ストライクウィッチーズの世界に日本が転移!?(リメイク)   作:RIM-156 SM-2ER

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いやぁ、ほんとこちらではお久しぶりです。SM-2です。
西側諸国召喚の方に集中してしまった結果、こちらの更新が遅れておりました。
お待たせして大変申し訳ございません。では、本編どうぞ。




第56話 少しずつ

今浦と坂本、宮藤の3人は、西部方面派遣軍経由で送られてきた書類をもってミーナの部屋に向かっていた。3人がミーナの部屋の前につくと、坂本かコンコンと軽くノックしてドアを開ける。

 

「ちょっといいか?この間のネウロイのデータだ」

 

そういうと持ってきた書類の束をミーナの執務机の上におく。坂本に倣って宮藤と今浦も同じように書類の束をミーナの机の上に置いた。

坂本は、その中からいくつか探してミーナの前に広げる。

 

「8月16日と18日に襲来したネウロイだが、奴が出現したときに各地で謎の電波が傍受されている」

 

坂本がそういうと、今浦は一つの書類に記されたデータを指さす。

 

「どれも周波数帯は違うそうですが、全部同時刻に観測されています。無関係だとは思えません」

「ええ・・・・」

 

どうにも心ここにあらずといった様子のミーナに、今浦は違和感を抱いた。しかし、無用な詮索はするまいとすぐに注意をデータの方に移す。

すると坂本が思い出したかのように今浦の方を向く。

 

「そういえば、頼んでいた電波の詳細な資料は?」

 

坂本は謎の電波に関する資料を今浦に頼んでいたのだ。この世界において、もっとも電子技術が進んでいるのは間違いなく日本であり、欧州にも多数の電子戦機が派遣されている。各地にもレーダーサイトと併設して電波監視所が設けられており、この謎の電波に関するデータを日本が持っていると考えたからであった。

期待する坂本に今浦は首を横に振った。

 

「西部派遣軍司令部経由で市ヶ谷に問い合わせましたがそれらに関する情報は秘指定を受けてて、公開できないとのことでした」

 

日中紛争後に日本の情報管理体制はかなり厳格なものとなり、公文書を管理するための部署である公文書管理局が設けられ、その中に機密情報の指定などを行う国家安全情報監査室が設けられた。

ここで機密情報の指定を受けた情報は一切の公開が禁止され、公開されるには一定年数がたち監査室の監査が必要となるなどアメリカの機密情報の取扱いに倣ったものとなったのである。

 

「そうか・・・・。なら自分たちで調べないとな。しばらくは忙しくなるぞ。バルクホルンやハルトマンにも伝えておきたいな・・・・」

 

少し残念そうにしながらも、文句を言うわけにもいかず。坂本はパッと頭を切り替えることにした。

すると、そばにいた宮藤が口を開いた。

 

「あの。バルクホルンさんならハルトマンさんと川野さんと一緒に今朝早く出ていきましたけど・・・・」

「え?なんで」

 

何も聞いていない今浦は、坂本と顔を合わせるとキョトンとした表情で、宮藤にそう言った。

 

「実は昨日、ロンドンの病院から妹さんが目を覚ましたって電話が。慌ててストライカーで飛んでいこうとするバルクホルンさんをみんなで抑えて、川野さんが”もう夜ですから明日にしましょう”って説得したんですよ」

「無理もないわ。バルクホルンにとって、妹は戦う理由そのものだもの。誰だって、自分にとって大切な、守りたいものがあるから戦える。そうじゃないかしら」

 

静かに諭すミーナの言葉に、先ほどまで面白そうにしていた宮藤は「はい」としか言えなかった。

 

――――――――――――――――――――

 

ロンドンにある公立病院―ネヴィル・チェンバース記念病院にバルクホルンの妹は入院していた。前ブリタニア首相の名前が冠されたこの病院は、日本とブリタニアが国交を結んだ際、友好の証として建てられたものであり、この世界としては未来の医療機器*1をそろえていた。医療水準も極めて高く、ブリタニア一の病院であった

その病院の一室の扉が荒々しく開かれる。突然のことに中にいた看護婦が「きゃっ」と短い悲鳴を上げた。

 

「ここは病室ですよ。お静かに」

 

