ポケットモンスターThunder/Sound 作:keruru
何かとリアルが忙しくて!(言い訳
自分で書いてて思うんですけどこの小説の上鳴ってなんか頭良くないですか?
〜side上鳴
翌日、目を覚ますと同時にとてつもない空腹に襲われた俺達は皿ごと食べ尽くすような勢いで朝食を貪っていた。まぁ2日も食べてなかったんだし当たり前か。
「……ふぅ。食った食った」
《トレーナー、パンは飲み物じゃないよ?もっと噛んで食べなって》
「イナズマだってトースト3枚重ねて齧ってたじゃねぇか。人の事言えねぇと思うぞ?」
《疲労と飢餓で死線を彷徨ってたんだし、しょうがないしょうがない》
母の話によるとイナズマは自身が目覚めるまで自身の部屋の前でずっと待ち続けていてくれたらしい。ほんと感謝しか出ねぇよ。一生離さねぇからな。
「もうびっくりしたわよ?2日も目を覚まさないんだもの。いきなりあのダイゴさんとバトルしたかと思えば身体に電撃浴びて電気を作り出せるようになるだなんて…驚かない方がどうかしてるわよ」
「そうだぞ。しかも前世からの転生者なんて言われたらなぁ?ま、こうして五体満足に生きているんだしどうでもいい事なんだがな」
心配してくれていたのはイナズマだけではない。母と父も自身の状態を逐一気にしてくれていた。まったく迷惑かけっぱなしだったな。
流石に両親に隠しておくことは出来ないだろうと思い、朝食を食べながら(飲みながら?)自身の経歴について話したところ、多少なり驚きつつも思ったよりすんなり受け入れてくれた。両親曰く、「生命体が縮んでボールに入ったり、火やら毒やら電気やら生み出す世界だ。人間が出来たって有り得なくはないさ」らしい。我が両親ながらなんともぶっ飛んだこと寛容さなことで。
《……もう1枚》
「またかよ、何枚目だそれ?」
《…………にまい》
「重ねても3枚は1枚になんねぇよ」
***
「……・よし、行くぞイナズマ」
《ん、了解》
朝食を済ませた俺達は、耳郎に会いに行くべく家を出てから耳郎の家に向かう……と言っても隣なのだが。
ピンポーン。
上鳴は耳郎の家のインターホンを鳴らすと返答を待った。イナズマの話では耳郎は落ち込んでいるらしいし、そこまでじゃなけりゃいいが……
『はい…あら!上鳴くん!』
インターホンから発せられるのは明るくハリのある声。応答してくれたのは耳郎の母だった。モニター越しに俺であることを気づいてくれたようだ。
「突然すみません、耳郎はいますか?」
《この家に住む人全員耳郎さんじゃん。馬鹿なのトレーナー?》
「うるせぇな。んなこと分かってんだよ。どうすんだ?他に呼びようねぇだろ?」
《呼べばいいじゃん。響香ちゃんって》
「バ、バカ!そんな馴れ馴れしく呼べるか!!」
《照れてる》
「てめぇ」
「響香ならいるわよ。さ、上がって上がって!」
「は、はい!ありがとうございます!」
イナズマとなんともくだらない言い争いをしている間に耳郎の母が家に入るよう促してくれた。
インターホンに向けて笑顔で返した上鳴はそのままジト目でイナズマを睨む。
「……ほら、行くぞイナズマ。言っとくが耳郎にそんな他意は無いからな?ただの大切な友達だから」
《……ふーん。そう……ね…》
「何だよ?」
《なにもー》
イナズマの曖昧で意味深げな返しに引っかかりを感じつつ、まぁいいかと上鳴は玄関のドアを開ける。
《……隠し事はできないって言ったのに…素直じゃないなぁ》
おじゃましまーすと玄関をくぐる上鳴を見ながら、イナズマはやれやれというふうにかぶりを振った。
***
「おじゃましまーす」
《おじゃましまーす》
玄関のすぐ横にあったドアを開けてリビングらしき大部屋に
入ると、耳郎の母がお茶を淹れてくれた。
「丁度今お菓子が切れてて、ごめんなさいね」
「いえいえすみません。お構いなく」
《美味しいでふ》
お礼を言う上鳴に続いてイナズマも頭を下げる。もちろんこのふざけた戯言は耳郎の母には届いていない。
「耳郎なら上の部屋にいるわ。ゆっくりしていってね」
「はい、ありがとうございます」
