相棒を弾いて、「おっぱいパワーで勝った」と相手が言った。
相棒を弾いて、「仲間の力で勝った」と相手が言った。
相棒を弾いて、「実力で上回った」と相手が言った。
相棒を弾いて、「お前が弱かった」と相手が言った。
相棒を弾いて、「ふさわしいのは俺ちゃんだ」と相手が言った。
相棒を弾いて、なんかよくわからないセリフを相手がべらべら喋りだした。
だから、後ろから刺した。
弾かれた相棒が刺した。殴り弾かれた相棒が刺した。鍔迫り合いで弾かれた相棒が刺した。なんかよくわからないエネルギーで吹き飛ばされた自分を置いて相棒が刺した。消し飛ばされるかもしれない寸前でヤケクソ気味で投げ飛ばした自分に応えて、相棒が刺した。
女の子を刺した。男の子を刺した。男の娘を刺した。魔王を刺した。二天龍を刺した。自分と似た容貌の兄弟を刺した。故人の名前を勝手に拝借する連中を刺した。
記憶にない誰かが邪魔にし来たから、そいつらも刺した。
敵討ちに来た男を刺した。敵討ちに来た女を刺した。敵討ちに来た誰かの忠臣を刺した。敵討ちに来た子供を刺した。敵討ちに来た誰かの師匠を刺した。
さして変わりのないことを、ただ「やりたいから」で刺しきった。
何度も繰り返される刺し方、何度も同じ手を喰らう誰かのやられ方。
何度も繰り返される殺され方、何度も繰り返される腹の立つ日々。
どうせまた同じことが繰り返されるなら、退屈だろうからと刺した。
どうせまた頑張っても繰り返されるなら、もっと辛くなる前にと刺した。
どうせまた無視しても繰り返されるなら、舐めている間にと心臓を刺した。
記憶を改ざんしようとした誰かは、そんな自分の記憶を覗いてまた繰り返す。
また誰かが敵になる。また誰かが下僕にしようとする。また誰かが使い捨ての駒にしようとする。また誰かが、誰かが、誰かが。
何度も自分を救ってきた。何度も誰かを裏切ってきた。
何度も自分から殺してきた。何度も誰かを信じられる前に殺した。
この世界に留まりたくないと叫んでも、またこの世界で繰り返す。
この世界に留まりたいと叫んでも、留まる前に誰かが殺しに来る。
何度死んだのだろう。何度生きたのだろう。
この学園で桜を見るのは何度目で、この身体で育てられたのは何度目だろう?
疲れたと呟いて、飛び降りたのも何度目だろう。飛び降りた先に赤髪の誰かが通りがかって、悪魔の駒で蘇らせられたのも何度目だろう。
気のいい性格なくせに嫉妬深い馬鹿を相手に喧嘩をしたのも、仲良くなったのも、女性関係で幸運が巡って嫉妬されたのも、裏切りだと錯覚されたのも、本当に裏切ったのも、勝手に敵だということにされたのも何度目だろう。
どこかで聞いたことのある宗教の宗旨や風習を無視してでも悪魔を救おうとした善人で、そのくせ悪魔殺しの連中が死ぬほど頑張った過去をないがしろにしてもいる戦犯の、どっちつかずの修道女を相手にするのも。
親友のためなのか、自分のためなのか、どっちだかサッパリ伝わらない態度のまま性欲に任せて虐待するのが趣味で、そのくせ自分がネグレクト紛いをされたら文句を言うような、コスプレ同然の格好にしかなっていない巫女を相手にするのも。
一番マシだと思える男友達だったはずなのに、「主がこう言ったから」で混沌とした剣を向けて消滅させにくる、そんな不義理なやつにもなる騎士まがいを相手にするのも。
もっともマトモで峻峭ながら、本能にも自愛にも忠実な猫を相手にするのも。
やたらと臆病なくせに、便乗すると気が大きくなる可愛い吸血鬼を相手にするのも。
もう、本当に何度目だろう。
何回殺したのだろう。何回助けたのだろう。何回見逃したのだろう。何回抱き合って気持ちを分かち合ったのだろう。擦り切れていく思い出も、擦り切れていく気持ちも、繰り返すたびに傷口が掘り起こされて無理やり溝が深くなる。
嫌でも、何度でも思い出せる。
「
生き返らなくていいんだろう、なんて訊ねるのも。
うーん、サイコパス。