ポケットモンスターThunder/Sound   作:keruru

8 / 9
投稿がすごく遅れて申し訳ないですm(_ _)m


今回は本当に難産でした。シリアス展開ってどう持ってくんですか。


今回はなるべくゆっくり読んでもらうといいかと思います。作者の展開が下手なばかりにすみましぇんm(_ _)mm(_ _)m




ではドゾー( 。・∀・。)っ





過ちの雷

〜side上鳴

 

 

 

上鳴はベッドの上でゆっくりと目を開ける。

 

 

(……ここ………どこだ…………家?)

 

 

まだ覚めきってない頭で見慣れた天井を認識し、ベッドから起き上がってここが自室であることを確認する。

 

 

 

「……俺の部屋だ。……でも何でここに?…………上手く思い出せねぇ」

 

 

上鳴は再び目を閉じて記憶を探ろうとした。と、

その時ドアが吹き飛ぶような勢いで開いた。

 

 

《トレーナー!!起きたの?おはよう!!体調は?お腹すいてる?あ、まだ眠たいかな?》

 

「ちょ、まてまてまてまてまて落ち着けお前は」

 

 

ドアを勢いよく開けたイナズマは、自身に飛びかかるようにしながら心配そうな表情で質問を次々に投げかけてくる。上鳴は微笑みながらイナズマの頭を撫で、大丈夫だと言いつつ落ち着かせると、イナズマに事の経緯を尋ねた。

 

 

イナズマによると、ダイゴとの勝負を終えた瞬間に極度の疲労と緊張によってその場に倒れ込んでしまったらしい。それを見遣ったダイゴはげんきのかけらをミックスオレで自身の口に流し込み、メタグロスの"サイコキネシス"でここまで運んでくれたとのこと。……色々言いたいこともあるが、まずは感謝しなくてはいけないだろう。

 

 

「……なるほど、そんなことがね」

 

《耳郎も凄い心配してたよ?……私がもっと強ければ…って落ち込んでたし。後で会いに行こうね》

 

「耳郎が………そんなことを」

 

 

自身がチャンピオンを目指す理由は耳郎を守るためだというのに。やがては守る対象どころか最大の好敵手(ライバル)になりそうだな、と上鳴は苦笑する。

 

 

「……本当に()()は濃い1日だったな…ドッと疲れたわ……」

 

《昨日?何言ってんのトレーナー?》

 

「え?だって昨日はダイゴとバトルしたじゃねぇか?」

 

 

あっけらかんとした顔で言う上鳴に、イナズマはやれやれと顔を左右に振りながら返す。

 

 

《………本当に疲れてたんだね……それもう一昨日の話だよ。しかも今はもう夕方。トレーナー丸々2日寝てたんだよ?》

 

 

まぁ‘‘個性’’を解放したんだから負担が半端ないのは当然だと思うけど、とイナズマは続ける

 

 

「マジかよ?!俺2日も寝てたのか?!……………え?!…てことはじゃあ楽しみにしてた『大激突!ジムリーダー頂上決戦!!』も終わってんじゃねぇか!!」

 

《一体何の心配してんの。僕の心配返してよ。それはちゃんとお母さんが録画してたよ。……それよりどうなの?‘‘個性’’は変わりなく使えるの?》

 

 

イナズマが呆れた視線と共に言葉を投げてくる。

 

 

「だ…だってあれどうしても見たかったんだよ!!イナズマも楽しみにしてたじゃねぇか!ダイゴに勝った時のご褒美だねって!!」

 

《僕はしっかり見たよ?面白かったよー。えっと結局勝ったのはね………》

 

「言うな言うなぁ!!録画してんならネタバレすんじゃねえ!!」

 

《ごめんごめん、冗談だって。……で?どうなの?‘‘個性’’は》

 

 

いつも通りの一悶着の後、イナズマの真面目な質問に対して人差し指を立て、パチッとプラズマを起こす上鳴。

 

 

「ん、問題ない見てぇだ。……てか本当に‘‘個性’’が使えるようになるとはな………我ながらびっくりだぜ」

 

《前にトレーナーが言ってた前世ってのでは皆

‘‘個性(そんなの)’’を使えてたの?》

 

「あぁ、全員が全員同じものじゃなくて十人十色だったけどな。だから‘‘個性’’って言うんだ」

 

 

イナズマには‘‘個性’’の解放を手伝ってもらうにあたって、自身の経歴をある程度話している(耳郎については触れていない)。とは言っても解放するまではイナズマからの意思は伝わらなかったため、自身から一方的に語りかけただけだったが。イナズマの言葉を聞くに、上手く伝わっていたようだ。

 

ちなみにこの世界では大体のポケモンは人語を理解出来る。逆にポケモンが人に対してコミュニケーションを取れるのは、エスパータイプのポケモンが『テレパシー』を使用して意志を伝えるくらいだ。上鳴とイナズマのような例は稀有であろう。

