ポケットモンスターThunder/Sound 作:keruru
〜side上鳴
バチバチバチバチバチ!!!
「…っ!!ぐっ……あっ………!!!」
電撃を受け苦しむ上鳴を耳郎とダイゴが驚愕と困惑の表情で見つめる。耳郎はとっさに上鳴を助けようと近づくが、電撃の余波が強すぎて近づくことが出来ない。
「上鳴!!あんた一体何やってんの!!!」
「……っ大丈夫だ!!そのまま見てろ!!!」
耳郎の心配をよそに、上鳴は電撃を耐え続ける。が、
(まずい……っ限…界……が…)
ショックのあまり前方にふらつく上鳴。しかしーー
ダンッ!!!
倒れ込む寸前に右足で地面を踏みつけ、何とか踏みとどまる。
(……ここで倒れちゃいけねぇ………!!
今ここで倒れちまったら……二度と耳郎を守れねぇ!!)
「……っぁぁぁああああああああ!!!」
バチッッ!!
けたたましい叫声と共に上鳴はイナズマから放たれる電撃を全て耐えきり、それと同時に上鳴の体から電気が消え去る。
「ハァッ…ハァッ……」
「……上鳴、あんた本当に何して……」
肩で息をする上鳴。その姿に耳郎が声を掛けようとしたその時ーー
バチバチッ!!!
「?!」
突如上鳴の体に
突然の出来事に困惑する耳郎。
しかし先程とは違い上鳴は動じない。
バチッ!!
やがて電気は消え去ったかと思えばーー
(この感覚……………懐かしいな)
上鳴は自身の指先で弾けるプラズマを確認すると、イナズマに向かって
《……イナズマ、聞こえるか?……サンキューな。お前のおかげでやっと出来たよ》
《全く……無茶し過ぎなんだってトレーナーは。ぶっつけ本番もいいとこだよ?半年練習したってトレーナーが直前でチキるから1度も成功しなかったし。下手すりゃ死んでたよ?全くやだよ自分のトレーナーをこの手で殺すなんて》
イナズマもまた上鳴に対して電磁波を飛ばすことで応答する。
《はは……悪ぃって。………それよりまさか本当にこの世界で‘‘
《え?!出来る確証無かったの?あんだけ自信満々に練習してたのに?!》
《そりゃあ無かったよ。でもどちらにしろやるしか無かったし。まぁ結果オーライってことで》
《はぁ……もうそれでいいよ………それじゃあ後はプラン通りでいいんだね?》
《あぁ!!後は勝つのみだ!!頼むぜイナズマ!!》
《もちろんだよ!!》
上鳴とイナズマは同時に敵を睨むと、上鳴は脚を開いて両手を地面に打ち付け、イナズマはそれに合わせて空中へジャンプする。
ーー‘‘個性’’発動ーー
「"無差別放電130万ボルト"!!!」
上鳴の両手からフィールドに向けて大量の電気が放たれる。
フィールドに流れ込んだ電気はそのまま帯電し……イナズマ専用のフィールドが完成する。
「……これが俺達だけの技!!
いくぞイナズマ!!……"ボルトフィールド"!!」
《行っくよーーー!!》
上鳴の揚言に続いてフィールドに降り立ったイナズマは、フィールドからエネルギーを吸収するように電気を蓄える。
ーーボルトフィールドの効果その1ーー
フィールドに触れることで常に"かじゅうでん"状態になり、とくこうが3段階上がる。
「イナズマ!!"10万ボルト"!!」
「…っ!グリム!!"ラスターカノン"!!」
ここまでの出来事にあっけに取られていたダイゴは上鳴の声で我に返り、グリムに慌てて指示を出す。
《いっけぇーー!!》
「ギギーー!!………?!」
このバトルでは常に押し勝っていたギギアルの光線を、正面衝突したイナズマの電撃がこのバトルで初めて押し返す。
「……っ!!」
ミスった、というふうに苦しげな表情をするダイゴ。
ポケモンバトルにおいて、ポケモンとトレーナーの絆はとても重要だ。トップクラスのトレーナーになればなるほど、それはより強固なものとなる。
そのためトップクラスのバトルでは一瞬のトレーナーの躊躇いが負けへと繋がるのだ。ポケモンはフィールドを客観的に見ているトレーナーを信じて戦うしかないため、トレーナーの思考、ひいては精神状態がモロにポケモンに伝わってしまう。
先程のギギアルの力負けもその例に漏れず、ダイゴは上鳴の一連の行動に対して我を失ってしまったために冷静さを欠いた指示を出してしまった。結果としてその焦りはギギアルに伝わり、ギギアルの技の‘‘ため’’が十分に作れなかったという訳だ。
「……ッグリム!!躱せぇぇ!!!」
「ギッ……!!」
ギギアルは自身に向かって一直線に向かってくる電撃を、すんでのところで何とか躱す。
(マジかよ?!あのタイミングでも躱すか?!)
