美鈴との戦闘が終わり漸く紅魔館の内部に入ることができた。
大きな扉を開けてすぐにホールのような場所にでた。外の外見と同じように立派なものだ。なのだが所々傷などがついていて戦闘があったようにも見える。
「はぁ~、中まで赤いのかよ!名前のまんまかよ!」
ああ、確かに赤いな。辺りを見回していると私の耳が何かの物音のようなものを拾った。いく宛も特にない、宛もなく探索するよりはこの音を調べた方がいいだろう。
そう思い長い廊下を歩いて行く。外の見た目に反してやけに長いようにも感じるが漸く音の場所にたどり着いた。そこはかなり大きめの扉がついているこの場所らしい。
扉を開け中に入ってみると目に飛び込んできたものは本棚、本棚かなりの量の本が並べられた図書館のような場所だった。
だがそれよりも気になったのは空中で繰り広げられている色とりどりの光弾での戦闘。一人は紫色をしていて大きな一冊の本を持った少女、もう一人は白黒の服に箒に乗った少女。
「ほお、あれが弾幕ごっこというものかなかなかに美しい物だな。といっても私には出来そうもないがな」
もう少し見ていたいのだが先を急ぐことにしよう。それにここで戦闘が起こっているということはこの先のものを守っているとかそういったことなのだろう。それに奥の方に少し他の扉とは違って重そうな扉がある。あそこに何かあるはずだ。
幸いにも私の事は眼中にないらしい。それならさっさと先に行かせてもらうことにしよう。
足早に進んでいると
「あー!ちょっと待ってくださ~い!」
そう言いながら背中に少し小さな黒い羽根が生えている人物が飛んできた。
私はその飛んできた人物に悪いと思いながら筆業の『
効果が効いているうちにさっさと扉までたどり着き中に入る、後ろからは「あれ!?さっきまでのここにいた人はどこ!?」と驚いている声が聞こえる。しっかり惑わされていたようだな。
重い扉を開けて入ると地下へと続く階段が現れた。降りた先にはさほど狭くはない部屋に天幕付きのベッドが一つ、それと辺りには何かの残骸が散らばっている。
「なんでいこの部屋は?てっきりお宝でもあると思ったてのによ!」
イッスンが喚いていると別の声が聞こえてきた。
「誰かいるの?」
声の方向は正面のベッドから、明かりが少なく暗かったがよくみてみると金髪で背中から枝のような羽根が生えている少女が座っていた。その羽根にはクリスタルのようなものがついている。
「ああ、勝手に入ってしまってすまないな。ここは君の部屋か?」
「うん、そうだけど。でもお姉さんは速く出ていった方がいいよ、危ないから」
心なしか声が暗くなったように感じた。
「危ないとはどう言うことなんだ?」
「それは……私は時々狂気のせいで暴走するんだって。だからずっどここいないとダメなんだって」
狂気、か。それであそこまで厳重な扉だった訳だ。
「う~む、その狂気私ならなんとかできるかもしれんぞ」
「え!………うんん、無理だよ今は平気だけどどうせすぐに戻っちゃう」
少女は一瞬だけパッと明るくなったがすぐにまた気を落とした。多分だが最初の反応の方が彼女の素の反応だろう。
「なに、物は試しだやってはみないか。もしかすると上手くいくかもしれない」
少女は戸惑いながらもこちらに体を近づけてきた。表情は未だ暗いままではあるが。
「おい!アマ公オマエそんなことできんのかよ!」
なに心配するなイッスンきっと上手くいく。この作業はかなり集中力がいる。まずはこの少女と狂気の繋がりを見つけなくてはいけない。神力を使って少女の意識の深層を覗く。
するといくつかの意識が狂気と繋がりっているのが確認できた。あとはこの繋がりを切ってやればいい、そうすれば狂気で暴走することもなくなるだろう。
