水色の双璧   作:藤堂桐戸

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明けましておめでとうございます!

気づけばもう年越し。時間が経つのは早いな〜と思いつつちまちま書いていこうかなと思ってます
それと今回は自分でもん?って思う物になっちゃいました。これからどうしようか〜と続きを考えて自分で納得出来無ければこれを削除して別の道での話を再投稿するかもです


お引越し

「お〜い、そろそろ荷造りを始めろ」

 

「面倒くさいです。近藤さん」

 

「そうか。ならしなくてもいいぞ?俺が纏めて処分しておくからな」

 

「冗談ですよ……仕方ない、始めるか……」

 

近藤さん。今俺がお世話になっている施設で数少ない会話をする職員だ。氷川から逃走して四日目、施設内はお引越しで大忙しだ。というのも、俺と数名の入居者が別の住居へ引っ越しをするということで職員達はバタバタしていた

 

引っ越しといっても根本的に別の施設に移動する訳ではなく、俺が今居る施設が管理している住居へ移動するというものだ。俺が知っているだけでも児童養護施設は二つに分けられる

 

一つ。一つの大きな住居を施設化し、一箇所で入居者を管理する施設

これは広い敷地に施設を建てて入居者を自由に生活させるというものだ。外観としては大きめの幼稚園みたいなものだな。居住区と自由に遊べる敷地と別れていてそこ一箇所だけで生活をさせる施設だ

 

二つ目は地域密着型の施設だ。

どちらかといえば俺はこっち側の施設に属しているといえる。これは簡単に言えば一箇所の本園を筆頭に各地域にある一軒家等を使って住まわせる感じだ。

分かりにくいだって?なら警察署と交番を思い浮かべろ。大きめの施設と小さい施設と置き換えれば分かりやすいだろ?施設統括である本園と小さめの施設の分園。

と言っても分園の方は何もここが施設だとは明記していない。外観は普通の一軒家だ。子供達を守る上でも、大事な事だな

 

それと、この方式は児童相談所も使用している。知っての通り児童相談所は施設とは違って児童虐待等の子供を助ける為の相談所だ。ここで虐待じゃないのか?と地域の住人から通報を受けた職員がその場へ向かい、話を聞き必要なら保護を行うというのが主な仕事だ

と言っても、児童相談所で保護された子供がすぐさま施設へ入れられる訳ではない。児童相談所は予め、児童保護用のシェルターを持っている。保護された子供は一時的にここへ入れられ、一定期間すると親元や親戚へ引き渡されるか児童養護施設へ入れられる。

児童相談所のシェルターは相談所から離れた位置に置かれている。勿論外観は普通の一軒家だ。子供を保護する上でも、このシェルターについての情報は流してはならないと絶対厳守される。職員は勿論、入居者にもこれは適応される。先に出ていった入居者がシェルターの事を話してしまうと後の入居者にも影響が出てしまうからだ

 

施設児になるとこういった情報秘匿の責任を背負う事になる。どんな小さい子でおいてもだ

 

まあ、自分の事はそうそう話す事でも無いし、大体はこれらの情報は守られている。今回は本園に住んでいる俺が分園へ移動する事となった。他の子もな。

俺はもうこの地域で安全に生活出来ないと判断され、晴れて俺はこのくそみたいな街からおさらば出来ると言うわけだ。本当ならもっと早く移動したかったのだが……

 

今更グチグチ言ってもしょうが無いし、俺は少ない荷物をダンボールへ詰めるが……何ということでしょうか。普通のダンボール二個で俺の部屋はスッカラカンだ。これに関しては驚きだな。今ちまたで言われているミニマリストってのに近いかもな。こんな少ない荷物で生活出来ていたとは……

 

とにかく、俺はほっそい身体で頑張ってダンボールを引っ張る。持っていくんじゃないのかって?

