ポケットモンスターThunder/Sound   作:keruru

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前回よりちょっと文字数が増えました。時系列が分かりづらいかも知れませんがゆっくりお読みくださいm(_ _)m







出発の雷音

〜side上鳴

 

ミシロタウンから繋がる唯一の大きな道路、101番道路へ続く町の出口に耳郎と2人で並び、再度腰に付けたボールが6つあることを手探りで確認する。

 

 

「忘れもんねぇか?」

 

「あんたじゃないんだし。するわけないでしょ」

 

 

俺の信頼も随分と落ちたもんだ。昔はもっと可愛げがあったのになぁ…

 

 

「あんた今失礼なこと考えたでしょ」

 

「いや?そんなことないけど?」

 

 

耳から伸びるジャックを目の前にチラつかせながら脅し気味に尋ねてくる耳郎に対して平静を装いながらそう返す。こりゃバレたな。

 

 

「いい加減出発するよ。下手したら今日は野宿だよ?」

 

「それはまずい。そんじゃ……」

 

 

 

「「いってきます」」

 

笑顔で見送ってくれる俺と耳郎の両親に手を振りながら、歩みを進めるべく再び振り返ってミシロタウンに背を向ける。

 

さぁ、俺達の冒険の第1歩だーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とまぁ今から俺達の冒険が始まるわけなのだが、その前にちょっと説明しなきゃならないことがある。

順を追って行こうと思うが、まずは俺と耳郎の再開からだろうな。

 

 

 

俺が耳郎と再開したのは3年前、7歳の誕生日を迎えた頃だったか。

突然家の隣に新しい家が建てられたかと思えば、すぐに入居者が入ってきた。言うまでもなくそれが耳郎だ。

 

それはもうビックリしたよ。だって前世きりでもう会えないと思ってた大切な友人に会えたんだから。思わず「耳郎!!」って叫んじゃったもん。

 

俺は当然のように「上鳴?!」って耳郎の驚く声と表情が飛んでくると思ってたんだ。だけど帰ってきた言葉はこれだった。

 

 

 

 

 

 

 

「初めまして。でもどうして私の名前を…?」

 

 

 

 

 

 

 

絶句した。

 

 

何故だ?何故耳郎は俺の事を知らない?俺は耳郎の事を覚えているのに……

 

 

「どうしたの?」という母親の声で我に返ると、膨れ上がった期待を一瞬で打ち砕いたショックに耐えられず、不思議そうな顔をする耳郎を横目に一目散に自分の家にこもってしまった。

 

 

呆然と自分の部屋でベッドに寝転んでいると、「大丈夫?どうかしたの?」いつの間にか帰ってきていた母親がノックと同時に聞いてきた。

 

ふと時計を見ると、もう11時をまわっていた。

なんもないよ、と返すと

 

「流石にあれは失礼でしょう。向こうもびっくりされてたわよ。今日はもう遅いから明日にでも挨拶し直してきなさい」

 

と理路整然と言われてしまった。それもそうだよなと思いながらベッドから体を起こすと、「分かったよ。明日ちゃんと行くから今日は1人にしてくれ。ちょっとした早とちりだったんだ。申し訳ないと思ってるよ。」とドアに向かって言葉を投げた。

 

 

 

明くる日、もしかしたら思い出してくれたかもしれない、と淡い期待を抱きながら耳郎の家のインターホンを押した。

 

 

なかなかドアが開かず、表札に書かれた耳郎という字を見ながら、名前を知っていた理由は表札を見たからって事にしようかなぁ…なんて思っていると、いつの間にかドアが開いて目の前に耳郎が立っていた。

 

 

「あ…えっと…その…昨日はすみませんでした……」

 

我ながら雑な謝罪だなと反省しながら頭を下げると、

 

「そんな…気にしないでください。これからよろしくお願いしますね!」

 

と可愛らしい笑顔と共に返ってきた。

やっぱり俺のことは覚えてないか…と半ばがっかりしながら適当な挨拶を交わし、話題はお互いが持っているポケモンのことに移って行った。

 

 

 

「へぇ…上鳴くんはメリープ持ってるんだ。モフモフしてて可愛いな」

 

「こいつの名前はイナズマ。名前で呼んでやってくれ。あと俺のことは上鳴って呼び捨てでいいよ」

 

「分かった。よろしくねイナズマ。それならあたしのことも呼び捨てでいいよ。お互い変に気を使わなくて済むしね」

 

「おっけー。耳郎はラルトス持ってるんだ。エスパータイプって憧れるな。」

 

「この子の名前はツクヨミ。同じく名前で呼んであげて」

 

「おぉ、カッケーな。よろしくなツクヨミ」

 

 

 

耳郎は俺のことは忘れてても、その性格は変わってなかった。

サバサバした男勝りな性格は前世となんら変わりなく、話せば話すほど俺の中のショックは瞬く間に癒えて行った。

 

