に渡り合える力を保有していた*1

 

――――――――――――――――――――

 

さて、そんな在日米軍は、もちろん欧州方面の戦闘にも参加していた。日本の転移に巻き込まれた観光客などを中心に、新たにこの世界に建国されたほかの国とは違い、最初から強大な軍事力を有するアメリカは、航空戦力と海上戦力を中心に、欧州に部隊を展開させていた。

それは501統合戦闘航空団に関しても、例外ではない。ここにもアメリカ海兵隊の戦闘機2機が派遣されていた。

 

米軍から派遣された戦闘機隊は、この日は訓練飛行の日であった。マイケル・ベリー中尉とチャック・アッカーマン大尉は、1時間半ほどの戦闘飛行訓練を終えて基地に戻ってきた。慣れた様子で戦闘機を着陸させた後、チャックは帰還報告に、マイケルは特にすることがなかったので格納庫でくつろいでいた。

缶コーヒーを片手に、スマートフォンで新聞を確認する。見ている新聞は、CC通信(連合報道通信社)*2が出している英語版新聞である。

その一面のあるニュースに、マイケルは目がいった。しかし、記事の内容を読む前に格納庫に響き渡った爆音が、彼の興味をかっさらっていく。

 

「はぁ・・・・」

 

彼はスッと立ち上がると爆音のした方へ向かう。どうやらエンジン音のようだが、それにしてもうるさい。しかし、彼には心当たりがあった。マイケルは、エンジンを轟かせている人物を見つけると、それが誰なのかも確認せずに口を開く。

 

「シャーリー。うるさいぞ」

 

マイケルの視線の先には、ストライカーユニットを装着しているシャーリーの姿があった。シャーリーもマイケルに気がついて、エンジンを止める。

 

「マイケルか!ごめんごめん」

 

シャーリーはそう言って謝る。年齢はマイケルの方が圧倒的に上であるが、2人はそんなことを気にせずにフレンドリーに接する。

マイケルとシャーリーは、同階級ということや祖国が似たような文化を持っており、どちらも年功序列の感覚が薄いことやシャーリーが人種を気にするような人間でないことが仲がいい理由であろう。

非常に悲しいことに、2040年代になっても、アメリカには白人至上主義を掲げた人間は少なくなかった。アイルランド系アメリカ人の父とアフリカ系アメリカ人の母を持つマイケルも、何度かその手の人間に差別的な扱いを受けたことがある。

それでもまだかわいい方で、転移後のこの世界は、黒人差別が国をあげて大々的に行われていた。人種差別をしない人間の方が圧倒的に少ない。しかし、そんな中でもシャーリーは人種を気にせずフレンドリーに接してくれることから、マイケルはシャーリーに好感を抱いていた。

 

「またエンジンいじりかい?」

「ああ、今日こそ新記録達成だ!」

 

呆れたように言うマイケルに、シャーリーは自身のストライカーユニットを愛おしそうに見ながら言った。

その時、宮藤とリーネが格納庫に走りこんできた。マイケルは2人に気が付くと、声をかける。

 

「2人ともどうしたんだ?」

「あの、さっきの音は?」

 

リーネは、宮藤とともにシャーリーとマイケルのもとに近寄りながら聞いてきた。

 

「おっ、これのことか?ふふ、これはなぁ・・・・」

 

シャーリーは、さもうれしそうな顔をして自身のストライカーユニットに視線を落とした。そして怪しげな笑みを浮かべたかと思うと、ストライカーユニットのエンジンに魔法力を送り込んで、始動させる。

マイケルは、この後起こることを予想して、あらかじめ手で耳をふさぐ。

魔導エンジンの回転数が上がるにつれて、あたりに風と爆音が起こる。リーネと宮藤は、たまらずに耳をふさいだ。

宮藤は、エンジンを止めるように必死に呼びかけるが、爆音にかき消されてしまい、シャーリーの耳には届かない。

 

「うん、イイ感じだ。もう少しシールドとの傾斜配分を考えて・・・・」

「あの!シャーリーさん!」

 

宮藤の身振り手振りの必死の呼びかけで、シャーリーも宮藤が何か言ってることに気が付く。必死に宮藤の言葉を聞き取ろうとするが、エンジン音にかき消される。

 

