「カムイよ、何故に戻ってきた?役目を果たせず、己が運命を知りながら」
「そんなものは決まっています父上。暗夜王国の王族である自分の行動の目的など、ただの1つ!暗夜王国を救うために僕は今ここにいる!」
ガロン王の濃密な魔力が、俺を襲う。
それに対して、しっかりと。気持ち的に前にずらしを行なっている感じで対峙する。
ここ、暗夜王城クラーケンシュタイン城にて数多の兵士に槍を向けられながら、僕はいた。
「ほう、暗夜王国を救うとな?」
「ああ、この暗夜王国を救うには、父上の戦争方針が邪魔だ。だから、父上には玉座から退いてもらう」
『カムイ兄さん、そこの兵士達の説得は終わってる。いつでも行けるよ』
『ありがとう、本当にできた弟だよレオンは!』
「リリス!」
「はい!」
リリスが虚空に手を出して、そこから白夜王城の玉座を取り出す。
操られた者を正常に戻す力を持つという、神秘の玉座だ。
僕が座ったら頭が竜になったので、効果は折り紙つきだ。半人半竜が僕の真の姿だったのだ!とは特に驚きはしなかった。だってもう竜への変化は崖への復帰で距離が足りてる時に緊急回避を使うことくらいに日常になっているのだから。
あと、技を使うときいちいち変化するらしいし。
「さぁ!ここに取り出したるは白夜王城より盗み出した神秘の玉座!ここに座る事で、その者は本来の心を取り戻すことができる!その証拠として、僕は実の父上である白夜王スメラギが矢の雨に打たれながらあなたに致命傷を負わせたのを僕は思い出した!」
嘘である。いや、父上(真)のことはなんとなく思い出してはいるのだが、それがそんな鮮明になっている訳はない。
レオンと共に、どうやったら父上を煽れるかを考えた結果が、嘘を交えた説得なのだ。
「ほう?」
「つまり、この椅子に座る事が出来ないのであれば、父上は僕を攫った少し前から心を奪われてしまっているという事だ!異形神ハイドラの手の者によって!」
兵士達が槍を下ろし、リリスの取り出した玉座への道を作ってくれる。
そうして、玉座を普通に持ち上げてガロン王の前に玉座を叩きつける。
「この椅子に座ること、それで何もなかったのならば僕は命を断ちましょう。しかし、この椅子に座る事が出来ないのであれば...あなたは!暗夜王国を私物化し、戦争を無駄に引き伸ばした大罪人だ!」
「さぁ、この椅子に座るか、座らないか!選べ!」
「ククク、そんなものは決まっておろう。そのような見え透いた罠にかかるとでも思っておるのか?役割を果たせずに舞い戻ってきたヒトモドキよ」
「つまり、それが返答なんだな」
「マークスよ、こやつを殺せ!」
そうして、マークス兄さんがおれの前に立ちふさがる。
だから、その目を見る。
今のやりとりで、マークス兄さんは覚悟を決めてくれたようだ。
ジークフリートを横薙ぎに払うように放ったマークス兄さん。そして、その剣の上に着地する僕。
「カムイ、行けぇ!」
「はい!」
そのまま、剣の腹を使って僕をガロン王の元に投げ飛ばしてくれるマークス兄さん。
カミラ姉さんが周囲の説得できていない兵士達を抑え、レオンは軌道調整のためにブリュンヒルデを起動させている。
「マークス、貴様⁉︎」
「私は、弟達の突き止めた真実を信じる!それが長兄である私の在り方だ!」
そして、父上は手元に置いていた斧で迎撃を仕掛けようとしたが、そんなのは読めている。斧が当たる寸前で緊急回避を行い斧をすり抜け、父上にダッシュ掴みを当てる。
「貴様⁉︎」
「せい!」
つい癖で膝を1発入れてしまったが、まぁ誤差だ。逆投げにて玉座へと放り投げ、それをレオンがブリュンヒルデの重力操作により正確に玉座に座るようにコントロールされる。
そうして、父上は白夜の玉座に、真実を明らかにする玉座に座った。
「さぁ、真実の姿を見せろ!」
「おのれ、貴様ら!」
そこにいた父上は、泥のような水により姿形を保っていた死体だった。
「え、ここまで効果出るとか聞いてないんだけど」という言葉を飲み込んで、即興で演説をかます。
「こ、これこそがガロン王の真の姿!異形神ハイドラの眷属として暗夜に破滅をもたらそうとしたこの国の癌だ!」
「ククク、おのれカムイ!拾い子でしかない貴様をここまで育ててやった恩を忘れ!このような外法で我を謀るとは!」
「言い訳無用!今そこにある穢れた姿が真実だ!そこに嘘はない!故に今、ここで!」
「我ら、暗夜の兵士達は貴様の敵になった!覚悟せよ、父上の名を姿を騙った邪悪よ!」
マークス兄さんの差配した、マークス兄さんの王位譲渡に肯定的な諸侯と、その護衛の兵士達が一斉になだれ込んでくる。
これで、ガロン王もどきは逃げられない。