 

悪いな。体重46キロの俺には物を詰めたダンボールは重すぎるんだ。だから端っこを持って頑張って引きずり、たま〜に押したりして運んでいた

 

「お〜い、何ダンボール引きずってるんだ。しっかり持ちあげろ」

 

「重いから嫌です。クソっ…流石に二個同時に運ぼうとしたのは欲張り過ぎたか……」

 

「それは置いておけ、後で運んどいてやるから。それよりも、お客さんだぞ」

 

「………はい?」

 

「何ポカ〜ンとしてるんだ。お前にお客さんだ、まさかお前にあんな可愛い友達が居るとは思わなかったぞ?」

 

「………まさか髪が水色だったり、氷川紗夜だとか名乗った俺と同い年くらいの女の子じゃないですよね?」

 

「そうだが?友達ならさっさと迎えに行ってやれ。今外で待ってるぞ?」

 

「はあぁぁぁ………」

 

まさかとは思ったが本当に氷川とは……ため息しか出ないな……

どうやってここに居ると調べたんだ?施設暮らしとは言って無いし、クラスの奴らから付けられないように何キロも迂回して日々後ろを気にして登下校してたのに……

いや、あいつの執着心ならもしかしたらゲームみたいに何か特殊なスキルでも使ってバレずにストーカーしたんだろうな。おのれ氷川紗夜め……

 

潔く俺は施設の玄関前に向かってみると、居たよ居たよ。この寒空の下微動だにせずに門で待ってるよ……

 

「この寒い中よく来たな?」

 

「もっと早くから伺う事は出来たのですが……何かと障害が生じてしまって……」

 

「「……………」」

 

おいなぜ無言になる。外で長話なんてしたくないぞ。これならしっかりと防寒してくれば良かった。部屋着で外に出るもんじゃないな………仕方ない。さっさと要件聞いて追い返すか…

 

「で?何の用だ。氷川」

 

「紗夜と呼んでください。親しい間柄に名字で呼び合うのはおかしいと思いませんか?響さん」

 

「いつ親しくなった、いつに。下らない要件ならとっとと帰れ。俺だって暇じゃ「今日引っ越すみたいですね?」……なぜその事を知ってる」

 

「盗聴させてもらいました。貴方の服に紛れさせて、日々の会話等をしっかりと。最近は欲求不満みたいですね?夜になるとしてる声が聞こえてきますよ?」

 

俺はその場で崩れざる負えなかった。だって考えてもみろ。今あいつが懐から取り出した無線機みたいなので全て聞かれてたんだぞ?あの事やらあの恥ずかしい事も聞かれてたかと思うと……うぅ…何故だろう、目から水が……

 

「性欲なら私が満たしますよ?なんなら、今からでも……」

 

ガチャン

 

不吉な音と共に右手首に妙な違和感が。見てみると灰色の妙な腕輪が俺の右手首に付いていた。というか、地味に重い……って!!

 

「なんだこれ!?」

 

「腕輪ですよ?貴方を逃さない為の特注品です。貴方が何処へ移動するかは分かりませんでしたから、今まで貯めていた貯金で作ってもらいました。少々値は張りましたけど」

 

「わざわざそんな事までするのか!?んっ!おまけに外れない!!」

 

「外すには専用の鍵が必要ですよ。それと、今の私の身ぐるみを剥いでも無駄です。鍵は置いてきましたから」

 

「なら、壊すだけだ!!」

 

ガンッ!!

 

地面のコンクリートに向かって思いっきり叩いたが、この腕輪はびくともしなかった。むしろぶつけた衝撃が直に響き渡ってきてすごく痛い……

 

「貴方が私の物になってくれるのでしたらこんなことをする必要は無かったんですが……仕方がないですね」

 

「お前の物になれって?奴隷か?下僕にでもなれと?」

 

「まさか。あなたとは対等でいたいものですよ。でも、私から離れて他の人に染まるのは我慢ならなかったので。私から離れないで、私と共に生きていくと約束出来るのなら、その腕輪を外してあげます」

 

「っ……またその目か」

 

話をしている間にも氷川の目は暗くなりつつあった。後ろでは引っ越しの準備をしている職員達が横行してるし、なんなら他の入居者も集まってきててかなり気まずい。この数分で俺の氷川の評価は確定した。

 

母親と同じ、精神異常者だとな。もっとも、異常と言っても根本的に何かが違う気はするが……

 

「腕輪が嫌でしたら首輪等もありますけど、どうしますか?と言っても作りは同じですから付ける場所が変わるだけですけども」

 

「そこまでして俺を拘束したいのか。この異常者が……」

 

「貴方に何と言われようと、私の意思は変わらないです。目的の為にも、私は立ち止まる時間も惜しいのです」

 

「目的だって?こんな事をしてまでなし得たいお前の目的って何なんだよ」

 

「………私と貴方が救われる未来を作る事ですよ」

 

「…………」

 

こいつ、今なんて言った?