 

 

《まぁ僕はどっちでもいいけど。……こうしてトレーナーと話せるようになったんだし》

 

 

自身に抱きついたまま身体を預け、珍しく甘え口調で話すイナズマ。そんなにこの二日間で心配をかけてしまったんだろうか。

 

1つ言っておくと、イナズマと上鳴が電磁波によって飛ばしているのは『言語』ではなく『意志』であるため、言葉が伝わると言うよりも心情が伝わる。なので言葉を交わすだけよりも、感覚そのものがより鮮明にリンクする。バトル時などは細かい指示の為それ(感覚リンク)が求められるが、‘‘個性’’の浪費を防ぐため基本的にバトル時以外は上鳴はイナズマに話しかけてコミュニケーションをとることにしている。

 

 

 

「……あ!…そう言えばダイゴはなんて言ってた?旅の件」

 

《安心して、あんなもの見せられて興味を持たないはずがないだろって言って帰ってった。とりあえずはクリアだね。あと『チャンピオンになる瞬間を見逃すなよ』ってさ》

 

「…相変わらず凄い自身だな。どうせサラッとチャンピオンになってくるんだろうけど。てかなってもらわないと困る」

 

《ま、とりあえずは色々と丸くおさまったね。あと半年は‘‘個性’’の使い方のバリエーションを増やしたりしようよ》

 

「それもそうなんだが……先にやんなきゃいけないことがあるよな………」

 

 

そう言う上鳴の目には逡巡が垣間見える。

 

 

《まぁトレーナーがいきなり電撃を浴びたかと思えば体から電気を作り出せるようになるとか、驚かない方が普通じゃないしね。バトル中もすごく心配げだったよ?なんて説明するのトレーナー?》

 

 

上鳴は黙って考え込む。そう、耳郎にこの状況を説明しなくてはならないのだ。こうなってしまった(個性を解放した)以上、自分が転生者であることは言わなければいけないだろう。

 

 

(とは言ってもなぁ………)

 

現実的にはありえないことが起きた以上、転生者だというのはある程度信じてもらえるだろう。それよりも問題なのは、()()()()()()()()()ことを伝えるか否かである。そもそもなぜ自身と耳郎に前世の記憶の有無が生じているのかも、耳郎にも‘‘個性’’が発現するのかどうかも上鳴は全く分かっていない。仮に耳郎が転生者であることを伝えたところで、一体何が変わるというのか。ただでさえ耳郎はダイゴ戦で貢献できなかったと落ち込んでいるのに(勿論そんなことは全くないが)、下手に伝えては更に耳郎に心的負担をかけることになるだろう。今はこれ以上ストレスをかけるべきではない。

 

 

熟考の末、上鳴は耳郎のことについては触れず、自身の事情のみを打ち明けることにした。

 

(……耳郎の‘‘個性’’が発現した時はした時だ。暴走でもしない限り何とかなるだろ)

 

 

上鳴はそれから自身の腕の中でもたれ掛かるイナズマを見る。

 

 

(……イナズマには言うべきだろうか………だが仮に言ったとしても更にイナズマに負担をかけてしまうだけなんじゃねぇか?……《ねぇ、トレーナー》)

 

「ん、どうした?イナズマ」

 

 

まるで見透かしていたかのようなタイミングで語りかけてくるイナズマ。自身の胸に顔をうずめたままだったが、心無しか先程までの陽気な雰囲気は感じられなかった。

 

「…………?」

急なイナズマの変化に上鳴は無意識に取り返しのつかないことをしてしまったような、不吉な予感が脳裏を駆ける。

 

そしてイナズマはゆっくりと語り出した。

 

《…言ってなかったんだけど、トレーナーが

‘‘個性’’を解放してからはトレーナーからずっと微弱な電磁波が流れ出てるんだ。多分感じ取れるのは僕だけだけど。……あんまり細かいことは分かんないけど、トレーナーがどんなことを思ってるかくらいは分かるよ。》

 

 

イナズマはそこまで言うと顔を上げた。交わした視線は何処と無く悲しげで。

その奥は恐ろしく透き通っていた。

 

 

《……今トレーナーから感じたのは不安と焦燥、そして僕に対する何かの躊躇(まよ)い》

 

 

自身を掴むイナズマの手に力が籠り、感じる電磁波が次第に強くなる。

落ち着いた口調とは裏腹に、力強く自身を見つめてくるイナズマの真っ直ぐな視線が痛かった。

 

イナズマは更に続ける。

 

 

《……トレーナー……いつだって…いつだって僕はトレーナーの傍にいる。何があろうと片時足りとも僕がトレーナーから離れることはない。

………トレーナーが不安な時も、嬉しい時も。

泣きたい時も、笑いたい時も僕はトレーナーの傍にいるよ?……だからね………1人で抱え込まないで…………強くなるから…僕も一緒に抱えられるように強くなるから…………だからお願いトレーナー…………トレーナーは………》

 

 

「イナズマ……………」

 

喋れば喋るほどイナズマの目から涙が溢れ出し、その頬を伝っていく。

 

イナズマの悲痛な訴えは頭の中で消え入るようにフェードアウトし、最後の言葉を聞き取ることは出来なかったが、続きなどもはや聞くまでもなかった。

 

 

ーーーー俺は一体何を迷っていたんだ?