「さぁ、ここからは僕達のステージだ!全力で行かせてもらう!」
「ふん、この姿になったとしても我には貴様同様竜の力がある!我は暗夜竜なれば!」
「そんな些細な事で勝敗は変わらない!勝敗を決めるのは!」
「スピリットの、相性だぁ!」
「...え?」
きょうだい達の空気が凍った気がするが気にしないでおく。だって事実なのだし。
「スピリットセット!全てのやみの王さん!パワフルダッシュキノコさん!パルテナもどきさん!デカイやつ、頼みます!」
攻撃属性であるガロン王に対しては、有利属性の防御属性において高いステータスを誇る全てのやみの王さんを中心にして、困ったらとりあえずデカくなっとけというマリオさん直伝のパワフルダッシュキノコのジャイアント化とパルテナもどきさんの変化時間延長。そのコンボでガロン王もどきを攻め立てるつもりでいた。
しかし、なんとガロン王もどきは、竜の力を最大限に発揮して、ドロドロはそのままに巨大な竜の姿に変化したのだ。これで、ジャイアント化のアドバンテージは互角になった。
「これは、何だ⁉︎」
「これが、真祖竜の戦いなのか⁉︎」
「カムイお兄ちゃんがおかしいだけだと思うの私だけかなぁ」
「気にしなくていいと思うわ、エリーゼ」
さて、この大きさの竜が相手となれば後ろに通すわけにはいかない。
邪悪のブレスが俺を襲う。ので、とりあえずジャスガで弾いて横強の距離に詰める。
今のブレスの軌道から、おそらくウルフさんのブラスターのようななんか相殺できない奴だろうと予測をつける。撃たせまくられるのは面倒だ。常に横強の距離を保ちながら柔軟に動いていこう。
「ほう?今のを弾くか!」
「その程度を防げない奴がファイターを名乗れるか!」
今度は、骨の羽による叩きつけ。だが、元ガロン王は戦いというものを分かっていない。
そんなスマッシュ攻撃ぶっぱしてるだけで勝てるほど、戦いは甘くないのだ。ちゃんと弱やB技の硬直少ない技で相手を崩さないと戦いは成立しないのだ。
というわけで、ボコろう。
まず、スマッシュ技と思わしき硬直マシマシの振り下ろしをバックジャンプで回避してNBをノーチャージで放つ。
小さな水球は竜へとあたりその体に一時の硬直を産ませた。
そして、今はとてもいい位置なのだ。
「必殺、横B先端!」
自分のバーストの奥の手とも言える横Bの先端当てが当たる位置。暗夜竜は吹き飛び、ついでに白夜の玉座に穴を開けてしまった。
返す時、こっそり直そう。
そして、暗夜竜は壁に叩きつけられ帰ってきたので横Bの派生の飛び蹴りで追撃を入れる。
上方に吹き飛ぶ暗夜竜。天井にあたり帰ってくる。ついでに、空下か下Bと思わしき落下攻撃を伴って。
下Bには、クッパさんのガード破壊のような強いものもあるので一旦緊急回避で距離を取る。当然のように放たれる着地時の衝撃波は見えにくいが、自分の空下と同じくらいの範囲だろう。あながち警戒しなくてもよかったかもしれない。
「お父様もどきが、ピンボールみたいになってるよ...」
「エリーゼ、それは違うぞ」
「あれは、スーパーボールという玩具のようだというのだ」
「マークス兄さんまで壊れないでくれる⁉︎」
後ろからの声が少し気になる。スーパーボールとは、物凄く跳ねるボールだと聞いていたが暗夜にもあったのだろうか。キャプテン・ファルコンから話を聞いてちょっと気になっていたものだったのだ。
さて、降ってきた暗夜竜は技の後の硬直で動けないので、ここは堅実に%を稼ぐとき。ファイター屈指のリーチを誇る自分の弱を見せてやろう。
「くっ、何故我の竜鱗を破れるのだ!そのような青銅の何でもないような刀で!」
「そんな事、答えは決まってる!」
「僕が知ってるわけないだろうがぁ!」
「ヌゥウ⁉︎」
左手を竜の口に変えての連続噛みつき。それによりダメージは十分に重ねられた。何故か後ろにずらしをしない暗夜竜の行動により予定以上に。
そして、苦し紛れに放たれた尻尾の振り払い。城壁を壊しながらの攻撃は散弾のように僕を襲うが、その時には僕はその場所にはいない。
弱が入って焦った相手の攻撃をジャンプで回避して、とりあえずで空Nを撃つと割と当たるのだ。ガードされた時は横Bで逃げればいいのだし。
そうして、空中に暗夜竜を上げたときに時間が来てしまった。効果時間延長を入れていても、ジャイアント化は永続ではないのだ。できれば効果内にバーストしたかったが、まぁ良い。
「貴様、力を使い果たしたか!死ねぃ!」
「とりあえず上強!」
またしても落下攻撃を放とうとする暗夜竜だったが、そろそろ仕込みも終わった訳だししっかりとバーストさせて貰おう。
「兄さん、準備オーケー!」
「サンキューレオン!というわけで、終わりだ暗夜竜!
