8号始まり物語(仮)   作:朽葉周

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02 トップレス

で、地球圏に戻ったは良いんだけど、その当時地球圏はちょっと困った事になっていた。なんと人類の文明がかなり後退して、その当時人類は大気圏の外に出ることにすら齷齪(あくせく)するほどにまで衰退していたのだ。

 

慌てて影から人類文明の復興に手を貸しつつ、同時に俺は姉である七号への接触を試みたんだ。地球圏は七号の領域だったからな。

ところがだ。地球圏絶対防衛システムである7号バスター軍団は太陽系を覆うようにして確かに存在しているというのに、肝心のシステムの中枢たる7号が何処にも居ない。

 

仕方無しに俺単独で地球圏の復興に尽力していたわけなのだが、この辺りから少しキナくさい事になってきた。

 

というのが、『トップレス』たちの登場という世界の変化だった。

トップレスというのは、所謂超能力者、って解釈でいい、と思う。前頭葉の異常な活動による異能力、宇宙を満たすエーテルと反応する為、まるで頭が青白い炎で燃えているようにも見えるその力。問題は、この力を七号系バスター軍団が宇宙怪獣と同質の物であると判断してしまった点だ。

 

そもそもの話、宇宙怪獣って言う連中は生物の癖にワープしたりビームを撃ったりと、色々謎な能力を秘めていたんだが、後々ソレは連中の超能力のようなものではないのか、と言う話が有った。どうもそれは事実にかなり近かったらしい。まぁ超能力というよりは連中の生態の一部に含まれるみたいでもあったんだが。

 

で、そんな宇宙怪獣の超・能力。何故か人類の中からソレと同じものに目覚める人間が現れ始めた。それがトップレス能力。

 

幼少期の一時期にしかこの能力は発現せず、一定年齢を過ぎると「あがり」と呼ばれる能力喪失を経験し、一般人に戻る。

 

のだが、7号系バスター軍団はこのトップレスを目指して地球に侵攻を開始した。

俺は慌てて7号系バスター軍団に接触しようとしたのだが、残念ながら俺と7号は同型機ながらも指揮系統が別。更に長い年月に独自の進化を遂げていたらしく、俺から七号系のバスター軍団に命令を出すという事は不可能だった。

 

そんな中で人類が選んだのは、宇宙怪獣と戦うという選択肢だ。

 

人類は地球目掛けて侵攻を開始した七号系バスター軍団を、嘗て人類を絶滅の危機に追いやったとされる『宇宙怪獣』と誤認。縮退炉を取り外されてお蔵入りしていたバスターマシン二桁の系列。縮退炉の変わりにフィジカルキャンセラー、トップレス能力を動力とするシステムを搭載し、7号系バスター軍団との戦闘を開始した。

 

……俺は手を出さなかったのか、って?

 

確かに俺の任務は地球の、人類の防衛なんだけど、7号系のバスター軍団はその機能を役割別に細分化していた所為で、十分当時の人類でも対抗可能なレベルにまで落ちていた。

 

……それに俺は、有る意味でその戦いをチャンスだと捉えていたんだよ。

 

人類は争いの中でこそ進化する。これは俺が生み出された経緯を考えれば十分真実味がある。連中みたいな事を言うって? 流石に永遠の闘争なんてのは御免被るけどね。それが出来なかったからこそあの人類は地球圏に引篭もり、結果衰退しちゃったんだし。

 

で、新たな脅威が現れないとも限らない。そう考えて、人類の外宇宙に対する警戒心を上げる為にも、俺は7号系バスター軍団……宇宙怪獣と人類の戦いを許容する事にした。

 

縮退炉を外し、フィジカルキャンセラーを用いて戦う二桁台のバスターマシンは、正直な話ショボイ。本物の宇宙怪獣と戦えばそれこそ一溜りも無いだろうとは感じつつも、けれどもその技術自体は人類発展のためにかなりの燃料となったのは間違いないだろう。人類が得た新たな外宇宙航行のための技術であるエーテルエンジン。更に嘗ての木星軌道上に残されたヱルトリウム級、名も無き三番艦を新たな木星とし、人類はその巨大な戦艦への『入植』を開始したのだ。

 

人類と言うのは素晴らしいと、あのときこそしみじみと感じたものだ。一万二千年が経過したとはいえ人類は確りと生き残り、あまつさえ文明が退化していたというのに、少しきっかけを与えてやるだけで再び人類は宇宙へと足を踏み出したのだ。

 

本当に凄いと思う、人類。俺とて人類の成果の果て、あるいはその極地から生み出された存在ではあるが、だからといって俺単体で人類という群に勝利を得る事ができるかといわれると、純粋な殲滅戦は別として、その他の芸術や文化などの面での競い合いにおける必勝を確約するのは到底不可能だ。

 

……まぁ、これは俺の独自の考え方だ。お前にはお前なりの考えって言うのもあるんだろう事はわかってる。思想は押し付けない。これも俺があの人類文明から学んだ事だ。

 

で、そんな人類の発展を目にしつつ、俺はと言うとこっそりと7号の探索を継続していた。一応7号系バスター軍団とも上下ではなく左右としての繋がりから情報提供を受ける事に成功し、どうやら7号系バスター軍団も七号の行方を捜していることを突き止める事に成功した。

 

なんでもあの馬鹿姉、宇宙空間で居眠りしている間に彗星にぶつかり、そのまま行方を晦ましたのだとか。阿呆丸出しである。もしかするとその彗星に取り込まれているのかもしれないと考えたのだが、どうやらその彗星、デブリと接触してか更に小さな彗星群に分かれて太陽系をグルグルと回っているのだとか。全ての彗星を確認しようと思うと、それこそバスター軍団を総動員する必要すらあるほどの天体だ。正直その時点で直接的な探索は諦めた。

 

……ん、勿論探索自体を諦めたわけではないぞ。幸い、俺はその世界に生れ落ちるに際して、有る程度の……概要程度の未来史を得ていたからな。7号は無事に火星に保護される可能性が高かった。出来ればソレまでに接触したかったのだが、残念ながら7号はその機能の大半を封印し一般的なアンドロイド相当にまで擬態するセーフティーモードを持っており、その状態になってしまっていた当時、俺どころかその彼女本人の手足たる7号系バスター軍団でさえ彼女を補足することが困難な状況に陥ってしまっていた。

 

結局俺が彼女を再び補足したのは、地球圏の復興を始めてから更に二千年。俺達が生まれてから約一万二千年もの年月が経過した後、あと十年もすれば、古き二人の英雄が帰還するのではないかという頃だった。

 




■未来知識
要するに原作知識。
■トップレス
超・能力者。名前の由来は能力発動中に頭が空洞になることから、らしい。
■バスターマシン二桁台
フィジカルキャンセラーを動力とするバスターマシン。中には元々縮退炉を搭載されながらも、後に取り外され封印された機体も存在する。
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