予想の範疇を超えてくるダイゴとギギアルに驚く上鳴。が、その余裕顔は全く崩れない。
「甘いぜ」
《甘いね》
イナズマが手首をクイッと曲げると、ギギアルが躱したーーはずの電撃がまるで生きているかのように進路を180度変え、ギギアルを後方から撃ち抜く。
不意をつかれた攻撃に苦痛の余り顔を歪めるギギアル。残りのHPは残り僅かといったところか。
ーーボルトフィールドの効果その2ーー
フィールド内の電気や電撃はイナズマであれば全て意のままに操れる。
「……っグリム!!ギアソーサー!!」
流石はエリートトレーナー。ダイゴは予想外の攻撃にも怯むまいと直ぐに切り替えて指示を出す。
ーーが、
「イナズマ!!"エレキシールド"!!!」
《あいあいさ!》
今度はイナズマが下ろした手をグイッと振り上げると、フィールドの電気がイナズマの手に引っ張られるように形を変え壁を作り出し、ギギアルが放った歯車を全て消し去る。
(……これでもダメか……相当厄介だなあのフィールド………)
ボルトフィールドの余りの強力さに考え込むダイゴ。イナズマと上鳴を見つめるその視線には、フィールド内で段々と弱まってきている電気が映っていなかった。
しかし当然それに気づいた上鳴は、イナズマに電磁波を送って指示を出す。
《もうそろそろフィールドの充電が切れる。……次で決めるぞ》
《だね、了解だよ》
その会話を最後に、フィールドに這いつくばって両手足をフィールドにくっつけたイナズマは、ゆっくりと空中に浮遊する。
ーーボルトフィールドの効果その3ーー
その2の応用であり、フィールドの電気と自身が纏う電気のプラスマイナスを同じにすることで空中を浮遊、また反発力による加速が可能となる。
(まだなにか来るのか…グズグズやってる暇は無いな)
「グリム!!次で決めるぞ!!!」
「ギギ!!」
互いに理由は違えど、上鳴は作戦上の理由から、ダイゴは長年の経験から次が決着のタイミングだと判断する。
「イナズマ!!かっ飛ばせ!!!」
《どりゃああああ!!!》
空中に浮遊したままイナズマはカタパルトのように瞬間的に加速する。
「グリム!!相手をよく見ろ!接近したところを狙い撃つんだ!!」
「ギギ!!」
ギギアルはダイゴの指示を聞き、グングンと接近してくるイナズマに狙いを定める。
《集え……!》
イナズマは加速しながらフィールド中の電気を余すことなく右腕に纏う。空を切るその姿はーーまさに稲妻。
《…………っ!!》
「………ギッ!!」
ギギアルとイナズマがぶつかり合う瞬間、上鳴とダイゴは同時に叫ぶ。
「
「落とせグリム!!"でんじほう"!!」
《……っらぁぁぁああああ!!!!》
「……ッギギーーーーーー!!!!」
叫声と共にイナズマが穿つ。
脅嚇と共にギギアルが撃つ。
ーー勝負が決したのはまさに一瞬、
先程まで眩しく光り輝いていたフィールドはもとの地面に戻り、
ありとあらゆる音が無くなり、フィールドが静寂に包まれる。
そしてそのフィールドに立ち続ける者がただ1人、
《ーー勝ったよ。……………トレーナー》
イナズマは振り返りーーーー笑顔で言い放った。
やっとバトルシーン終わった……
もうちょっとで大誤算と旅に出ます。
今年度の執筆活動はそこまでです。
リアルの試練を乗り越えてまた帰ってきますので、
その時はよろしくお願いしますm(_ _)m