ストライクウィッチーズの世界に日本が転移!?(リメイク) 作:RIM-156 SM-2ER
本当は9時投稿をしたかったのですが、私事により10時になってしまいました。
では本編どうぞ。
この日のブリタニアは雨であった。その雨雲の上をV-22オスプレイが飛ぶ。
この機体は、国防軍が連絡機兼輸送機として一機だけ501基地に派遣しているものであった。月明かりに照らされる灰色の機体の側面には、日本機であることを表す赤い国籍マークとストライクウィッチーズの部隊章が塗装されていた。
その機内では、坂本が不機嫌そうな顔をして座っていた。その向かい側に座る今浦は、珍しく第1種夏服をまとって、苦笑いしていた。
「不機嫌さが顔に出てるわよ?」
今浦の隣に座るミーナは、読んでいた本から視線をずらすと、坂本に向かって言った。しかし、坂本は不機嫌な表情を直そうとせず、むしろ一層不機嫌さを強くして答えた。
「わざわざ呼び出されて何かと思えば、予算の削減と聞かされたんだ。顔にも出るさ・・・・」
統合戦闘航空団というのは、各国から優秀なウィッチを集められている。ウィッチたちが使うストライカーの機材や武器、それらの部品なども各国から供与されたものである。一応、その統合戦闘航空団のある方面統合軍総司令部の所属ということになっているが、生活必需品や基地の備品、予算や人員は、その統合戦闘航空団の基地が存在する国だよりになることが多いため、実質的には統合戦闘航空団の基地がある国にウィッチや兵器、備品を貸し出して運用しているといったほうが正しい。
そのため。ストライクウィッチーズは、書類上は西部方面統合軍総司令部の直轄ということになっているが、実際にはブリタニア軍に各国がウィッチ、備品を貸し出して、ブリタニア軍によって運用されている。501の運営予算も、ブリタニアの軍事予算から出ている*1。
しかし、今回、ブリタニア軍が第501統合戦闘航空団への予算を削減することにしたのだ。これには兵器開発と失われた兵器の補充、軍備拡張が関係していた。
ネウロイとの戦争がはじまり、日本という存在がいる中で、日本の持つ兵器の有用性に気が付いた各国はそれを真似しようとしていた。それはブリタニアも一緒だったのだ。しかし、現代兵器というのは、どうしても金がかかる。精密機器やレアメタルが使われることが多いからだ。ましてや、新機軸が多い兵器の開発は、開発費の高騰を招いたのだ。
また、ブリタニア軍は欧州大陸から撤退するときに装備のほとんどを失っており、これらを補充する必要もある。また、戦争が進むことで戦線が拡大し、軍は規模を拡張する必要が出てきた。しかし、兵士を訓練するのにも兵士に持たせる武器を調達するにも金がかかる。
戦時国債を発行することで、何とかしのいでいたものの、これも返済する必要が出てくる。そのしわ寄せが、ブリタニア軍の部隊ではない、多国籍部隊であるストライクウィッチーズに来たのである。
しかし、ウィッチーズの実績を見る限り、この決定にはブリタニア軍上層部で大きな勢力を誇る反ウィッチ派が大きくかかわっていることは明らかであった*2。
「彼らもあせっているのよ。私たちばかりに戦果を挙げられてね」
ミーナが言う彼らというのは、反ウィッチ派のことであった。
ウィッチーズの有用性は、世界各国が知るところであり、各地で設置されているほどだ。むしろ予算を拡張して、優秀なウィッチの育成やウィッチーズの規模拡張を行うべきである。
「連中が見てるのは、自分の足元だけだ」
「戦争屋とか政治屋ってのは、そんなもんだ」
今浦は、いまだに不機嫌な坂本にそう言った。
「もしネウロイがいなかったら、日本がもともとあった世界みたいに、人類同士で戦争しているかもね」
「世界大戦か。まったく笑えない」
第2次世界大戦がどんなものだったのがを習い、日中紛争という人間同士の戦争を体験したことがある今浦は、世界大戦というのがどれほど壮絶で悲惨になるか容易に想像がついた。
お互いが憎しみ合い、その遺恨は何十年も残る。それが人類同士の戦争というものだ。紛争と世界大戦が違うところなど、その憎しみ合い傷つく人間が多くなるか少なくなるかの違いでしかない。本質は何も変わらないのだ。
「すまんな、宮藤。せっかくだからブリタニアの町を見せてやろうと思ったんだが・・・・」
坂本は、隣で窓の外を眺めていた宮藤に謝った。朝、司令部から呼び出しを受けた坂本は、宮藤を「外国の町を見てみるなんて機会はそうそうないぞ?」といって連れてきたのだが、結局、司令部との会議で宮藤に町を見せることは出来なかった。
「いえ、私は軍にもいろんな人がいるんだなって・・・・」
その時、どこからか歌声のような物が聞こえてきた。宮藤は、何事だろうと隣にいる坂本に聞いた。
「なにか聞こえませんか?」
坂本は、少しばかり耳を澄ませてみる。しばらくすると「ああ」と何かに気が付いたようであった。
