「あ、そういえば今日練習あるんだっけ…?」
急いでLINEを見てみるととある女性からとんでもないほど通知が来てて…今も増え続けている!?やばいやばい相当怒ってるよ!
あ、皆さんこんにちは、本郷優です。今路面電車に乗って急いで移動しております!入学式のあとカラオケに行って全くLINEを見てなかったのが運の尽き。我が師匠に早く来いと言われまくってます。急がないと…
「すみません!遅れまし「遅い!!!」はい!」
「ちょっとチュチュ。声が大きすぎ。さっき私が詳しく聞いたけど今日は入学式でその日に出来た友達とカラオケしてて遅れたって」
「What!?スグルに友達ですって?初日に出来るわけないじゃない!」
「師匠…さすがに傷つきますよその言葉…」
「まぁまぁちょうどいい頃ですから休憩にしましょうチュチュ様。皆さん、飲み物をご用意しました。ほら優さんも」
「あ、すみません。遅れたのに」
「これからまたキツくなりますから今のうちに回復しておかないとですよ」
僕は今、RAISE A SUILEN 通称RAS のDJのチュチュさんに弟子入りしています。その一環としてアシスタントも務めています。いつかは師匠と同じように世界を変える音楽を…とまでは行けないかもしれないけど誰かのために音楽を作りたいと思っています。
「もう単独ライブは今週末よ。続きよ続きを早く始めるわよ!Are you ready?ちゃんとスグルも覚えてるわね?さぁやるわよ!」
いつ聞いてもこの人達の音楽は魂に響いてくる。僕はこの音楽に惹かれてプロデューサーのチュチュに猛アタックをし続けた。大人気のRASということで最初は邪魔だと言われ相手にもされなかった。それでもめげずにお願いし続けたおかげか、ある日突然都内にある高層マンションに直々に呼び出された。
『あんた、名前は』
『えっと…本郷 優です』
『OKスグル。今からオーディションをやるわ』
『お、オーディションですか?何も用意してませんよ』
『別に準備するものもないわ。さぁ弾きなさい。私たちのinstrumentをね』
『弾けなかったら?』
『問答無用。貴方とはこれっきり。さぁやりなさい、私に弟子入りしたいというのならこれくらい当然でしょう?』
この時は正直もう半ば諦めてたけどこんな所で最大のチャンスが来るとは思っていなかった。覚悟を決めて透明なガラスの中に入っていった。外からはRASのメンバーが全員見ていて緊張するなんて言葉じゃ表せなかったけどギターを持ってR・I・O・Tが流れた時にはもう緊張なんてなかった。
『や、やるわね…本当に全部弾ききるなんて…私のテクニックも全て分かってるっていうの?』
『全部最初聞いただけで分かりましたよ。さぁどうでしょうか。弾いてみせましたが』
『うぐぐ…』
『もういいでしょチュチュ。私は歓迎するよ。まさか本当に出来るとは思ってなかったよ。名前はわかるよね?』
「よいしょっと…」
「ありがとうございます。やっぱり男の人って力が違いますね」
オーディションに受かって晴れて弟子入りかつRASのアシスタントとして動き始めたけれどやることよ多くが力仕事。それでも一生懸命にやれば信頼を得られたということは身をもって感じている。今もこうしてギターの六花さんから話しかけてもらってるとかもうこれ以上ないでしょう
「僕はこれが仕事ですから。寿司職人だって最初の頃は全然握らせてもらえないらしいですし。僕は今そういう段階なんですよ。認めてもらえるまでは」
「なんか職人の修行みたいだね。いつかは私たちの音楽を作ってくれるのかな?」
「やってみたいですけど、師匠が認めてくれるかどうか…なんかダメ出しされまくって終わりそうですけど」
「そんなことないと思うよ。あんな風でもとっても信頼してるんだよ。これは内緒なんだけど全然返事がなくて事故にあったんじゃないかとかすごい心配してたんだよ。そういうのをみるとやっぱり信頼してるんだなって」
「まさかそんなことが…」
「いいコンビだと思うよ私は。師匠と弟子、両方が両方を信頼してるって実は難しいと思うんだ」
まだ僕は実際に曲作りに携わったことはない。いつもライトの光らせ方とかメンバー紹介の映像作り。それを毎回完璧に仕上げる。そうしているとだんだんと最近は曲作りについて教えてくれることも多くなってきた。いつかは師匠を見返すような音楽を作りたいと頭の片隅に思っている
「おい優。友達って言ってただろ」
「はい、出来ましたよますきさん」
「その…どんなやつなんだ?もしかしてお前の金を巻き上げるようなやつじゃないよな」
「別にますきさんみたいに厳つい感じじゃ…あ、冗談!冗談ですから!」
「わかってるよ。後で失敗したケーキ全部食えよ」
「僕が甘いものそんなに食べられないの知ってますよね?まぁ今のは僕の失言ですから…それで友達がどんなやつかですか?そうですね…湯島朱音さんと葵斗さん。2人は双子でとっても仲がいいんですよ。黒髪でどっちも美形で。カラオケに誘ってくれたのが朱音さんで1番に話しかけてくれたのが葵斗さんでした。2人ともバンドが組みたいみたいでもう1人の友達、凛花さんをボーカルにしようって」
「その2人は?」
「実は知らないんですよね。何ができるのかって。僕はどこでも出来るのでいいですが」
「何気にそれ毒吐いてるからな」
「そ、そうですか?まぁ置いときましょう。それで凛花さんですね。銀髪でとっても歌が上手いんです。後優しくて…みんな大事な友達です」
「そうか…じゃあそいつらライブ終わったらここに連れてこいよ」
「え!?どうしてですか?」
「だってそいつらとバンドやるんだろ?私たちもお前にふさわしいか見定めてやる」
「逆に僕がふさわしいかどうか不安になるくらいですよ…」
「まぁどっちにしろ連れてこいよ。じゃないとチュチュがガミガミ言ってくるかもしれないからな」
「確かに聞いただけですけど花園さんの前例がありますからね」
「そういうことだ。まぁ今はライブに集中だな。あっち側とは大丈夫か?」
「はい、全て万全です。あとは現地でテストするだけです」
「やっぱり頼りになるな優は。これからも頼むぜ」
「はい、おまかせください」
こうやってRASのメンバーと対等に話している時点で確実に僕は信頼されている。絶対に裏切らないようにしないと!
電車の中だとやっぱり捗りますね。特に新幹線。長い間時間があればいいのになぁ…次回も前半は優編の予定です