「よく来たな、カムイ」
「はい、父上。お久しぶりです」
ここは、暗夜王国王都ウィンダム。暗夜王国の王都だ。
「聞けば、竜の力をその身に宿したという。マークスが絶賛するほどの力とは興味深いな」
「いえ、自分の力などまだまだです。上を見れば、果てはありませんから」
「...まるで大海を知ったかのような口ぶりだな」
「ええ、実に奇妙な出来事がありました。所詮夢といえばそれまでなのですが、それでも経験と知恵と絆が自分を強くしてくれたのだと思います」
「ほう、ならば我に示してみろ、カムイ」
そうして、玉座の間の後ろのドアが開く。そこには、暗夜の兵士に6名の兵士が縄で縛られて連れてこられていた。
装いから言って、白夜王国の兵士だろう。
「知っての通り、我が暗夜王国は東方の白夜王国と戦争の最中にある。故に、王族に求められるのは力だ。『真祖竜』の血を引く我らには、単騎で一隊を滅ぼすことは容易いこと。マークスもレオンもカミラも、その力を持っている。故に...」
「ええ、分かっています父上」
「これが噂に聞いた組手タイムアタックですね!6人とは珍しいですが、やってみせますよ!」
瞬間、父上が固まった。周りにいるきょうだいたちも家臣達も固まった。
何かおかしな事を言っただろうか。
「...まぁ良い。カムイよ、その力を示せ。この、魔剣ガングレリを使ってな」
「ありがとうございます、父上!」
剣を受け取ってから軽く何度か振る。赤くならないキルソードのようなものに感じられた。なにかスマッシュボームのような空気を感じるので、恐らくは爆発物の類だろう。
とすれば、剣として使うのは危険か。いつも通り使うとしよう。
「二刀流?」
そう呟いたのはギュンターだ。このスタイルに違和感を覚えたのだろう。
「カムイ様、慣れぬ使い方は体を壊しますぞ」
「安心してくれギュンター。これが、僕のスタイルだ」
鉄の剣を右手に、ガングレリを左手に持つ。
「では、白夜の敗残兵を仕留めるが良い。その魔剣を使ってな!」
「カムイ様、我らもお伴しましょう」
「そうですよ!カムイ様1人に無理はさせられません!私たちはカムイ様の剣も同じなんですから!」
「ええ、我らの暗器術、見せるとしましょう」
「大丈夫だ、ギュンター、フェリシア、ジョーカー」
正直に言えば、その心意気はとても嬉しい。家族同然に思っている皆が自分のために戦うと言ってくれるのだから。だが、問題があるのだ。重大すぎる問題が。
「正直、ヘイトが逸れて巻き込み狙えなくなる方が困る」
その言葉に頭を抱えるギュンター。自分は組手のセオリーを言ったつもりなのだが、何かおかしい事だっただろうか。
「では、危ないと思った時は勝手に手を出させていただきます」
「大丈夫だ」
「100組手の経験はある。だから、遅くても1分以内で終わらせてみせる」
「ほざいたな!暗夜の王子!我は炎の部族の族長の娘、リンカ!」
「カムイだ。短い間だが、よろしく頼む」
「カムイ...ッ⁉︎」
「どうしたスズカゼ」
「...なんでもありません。私はスズカゼ。白夜の忍です。では、よしなに」
「やれ、カムイ」
そのガロン王の言葉と共に縄が解かれて白夜の兵士が一斉に攻め立ててくる。
ので、まずはガングレリをスマッシュ投げにて放り投げる。どうやら、かなり吹っ飛び率は軽いようだ。これなら、この王城から逃がしてやることもできるかもしれない。
そう思い、レオンにアイコンタクトを飛ばす。優秀な弟であるレオンは意図を汲み取って、吹っ飛んだ先にクッションを作ってくれたようだ。ブリュンヒルデの命を操る力は、木々を自由に生み出すことができる。飛び道具をNBしか持たない自分では戦うのにすこし苦しいだろう。
そんな考えは傍に置いて、なにが起こったか分かっていない白夜の兵士を盾にしてダッシュで距離を詰める。
「そんな単調な動きでは!」
スズカゼの投げてくる手裏剣。ゲッコウガさんほどの牽制力もバースト力も感じないが、念のため回避しておこう。
ダッシュの慣性のままジャンプ、そして空中にいる自分を狙うその手裏剣を、とりあえず空中Nでかき消しつつ白夜の兵士を捕らえる。そして宙に浮いた所を着地後すぐの上強で浮かせて、ジャンプして空上でクッションのある場所にバーストする。
