レミリアの所の漢字は宴会と爆発
異変解決から数日後――
『神木村』
あの積もりに積もった雪はあっという間に溶けてなくなり村の隅々まで春が訪れていた。
木々はピンクの綺麗な花をつけ、心地よい優しいかぜが村を包んでいた。神木村の『コノハナ様』と呼ばれる御神木も枝の先まで花をつけ満開となり村には花びらが舞っている。
村人たちも長い冬が終わりそれぞれの仕事に取りかかっている。
そんな中、この村にある神社の主神「天照大神」はというと縁側に座り太陽を浴びうたた寝をしていた。異変から数日たった今でも腕は完治していないがいつもどおりのマイペースらしい。
主神は眠っているが神社にいるのはアマテラスだけではない。
せっせと境内を箒で掃除しているのは水を司る神、濡神である。
◆
■濡神視点■
「ふう、もう完全に春ですねぇ~」
この姿、人型になるのはあまりないんですがなかなかに便利なんですよ。なんせ私は水の入った鉢の中に普段いますからこの姿だとかゆいところに手が届くといった感じなんです。
といっても本来なら水の中にいるので定期的に水分補給しないと乾いてしまうのが難点ですねぇ。ただ私はこれでも水を司っている神ですのでこのみず瓶の中身がなくなることはありません。そこに関しては自信があります!
今は境内の掃除しているんですが、
「春ですね~」
さっきからこの言葉しか出てきません。つい先日まで一面雪景色だったのに今では気温もあがってとてもすごしやすいです。
こんな日は池で浮かんでのんびりと1日を過ごしたいものですね。
……こんなこと考えてないでさっさと掃除してしまいましょう。いけませんね、どうも母様のあののんびりとしたマイペースさが移ってきた気がします。う~ん、それにしても自分の鏡を置いてきてしまうものなんでしょうかね?
私がこのみず瓶を忘れるのと同じくらいのことなんですが、忘れるものなんですかね?
「ん?なんでしょうこの手紙」
などと考え事をしてるといつの間にか私が掃いて集めた花びらの上に一枚の手紙が置かれていました。
どこからともなく突然現れた手紙、かなり怪しいですが封を開け取り出します。内容は……
――――――――――――
宴会は今日の夜、日が落ちた頃から
絶対に参加する事
場所は博麗神社
――――――――――――
随分と簡潔に書かれていましたが宴会に関する内容でした。私には誰からの手紙かはわからないですがとりあえず母様に見せるとしましょう。
箒を置いて母様がいるであろう縁側へ向かいます。最近の母様はずっと縁側にいます。なんでも太陽の光を浴びれば治りが早いらしいです。確かに天照大神である母様はそうかもしれませんがなんというか……光合成をしている植物のようにも思えてきます。
因みに腕があんな状態なので身の回りのことは私がやっています。
縁側へ来てみるとやっぱりいましたね。どうやら眠っているようです。起こすのはしのびないですが仕方がありません。下手をすると母様は一日中寝てたりしますので。
それでは、母様おきてくださいと言おうとした時でした。
「濡神、どうした?」
うわっ!?いきなり振り向かないでください!完全に寝ていたじゃないですか……
もしかして起きていたんですか?顔を見るかぎりそのようですね。なんでしょうか、最近母様がイタズラ好きの神様に戻り始めているような気がします。
今もそうですがこの前は気配を消して背後に立っていましたし…
その時はついつい声をあげてしまいました。ただ成功しても母様の表情、あんまり変わらないんですけどね。それよりも今はこの手紙です。
「母様、誰からかは分かりませんが宴会についての手紙が届きました」
「誰からか分からない?どれ」
母様はそういうと手紙に顔を近づけ匂いを嗅ぎはじめました……
え?……えっ!