問題はどうやって切るか。ハサミでチョキンという訳にはいかない。だからここで使うのは『
他の意識の繋がりを切ってしまわないよう細心の注意をはらって一閃で狂気と繋がりを断っていく。そして最後の繋がりを切った瞬間に辺りにふわっとそよ風程度の風が一つ少女を中心に吹き抜けていった。
「よし、終わったぞ。気分はどうだ?」
「ん……なんかスッキリ?したような感じ。なんだか楽になった気がする、ってお姉さん汗凄いよ!?」
「ん、ああ問題ない。なかなかに繊細な作業だったからな」
「へっ、随分大変だったみてえだなアマ公!」
かなり集中力を使ったこともあって気づかぬ間に汗をだいぶかいていたらしい。だが成功は成功だ。
そうしていると元から薄暗かった場所がさらに暗くなり天井の方から光が射し込んできた。
「ん?おいおい!こいつはもしかして筆神か!?なんだってこんなとこに居るんだよ!」
光が射し込んだ場所には数ヶ所星が欠けた星座が浮かび上がっている。
「え!?星?ここ一応地下なんだけどなんで?」
少女は不思議に思いベッドから降りて星座を見上げている。私は旅の途中でやったように欠けてしまっていると星の部分を筆で補ってやる。すると星座がより一層強く光りそれと同時に辺りの光景がまるで雲の上にいるような場所に変わる。
「ふむ、ここにくるのも随分と久しぶりだな、なあイッスン」
「あたりめぇだ!大体もう
確かに筆神、筆業は全てが揃った。ただ筆神たちにはずっと私と一緒にいなくてはいけないという訳ではない。
だからこっちに来てからは好きなところに行けとだけ伝えておいた、多分ここにいるのはそういうことなんだろうな。
考えていると星座がまた光りを強めそこから花火玉に乗った猪と松明を咥えたうり坊が四匹現れ私たちに前に並んだ。
「おお、我らが
「確かに随分と久しく感じるな爆神、子供たちは元気か?」
「ええ、むしろ元気すぎて困っているくらいです」
誰かと思えば筆神の一柱の『
「わぁ、可愛い♪よしよし」
ふむ、うり坊たちは彼女に任せて平気だな。
「さて爆神、お前は何故ここに居たんだ?もっと別の場所にも行けたはずだろう?」
「ええ、そうなのですがなんと言いますかこの場所には何かとても引かれる物があるのです。子供たちもこの場所を気に入ったらしいですし私自身もここにいると落ち着くのです」
この場所には爆神たちを引き付ける何かがあると……そういうことならなにも言いはしない。ただ一体何がそこまで引き付けると言うのか…………うぅむ、わからぬ。
「理由はよくわからんが落ち着くのならいいんじゃないか」
爆神と話しているとうり坊と戯れていた少女がこちらに顔だけを向け
「そういえば、お姉さんの名前って何?私はフランドール、フランでいいよ」
そういえば名乗っていなかったな。この子はフランドールというらしい。
「ああそういえば名乗っていなかったな。こっちの猪が爆神、この小さいのがイッスンだ。私はアマテラスというよろしく頼むフラン」
「うん!よろしく爆神とイッスン、アマテラスだね。……アマ、テラス?なんだかこの名前聞くと頭が、痛く………」
ん?フランの様子が明らかにおかしい、さっきまではうり坊たちと戯れて笑顔だった。今はうつむき目も虚ろになってうり坊たちも何か恐れているようだ。
「おいおい!一体どうしたって━━━!?」
イッスンが様子を見るため声をかけた瞬間にフランの周りに黒い蛇のような現れイッスンを弾き飛ばした。ソイツはそのまま爆神、そして私に噛みつこうとしてきたが爆神は鼻と牙で弾き私はイッスンを回収し避ける。子を守る親は強い、流石は爆神だな。