咎める看護婦に荒々しく扉を開いた本人―バルクホルンは「すいません。急いでいたもので」と軽く謝る。するとベットの方からクスクスと笑う少女の声がした。

バルクホルンが声のする方に振り返ると、そこには彼女の最愛の妹であるクリスが身体を起こした状態で笑っていた。どうやらバルクホルンの様子を見て笑っていたようだ。

 

「クリス・・・・」

 

バルクホルンは久しぶりに妹の笑顔を見て気が抜けたようにふらふらとした様子でクリスに近づく。そしてクリスが両手を広げると、2人は抱き合う。

バルクホルンの後について入ってきたハルトマンと川野、そして看護婦はその様子を微笑ましく見守る。

するとクリスは、見慣れない男性の姿に気が付いたらしい。バルクホルンを放すと、視線を川野の方に向ける。

 

「あの、そちらの方は?」

 

カールスラントにいたころからバルクホルンと同じ部隊で戦っていたハルトマンとは、何度か顔を合わせたことがあるものの、川野に関しては完全な初対面であった。

川野が自己紹介を始める前に、バルクホルンが口を開く。

 

「ああ、私と同じ部隊で戦っている川野大翔少尉だ」

「初めまして。川野です」

 

川野はかぶっていた第81海兵戦闘航空団の識別帽を脱ぐと、軽く頭を下げた。

 

「え?でもお姉ちゃんの部隊ってウィッチ隊だよね?なんで男の人が?」

 

クリスの疑問は至極まっとうなものであった。ウィッチ隊で男性というと整備兵や後方支援要員が考えられるが、バルクホルンは「同じ部隊で戦っている」と言っていた。つまり後方支援要員ではないというのはクリスにもすぐわかった。

男性は魔法を使えない。であるならば、同じ部隊で戦っているとはどういうことなのか、クリスは首をかしげる。

 

「ああ、自分は日本国海兵隊から戦闘機パイロットとして、お姉さんと同じ501統合戦闘航空団で任務に就いています」

「501統合戦闘航空団?」

 

クリスは、501統合戦闘航空団が結成される前に意識を失っているため、いまいちぴんと来ていないらしい。するといつの間にかクリスの横にいたハルトマンが説明する。

 

「うん。世界中のウィッチが集められてできたんだ。トゥルーデと私以外にもミーナも参加しているんだ」

「日本には実戦投入可能なウィッチがいないので、戦闘機隊が派遣されているんです」

 

ハルトマンの説明に川野は補足を入れる。

初めて聞く話にクリスは驚いた。

 

「へぇ!お姉ちゃん。そんなすごい部隊に所属してるんだ!」

「ふふふ。まぁな」

 

どうやら妹に尊敬のまなざしを向けられて、鼻高々といった様子だ。ハルトマンは、腰に手を当てて胸を張り、自慢げにしているバルクホルンの姿を幻視する。

川野は、そのバルクホルンの自慢げな顔が生前の楓の様子と重なる。県の美術展で、楓の作品が入賞したときの妹の表情そのものであった。

川野は、ふと目頭が熱くなるのを感じる。

 

「あ・・・・」

「どうしたの?」

 

つい出てしまった小さな声を、横にいたハルトマンは聞き逃さなかった。川野の顔を覗き込むように見てくる。

ハルトマンのその声で、バルクホルンもクリスの注意も川野に集まる。

 

―大丈夫だ。まだ、泣いてはいない・・・・

 

頬を掻くふりをして、まだ涙が出ていないことを確認した川野は、自分がこの感動の空気を壊してしまう前に、この部屋から立ち去ることにした。

 

「いえ。少しトイレに行きたくて・・・・。あ、自分はそのまま車に戻ってますから、大尉らはごゆっくりしていてください。」

 

川野はそれだけ言うと、まるで逃げるかのように足早に部屋から出て行った。

 

ルクホルンだけでなくハルトマンも川野の様子に首をかしげた。

ふと、バルクホルンがクリスのほうに視線を戻すと、クリスはとても真剣そうな顔で川野が出て行った扉を見ていた。

 

「クリス?どうしたんだ?」

「あのお兄ちゃん。とっても苦しそうな顔してた・・・・」

 

クリスにそう言われると、確かに川野がとても苦しそうな顔をしていたことにバルクホルンらも気がつく。

そしてバルクホルンにはその理由がなんとなく予想がついてた。

 