「で?何を言っているんだ?」

「とっととエンジンを切れ!」

 

横からマイケルが言ったことで、ようやくシャーリーはエンジンを止める。

 

「静かにしてください!!」

 

エンジン音に負けまいと叫んだ宮藤の声が格納庫内に響き渡る。シャーリーは思わず耳をふさぎ、エンジン音が止まったことで耳から手を離していたマイケルも、シャーリーと全く同じような行動をとった。

 

「声が大きい」

 

シャーリーの言葉に、マイケルは内心「お前には言われたくない」と思った。キーンと若干の耳鳴りがする中、マイケルはあきれ顔でシャーリーに言う。

 

「さっき言ったばかりなのに、なんでまたエンジンテストするんだ」

「いやぁ、ほんとにごめん!今度から気を付けるよ」

 

言葉とは裏腹に、まったく反省してなさそうなシャーリーの顔を見て「絶対、またやるな」とマイケルは確信する。

すると、彼らの頭上から声がした。

 

「ふぁぁぁ、うるさいなぁ、いい気もちで寝てたのに、芳佳の大声で起きちゃったじゃない・・・・」

 

その場にいた全員の視線が頭上に集まる。格納庫の屋根を支える鉄骨の上に、ルッキーニがタオルケットが敷いて横たわっていた。彼女の言動と状況から察するに、どうやら鉄骨の上で寝ていたらしい。少しでも寝返りをうてば落ちてしまいそうなところでよくぞ安眠できたとマイケルは感心半分、呆れ半分でルッキーニをみた。

ルッキーニが降りてくると、リーネは呆気にとられた表情で彼女に尋ねる。

 

「ルッキー二ちゃん。あの音平気だったの?」

「うん、だっていつものことだし」

 

彼女は年相応の、満面の笑みで元気よく頷いた。ルッキーニの言葉の意味が分からず、宮藤は思わず聞き返した。

 

「いつも・・・・?」

「改造だよ。エンジンの改造」

 

マイケルは、宮藤の疑問に答えるようにそう言った。それでも宮藤には思わずぴんと来てないらしい。

 

「エンジンの改造?」

「おいで、見せてあげる」

 

百聞は一見に如かずといわんばかりに、シャーリーはストライカーユニットを履いたまま滑走路に向かった。

 

――――――――――――――――――――

 

マイケル、リーネ、ルッキーニ、宮藤の4人も、シャーリーの後を追って滑走路に出る。

 

「あの、改造って・・・・」

 

いまだに状況を理解できない宮藤に、シャーリーは優しく答えた。

 

「魔導エンジンの割り振りをいじったんだよ」

「割り振りって、攻撃や防御に使う分のエネルギーの配分を変えているんですか?」

 

ウィッチ養成学校を出たため、宮藤よりもストライカーユニットに関して知識があるリーネがそういうと、シャーリーは「そういうこと」と頷いた。

 

「何を強化したんですか?」

「たぶん、速度ですよ」

 

後ろから第3者の声が聞こえてくる。ルッキーニを除く4人がバッと振り返り、声の主を確認すると、騒ぎを聞きつけてやってきた非番の桜田であった。

シャーリーがスピード狂であるという話は、基地で知らないものは少ない。国防軍戦闘機隊が派遣されたばかりのころ、超音速戦闘機と聞いて「乗せてくれ」と懇願したことは記憶に新しかった。

 

「そうだよ」

 

ちょうどその時、速度測定器の準備をしていたルッキーニが「シャーリー」と名前を呼んで、準備ができたことを知らせる。シャーリーも「おう」という威勢のいい声を上げて、滑走路の先を見据える。

 

「GO!」

 

ルッキーニの合図とともに、シャーリーは一気に加速する。アフターバーナーを付けたF-37に若干劣るくらいの加速性能だ*3

 

「すごい・・・・」

 

ドンドンと加速していくシャーリーの姿を見て、宮藤は思わずつぶやいた。シャーリーも十分加速すると、一気に上昇していく。

今のままでも十分すぎるほど早いのだが、シャーリーの加速はまだまだ止まらない。ルッキーニの手元にある速度測定器のメーターは、どんどんと上がっていった。

 

「時速770km・・・・780・・・・785・・・・790!」

 

単発レシプロ機として驚異的なスピードに、その場にいた全員が驚いている。

 

