8号始まり物語(仮)   作:朽葉周

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05 別れ

 

そうして数十分。亜光速でエグゼリオ変動重力源と戦い続けたんだけど、そんな戦いが不意に途切れた。というのも変動重力源のほうが目標を発見したらしく、其処に向けてワープアウトしたからだ。

 

変動重力源の動きに合わせて此方もワープアウト。そうして現れたのは、地球の見える位置。太陽系の内側も内側、まさに腹の内と言うべき位置だ。

こりゃ不味いと更に猛攻を加えるのだが、やはり惑星サイズの宇宙怪獣と言うのは強い。強いと言うかメチャクチャ硬い。

 

宇宙怪獣はその共通の弱点として電撃に弱いと言うのがあるのだが、この超巨大宇宙怪獣エグゼリオ変動重力源はその弱点をとある方法でカバーしてしまっている。というのも、このエグゼリオ変動重力源は外殻をかなり分厚くする事で電撃に弱い内臓をしっかりと絶縁してしまっているのだ。

 

その分厚い外殻は実際凄まじい物で、コレダー攻撃どころかバスタービームでさえもまともに当らないのだから手のつけようが無い。

が、だからといって攻撃の手を緩めるわけにも行かず、延々とエグゼリオ変動重力源を攻撃していたわけなのだが……。

 

ワープアウトした俺だったのだが、がふと何かを感じて地球の方向に目をやると、其処には何故か光の輪を纏って加速する地球の姿があった。

 

思わず何やってんの、と叫んだ。あの光の輪はドゥーズミーユ。嘗てバスターマシン三号の建設と同時期に建造された、地球脱出用のシステムだ。地球脱出用と言うか地球が脱出用というか。

まさかあれでエグゼリオ変動重力源から逃げようと言うのか。ソレにしてはエグゼリオ変動重力源に真直ぐ近付いてきていないか。

 

……まさか、地球をぶつける気か?

 

思い浮かんだのは、ラルク・メルクマーレがやらかした雷王星を叩き付けるという大技。

 

確かに物理衝撃としては唯一エグゼリオ変動重力源に大きなダメージを与える事に成功した一撃では有る。のだが、その後雷王星(中心核)は縮退連鎖によってブラックホール化し、エグゼリオ変動重力源の更なるエネルギーとなってしまっている。

仮に地球をぶつけた場合、確かに一撃は有効な打撃を与える事ができるだろう。

が、それだけだ。あのエグゼリオ変動重力源は重力を操る事ができ、更にブラックホールをエネルギーと出来るのだ。先ず間違いなくブラックホールに叩き落したところで再び出てくるし、それどころか地球を食って更に力を増す。人類は母なる地球を失い、更にエグゼリオ変動重力源は力を増す。正に踏んだり蹴ったりの結果しか残らないのは目に見えていた。

 

牽制を続けて姉さんを待つか、それともドゥーズミーユを妨害するか。

悩んでいる間に行動を起したのは、何処からとも無くワープアウトしてきた姉さん――バスターマシン7号だった。

 

地球圏絶対防衛システムの構造集合体・ダイバスターを纏った姉さんは、そのままドゥーズミーユを鷲掴みにしてその特攻を阻止。途中ラルク・メルクマーレのエキゾチックドライブによってドゥーズミーユが超巨大バスターマシン化したものの、それもラルク・メルクマーレの『あがり』によって停止。今度こそダイバスターはエグゼリオ変動重力源に向って攻撃を開始した。

 

結果からすると、割と善戦するも、ダイバスターは大破。俺はシンバスターを失って行動不能に。その間に縮退炉を取り込んだディスヌフ……バスターマシン19号と姉さんが共同でエグゼリオ変動重力源に攻撃。ダブルバスターキックでエグゼリオ変動重力源を撃破。更にそのままエグゼリオ変動重力源が自らのエネルギー源としていたエグゼリオブラックホールをパッカリ割ってしまったのだ。

 

……ブラックホールが割れるわけ無い? まぁ、そりゃそれが当たり前の話だよな。ただ、あの宇宙では物理法則を越えた奇跡のような現象って言うのが極稀に発生するんだよ。

 

ブラックホールが割れるなんて現象も、そうした奇跡的な確立から引っ張られた事象だったのかもしれないな。

 

で、割れたブラックホール。そんなモノは物理的に存在しない。存在し無い物が存在した所為で、ブラックホールの特異点が剥き出しになるなんてありえないことが起こってしまったわけだ。

 

これを姉さんは、即座にダイバスターを構成していたバスターマシン軍団を利用して封印。そのままブラックホールエグゼリオの特異点を持って、多次元宇宙へ運び去ろうとしたわけだ。あのまま放置してれば、ビッグバンで世界が新生されちゃうからな。

 

……で、それを俺が許さなかったわけだ。

 

姉さんはな、昔からバスターマシン、ガンバスターのパイロット達にとても憧れてたんだ。タカヤノリコ、アマノカズミ。特にタカヤノリコに至っては記憶を失って尚、不完全ながら名前を覚えているほどの執着ぶりだ。そんな彼女達が、一万二千年ぶりに漸く帰ってくるというのに、だ。その長い時間を待ち続けた姉さんが、彼女達を迎えられないと言うのは、何か違うだろう。

 

第一姉さんはバスターマシンであると同時に、誰よりも普通の女の子らしいメンタルを持った存在だ。俺も一般的な人格を自称してこそ居るが、流石に一万二千年も放浪しているとちょっと普通とは言い難い存在になってしまってる。

でも、それでも姉さんが普通に、普通の女の子として過ごしたかったと思っていることぐらいは理解できるし、わかる。

 

――だからこそ、俺は姉さんからブラックホールエグゼリオの特異点を奪い取る事にしたわけだ。

 

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