賢者の娘は外の世界に留学したようです 作:エスカルゴ・スカーレット
バグ中は大ちゃんで残機が尽きてましたが、一応レミリアまでいけるようになりました。コンテはしちゃいましたけどね…。
六面道中咲夜さんのエターナルミークをノーボムノー低速で避けるの楽しすぎてハマりそうです。ていうか紅魔郷って、低速の時でも赤い点が表示されないんですね。アレが無いだけでも難易度がとてつもなく跳ね上がった様に感じました……。
「さ〜て、死ぬ運命からは逃れられたことだし、次はどこに行こっかなー!」
「そうね…やっぱり平和な所なら人里かしら…。そこにも少しは妖怪居るわよ?」
「えー?どうせ死なない事になったんなら、少しくらい危険な所に行きたいな〜」
蓮子ならそう言うと思っていた。なら、天狗や河童、神様等が存在している妖怪の山が良いかもしれない。しかし、やはり蓮子には危険すぎる。万が一、鴉天狗と戦闘になったら。あの速度に、私はついていけない。お父さんなら大丈夫だが、やはり多少は不安になってしまう。
とはいえ、言っても聞かないのが蓮子だ。私も彼女との接し方が少しずつ分かってきた。ここは彼女の好きなようにさせてあげようかなと思う。好奇心を満たすまで彼女は止まらないのだから。
「ねぇエスカルゴ、何処かオススメの所ある?」
「そうだなー……。色々あるから、気になる所があったら言ってくれ。…迷いの竹林、妖怪の山、魔法の森、地t…」
「迷いの竹林!!ていうか全部行きたいわ!!」
「そう言うと思ったよ。な、茜」
「そうね。でも、くれぐれも怪我させないでよ?お父さんと違って一瞬で治らないんだから」
私に流れるお父さんの血は薄いので、再生力はあっても吸血鬼程ではない。というかお父さんの再生力は異常だ。心臓に穴が空いても、サイズによっては再生が間に合うらしい。これは吸血鬼と不老不死の相乗効果にてそうなったらしいので、お父さん固有という訳ではないらしいが…。
「分かってるよ。蓮子の事は守るが、茜は自分の身は自分で守れよ」
「ちょっと待ってエスカルゴ!私だって、少しは戦えるようになったんだからね?ま、そのときのお楽しみにしててもらうけど!」
「蓮子が戦いたいってんなら危なそうになるまで見守るが…。じゃあ、まずは迷いの竹林行くか。少し遠いがどうする?蓮子なら…」
「歩きに決まってるわ!」
「…だろうな…」
「でも、飛んでみたいかも!私は飛べないけど…2人は飛べるんでしょ?」
「まぁな。どうする?」
「んー…じゃあさ、ゆっくり飛びながら行って、何か気になる所あったら言うから、その時は着陸してくれない?」
「成程な、そりゃいいや。んじゃ茜、任せたぞ」
「うん」
意外だった。お父さんなら進んで蓮子を抱っこしそうだというのに。隙あらば匂いを嗅いだり、頬を触ったり…何かしら女性問題を起こしそうなお父さんだが、流石に自重したと見える。
「メリー、私の事持ち上げられるー?」
「私だって妖怪の端くれよ?持ち上げるくらい、造作もないわ。おんぶとお姫様抱っこ、どっちがいい?」
(お前は『端くれ』じゃねーだろ…。紫さんの娘なんだ、そんなレベル遥かに超えてるっての…)
「お姫様抱っこー!…と言いたいところだけど、全体を見渡すにはおんぶが良いかなっ!」
「わかったわ」
それから、私は蓮子をおぶり空を飛び始める。すると彼女は、私の首を絞めそうなほど強く抱きついて、全身で密着する。胸が当たるが、私も女だからなのかそこまで気にはならない。
「ひゃああぁっ!う、浮いてるぅぅっ!ホントに空飛んじゃってるぅぅあああぁああっ!!!」
「蓮子…お願いだから耳元で叫ばないで…」
「スゴい!一面の緑だよメリー!天気は快晴だし気分もサイコーだねッ!ひゃっほーぃ!いっけーいけいけメ・リ・ィッ!!レッツゴーレッツゴーメ・リ・ィッ!!」
「何かの応援かよ…」
「わ、わかったらとりあえずもう落ち着いて…」