 

救われるだって?あれか、俺が普通の人間になって平穏な生活を送れる事を言うのか?それとも二度と苦痛を受けない安らかな人生を作るとでも?

 

下らない………実に下らない!!!

 

氷川紗夜、お前は実の両親が犯した汚名を着せられ、過去という鎖に囚われ続けて、日常的にもその鎖が引き上げられ晒される身分か?

 

いいや違う!!こいつは自分の主観と価値観から全てを決めて押し付けているに過ぎない!相手の苦痛を知ろうともせず、相手の辛さを知らず、ただ自分の思いだけで人を動かそうとする………俺は何も知らない人間が、ただの好奇心や探究心で過去の事を掘り返してくる人間が一番嫌いなんだ!!!

 

ガシッ

 

「!!」

 

「おい、今すぐこの腕輪を外せ」

 

「っ……ぁ……!」

 

気がつけば俺は氷川の首を掴んで自分が出せるだけの腕の力を出していた。他人の目など気にせず、ただ一人の人間に全てを集中させて。ジタバタと抵抗してるが俺は一切力を緩める事はせずただ氷川の首を締めていた

 

バチッ

 

「っ!!」

 

「っはぁ!!……はぁ…はぁ……」

 

この感覚!またスタンガンか!?

 

身体が痺れて動けず、その場で倒れ込んでしまった。迂闊だった。こいつが武器を持っている事を想定していなかった……いや待て………

 

なぜ俺は氷川の首を締めたんだ??

 

頭に血が登っていたとはいえ、すぐさま手をあげた事は今まで無かった。なのに、何故氷川に対してだけ、殺してしまう可能性がある事をしてしまったんだ??

 

頭がスッと冷えるように一気に冷めた俺は今自分がした事を後悔していた。人の目を気にして頑張って後ろを振り返ってみるとなぜか人っ子一人居なかった。いや、それはむしろ好都合なのだが……

 

「はぁ……流石に驚きましたが、念の為持ってきて置いて良かったですね。それにしても貴方がこんな強硬手段に出るとは思っていませんでした。これからは気をつけないとですね」

 

「っ……!」

 

「睨んでも無駄ですよ。これの効力は貴方だってよくわかりますよね?動けないのは分かっています。それにしても、何が気に食わなかったんですか?突然首を締めてくるなんて、ただ事ではないですよね?」

 

「………」

 

「無言ですか。少し電力が強いかもしれないですね。次からはもう少し弱めのを使う事にしますね。それと、貴方が私と来れざるおえない状況を作っておいた方が、良さそうですね」

 

「??」

 

「お母様が脱走して、貴方のことを探しているみたいですよ?」

 

「!!?」

 

「詳しく知りたいのでしたら、私の物になってください。施設職員はこれを隠していたみたいですが。そうするのでしたら、貴方を匿い、貴方の存在を黙秘してあげます。響さんはもう世に出る身分。施設以外にも隠れられる場所が必要ではないですか?友人も知り合いも居ないみたいですからね」

 

「っ………」

 

「何でも知っていますよ、貴方の事は。過去の事は勿論、貴方の家柄、身分、これからのどう生活していくのか等。ですが引っ越し先の事だけはどうしても分からなかったので致したかなく腕輪を付ける事になってしまいましたが。もう知らない事は貴方の身体くらいですが、それは後に。今は施設に戻りましょうか。ここだと冷えますからね」

 

そう言うと氷川はこの前と同じように俺を背負うと施設の中へ入っていった。しかし、本当に全てを盗聴して知っているとすれば氷川はこれから先かなりの障害になりうるだろう。この調子であれば何時まででも何処へでも追いかけて来るのは目に見えるし、逃げ続けるのは困難にも思える。

それに、あの母親が逃げ出したという事も気になる……施設職員や児相職員にしか俺の両親の事は知らない。母方の祖父母は他界しており、親戚達とは関わりが無いと聞いているしな。病院生活は一部の人間にしか知らない事実だ。

 

これから先、氷川と母親に付き纏われる事を考えると、どちらかと一方に加担する必要がありそうだ。まだまだ、俺の生活は波乱を巻き起こす事となりそうだ……

 

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