私たちに攻撃を防がれた黒い蛇はフランに巻き付き筆神の空間を喰い破っていった。
「爆神、あとを追うぞついてこい」
「勿論です。子供たちと遊んでくれたあの子のためならば」
爆神は珍しく花火玉を背中に乗せうり坊たちも同じように乗せた状態で私のあとに続いて喰い破られた場所から外に飛び出す。
外に出るとかなり暴れながら出ていったらしい。壁や床が抉れている。
爆神と共に長い階段をあがっているとイッスンがあの黒い蛇について訪ねてきた。
「おいアマ公!アイツはもしかして……」
「ああ、イッスンが考えている奴で間違いないだろう。完全消えていなかったのか、他の力で復活したのかは知らんがな」
流石に幻想郷にまで来るとは思っていなかった。それよりもあの時イッスン、そしてスサノオと共に倒したはずだが……。
そう考えながら階段をかけ上がり図書館にたどり着いた。来たときとは違い本棚はなぎ倒され置いてあった机などが完全に破壊されている。それをした張本人は今まさに外壁を破壊して開けたであろう穴から外に出ていく瞬間だった。
辺りを見ても弾幕ごっこをしていた二人は見当たらない、きっとどこかに避難したんだろう。あれに巻き込まれていないことを願おう。
私たちも急ぎフランが出ていった場所から屋外に出る。するとそこにはさっき心配していた白黒の少女と新しく紅白の少女、そしてピンク色の服に背中にはコウモリのような羽根の生えた少女いた。皆、突然飛び出してきたフランを見て驚いている様子。
フランを見てピンクの少女は声をあげる。
「フラン!?どうしてここに!、危ないから戻って━━!?」
フランは、というよりはフランに纏わりついている蛇だがそいつらは少女に向け火球は吐き出し近づけさせない。
さらに蛇は火球を発射し他の二人にも攻撃を始めた。
「!?、ちょっとあんた知り合いならソイツどうにかしなさいよ!」
「いきなり何なんだぜ!こんなん聞いてないぞ」
三人はかなりの数と勢いで飛んで来る火球を何とか避けているが被弾してしまうのは時間の問題だろう。
「フラン!どうしたの、私よ姉のレミリアよ!」
「おいおい全然聞く耳もってないぜ」
「あんた!姉なら何とかしなさいよ!流石にこのままだと━━」
今は彼女たちに注意が向いているまずはこちらに引き付けることが先だな。それに相手が奴となれば私がやらなくては。
幸いフランは完全に取り込まれているという訳ではない。上手くやればフランをあそこから切り離せるだろう。
「爆神、特大の
そういいイッスンを爆神の上に移動させる。
「わかりました。我らが慈母よ。特大の物を用意しましょう」
「おい!俺は留守番てか!?」
「悪いがかなり激しく動くだろうからな、振り落とされでもしたら不味いだろう?それに人型だと捕まるところも少ないだろ」
そう伝えるとイッスンはうぐぐ、と唸っている。
「ならな!ぜってぇやられるんじゃねえぞいいなアマ公!」
「ふっ、任せろ」
そういうとフランに向かって走り出す。それと同時に両手に真経津鏡と神獣鏡を呼び出す。そして神力を脚に集中させスピードをあげるそしてその勢いのまま一息にフランがいる高さまで飛び上がるり蛇の首目掛け両手の鏡を投擲。
二つの鏡は高速回転しながら別々の首に迫る。二本の首は接近する鏡に気がついたようだが少し遅くスパンッと切り飛ばされ炎を吐きながら落下していき地面に落ちる前に霧散し消えていった。
残り二本、首は全部で四本あった。
他の二本が切り飛ばされたことで完全にこちらに注意が向いたらしく残りの二本の首が宙にいる私を噛み殺そうと大口を開けて迫る。
生憎だが私は他の少女たちのように空中で素早く動くことはあまり出来ない。所謂これはピンチという奴ではないか?