―妹のことを思い出していたのか・・・・

 

じっと川野の様子について考えていたバルクホルンであったが、クリスのことを思い出してベットの上に座る愛しの妹のほうを向く。

すると今度はクリスはバルクホルンをじっと見ていた。

 

「どうした?私の顔に何かついてるか?」

 

しばらくじっと見つめてたクリスだが、しばらくしてフフッと笑う。

 

「お姉ちゃん。今日はもういいよ」

「え?」

「私は大丈夫だし、それにまた都合が合うときに会いに来て」

 

なぜ妹がそんなことを言い出すのかわからず、バルクホルンは困惑した。もしや妹に嫌われたのかもしれないと、本気で焦る。

 

「どうしたんだ?その・・・・うれしくなかったか?」

「ううん。そんなことないけど、あのお兄ちゃんのこと心配そうにしてたから」

「ッ!」

 

どうやら目の前のいとおしく賢い妹はバルクホルンの心境などお見通しのようだった。

 

「今度また来て。その時に面白い話いっぱい聞かせて」

 

バルクホルンは複雑そうな顔をして、腕を組んで考える。しかし、しばらくするとクリスの頭をやさしくなでてほほ笑んだ。

 

「・・・・わかった。すまないな、クリス」

「ううん」

 

そういうとバルクホルンはハルトマンを連れて病室から出て行った。

 

――――――――――――――――――――

 

一方、川野は中庭にいた。

中庭の真ん中にある大きな木の木陰にある白いベンチにドカッと腰を下ろすと背もたれに完全に体をゆだね、空を仰ぐ。ときどき吹くそよ風が心地よい。地球にいたころの日本と違って、ここは高緯度のブリタニア、なにより地球温暖化がそこまで進んでいないこともあって夏でも過ごしやすい気温だ。

 

「・・・・俺は、どうしたらいいんだろうなぁ・・・・」

 

自分自身に向けたものか、はたまた天国にいる妹に向けたものか、だれに向けたのかわからない問いが自然と口から出てきた。

バルクホルンとの一件以来、こうして自問自答することが時々あった。

もともと川野は、兄として妹を守れなかった責任を感じていた。そうして自分を責めて、苦しめて、自分には幸せになる資格はないと心に言い聞かせてきた。

しかし、バルクホルンとの一件以来、自分のこの生き方にも、疑問を持つようになっていたのだ。

今思えば、バルクホルンにあれだけ怒りをあらわにしたのも、同族嫌悪の一種だったのかもしれない。

 

 

そうして、どれくらいの時間がたったであろうか。ふと自分に近づく気配を感じる。川野は顔を上げて、気配の方を見ると、そこにはバルクホルンがたっていた。

川野は、すぐに立ち上がるとビシッとした表情に変わる。ここの気持ちの切り替えは、さすがは軍人というべきだろうか。

 

「もうよろしいのですか?」

「ああ」

「わかりました。では、帰りましょう」

 

そう言って川野は歩き始めるが、バルクホルンはその場に立ったままであった。その様子を不自然に感じて、川野は首をかしげる。

 

「どうしました?」

「・・・・妹さんのことを、考えていたのか?」

「ッ!」

 

バルクホルンの言葉に、川野は目を見開いて驚いたような表情を一瞬だけ見せるも、すぐに恥ずかしさと申し訳なさとが混ざったような表情に変わる。

 

「わかりましたか?」

「ああ。というよりクリスが、お前が苦しそうな表情をしていたというからな」

 

その言葉に、川野は一層申し訳なさそうにする。

 

「それは・・・・。申し訳ありませんね。変な気を使わせてしまいましたか?」

「いや、そんなことはない。大丈夫だ」

 

二人の間に沈黙が舞い降りる。

その沈黙を破ったのは、川野であった。彼は突然、くるりと体の向きを変えると、先ほどまでいた木の方に歩いていく。そして、木のそばに立つと幹に手を当てて、上の方を見る。

そして、静かにしゃべり始めた。

 

「最近、わからなくなるんです。こんな生き方でいいのか、って・・・・」

「どういうことだ?」

 

川野は、またくるりと体の向きを変えて、バルクホルンの方を向く。

 