「『落ち着いて』!?そんなの無理でしょう!!だって今、空を飛んでるのよ!?人類の夢よ!!かのモンゴルフィエ兄弟だって、空を飛んだ時はきっとテンション爆上げだったはずよ!!」
「ライト兄弟じゃないの…?」
「モンゴルフィエ兄弟は、世界で初めて熱気球を使って空を飛んだのよっ!ライト兄弟は有人動力飛行で─────」
その後は少し専門的な話で、彼女には悪いが、断片的にしか記憶出来ていない。それでも彼女の知識の多さ、幅、深さを思い知った。
私がもっと外について勉強した所で、彼女には到底追いつけないだろうと確信を持って言える。追い付ける気がしない。私が何年勉強しようと、背中を追うばかりになるだろう。アキレスと亀のパラドックスのように。
そして、彼女が熱心に熱気球と飛行機について語っている間に、迷いの竹林の上空に到着した。蓮子はそれに気付かずに熱心に語っているので、どうしたものか、とお父さんに助けを求めようとするが、お父さんは何も言わず入口の方へと着地してしまった。どうやら、竹林の中を歩くつもりらしい。迷いやすいこの竹林の中を、だ。やはりお父さんは、地味に鬼畜だ。
小さく溜め息をついた私は、お父さんに倣って竹林の入口に着地した。
「さ、着いたぜ蓮子。ここが迷いの竹林……の、入口だ。どうよ、名前の通り迷いそうだろう?」
「うひゃあ…。こんなに竹しかない竹林は初めて見たかもしれない…」
私から降りた蓮子は入口付近の青々とした竹に触れて、小さくそう呟いた。外にある竹よりも、こちらの方が少し長いかもしれない。
「ここも…まぁ、幻想郷の名物っつーか…名所?ってな感じの所かな。ガチで迷ったら死ぬけど」
「死ぬ!?」
「妖怪が住んでるからな、喰われちまうんだよ。イタズラ兎の罠もそこら中にあるし。でもそれは回避できるよ。囮を使えば、だけどな。で、この竹林の中に不老不死の医者が経営してる診療所があるんだ。顔見せ程度にそこ行こうぜ」
「不老不死…?もしかして幻想郷って不老不死の技術があるの?」
そう聞いた途端に、蓮子の目の色が変わった。まるで、それを追い求めているかのように。少し嫌な予感がする。蓮子が蓮子でなくなるような…そんな、胸騒ぎにも似た予感が。
「ある。俺も不老不死…って言わなかったっけ」
「え!?言ってなかった…ような気がするけど」
「多分だが不死身って言ってたかもしれないな。不老不死に訂正させてくれ。俺は老いもしない。未来永劫、この若々しい姿なのさ」
「不老不死…って…どうやってなるの…?」
「人間なら『蓬莱の薬』っていう薬の服用だな。でも妖怪にそれは効かないから、また別な特殊な方法で、本体を肉体から魂にするんだ」
「その特殊な方法って!?」
「…何だ?まさかとは思うが…蓮子、不老不死になりたいのか?」
「ハッキリと『なりたい』ってわけじゃなくて、
『なれるならなりたい』って感じなんだけどね」
嫌な予感が的中してしまった。蓮子は、人間を辞めるつもりだ。まぁ、「なれるなら」という事なので、何がなんでもなりたい訳ではないらしいのが救いだと言えるだろう。…お父さんが余計な事を言わなければ、この話はもう終わっていた。何でまた、お父さんは余計な事を言うのだろう。
「もしそうなったらそっちの世界では暮らせなくなるんだぞ。それ、分かってて言ってるのか?」
「そんなのは覚悟の上だよ。家族とかは、決して簡単には手放せない。でも私には覚悟があるわ。あなたもそうでしょ?母親に幻想郷に来たことを教えた上で、外の世界ではなく幻想郷を選んだ。それは何故?覚悟していたから。……でしょ?」
「まぁ………な。だけど、後悔したってどうにもならないのが不老不死なんだぞ。俺は後悔なんてしないけど」
「私が後悔なんてすると思う?」
「さぁな。付き合いが長いわけじゃないんだから俺に聞かれたって分からないよ。幾ら蓮子だって後悔する時はするんじゃないか?…何で、蓮子は不老不死になりたい?動機は一体何なんだ?」
