206X年の平行世界   作:胡麻豆腐/tfstorage

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206X年 "あの事件"が起こらなかった世界線


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月曜日、それは1週間の始まりを意味する。そして、人類の活動が活発になる合図でもある。

眠りに就く者、起きて働く者。このアパートの一室に住む夫婦は後者であった。

 

第二世代自律人形のNTW-20は桃色の長い髪とガーネットのような瞳の悠然とした性格の持ち主だ。彼女が目を覚ますのは時計が6時を告げるより早い。

「んぅぁ〜 まだ眠いな」

まだ体が起きていないことを自覚した彼女はベッドから出て身体を伸ばす。

それが効いたのだろう、彼女を構成する生体部品の動きがスムーズになる。

身体も覚醒したことを確認し、彼女はキッチンに向かう。最新とは程遠いが使い勝手の良いキッチンは入居時にリフォームされたもので、NTW-20のスペックに合わせた仕様になっている。

「今日の朝食は何が良いだろうか、冷蔵庫に何かあったっけ」

そう言って冷蔵庫を漁る。そして彼女の眼に入ったのは先日のセールで買った卵とロースハム。

「ハムエッグがいいな。あとは珈琲を淹れて、パンをトーストして……」

独り言を呟きつつも彼女の手は止まらない。手際良く調理を進める彼女の脳内には既に最適なプランが描かれている。

「おはよう、ダネル」

「おはよう、指揮官。もう6時を過ぎているぞ。早く顔を洗ってくると良い」

指揮官と呼ばれた寝癖の目立つ男はまだ完全に起きていないのか呻き声を漏らしつつ、洗面所に向かう。

その間も休まず手を動かしていた彼女は出来たばかりのハムエッグを皿に盛り、食卓に運ぶ。

寝癖が直り、やっと意識がはっきりしてきた指揮官が戻ってきた。

「「いただきます」」

二人だけの食卓はスペースが少々広いが、むしろ彼女達にとっては丁度いいようにも感じられる。

「うん、美味しいな」

「そうだな、今日のは上手くいった」

二人の間に言葉は大して必要ない、互いの心が深く繋がっている証拠でもある。

静かで幸せに満ちた食事を終え、それぞれの仕事にむけての準備をする。

 

ダネルは去年の春からスプリングフィールドの経営するカフェで働いている。彼女の勤勉さは腕を磨くのに十分で、今ではスプリングフィールドに匹敵する程の技術を見に着けている。

指揮官は人形製造会社 I.O.Pの16LABに勤めている。彼の仕事はその性質上表に出ることは滅多にないが、第二世代自律人形の根幹に関わる部分を知っている。だからこそ、I.O.Pは監視の意味も含めて彼に誓約の指輪を渡したのだろう。しかし指揮官にとって、指輪を渡されたことはNTW-20との仲を進展させる良い機会に過ぎなかったのかもしれない。

その後彼はダネルと誓約し、今に至る。

 

それぞれが身支度を終えて家を出る頃には太陽も昇りきり、街を照らしている。

天気は快晴、夜に雨が降ったのか道路には所々に水溜まりの跡。春はまだ始まったばかりである。




ネタ切れまでは続けます。できれば定期投稿したい……
この世界に関する設定はまだ詰めきれてない所があるのでしばらく時間をください。
次話更新予定 8月中
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