などと考えている間に一本目の首が狙いを定め噛みついてくる。それを体を捻ることでなんとか回避、だがまだ二本目が迫っている。なんとか一本目の蛇の頭に片手を置き体勢を整える。
そしてそのまま先ほど投げた鏡がブーメランの要領で私の近くに戻ってきた。それを踏み台にしさらに飛び上がることで二本目の噛みつきを避ける。鏡は蛇の首に衝突し地面に落下していった。後で回収するのが大変そうだ。
このまま空中にいるだけではただの的になってしまう。私は両手首につけている勾玉、
すると二本の首は体勢を崩し、私は引っ張ったおかげで高速でそちらに近づく。目標は首の根本、フランを核にするように纏わりつく小さな蛇。
途中で巻き付けていた勾玉を解き勢いをそのままにフランについている蛇に勾玉を鞭のようにして叩きつける。すると衝撃で小さい蛇は霧散し消えフランは力なくそのままこちらに倒れてくる。それをさっと抱えさっきまでフランをとらえていた場所を足場にし爆神、イッスンのいる場所まで戻る。
「無事かフラン?怪我はないか?」
「ん…んん、あれ?私は……」
どうやら怪我はないようだが少し混乱しているようだな。無理もないだろう。
「おうおう!やったじゃねぇかアマ公!」
「お見事です!アマテラス様」
褒めるのは後でいい、今はフランの安全が優先だ。
「二人ともフランを見てやっていてくれ私はアイツを倒さなくては。爆神、輝玉の準備はできたか」
「はい、こちらです」
そういうと爆神の後ろからかなり巨大な輝玉を持ったうり坊たちがやってきた。これは……かなりの物だな流石は爆神これならば問題はないだろう。
輝玉を確認していると上空からかなり怒りに満ちた雄叫びが聞こえてくる。
「どうやら大事な核をとられてご機嫌斜めなようだな、オロチ」
そういいこちらも睨み付けてやると更に一つの大きな雄叫びを上げ失くなっていた首が二つ生えてくる。更に体から祟りのような物を噴出させ始める。
流石にこのままでは不味いな、速くしなければここ一帯がタタリ場になってしまう。先ほどと同じ要領で飛び上がりオロチに近づく。さっきと違うとすれば片手に巨大な輝玉を持っていることだろう。
オロチは四本になった首で再度噛みつこうとしてくるがさっきまではフランがいたが今はもう安全な場所にいる。故に全力でやれる。
迫る首を一閃で反らす。
火球を撃ってくるも疾風を使い炎を消し去り逆に画点を口内に撃ち込んでやる。
口内を攻撃され怯んでいる間に桜花蔦巻を使う。桜花蔦巻とは草花の蔦を使い移動、物を動かしたりできるというものだが今回はコイツを縛り上げる。幸いここの庭には草花のがかなり多くなかなかに強靭なものになった。
拘束され動けなくなっているうちに近づき輝玉中心に設置する。
「オロチ、これもくれてやる。盛大に吹き飛べ」
そう言い放ち輝玉に着火しフランの元に戻る。それと同時にオロチは雄叫びを上げ空に特大の花火となり夜空を彩ることとなった。
「爆神、なかなかに盛大な物を作ったな」
「それは勿論です、爆発においてはプロですから」
「わぁ~、きれい」
フランは怪我もなく無事なようだな、良かった良かった。
さてあとは彼女たちに任せるとしよう私の役目はここまであとは彼女たちが何とかするだろう。さあ、イッスンいくぞ。
フランに別れを告げイッスンをつまみ上げる。爆神はどうやら残るらしいが居心地がいいなら私は構わんよ。つまみ上げたときイッスンがまた喚いていたが聞き流し帰路につく。
しばらく行ってからイッスンとも別れたがこれで終わり、というわけにはいかないだろうな。だが今日はこれで終わりでいいだろう。
あとは神社でゆっくり休もう。そう思い神社に足早に向かっていくのだった。
ああ、門は直しておいたぞ。だが何か忘れている気がするが……なんだったかな?
アマテラス・イッスン「「なにか忘れているような……」」
慧音・阿求「「誰もこねぇ……」」