「OK!完璧よ!スグルはどうだったかしら」
通しでの練習が終わり、RASの皆はやりきったという表情をみせている。本当にミスがなくてバカみたいにやばいバンドだと思う。これがプロだと思わせる圧巻のパフォーマンスだ。だが1名だけ少しだけ顔が歪んでいたが今話すのは止めておこう
「はい。特になんの問題もありませんね。なにか音響とか光量で改善点とかは?」
「私たちからなんもないよ。気持ちよく弾かせてもらったよ」
「それじゃあFinish!今日の練習はこれで終わりよ。明日はとにかく体を壊さないようにしなさい」
「今日は声に張りがありませんでしたね。もっとも僕にしかわからなかったかもしれませんけど」
メンバーが帰るのと同時に下に降り、1人に声をかける
「よくわかったね。さすがはうちの有能アシスタントだ」
和奏レイ、レイヤと呼ばれているRASのボーカルでありベーシスト。常に冷静であり、師匠のように顔に出すような性格ではないが言いたいことはすぐに発する強い人だと思う。僕にはそんな勇気にはまだないんですが…
「少し不安でね。なんだか私らしくもないね。少し付き合ってくれる?」
「RASとしては今までで1番大きな会場だからね。普段と変わらないように見えてても皆少し緊張してる。優もそうじゃない?」
「僕は前に出ないのであんまりそういうのは…いつも通りのことをするだけです」
「優は前に出ることに興味はない?」
「僕の1番の目的は曲作りなので…それに歌が下手じゃないですか」
「あはは、確かにそうだったね。全部弾けることができるけど歌うことはもってのほかでそっちに関してはチュチュに止められたよね」
お恥ずかしい限りですが僕はそこまで歌が上手いってわけではないんです。今日のカラオケじゃ80点台は取れますがRASじゃお話にならないレベルです…師匠は歌も上手いのが…僕はまだまだのようです
「曲は何かを表現するためにあるんだ。なにか伝えたい思いがないと作れない。チュチュにはそれがしっかりある。だけど今の優にはそれがない。最初から思ってたけど優は曲作りを学んでどうするつもり?その後のことを皆知らないんだ。作曲者として売れたいのか。それともこのままずっとRASの専属アシスタントとして生きていくのか。何をとっても応援するつもりだけど…ますきから聞いたけどバンドやるんでしょ?いい機会だからやってみたら?新しい世界を知るのも曲作りのためには必要なことだと思うし…って話しすぎたね。チュチュが腹をすかせて待ってるはずだからね。話して少し落ち着いたよ。新しい世界と言ったけどやっぱりRASには優が必要みたいだね。まぁゆっくり考えて。なんとかする力はあるから。青春は楽しむものだ。好きなことをするといいよ。それじゃあまた明日」
僕はなにがしたいんだろう…曲作りを学んでどうするんだろう…誰かに認められたい?自分の思いを表したい?全く考えていなかった…なにがしたいんだろう……
「ちょっとスグル!早くしなさい!」
後ろを見ると猫耳のカチューシャを外している師匠、チュチュがいる。師匠と僕は互いに一人暮らしをしていて、師匠の母親から頼まれて夜ご飯は一緒に食べるようにしている。常に僕が作ることになっている。ぼーっとしてたせいか作り終わった後に持っていくのを忘れていた
「さっきから気が入ってないように思えるわ。私たちが遂に全世界を席巻するLiveの直前だというのに」
「…師匠、僕ちょっとお休みを貰おうかと思ってるんです」
「…WHAT?なんですって?」
「今回のライブはしっかりこなします。ですがその後、少し休憩したいなと」
「Really!?本気で言ってるの?スグル」
「はい、ちょっと考えるところがあって…すぐに戻るかもしれませんしかなり遅くなるかもしれません」
「じゃあ私のdinnerはどうするつもり?」
「それもお休みさせてもらえませんか?友人のところに泊まらせてもらうのも許可してもらいました」
「私を餓死させるつもり?」
「そこはパレオさんにお願いしてるので大丈夫なはずです。元々パレオさんの仕事の手伝いからこうなりましたし、戻っただけだと思います」
考えた結果、一時的にRASから離れることにした。師匠はとても驚いているようだった。ちなみに泊まらせてくれたのは湯島家。なんでも家が広いそうで部屋が空いてるのでOKだそうだ
「……わかったわ。但し絶対RASに戻ることを約束しなさい。期限は次のライブまで、いいわね」
「はい。ありがとうございます。それじゃあ食べましょうか」
結局僕は一旦RASから離れることにした。決して嫌いになったとかそういう訳じゃない。レイヤさんに言われたように新しい世界を知りたい。彼らとバンドをすればなにか良いものを得られると思ったから…
「ほんとうにお休みされるんですね。優さん」
「すみません、お願いしてしまって。パレオさん」
「いえいえ、ご飯については全然構いませんよ。でも心配してるのは自分を含めたメンバーたちです。この2年間、あなたは中学生でしたが私たちはあなたの力に大きく頼っていました。その結果として、少し忘れてしまっているところもあります。もしかしたらあなたに助けを求めることもあるかもしれませんのでその時はよろしくお願いします」
その言葉と同時に深々と頭を下げられてしまった。別にそんなに仰々しくしなくても…
「とにかく、今週末のライブはよろしくお願いしますね。悔いが残らないように全力で頑張りましょう。それでは私はこれで。また明日、会いましょう。優さん」
***
「ねぇねぇ凛花から連絡来てさ。明日ギター持ってきて欲しいってさ」
「ん?凛花のやつ、やる気になったのか?」
「そこはよくわかんないけど、ま、とりあえず行くだけ行かないと…あ、お母さんなに?」
仕事から帰ってきた母さんが少し深刻そうに朱音に話している。なんだ?何が起きたんだ?
「あら?美和音、そんなところで止まってないで早く中に案内してちょうだい!久しぶりに朱音と葵斗の顔が見たいわ!」
母さんが後ろからめちゃくちゃに押され、待っていたその金髪の主が姿を現した…
「ずいぶん大きくなったわね!朱音!葵斗!」
「「こころ様!!??」」
話はできてるのに書こうとしないアホなんで正直つらい…1週間に1本とか上げてみたいな…
ちなみに美和音(みおね)と読みます。旧姓は佐々木の設定です