「前に、大尉に偉そうなこと言いましたけど、本来、自分が言っていい言葉じゃないんです。あの事件以来、自分のことをせめて、自分は幸せになる資格はないと言い聞かせてきた自分には・・・・。すごい矛盾ですよね。自分はそういう生き方してるくせに、他人にはするなっていう。今思えば、大尉の生き方をあれだけ嫌ったのは、鏡で見ている自分みたいだったからなのかもしれません」

「・・・・」

 

川野の言葉に、バルクホルンは何も言わない。それでも川野は続けた。

 

「大尉にああいった自分が、こんな生き方をしているべきじゃないのも、死んだ楓が望んだ生き方がこれだないのも、わかってるんです。でも気持ちの整理がつかないんです。今も、自分の腕の中でぐったりする楓が思い出されて、兄として何もしてやれなかった悔しさが思い出されて、どうしても出来ないんです」

「・・・・・」

 

ここまで来ても、バルクホルンは何も言わなかった。川野はくだらない話をしてしまったと、反省する。

 

「いや。今の話は忘れてください。じゃぁ、戻りましょうか」

「なんで、すぐに変えようとしているんだ?」

 

そう言って川野が歩き始めたところで、バルクホルンはようやく口を開く。

 

「すぐに変えなくてもいいじゃないか。少しずつ、少しずつ、一歩一歩乗り越えて、前に進んで行くことはできないのか?時間をかけて、乗り越えていけないのか?」

「少しずつ・・・・ですか?」

「そうだ。すぐに変えるのは難しくても、少しずつならできるはずだ。その過程では、苦しいこともあるかもしれない。でも、そういう時は私たちを頼ってくれていい」

 

バルクホルンは、いったんそこで区切ると、懐かしむような顔で続けた。

 

「前に、ミーナに言われたんだ。私たちは家族だと。ならお前も私の家族だと思う。家族っていうのは、苦しいときに頼ったり頼られたり、支えあって生きていくものじゃないのか?」

 

バルクホルンはグイッと顔を川野に近づける。

 

「お前は私を助けてくれた、なら今度は私がお前を助ける番だと思う。お前が、前に進めるまで私がそばにいてやる。だから、苦しいときは頼ってくれないか?可能な限り助けるから」

 

川野は、バルクホルンの言葉にぽかんという表情を浮かべていた。

そして同時に、バルクホルン自身も、自分の言葉が別の意味に聞こえることに気が付いた。顔が熱くなるのを感じて、バルクホルンは必死に訂正しようとする。

 

「あ、その。今のは違くてだな・・・・」

 

そんなバルクホルンの様子をみて、川野はフフッと笑い声を漏らす。

 

「失礼。ありがとうございます、大尉。苦しいときは、遠慮なく頼らせていただきますね」

 

何か一つ吹っ切れた様子の川野の表情に、バルクホルンはほっと一安心する。

 

「ああ、わかった」

「では、そろそろ帰りましょう。中尉も待ってるでしょうし」

「そうだな」

 

バルクホルンは川野に促され、車の方に歩いていく。川野もそれを追って車に向かおうとしたとき、ふと背後の木から葉っぱが飛んできて、川野の肩に乗っかる。

 

「これは・・・・・」

 

その葉っぱを手に取ってみると、楓の葉であった。

川野は、妹が「がんばれ」と自分を励ましているように思えた。

 

「そうだな。頑張らないとな・・・・」

 

そう言って、楓の葉っぱを少し見つめた後、手を放す。風に乗ってふわりと浮き上がるのを見ると、彼は再び歩き始めた。

*1:
日本の病院から寄付された中古品




いかがでしたでしょうか?
ようやく川野君救えたよ・・・・( ;∀;)。とはいえ、やっぱり私はそういう描写を書くのがどうにも苦手らしい。納得がいまだに言ってない・・・・。
ああいうのすらすら書いてる人すげぇなぁ。
ご意見ご感想お気に入り登録お待ちしております。ではまた次回。さようならぁ・・・・

次回 第57話 パ・ド・カレーのゴースト

お楽しみに

ネウロイの瘴気の正体は?

  • 1:放射線もしくは放射能物質
  • 2:有毒な重金属などの微粒子
  • 3:毒ガス
  • 4:日本でもよくわからない
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