「ちょっと!母様!なにやってるんですか!?」
「なに、手紙についた匂いで大体は誰からかはわかる……これは紫だな」
えぇ……それでいいんですか…母様…
「うむ、間違いない。この胡散臭いのは絶対に紫だ」
…………あとで紫さんには謝っておきましょう。絶対に。
数時間後――
『博麗神社』
日はすっかり落ち辺りは薄暗くなっている。だがこの神社はこれから賑わいを見せ始めるようだ。博霊神社で開かれる宴会、ただ参加する人――種族は様々である。妖怪はもちろん人間に亡霊に様々。
これが影で妖怪神社と呼ばれてしまう理由でもあるが……
「母様、足元に気をつけてくださいね」
「んん……そこまでしなくても…」
どうやらさらに神までやって来たらしい。濡神につれられアマテラスが博霊神社に漸く到着した。
◆
■アマテラス視点■
濡神に急かされ博麗神社までやって来た。勿論私の意思で行くことは決めた。別に濡神が開眼しそうだったからとかではない。
「母様、足元に気をつけてくださいね」
「んん……そこまでしなくても…」
濡神は少し過保護過ぎる気がするな。これくらいの段差は私一人でも
「ダメですよ、そういってこの前はバランス崩してたじゃないですか!」
それは………
たまたまバランスを崩しただけだ。別に問題はない。どうやら本格的に始まるまでもう少しかかりそうだし、ほらあそこに爆神がいるから挨拶でもしてきたらどうだ?
私はその辺で座ってるから。
「で、ですが…やっぱり…」
そんなに心配しなくても平気だから、行ってきなさい。
そう言ってやると濡神は渋々爆神の元へ向かっていった。さて、私はこの辺の木にでも背を預けておこう。
桜の咲いた木の根本に座り背を預け辺りを見渡してみる。
幽々子たちはどうやらまだ来ていないらしいが結構な人数が集まっている。良く見ると冥界に入る前にいた3人組や凍神と一緒にいたレティもいる。
ん?レティがいるということはどこかに凍神もいるのだろうか。軽く見た限りでは姿は見えないが。まあそのうち現れるだろう。
そう思っていると、
「あっ!アマテラスお姉様!ここにいたんだ」
私を呼ぶ声が聞こえそちらを向くとそこには濡神、爆神と爆神の背に乗っているフラン、その後ろにうり坊達が並んでがこちらに向かってきていた。
「ああ、フランか。それに爆神と濡神も一緒に来たんだな」
「はい、やはり母様が気になってしまって。それならということでこちらに」
「そうだ!それ!母様ってアマテラスお姉様のこと?」
フランは爆神の上から身を乗り出して聞いてくる。ああ、あまり身を乗り出しすぎると落ちるぞ。
「ああ、濡神はもちろん爆神も他の筆神も私の子だ」
「そうだったんだ!あれ、でも爆神と同じ筆神様なら濡神さんのその姿は」
「ふふ、私の本来の姿はこっちです」
そういい濡神は本来のみずの入った硝子鉢に巳の姿になる。フランは不思議そうに硝子を指でつついている。
「うーん、つまりアマテラスお姉様はお姉様であってお母様でもある……つまりは、私のお母様でもある?……はっ!もしかしてお母様?」
……ん?
………………んん?
「我らが慈母よ…その…口が開きっぱなしですよ」
「母様、そのぽあっとした感じもいいですがここにイッスン殿がいらっしゃるとまたまの抜けた顔と言われてしまいますよ」
………はっ!いけない、あまりのことに思考がどこかへいってしまっていた。フラン、いくらなんでその良く分からない理論はおかしいと思うんだ。
「フラン、気持ちは嬉しいが違うぞ。いつも通りに呼んでくれ、頼む」
「へへへ♪わかった!アマテラスお姉様」
うん、それがしっくりくるな。
「あっ、そうだ。お姉様これ返すね」
ん、ああ私の鏡か。ありがとう、これで残りはあと4つだな、まあ他はそのうち返してもらおう。まだ来ていない人もいるらしいしな。
「それでフランは一人で来たのか?」
「うんん、レミリアお姉様達と一緒。ほらあっち」
フランの指差す方を見てみると紅魔館の住人達がそれぞれ思い思いの場所にいるのが見えた。……あのどこから持ってきたのか良くわからん豪華な椅子というか玉座に座っているのがフランの本来のお姉様のレミリアか。横には咲夜もいるな。