 

ころころとテンポよく話題が変わっていく中、ふと耳郎がこんなことを言い出した。

 

 

 

 

「上鳴ってさ、将来の夢ってなんかあるの?」

 

 

 

 

 

思考を回すこと3秒。俺は自分に言い聞かせるようにポツリと返した。

 

 

 

 

 

 

「俺は…ホウエンチャンピオンになりたいかな」

 

今思えばこの時だった。俺が何故ホウエンチャンピオンを目指したのか理解したのは。

 

耳郎が軽く目を見開きながら言葉を返してくる。

 

 

「そっか…それじゃぁ………上鳴はライバルになるのかな」

 

内心耳郎が言っていることを察しながら、何も言わないでいると耳郎が言葉を続けてくる。

 

「あたしも小さい頃からチャンピオンに憧れてて…あ、あたし生まれはハジツゲタウンでさ、ずっとハジツゲで暮らしてたんだけど、火山灰が原因で喘息になりかけたことがあって……それで空気の綺麗なミシロに引っ越したんだ。それで、ハジツゲにいた頃に1度だけチャンピオン防衛戦を見に行ったことがあるの。挑戦者もすごく強かったんだけど、チャンピオンはさらにその上をいってた。子供ながらに震えたよ。究極のポケモンバトルは見る人全てを感動させるんだなぁって思った。同時に私もこんなバトルをしてみたいってね……上鳴はどうしてチャンピオンを目指してるの?」

 

 

 

答えられなかった。

 

なんとも純粋な理由でチャンピオンを目指す耳郎を前にして。

 

自分が何故チャンピオンを目指してるのかを理解してしまったために。

 

耳郎が前世の事を覚えてないのに、お前を守るためだなんて言えるわけがない。

 

 

「俺は……俺は………………」

 

何も言葉を紡げずにいると、察したように耳郎が話しかけてくれた。

 

 

「ごめんね?無理に教えてくれなくてもいいよ。またいつか教えて欲しいな。」

 

「ごめん…………」

 

 

自分が悪かったかのように気を使ってくれる耳郎の優しさが痛かった。

 

 

「別に謝らなくていいよ。……てことは10歳から旅に出るの?」

 

 

耳郎が話を変えてくれたおかげで気まずかった場の雰囲気が切り替わる。

なんとか話を続けられそうだ。

 

 

「そのつもりではいるけど……ちょっと考えてることがあってね…………」

俺は妙に口角を上げてそう言った。

 

 

「考えてることって何?…てか顔が怪しいよ上鳴……」

 

「耳郎、この世界でチャンピオンになるために通らなければならない試練は知ってるよな?」

 

「もちろん、まずはリーグ公認のジムバッジを8つ集めて…そっから年に1回始まるリーグ予選でしょ?それで1位を取って初めて四天王とチャンピオンに対する挑戦権が与えられる。」

 

「そう、その通り……なんだが、さすがに1年間で手持ち一体から仲間を集めて、チャンピオンになれるほど強くなるのは無理がある。そこでだ………………」

俺はひっそりと耳郎に耳打ちする。

 

 

 

 

「えぇぇーーー?!8歳から旅に出る?!」

 

「ばか!声がでかい!」

予期してなかった提案に驚いた耳郎は素っ頓狂な声を上げ、それをすかさず抑える。

 

「ごめん…でも本気?10歳からしか旅しちゃ行けないんじゃ…ていうか上鳴10歳でチャンピオンになろうとしてたの?!」

 

「もちろん。最強を手にするのに速いに越したことはないだろ?最年少チャンピオンなんてカッコイイじゃんか。…旅しちゃいけないってのはジムバッジを集められるのは10歳からって話だろ?ポケモンを捕まえたりするのは何歳からでもやっていいんだよ。つってもまだ子供だから精神年齢の低さ故にポケモンをぞんざいに扱うような事があれば、ポケモン協会から制限を受けるだろうけどな。俺達はそんなことしねえ。自分達だけの仲間を集めて、自分達だけのパーティ、戦い方を作るんだよ!どうだ?一緒に行かねぇか?」

 

俺は矢継ぎ早に自分の人生プランを耳郎の前に並べ立てる。

 

 

「……………」

 

迷っているようだ。まぁ当たり前だよな。俺だって思いついただけで親の許可なんてまだ貰ってないし。

 

 

それでも俺は耳郎の反応をまった。耳郎の口から是非を聞きたかったのだ。

 

 

 

長い静寂の末。

 

 

 

 

 

 

 

 

「………………………行く。連れてって」

 

 

 

 

耳郎は確かにそう言った。

 




どこで話を止めるか迷いましたが、ここでとりあえず切りました。

次話からは仲間集めの過去ストーリーに入ります。
本編はもうちょっと待ってくだちい。
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