王城の天井には、暗夜の暗い空が見えている。
掴みからの逆投げで場所を調整し、着地寸前のガロン王をもう一度掴んで膝を3回。そして上投げを放つ。
自分の屈指のバースト技だ。ジャイアント化していようと、弱点属性のレジェンド級スピリットにこれだけボコボコに殴られていたのなら%は十分に溜まっただろう。
「星になれ!」
空を飛べない暗夜竜は、空の彼方へと蹴り飛ばされ、そして星になった。
なんてことはなく。そのまま垂直に落下して、そのダメージで骨がバラバラになった。
「...高所からの落下でダメージを受けた?どういう事だ?」
「いや、あんな高い所から落ちたら死ぬよ生き物は」
そんなレオンの呆れたような声が、暗夜王国の歴史を変える真祖竜の戦いの結末を告げた。
そうして、竜の姿も人の姿も保てなくなった父上もどきは、何とか動こうとして
その首を、マークス兄さんのジークフリートで落とされた。
不思議と、ガロン王だったものが最後に浮かべた顔は、笑顔だった。
「これは、ケジメだ。血の繋がった親子のな」
「マークス兄さん...」
「さぁ、まだやるべき事は多い!まずは人事の再編と白夜への停戦協定の草案作成!そして、父上を操っていた黒幕を倒す事!国内の事は俺たち暗夜王家の血を引いたものに任せて、お前は全力で暴れて来い!カムイ!」
「まぁ、それではカムイをのけ者にしているみたいじゃありませんの。言い方を変えていただけませんか?兄様」
「ム、だがカムイには暗夜の血が繋がっていない以上、血を理由に要職に付けるわけにはいかぬ。それは話し合っただろうカミラ」
「ええ、まぁそうなんですけどね」
「じゃあ!カムイお兄ちゃんには私たちから役職を与えてあげようよ!父様の偽物を倒してくれたお礼に!」
「そうだな...では、カムイにはハイドラ討伐部隊隊長の任を与えよう!そして、我らの側付きから何名か貸し出す事にしよう!」
その言葉に名乗り出たのは3人。
「それなら、マークス様。僕が」
「カミラ様!私が行きます!」
「ククク、我が闇の魔力の行方が決まったようだな」
「では、ラズワルド、ルーナ、オーディン。カムイの側で戦い以外の事からカムイを守ってくれ」
「「「は!」」」
そうして、ハイドラ討伐隊は結成された。
まだどこにハイドラがいるのかは定かではないが、きっと大丈夫だ。
僕には、きょうだいからの支援も、託された心強い仲間も、ずっと一緒にいてくれていた家族の助けもあるのだから。
「とりあえず景気付けに、この像ぶっ壊しておこう!」
そうして、あまり使う機会のない横スマの先端当てで異形神ハイドラを讃える像を破壊した。
ハイドラ討伐隊は、ここからがスタートだ。
ラストは、ラスボスさん相手に取り巻きを仲間に任せつつボス戦をするだけです。お楽しみに!
あ、なおこの小説において本編登場キャラクターたちはレベル上げとか無しに設定くらいの強さになっているので、そのままのカムイくんだったら無理ゲーでした。