「800km!記録更新だよ!シャーリー!」

 

シャーリーはその速度のまま、5人の前を通過する。ソニックブームほどではないにしても、高速で飛行する物体が目の前を通過したことで、5人は物凄い風に襲われる。

しかし、シャーリーは満足せずにさらに加速しようとするが、これ以上加速することはなかった。

 

「時速800kmか。単発レシプロでここまでとは・・・・」

 

桜田とマイケルの二人は、上空を飛ぶシャーリーを見上げながら驚きの声を漏らす。

暫くすると、シャーリーは降下してきて速度を落とす、宮藤、リーネ、ルッキーニの3人はシャーリーを追いかけるように走る。

ふと、シャーリーがバランスを崩して落ちてしまい、3人はシャーリーの下敷きとなってしまう。

 

「おいおい、大丈夫か」

「立てる?」

 

マイケル達2人が心配そうに駆け寄るが、帰ってきたのは、

 

「ああ!おなかへったぁ!」

 

というシャーリーののんきな声と満面の笑みであった。

 

――――――――――――――――――――

 

格納庫に戻った6人は、シャーリーのストライカーユニットの周りに集まっていた。特に桜田とマイケルの二人は、興味深そうにストライカーユニットをまじまじと見ている。

 

「すげぇなぁ。単発のレシプロでここまで出せるとは驚きだ・・・・」

「ええ、全くです」

 

プロペラ機での世界最速はTu-95の950kmであるが、あれはレシプロエンジンを使う機体ではなく、より高出力なジェットエンジンの1種であるターボプロップエンジンを4発使用した爆撃機だ。土俵が違う。

 

「シャーリーさんはどれくらいの速さを出したいんですか?」

 

宮藤の問いかけに、シャーリーはハンバーガーをかじりながら答える。

 

「いつかは音速を超えることさ」

「音速?」

 

するとマイケルが音速について説明する。

 

「音の伝わる速度、秒速340mちょいくらい」

「そんな速度出せるんですか!?」

 

余りの速さに、宮藤は驚きの声を上げる。するとマイケルはプッと吹き出しながら答えた。

 

「俺らの乗ってる戦闘機は超音速で飛行してるじゃないか」

「あれって音と同じくらいの速さなんですか!?」

 

速いことは知っていたが、F-37が超音速で飛行していると知らなかった宮藤は、再び驚きの声を上げる。

 

「でも、プロペラ機だと超音速を出すのは不可能だといわれているんだ。実際、僕らがもともといた世界にあった世界最速のプロペラ機は音速には達せていないんだ」

「へぇ・・・・」

 

桜田の言葉に、宮藤はそう返した。

 

「こいつで無理だったとしても、日本が開発したジェットストライカーなら・・・・」

 

自分が超音速で飛行する姿を想像しているのか、シャーリーはよだれを垂らして変な顔になっていた。すると、マイケルが何かを思い出したようなそぶりを見せる。

 

「残念ながらシャーリー。お前さんの夢は、かなり先にかなうことになりそうだぜ?」

「え・・・・?」

 

困惑するシャーリーに、マイケルは自身のスマートフォンに映し出された新聞記事を見せる。

記事の見出しは「日本製ストライカーユニットに重大な欠陥か?」であった。

 

「なんですか?」

 

英文が読めない宮藤は、英語版の新聞を出されてもいまいちよくわからない。

 

「さっき言ってたジェットストライカーユニットに欠陥があるっていう記事だ。ええと”先月27日、国防空軍松島基地所属のWF-86ストライカーユニットのエンジンが停止する事故が発生したことが防衛省への取材で分かった。僚機のウィッチが同隊員を回収し、着陸した。翌日、防衛省は重大インシデントと断定し、事故調査委員会を設置、事故の原因追及を行っている。事故調査委員会に参加している扶桑皇国のストライカーユニット技術者によると、事故の原因は、当該ストライカーユニットが搭載しているMJ47-2-M魔導ターボジェットエンジンの欠陥が原因ではないかとのこと。このMJ47-2-Mは、扶桑宮菱重工業と国防軍、三菱重工業、川崎重工業が共同開発したMJ47-Cエンジンを三菱重工業が独自に改良した、世界初の実用ジェットエンジンである。事故調査委員会は、今月末にも報告書を運輸安全委員会に提出する予定である。”だと」