「流石に強いか!お前たち、防陣を組め!仲間を信じて守りを固めろ!」
と、リンカの声で何故か二人組で残った兵士たちが固まっている。あれが、互いの絆を深める支援を作るという
だが、そんなものはチャージさせなければ問題はない。連携が完全になった時に支援防御が発生するのが防陣だと兵法書で読んだが、それには防陣に慣れないといけない。
つまり、今のままでは単に的が固まっただけなのだ。
降ってきたガングレリをもう一度掴み、またしてもスマッシュ投げ。
今度は固まっていた2人同時にバーストすることができた。
「一斉にやるぞスズカゼ!我ら白夜の誇りを見せるのだ!」
そして、やってくるリンカとスズカゼのコンビ。金棒による剛撃、手裏剣による牽制、どちらも一級品だ。
だが、それ故に対応はやりやすい。
自分には、超一流といっていいほどの実力者達と戦い続けた経験があるのだから。
リンカさんの大振り、恐らくはスマッシュに対して緊急回避で内側に潜り込む。そして、すかさずの下B、スズカゼさんの手裏剣に反応して竜化を起こし、纏めて上空へと弾き飛ばす。
それをもって、6人全員場外に弾き飛ばす事に成功した。
「タイムは⁉︎」
「...カムイ様、誰も計ってはいないかと」
「...しまった、計測係を頼むのを忘れてた」
こういう時にしれっとストップウォッチを差し出してくれるゲームウォッチ先輩はいないのだ。気をつけなくてはならない。
「見事な力だカムイ。その力で暗夜に尽くすが良い。次なる司令は追って下す。今は休むが良い」
「はい、父上」
そうして、父上の目を逃れて暗夜から白夜兵を逃がした自分たち。疑わしげな目を向けられているが、それは仕方のない事だろう。戦争をしている敵国の行為なのだから、裏があるとみられてしまってもおかしくはない。
「カムイ兄さんに感謝するんだね。じゃあ行きなよ」
「傷は私がちゃんと直したから大丈夫!」
「...暗夜の王族が、どうして私たちを助ける?」
「理由はないよ」
「だって、死ぬ事はないから。沢山戦ってる敵国だって、いつか仲良くなれるかもしれない。いつか、手を取り合えるかもしれない。そういう未来を願った方が、楽しくない?」
それは、何度となくファイターと、洗脳されたスピリットと戦ったあの決戦の日々と、その後の自由に戦いを楽しむことができたあの日々が積み重ねて作られた僕の思い。
敵だからといって、憎しんでいてばかりはいけない。
敵だからといって、好きになっていけない訳はない。
だって、先ほどまで一対一をやっていた相手と協力してトップを追い落とすなんて作戦を即興で行うのが、できるのが大乱闘なのだから。
それはこの世界での戦争とて同じ事だろう。きっと。
「戦いが終われば、ノーサイド。そうなれるって信じてる」
「...暗夜王子カムイか、覚えておこう」
そうして、白夜の兵士達は去っていった。
「なぁ、マークス兄さん」
「どうしたカムイ」
「白夜と同盟関係を結ぶにあたって、障害になっているのは何かな?」
「...白夜との同盟か、考えたこともなかったな」
そうして、そのままの流れで白の資料室へと向かっていった。
「白夜と暗夜の戦いの始まりは、白夜側の関税か」
「ああ、昔において、暗夜と白夜は手を取り合っていた。しかし、白夜に欲が出たのだろうな、鉄しかない暗夜と豊かな土地を持つ白夜。当時は鉄を加工する技術を対価とする事で成り立っていた食物の貿易が途切れてしまった、そして、暗夜は生きる為に剣を取るしかなかった。随分と皮肉な歴史だな」
「でも、昔は交流できていた。それは大きいと思うんだ。暗夜は、戦争に特化した国になってしまったから簡単には止まれない。やるなら大きな変革が必要だ」
「マークス兄さん、王位の簒奪やってみない?」
暗夜王国における歴史の転換点は、きっとここにあった。
暗夜に生きたきょうだい達の、この国をより良くしようという願いから。
細かい設定は適当ですが、多分こんな感じじゃないかなーとはプレイしてた時から思ってました。白夜側が正義正義しすぎて裏がありそうにしか見えなかったのです。そう、蒼炎のベグニオンのように!