「そうだ、まだ幽々子さん達は来てないみたいだね。……うーん、みんな勝手に始めちゃってるなら私たちも好きにやろうかな。爆神あれやってよ、輝玉打ち上げるやつ」
「いいですよ、では少し降りてくださいね」
フランは爆神から降りて私の横に来て爆神の方を見ている。爆神はというと輝玉を取り出しうり坊の持っている松明で導火線に着火、それを器用に鼻を使い打ち上げ天高く飛ばす。
打ち上がった輝玉はドーン!という音と共に空に綺麗な華を咲かせる。うむ、流石は爆神。綺麗な打ち上げ花火だ。
その調子で数発、花火が打ち上げられ空を彩る。神社に来ている人達は桜と空に咲き誇る華をみて歓声を上げたり見とれている者もいる。
どれ、私もやってみるか。
「ああ、母様。危ないですよ」
「なに、これくらい問題ないさ」
輝玉を作り出し、腕が使えればそのまま投げ飛ばしたんだがまだ使えない。だから脚を使って思い切り蹴り上げる。上空まで上がった輝玉は爆神より大きな華を咲かせ空を彩る。
「わ~、さっきよりも大きい」
「流石は我らが慈母です」
(バランスを崩さないかが心配です……)
ふ~む、一発ずつでは派手さに欠けるような気がするな。今度は爆神と一緒に数発連続であげてみるか。
「爆神、今度は一緒に連続であげてみよう」
「ええ勿論いいですよ、やりましょう」
爆神は二つ返事で返してきた。お互いに数発用意し打ち上げる。
まず一発目、蹴り上げる。爆神も鼻を使い打ち上げる。
二発目、続けて打ち上げる。そして三発目思いっきり力を込め蹴りあげ――カスッ
「「「「あっ」」」」
◆
■レミリア視点■
ふふふ、今宵はいい月夜ね。たまの花見というのも悪くないわ。
月灯りに照らされる桜に私、とてもカリスマ溢れるシチュエーションじゃない。
「お嬢様、こちらを。お飲み物でございます」
「ありがとう、咲夜」
この赤いワイン越しに見る月というのもいいものね。とてもいい色じゃない、ふふふ。
「お嬢さ…まっ!?も、申し訳ありませんお嬢様!私は少しばかり席をはずさせていただきます!それでは」
ん?慌ててどうしたのかしら咲夜。きっと何か事情があるんでしょう。できる主は深くは聴かないわ。ああ、それにしても少しの騒音に目を瞑れば本当に落ち着くわね。
「おねーさまぁー!!レミリアおねーさまぁ!!」
あら、あの声はフランね。何かしら。
こえの方向を見てみると何か上の方を指差している。その指の先を追ってみるとある球体が目にはいる。
あれは……そう確かあの猪の、輝玉というものだったわね。それが宙を舞い私の方に………私の…方に?……あっ…
この時、レミリアにはある光景が甦る。
それはそう今日のように月を眺めお茶をしていたとき突然目の前に球体が現れ爆発したことを―――
フフフフフフフフ……またこれなのね……ああ、何故かしら全てがスローモーションになって見える。何かを叫んでいる我が妹、そしてその隣には顔を伏せている従者、猪、あれは…蛇?そしてこっちを見つめる特徴的なメイクの女性。
そんなのは今はどうでもいい、だってもう目の前には
ああ、もう―――
―――――――――――――――――――た
―――――――――――――――――――ま
―――――――――――――――――――の
―――――――――――――――――――宴
―――――――――――――――――――会
―――――――――――――――――――く
―――――――――――――――――――ら
―――――――――――――――――――い
――――――――――――――爆
――――――――――――――発
――――――――――――――し
――――――――――――――な
――――――――――――――く
――――――――――――――た
――――――――――――――っ
――――――――――――――て
――――――――――――――い
――――――――――――――い
――――――――――――――じ
――――――――――――――ゃ
――――――――――――――な
――――――――――――――い
―――――――――だ
―――――――――っ
―――――――――て
―――――――――宴
―――――――――会
―――――――――だ
―――――――――も
―――――――――の
――――れ
―――りみ
―――あ
ドカァァァン!
