賢者の娘は外の世界に留学したようです   作:エスカルゴ・スカーレット

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確率(うんめい)操作

(あれっ…あの人達って確か…北朝鮮の軍の設備破壊してまわってた人達だよね…っ!?知らない子供も居るけど…)

 

「レイチェル、あなたにお客様よ」

 

「へっ!?お母様じゃなくて私!?やった、何かそーゆーの初めてだな〜♪…初めましてお客様、レイチェル・スカーレットですわ♪」

 

 椅子を降りたレイチェルは、恭しくスカートの端を持ち上げ淑女風の挨拶をするが、その直前の子供のような発言のせいで淑女の欠片も無い。

 …今更だが、用があるのはレイチェルだけなのだから、応接室で良いような気がする。わざわざテラスに来る理由が無い。主に挨拶したり、館の中を見せておきたかったから…なのだろうか。

 あの(・・)お父さんなら、遠回しにそういった配慮もしていそうだ。色々抜けている人だが、サービス精神はある人だ、有り得ない話ではない。

 

「宇佐見蓮子です。…あなたがレイチェルさん…思ったより小さい…ですね…」

 

 初対面でよく言えるな、と少し驚く。恐れないにしても流石にこれは言えない。しかし、彼女の年齢を聞けば、その評価は180°変わるはずだ。

 

「フフン、私これでも2歳よっ!」

 

「2歳!?大きすぎでしょ…では?」

 

「そーなのかな?私よくわかんないや。お母様、私って大きすぎなの?」

 

「至って普通ね。敢えて言うとしたら、私に似て可愛すぎる所かしら。私に似て」

 

「そっか〜。さぁ、どうぞ座って♪」

 

「失礼します…」

 

 レイチェルに手で示されて、彼女達の反対側の空席に腰を下ろした。すると、レミリアの背後に居た咲夜が淹れたての紅茶を用意してくれた。

 

「それでお客様ぁ、私に何の用なの?もしかして私と戦ってくれるの?」

 

「うぇっ!?いやいや、そうではなくて…その…何と言えばいいのか…。レイチェルさんにお願いしてですね…私が幻想郷で死ぬ確率?を0にして頂けないかと…」

 

「んー………間違えて『生き抜ける確率』が0になっちゃうかもだけど、それでもいーい?」

 

「い゙っ!?そ、それなら結構です……私、まだ死にたくないので…」

 

「こらレイチェル、笑えない冗談はやめなさい。もし本当にそうなったらどうするのよ」

 

「お父様が居るもん、大丈夫だよー♪」

 

「あなたが居ても態々ここに来るんだから…余程その人間を守り抜きたいのね、エスカルゴは」

 

「まーね。この子を守るのが俺の役割なんでね。一緒に居る間だけは優先順位1位かな」

 

「私よりずっと弱い人間なんだから、ちゃあんと守ってあげてね♪ アハハハっ♪」

 

 フランはそう言って笑い飛ばしたが、目が全く笑っていない。お父さんに守られるという事柄に関して、妬ましく感じているかのような…舌打ちした上で、今すぐ凶悪な弾幕を放ってきそうな、そんな気配を感じる。

 

「笑わないのフラン、お客様に失礼でしょう?」

 

「アハッ♡ ゴメンなさい♡」

 

「『私よりずっと弱い』って…。確かに私は無力だし、弾幕も使えないし…あなた達みたいに軍の設備を破壊したり出来ないけど…あなたみたいな子供にはなんか言われたくないなぁ…なんて…」

 

 蓮子がそう言った瞬間、場の空気が完全に凍りついた。お父さん以外の吸血鬼達は、その微笑を顔に貼り付けたまま硬直している。人間の蓮子がそう言いたくなるのは分かるが、今のはなんとか耐えてほしかった。

 因みにお父さんは、レミリアとフランと蓮子の顔色を窺っている。かなり焦っている様子だが、お父さんは少し顔に出すぎだ。

 

「ふふっ、可愛いわね。生意気なそのお口、私の美しいグングニルで塞いでもいいかしら」

 

「じゃあお姉様が串刺しにしたら私が焼くね♪」

 

「では、今夜は焼肉パーティに致しましょうか」

 

「調理のお手伝いしますわ、お母様」

 

「じゃー私、リアルめんたまやき食べるー!!」

 

 皆一斉に立ち上がり、レミリアはグングニル、フランは激しく燃え盛るレーヴァテイン、咲夜と弦月姫はナイフを、レイチェルは斧を装備する。

 

「ひっ…!」

 

 それを見た蓮子は、絶望感に溢れた表情で椅子から転げ落ちて後退りする。彼女達の言葉が何を意味しているのかを察したのだ。とはいえ私は、まだ(……)蓮子を守らない。彼女達から溢れる妖気が、