「不老不死って所謂『生きてるけど死んでる』、
『生きてないけど死んでない』みたいに、生死の境界があやふやな状態な訳でしょう?」
「そう…なるのかな。多分そうだな」
「それって、まさに
「………」
それを聞いたお父さんは、苦い顔をしている。
「何となく」ではなく「明確な理由」があると、その人を止めるのはより難しくなるということを分かっているからだ。
「茜はどう思うんだ?」
「……蓮子が不老不死……」
もしそうなった場合、何が起こるだろう。まず蓮子は外の生活を捨てなければならないだろう。百害あって一利なしだ。私の立場ならば、普通に考えたら止めなければならないだろう。もし仮に大学は卒業できても、何かしらの弊害はあるかもしれない。…尤も、その頃になれば身体の成長は止まっていても自然だろうし、そういう意味では大丈夫だろうが…。
この問題の本質はそこではない。更に未来だ。
「…そうなったら…永く一緒に居れるのかな…」
「そう!そうよメリー!!私が人間を辞めれば、ずっとメリーと活動出来るのよ!!いつまでも…いつまでも!この世に存在してるオカルト全てを調べ尽くせるかもしれないくらいに、永く一緒に居ましょ!ねっ!」
「………うんっ…♪」
蓮子が良いなら…それでも良いかもしれない。というより彼女に「一緒に居ましょ」と言われた事が何よりも嬉しい。卒業まで大学には通おう。しかしその後は…蓮子も幻想郷で暮らすのが良いかもしれない。人間ではなく、蓬莱人の蓮子と。
「…ハッキリ言って俺は、蓮子が人間のままでも不老不死になろうと、どうでもいい。だからもう止めはしないし、そういう意見は出来るだけ尊重したいとは思う……けど」
「けど?」
「せめて、反対派の先輩の話は聞いておこうか。中学や高校で決める進路なんかよりもよっぽど、人生を左右する事だからな。最終的に決めるのは蓮子本人だけど、それでもリスクや危険さとかは知識として頭の中に入れておいた方がいい」
「わかったわ!その先輩はどこにいるの?」
「この竹林に居るよ。適当に歩いていれば、何れ会えるだろう。行こう」
「道標とか無くて大丈夫〜?」
「今回は人間の蓮子が居るしな、帰りに迷わねぇように赤い糸を括りつけて行くさ」
お父さんはいつの間にか、棒に巻きつけた糸を持っていた。創造したのだろう。それにしても、
「運命」について決めた後に赤い糸とは…何だか意味深長だ。
「迷わないように赤い糸ってモロにアレじゃん!アリアドネの糸じゃん!」
「あ、知ってる?アレ凄く良いよな、テセウスに尽くすアリアドネが堪らねぇっていうかさ…」
「あの騒動は結末が悲惨だけどね〜…。駆け落ち紛いなことまでしたのにアレって…」
「それなー…もっと他に手ェあっただろってな。でもまぁ仕方の無いことだったのかもしれんが」
「誰かさんみたいに、敵国の軍とかを破壊すれば良かったのになー」
「そう、誰かさんみたいに…ってやかましいわ」
「全くもう……。誰も彼も、お父さんみたいにはなれないんだからね?」
「まーね。俺がこうなれたのは偶然だしな〜…」
そんな話をしながら、私達3人は迷いの竹林へ足を踏み入れた。幸いお父さんからの入れ知恵でギリシャ神話は少しだけ齧っていたので、今度は話に置いていかれずに済んだ。
大空魔術にて、蓮子は不老不死になりたい派だと判明してたんですな。それに対するメリーの反応とかも気になる所ですけど…不明なんすよね…。まだ蓮台野夜行しか持っていないので他のCDに関しては調べるしかないんです…すみません…orz
蓮子の発言のニュアンス的には、「何がなんでも不老不死になりたい」というより「なれるのならなりたい」みたいに、少し軽めだと感じました。
自然な言い回しだと「生死の境」だと思いますが敢えて「境界」としました。