「ぎゃああああああああああ!?!!」
こうしてレミリアは華と散ったのだった……
「……お嬢様………」(今日は一段と派手でしたよ、お嬢様)
「oh…レミリアお姉様………」(また吹っ飛んでる…いつもの)
「………う~む」(いい爆発だぁ、流石は慈母)
「…………」(どうしましょう…私もっと早くが止めていれば)
「爆発範囲は絞ったから他の場所には被害は無いな」
「「「「違う、そうじゃない」」」」
◆
■妖夢視点■
はぁ……私、魂魄妖夢は今とても憂鬱です。
これから博霊神社、幽々子様がおこした異変を解決しにやって来た博麗霊夢さんの神社です。
今からここで宴会なんですが、はぁ…それが問題なんですよね。
私の隣をうきうき気分で歩いている我が主、幽々子様ですがあり得ない量の料理を食べます。あの体のいったいどこに入っていっているのか分かりませんがそれなら、まあ…いつもと同じなんです。
ただ私が憂鬱な理由は別にあるんです。幽々子様のご友人であるアマテラスさん……どうやら幽々子様と同じくらい良く食べるらしいのです。で、でもきっとそう何度もおかわりをする訳ではないはず……と言い聞かせてはいるんですが……はぁ。
「妖夢~、ついたわよぉ~」
「あっ!はい、幽々子様」
うぅ…ついてしまった…
で、でもまだ幽々子様級と決まったわけではありません。まずはアマテラスさんのところに向かいましょう。アマテラスさんは……ああいましたね。
幽々子様と一緒にアマテラスさんの元へやって来ました。
「やっほー、アマテラス~。数日ぶりねぇ」
「アマテラスさんあの時は幽々子様を助けてくださりありがとうございました。これも御返ししますね」
アマテラスさんに貸してもらった鏡を取り出し返します。あの時はかなり大きかったはずですが今は手鏡ほどの大きさになっています。これ、どうなってるんでしょうか?
「ああ、ありがとう。幽々子と妖夢か、元気そうだな」
「妖夢さん、幽々子さん数日ぶり!」
「はい、フランさんも数日ぶりです」
できればゆっくりとお話ししていたいですが幽々子様がいるんです。直ぐに取りかからなければ。
「すみません私は、調理場へ向かいます」
場所は……多分向こうですね。
調理場へ向かっているんですがその足取りは重いです。はぁ…考えただけで胃痛がしてきそうです。
足取り重く向かっていると、
「妖夢、あなた妖夢であっていたわよね?」
「……ん…あっ、はい妖夢です。えっと咲夜さんですよね」
彼女は私と同じ従者をしている咲夜さんです。呼び止められてしまったけどなんでしょうか?
「妖夢、あなた
「さ、咲夜、さん!」
うぅ…咲夜さんは天使ですか?さっきまで重かった足取りが少しばかりか軽くなりましたよ。
咲夜さんと一緒に調理場へ向かい扉をあけるとそこには、もう既に出来上がった料理が並んでいました。
それを作っていたのは金色に輝く尻尾の持ち主。私も知っている八雲藍さんでした。
「おお、妖夢じゃないか。どうしたんだ」
「えっと、調理場を手伝おうと咲夜さんとやって来たんですが…なぜ藍さんが?」
そう訪ねると、藍さんの耳がペタりとなり、
「それなんだがな紫様がなんでかはわからないのだが料理をあらかじめ多めに作っておけとのことで……妖夢がいるということは幽々子様も来てるんだな」
「はい、そうです」
藍さんはうんうんと頷いている。
「ただいくら幽々子様がいるからといっても多すぎる気がするんだがなぁ。別にアマテラスがいるというわけでもないんだし」
藍さんはそういいこちらに苦笑いを向けてきたが……どうしよう。
これは本当のことを言った方がいいのか、それとも知らない方がいいこともあるということで流した方がいいのか……
「アマテラス様でしたら先ほどいらっしゃいましたが」
あっ…咲夜さんが真実をいってしまいました。藍さんはどんな……
苦笑いの表情を顔に張り付けたままピシッと音がしたように固まってしまいました。そして直ぐにうつむきゆらゆらとこちらに……
ちょ、ちょっと藍さん!怖いんですけど!そんな魂は抜けたような感じで近づいてこないでください!私、幽霊とか駄目なんですから!