「これは脅しだ」と言っているような気がする。本気なら、フランはとうに手を出していそうだ、とも思った。そして私の予想通り、レミリア達は蓮子を数秒見つめた後に得物を消して、何食わぬ顔で席に着いた。

 

「あんまり、舐めた口をきかない方がいいわよ。プライドの高い妖怪なんてザラに居るからねぇ。そんなんじゃ、殺されても文句言えないわよ?」

 

「…ごめんなさい…」

 

 椅子に座り直した蓮子は、頭を下げて謝った。それを見たレミリアは満足そうに頷いた。もしやさっきのアレは半分本気だったのかもしれない。

 

「見た目だけなら子供だけど、私はとうに出産も経験してるし、こう見えても518歳よ」

 

「私は513歳〜!」

 

「ごっ…!?じゃ、じゃあそっちのメイドさんはもっと……?」

 

「私ですか?…私は後天的に吸血鬼になりましたので…永遠の20歳とでも言っておきましょうか」

 

「………」

 

 確か、咲夜はお父さんと同じくらいだったはずだから、実際は35歳くらいかもしれない。まぁ、年齢関連の話題は避けた方がいいかもしれない。そもそも幻想郷には年齢を数える文化が根付いていないし、しっかり自分の年齢を記憶している人なんて極々少数のような気がする。

 

「で、何だっけ?『死にたくないから、幻想郷で死ぬ確率を0にしてほしい』だったっけ?」

 

「そう、ですね…。(切り替えが早すぎでしょ…。私まだ心臓バックバクなんだけど…)」

 

 レイチェルは何食わぬ顔で言うが、一方蓮子はまだ気持ちを切り替えきれていないらしく、少し言葉に詰まってしまう。

 

「いーよ、幻想郷で死なないようにしてあげる。その代わり、あなたが強くなったら勝負してね?約束だよ?」

 

「……。分かり…ました」

 

「破ったら殺しちゃうからねー」

 

「あは…ははは…」

 

 冗談のつもりで言っているが、蓮子からしたらたまったものでは無いだろう。そもそも、戦った時点で死ぬ可能性があるが…。

 そしてレイチェルは能力を使う為に蓮子の目をじっと見つめる。それを察した蓮子は、彼女から目を逸らさず見つめ返す。

 

「へー…あなた運が良かったね!今私があなたの確率を操らなかったら、94%くらいの確率で今日死んでたよ?」

 

「え……どうして……?」

 

「んー…話してもいーい?お母様」

 

「良いと思うわ。既に変わった運命なんだから」

 

「そだね!…あなた、お父様が戦ってる姿を一度見てみたいと思ってるでしょ?」

 

「うっ…」

 

「あなたがお父様にそう頼んだら、その時に丁度あなた達の近くにいたある人とお父様が戦う事になって、茜お姉様の結界でも守りきれなくて敵の大技の余波に殺られたって感じ。まぁ結果としてお父様が魔界神から力を借りて、しっかりと蘇生してくれたけど。…茜お姉様、精神崩壊しなくて済んでよかったね♪」

 

「そんな感じだったんだ…」

 

 確かに、蓮子を守れずに死なせてしまったら…確かに精神崩壊してしまうかもしれない。何だかそんな感じがする。

 

「因みに残りの6%は瀕死だったよ。次の日には死にそうなレベルのね。茜お姉様に訪れる未来はどっちにしても同じだったけど」

 

「………」

 

 私の結界で守れないなんて、一体誰がその相手だったのだろう。私のはそれなりに強い部類には入るし、少なくともお父さんの数倍はある。強さだけなら霊夢ともあまり変わらないというのに。それを破って、更に蓮子にそこまでのダメージを与えるような攻撃力を持つ者……。地獄の女神や魔界神、お父さん…あまり思い付かないが、その数はかなり限られている気がする。

 それにしても蓮子がお父さんの戦っている姿を見たがっているとは思わなかった。これは、少し注意が必要かもしれない。

 それから私達は紅魔館のテラスでアフタヌーンティーを楽しみ、暗くならない内に紅魔館を出て別な場所に行くことになった。




火曜も水曜も寝落ちしてしまって、更新が遅れてしまいました…申し訳ないです。

水曜に本気でバービージャンプ20回しただけで、両足が筋肉痛になりまして…今日はめちゃくちゃ生活が大変でした……。(謎の近況報告)
因みに金曜の一時間目は晴れればプールだとか。殺す気か。(もし翼があれば、エスカルゴ方式でめっちゃ泳げるのになぁ…)

とあるCDにて、(俺にとっては)驚きの事実が発覚しました。そのネタも入れたいと思います。因みに蓮台野夜行ではないです。
pixiv大百科にも載ってなかったと思うし、普通に初知りでした…アレは…。かなり衝撃的でした。
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