 

MJ47-2-Mは、MJ47-Cの性能及び信頼性を強化したエンジンであった。

日本にはストライカーユニットに関するノウハウがほとんどなく、転移後、扶桑皇国から96式艦上戦闘脚を2機輸入してリバースエンジニアリングをするなど、ストライカーユニットの技術吸収に努めていた。

それでも経験不足であることから、わざわざ扶桑のストライカーユニットメーカーと共同で開発したエンジンだが、ジェットエンジンというのは扶桑のメーカーにしてみても、まったくノウハウのないもので、実験機に搭載されていたMJ47-Cは、当初から問題が多発していた。

MJ47-2-Mは、それらの問題を改良したものであったはずであるが、それでもノウハウ不足はいかんともしがたく、問題が起きてしまったのだ。

これにより、防衛省は半年ほどWF-86の飛行停止処分を決定し、実戦配備は1年以上遅れてしまうこととなるのだ。

 

「というわけだ。まぁ、航空機用ジェットエンジンの開発経験はあってもストライカーユニット用魔導エンジンの開発経験はないから、仕方がないな」

 

このWF-86は、実戦配備が進めば各国軍に貸与されるという話もあり、シャーリーもその話を聞いていたから楽しみにしていたのだが、肝心の貸与の条件である実戦配備が遅れてしまうということは、このジェットストライカーがシャーリーのもとに届くのも遅れてしまうということであった。

 

「そんなぁ」

 

シャーリーは、がっくりとうなだれてしまった。そんなシャーリーの肩に、マイケルは手を置いて慰める。

暫くそうしていると、ふとした疑問がマイケルの中に沸いた。

 

「ところで、君ら二人は何で来たんだ?」

「「あ~~!!」」

 

宮藤とリーネの二人は、顔を見合わせて大きな声を上げた。

何事かと思って、マイケルとシャーリーは首をかしげていると、2人は明日、海で訓練があることを伝える。

 

「海で訓練?俺は明日スクランブル待機だぞ?」

「はい。ですから、明日は午前と午後でスクランブル当番を分けるそうです。午前中は桜田さんたちが、午後からはマイケルさんたちが待機するそうです」

 

リーネは、マイケルの疑問にそう答えた。つまり午後になればマイケル達は、海に行けるということだ。

 

「なるほど、OK」

「わかった」

 

シャーリーも立ち上がり、付けていたゴーグルをストライカーユニットの翼に引っ掛けると、5人は格納庫から出ていく。

5人は、ルッキーニがユニットの上で寝ていたことなど、すっかり忘れていた。そして翌日、ルッキーニが起こしたある出来事が原因で、とんでもないことが起こるのだが、彼らは知る由もなかった。

*1
軍隊というのは、補給がなければ戦えない。この世界に転移した影響で、強大な生産能力を有したアメリカ本国からの補給がない以上、在日米軍の補給は日本に頼らざる得なくなっていた。それでも新たに大陸に建国されたアメリカ合衆国には、日本政府の出資によって多数の日本資本の工場などが建てられていおり、旧在日米軍は徐々に自給自足の体制を築き上げようとしていた

*2
転移に巻き込まれた外国人記者たちが立ち上げた報道機関。地球協力機構加盟国では一般的になりつつある報道機関で、新聞やテレビ事業を手掛けている。未来の技術を使った素早く正確な情報収集能力と取材能力により、日本やこの世界の国家にも進出している。

*3
一般的にジェット機よりもレシプロ機の方が加速性能はいいといわれている。現代の戦闘機はアフターバーナーを付けることで、加速性能を補っているのだ




いかがでしたでしょうか。
日本は、ストライカーユニットのノウハウないですから、これくらいの問題は起こって当然かなと。
また、途中の黒人差別問題に関しては、あくまで物語の話であり、特定の団体、個人を差別するものではないことをご了承ください。
ご意見ご感想お気に入り登録お待ちしております。
ではまた次回。さようならぁ

次回 第44話 超音速飛行

お楽しみに

ネウロイの瘴気の正体は?

  • 1:放射線もしくは放射能物質
  • 2:有毒な重金属などの微粒子
  • 3:毒ガス
  • 4:日本でもよくわからない
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