そのままガシッと両肩を捕まれる。
「妖夢、それは……本当か…」
「ヒェッ!は、はい…本当です」
「そう、か……そうか…妖夢、それと咲夜、だったな。君たちは手伝いに来たんだよな。ならば覚悟しておくんだアマテラスは幽々子様と同等かそれ以上だ」
え……幽々子様以上……化け物ですか?これはもう覚悟を決めるしかないようですね。
「妖夢、材料は私が隙間を使って大量に持ってきてある。それを使うんだ。咲夜はひとまず幽々子様とアマテラスの所にこの料理を持っていってくれ。多分ヤバさが直ぐにわかるはずだ」
「は、はあ。わかりました」
咲夜さんは大皿を2つ持ってきアマテラスさんたちのもとへ向かいました。さてでは私も取りかからなくては!そう思ったとき、
「妖夢、ねぇ妖夢」
「あれ?咲夜さんどうし――あっ…」
咲夜さんは何故か直ぐに戻ってきました。そして戻ってきたその顔は目に光がありません。そしてかなりの量があったはずの大皿が空の状態で咲夜さんの手元にありました。
どうやら咲夜さんも理解したらしいです。
「妖夢、あなた達が言っている意味が分かったわ。私も本気でやることにするわ!」
こうしてそれぞれ主に仕えている従者3人の気持ちが完全にひとつになった瞬間であった。目標は宴会に出現した悪魔二人を耐え宴会を乗り切ること。
「今ある料理はどこまでが二人の分なの!」
「ここにあるのは全部だ!持っていってくれ!」
藍さんと咲夜さんの会話に耳を傾けながらも手を動かし続け料理を作り続けます。かなりの量がありますが多分直ぐになくなってしまうでしょう。咲夜さんはそれを聞くと次々と料理を運んでいっています。
「妖夢、藍、運び終わったから私も手伝うわね。出来上がったものはその辺に置いておいて!私が運んでおくから」
「は、はい!よろしくお願いします!」
「ああ、助かる!ここに置いておくぞ!」
私、藍さん、咲夜さんの三人でかなりのペースで料理が出来上がっています。これなら平気かもしれない!
一方その頃、
「美味しいわねぇ~♪それにしても私たちの周りにお料理がいっぱい来るけど、いいのかしらね?…まあ美味しいからいいわよね。はい、アマテラス」
「ん、ああ美味しいな。ただ自分で食べれないのは不便だな」
「ふふふ、でも私が食べさせてあげてるんだからいいでしょ♪」
腕の使えないアマテラスは幽々子から食べさせてもらっている。
それを眺めている人物が数人。
「ねえ、濡神さん、爆神。あれって普通なのかな」
「……私が言うのもなんですが、異常でしょうね」
「改めて見るとすごいですね、我らが慈母の食欲は」
フラン、濡神、爆神は料理をつまみながら二人を見ている。
「だよねぇ…ねぇ、あの山盛りの料理がどこに消えてるんだろうね?それに一回でお皿の半分が消えるのって…もう良く分からないね」
「「多分考えてはいけません、見ないようにしましょう」」
「そだね」
目の前の光景からそっと目をそらすことにした三人だった。
場面は戻って調理場――
「藍さん!材料がなくなりました!」
「なに!?分かった。ほら!隙間から今ある材料全部だしたぞ!」
「不味いわ!今度は皿がなくなったわ!」
「皿がない!?咲夜!こっちのを使え!他は直ぐに用意する!」
宴会場とは違って慌ただしく立ち止まることがない三人。調理場はまさに戦場と化していた。この場には生半可な覚悟では入ることは出来ないだろう。
だがそんな中その場に踏みいる者が一人。
「ら~ん!お酒ないかしら~」
それは藍の主である、八雲紫。
「ら~ん!ら~ん!お酒ない―――」
「ガルルルル!」
「あ゛?」
「は?」
この状況で不用意に近づけばこうなるのは当たり前である。
「ヒェ!?あっ、えっと、お酒は自分でその…持って、いきます。はい...失礼しました!!」
そういい紫は酒瓶を持って飛び出していった。三人は再び作業に戻りなんとかその宴会は食べ物がなくなることはなかく過ぎていった。
なお宴会が終わった後3人はしばらく調理場に近づきたくないと言って従者組でしばらく休みを取ったとか。この宴会を通して藍、妖夢、咲夜は特別な絆で結ばれた瞬間だった。
オロチ「ククク、今はそうやっていればいい。すぐに噛み殺してやろう」
片腕「あっ、君の出番しばらくないから」
オロチ「………は?」