「ああ、これはサーニャの唄だ。基地に近づいたな」
「私たちを迎えに来てくれたのよ」
ミーナがそういうと、宮藤はオスプレイに並行して飛ぶサーシャに、窓から手を振った。
「ありがとう」
すると、それが恥ずかしかったのか、サーニャは雲の中に隠れてしまった。
「サーニャちゃんって、照れ屋さんですよね」
「うふふ、でもとってもいい子よ」
ミーナがそう返した時、コックピットの方が騒がしくなる。どうにも機長と副操縦士が、無線で管制塔とやり取りをしているようだ。しかし、どうにもその様子がおかしいので、今浦はコックピットに向かう。
「どうした?」
「少佐!いえ、本機左後方より高速で接近する所属不明機を確認。現在、基地管制に問い合わせているところです」
機長の大尉が今浦にそう返した。今浦は、レーダー画面に映る反応をしばらく見ると、無線機を手に取る。
「リトヴャク中尉。左後方から高速で接近する所属不明機を確認した。速度から言って、たぶんネウロイだ」
いつの間にかサーニャの唄も止まっていた。
『こちらでも確認しています』
コックピットでの会話を聞いていた坂本は、魔眼でネウロイを探すが、見つけることができない。
「私には何も見えないが」
『雲の中です。肉眼では見えません』
「ど、どうすればいいんですか」
ネウロイの襲来と知って、宮藤は慌てる。しかし、今浦も坂本もあきらめたような苦笑いを浮かべる。
「どうしようもできない。ストライカーはないし、戦闘機もない。俺らにできるのは、とんずらすることだけさ。こいつにはドアガンもついてないしな」
「そんなぁ」
「っ!まさかそれを狙って?」
ミーナが険しい顔をして、そういうと坂本は首を横に振って否定した。
「ネウロイはそんな回りくどいことはしないさ」
「それに、そこまで考えられる頭が奴らにあるなら、とっくにブリタニアは落ちてるよ」
そもそもネウロイには知性がないというのが定説であり、日本がネウロイに対する戦争を行なえるのも「ネウロイは知性がない。つまり対話できる存在ではなく、人間に対して危害を加える害獣と同じ」という認識があるからだ。
『目標は依然、高速で接近してきます』
今浦はミーナに「どうします?」という指示を仰ぐような顔をした。
「援護が来るまで時間を稼げればいいわ。交戦は出来るだけ避けて」
今浦は、レーダー画面を見ながらサーニャに指示を出す。すでに基地のある方向には、友軍機を示すアイコンが映し出されていた。
「リトヴャク中尉。聞いた通りだ。すでに基地からはスクランブルが出てる。戦闘機隊は2分もすれば合流するだろう。それまで持ちこたえてくれ」
『はい』
サーニャは、返事をするとフリーガーハマーの安全装置を解除する。彼女は、ネウロイの方に向かって言った。
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『こちら501管制からストライカーツーへ。すでにリトヴャク中尉が交戦中。誤射に注意しつつ敵を排除してください』
雲の上を2機の戦闘機が超音速で飛んでいた。この日のスクランブル当番は、緑川と川野であった。編隊長である緑川は、管制から来た指示に返事をした。
「こちらストライカーツー。コピー」
すでにレーダーにはネウロイとサーニャ、そして輸送機が映っている。緑川は、無線をサーニャの使っているインカムに合わせる。
「リトヴャク中尉。緑川です。援護に入ります」
『了解しました』
暫くするとレーダー画面に映る2つのアイコンが離れる。サーニャがネウロイと距離を取ったのだ。
「ストライカーツー。FOX-2」
ネウロイとの距離は30km。すでにサイドワインダーの射程圏内だ。
緑川は、ネウロイをロックオンすると符丁をコールして発射ボタンを押し込んだ。川野も、緑川と同タイミングでサイドワインダーを放つ。
2発のサイドワインダーは、いつものように極超音速でネウロイに向かう。ネウロイのコアが放つ赤外線を探知すると、それに向かって突っ込んだ。
2つの爆発が長け続けに起きて、雲が押しのけられる。
「反撃がない?」
緑川は、ネウロイが一発のビームも放っていないことに違和感を抱いた。
その瞬間、レーダー画面が真っ白に染まった。
「っ!ジャミング!?」
それは現代戦でも行われる電子攻撃、いわゆるジャミングを受けたときと酷似していた。この状態で、赤外線ミサイルをうてば、サーニャに当たってしまうかもしれない。下手な攻撃ができない。
幸い、F-37はジャミングを受けたときには、レーダーや無線の周波数を自動で変えることができる。30秒もすれば、レーダーも無線も回復するはずだ。
暫くすると緑川の予想通り、レーダーと無線が回復した。
「AAM-7で対処するわ。サイドワインダーの使用は禁止」
「了解」