 

 

「イナズマ………ごめん……ごめんな……………」

 

 

上鳴はイナズマを強く抱きしめ、心の奥底から絞り出すように懺悔する。イナズマの涙腺が完全に崩壊し、溢れる涙が自身の服を浸食すればするほど、

自責の念が自身の心を締め付けてくる。

 

 

ーーーー俺は……何やってたんだ?

 

 

 

こんなにも自身を信頼してくれる存在がすぐ傍にいたと言うのに。

 

自身は相棒を信頼することが出来なかった。

 

 

 

こんなにも自身のことを気遣ってくれる存在がいたと言うのに。

 

自身は自分のことしか考えなかった。

 

 

 

こんなにも長い間自身を支えてくれたと言うのに。

 

自身は感謝の念すら忘れていた。

 

 

 

 

ーーーー俺は()()繰り返そうとしていたのか?

 

 

 

 

耳郎どころか、最愛のパートナーすらも失おうとしていた。

 

こんなクズに頂点がなんだのと夢を語る資格など無い。ましてや最愛のパートナーと共に涙を流して悲しみを分かち合う資格などあるはずも無い。

 

 

故に上鳴は涙を零さない。否、零せない。

 

 

上鳴はバチッと自身の周囲にプラズマを発生させ、‘‘個性’’を使用する。

 

イナズマと感覚を繋げるために。

 

自身の思いが余すことなく伝わるように。

 

 

 

 

《…………イナズマ》

 

静かに語りかけるが、

イナズマは自身に抱きついたまま答えない。

 

《許してくれなんて言わない。俺を信じてくれなんてことも言わない。…………こんな俺を見限るのも、野生に戻ろうと他の誰かのポケモンになろうとも全てお前の自由だ。イナズマ》

 

イナズマは答えない。

 

《…………でもこうやって繋がったから分かる。イナズマが考えてることが全て伝わってくる。…………こんな俺から離れることを強く否定してくれていることも、こんな俺と旅をしたいって思ってくれてることも全てな………それがめちゃくちゃ嬉しくて、有難くて、申し訳ねえ》

 

イナズマは答えない。

 

《………こんなダメダメなトレーナーだけど、これだけ誓わせてくれ。虫がいい話だってのは分かってる。なんなら独り言だと思ってくれても構わない》

 

イナズマは答えない。

 

《イナズマ……もう一度俺にチャンスをくれねぇか……?もう何も失わない。何も手放さない。

他を頼れるように…他を守れるように……強くなる。俺でいいのなら……一緒にまた旅をしてくれ……》

 

イナズマは…………

 

 

 

 

 

 

 

ペシッ!!

《……?!》

 

 

イナズマはガバッと顔を上げると上鳴の頬を右手で引っぱたいた。

 

いきなりのことに驚いた上鳴は叩かれた頬を左手で抑え、イナズマの顔を見つめる。

 

 

その表情は涙で濡れたままだったがーー

優しく、柔らかに微笑んでいた。

 

 

《……まだ寝ぼけてんのトレーナー?答えなんてもう言ってるじゃんか。僕はいつだってトレーナーと共にある。トレーナーがいなかったら僕は僕で無くなるんだよ?……トレーナーがまた過ちを犯そうとしたら僕が目を覚まさせるし、僕が間違ってたらトレーナーが僕を革めてよ。……それがパートナーでしょ?》

 

《……………イナズマ》

 

《だから言ったでしよ?…トレーナーは……1人じゃない》

 

 

先程は上手く聞こえなかった最後の言葉をはっきりと告げてくれる。

 

 

 

《イナズマ……ありがとうな………》

上鳴は目を閉じ、もう一度イナズマを強く抱きしめる。

 

《えへへ……どういたしまして…トレーナー》

イナズマも目を閉じて上鳴に身体を預ける。

 

 

《よろしくな(ね)》

 

 

2人はそれだけ言うと眠りに落ちた。

 

 

 

その日の夜に2人の様子を見に来た母が言うには、これ以上ないくらい幸せそうな顔で寝ていたとか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






いかがでしたか?

しばらくコミュ回続けてから旅に出ますが予定より時間かかってるので年度末に近づくに連れて投稿しなくなって行きます。


どうか忘れないでください……それではまた次回m(_ _)m
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