AAM-7、31式短距離空対空誘導弾にはホーンオンジャム機能という、ジャミング源に突入する機能がある。正しい判断と言えた。弱点は、赤外線ホーミングではないのでネウロイのコアを破壊することが、非常に難しいことである。
「FOX-1!」
緑川は、ウェポンベイに搭載されているAAM-7すべてを発射する。まぐれ当たりでネウロイが落ちてくれることを期待したのだ。数秒ほどおいて、川野も同じようにAAM-7を放つ。
発射されたAAM-7は、いまだに妨害電波を放ち続けるネウロイに命中した。しかしながら、コア付近には一発たりとも命中することはなかった。
「また!?」
再びレーダーが真っ白になる。この状態でサイドワインダーを撃っても、誤射の可能性があるから撃つことができない。
またしばらくしてレーダーが回復したとき、ネウロイはガリア方面に向かって逃げかえっていた。
「くっ!逃がした・・・・!」
緑川は悔しそうな声を出す。その時、基地管制から再び無線が入った。
「ストライカーツー。基地へ帰投せよ。繰り返す基地へ帰投せよ」
「ストライカーツー。ラジャー」
2機のF-37は、180度反転すると基地に戻っていった。
――――――――――――――――――――
日本。市ヶ谷
執務机の上に設置された固定電話が鳴る。パソコンで書類を確認していた
「もしもし、東だが?」
『東長官。海兵隊の吉川上級大将からお電話です』
秘書官の声であった。どうやら海兵隊のトップから何か要件があるらしい。妙な胸騒ぎを覚えつつも電話をつなげるように言う。
「わかった。つなげてくれ」
『はい』
秘書官の返事の後、プーという電子音がした。それが終わるやいなや、男のだみ声が聞こえてくる。
『もしもし』
「もしもし。吉川君か。どうしたんだ?」
どうにも慌てた様子の吉川の声に、東は疑問を持つ。
『先ほど第81海兵戦闘航空団から報告がありました。501JFWに派遣している戦闘機2機が、ネウロイの電子攻撃を受けたようです』
「なに!?」
ガタッと勢いよく立ち上がる。今までのネウロイとの戦争で聞いたことがない報告であった。
「それで?」
『幸い、戦闘機はどちらも無事でした。当該ネウロイはガリア方面に逃亡したとのことです』
とりあえず戦闘機が無事ということで、東は安堵して、椅子に座りなおす。そしてしばらく考えると口を開いた。
「とりあえず特別対策部隊を作ってくれ。部隊編成は現地指揮官に任せる。特別対策部隊には、しばらく501JFWと共同で任務にあたるように指示してくれ。それと君は今わかっている情報をまとめて、こちらに送ってくれ。明日までで頼む」
『了解しました』
そういうと受話器を持ったまま、ボタンを押して電話を切る。そして電話番号を手早く入力した。
プルルルという電子音がしばらくした後に、電話がつながる。
『はい。防衛大臣室』
「統合参謀司令長官の東です。大臣につないでいただきたい」
『かしこまりました。少々お待ちください』
クラシックらしき音楽が、保留音として流れてくる。しばらくするとガチャリという音ともに防衛大臣の声が聞こえてきた。
『もしもし。私だ。どうしたんだ?』
「はい。先ほど海兵隊から報告がありまして、欧州方面でネウロイに電子攻撃を受けたと」
『それは本当か!?』
防衛大臣も驚いているらしい。
「はい。吉川上級大将には素早い情報収集と特別対策部隊の編成を指示しました。明日には詳細な報告がくると思います」
『うん。わかった』
幾分か落ち着きを取り戻した防衛大臣は、そう返した。
「それと、先日派遣したEM-1を特別対策部隊に加えることを許可していただきたいのですが」
『それは構わない。総理には、私から言っておく。とりあえず詳細が上がってきたら連絡してくれ』
「わかりました。では・・・・」
東は、そういうと受話器を置いて電話を切った。背もたれに寄りかかると、壁に飾られた日の丸を見る。
「ネウロイが電子攻撃か・・・・」
東のつぶやきは、だれもいない静かな執務室に響き渡った。
いかがでしたでしょうか?
原作だと、この時期にジャミングはないのですが、さすがにそれだと戦闘機隊にネウロイがあっさり狩られてお話にならないので。
ご意見ご感想お気に入り登録お待ちしております。
ではまた次回。さようなら
次回 第47話 特別対策部隊
お楽しみに
ネウロイの瘴気の正体は?
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1:放射線もしくは放射能物質
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2:有毒な重金属などの微粒子
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3:毒ガス
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4:日本でもよくわからない