笑顔で伝えてくれる耳郎の母にもう一度頭を下げ、お茶を飲み干す。深く息を吸い、喉に残る微かな風味を味わいながら耳郎の母に一言告げて階段に向かう。
「ごちそうさまでした」
《美味しかったでふ》
まだ言うかコイツ。
「本当偉いわね、上鳴くんにイナズマくん。……最近響香ったらあなた達の話ばかりなのよ。それもとっても楽しそうに話すの。
旅の件も聴いたわ。……響香を宜しくね?上鳴くん。イナズマくん」
「……いえ、こちらこそ」
《…………》
一瞬上鳴は言葉を詰まらせた。『宜しくね?』という何気なく放たれたであろう言葉がとても重苦しく感じて、まるで鎖となって口を無理矢理に塞いできたかのようだった。その理由が何であるかは分かっていたが。
イナズマは黙ったまま軽く頭を下げた。イナズマはイナズマで思うところがあるのだろう。心無しか表情も何かを思い詰めたように見えた。
そのまま階段を上がるが、一段一段が重い。自分の本心が登りたくないと脳内で喚き訴えているが、理性でもって足を動かし、段を1つずつ踏みしめる。
「……ここか、耳郎の部屋」
階段を上り2階に上がった上鳴は、綺麗なフローリングの床に面したドアの1つの前に立つ。そのドアの中心には、いかにも小学生の頃に体験教室で作りましたと言わんばかりの木製の"きょうか"と書かれたネームプレートが押しピンに引っ掛けられていた。
「…………ふぅ、行くか」
《……だね》
俺のやるべき事は……耳郎を守ることだ。
耳郎がどんな状態であろうと必ず立ち直らせる。
上鳴は覚悟を決めてドアノブに手をかけーーー
ガチャリ、とノブを回しドアをあk
ギュイイィィィィィンンン!!
「ぐあああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
《ギャアアアアアァァァァァァ!!!》
ドアを開けた瞬間にとてつもない爆音に鼓膜を貫かれた上鳴とイナズマはたまらずドアの前で耳を塞ぎのたうち回る。
「イナズマ?!聞こえるかイナズマ?!」
必死に叫ぶ上鳴だったが、あまりの爆音に上鳴の声など容易く掻き消されている。イナズマからの返事はない。
(こんなことで使う予定はないんだが……しょうがないか…!)
不本意にも上鳴‘‘個性’’発動。
《聞こえるかイナズマ?!いだだだだだ!!なんだってんだこれ?!》
《わかんない!!とりあえず爆音すぎるよ!!耳がァ!耳がァァ!!》
《何をここぞとばかりにム〇カの真似やってんだ!!いだだだだ鼓膜がヤバい!!》
《痛い痛い痛い痛………あ、止んだ……》
《……お?ほんとだ。急に静かに……》
2人が転げ回っている間に切り裂くような爆音がピタリと止む。続いて聞こえてきたのは聞き覚えのある少女の声。
「…あ!ドア空いてる!!音漏れまくりじゃん……って上鳴とイナズマ?!どうしたのこんな所で?!」
「………よう…久しぶり……」
《………おじゃましてます……》
それだけ言うと2人は同時に崩れ落ちた。
***
「あはは、ごめんごめん。来るなら来るって言ってくれたら良かったのに」
ソファーに座ってケラケラと笑いながらそう言い放つ耳郎。それに正対するように設置されたソファーには未だぐったりとした上鳴とイナズマ。ちなみに耳郎の横にはツクヨミも座っている。
「……いや確かに言ってなかったは悪いけど……いきなりあんな爆音がするなんて思わねぇよ……ドア開くまで何も感じなかったぞ?」
「うちはそこんじょそこらの防音設備とは比較にならない強度だからね。あたしがギターやらドラムやらしてたから両親がこの家建てる時にそうしてくれたんだ」
そう。あの爆音の正体はエレキギター。前世と同じく耳郎はガッキガキのロッキンガールで楽器は全般なんでもいけるし歌も上手い。
「なるほど…まぁそれはそれでいいんだが。……ダイゴと戦った時から落ち込んでたんじゃないのか?心配になったから見に来たんだけど元気そうだな。…俺としては何よりだけど」
「あぁその話…確かにあの時は何も出来なかったって落ち込んでたんだけど……この子のおかげで立ち直れたんだよね。あたしが部屋に籠ってる時にツクヨミがあたしの傍にずっと居てくれてさ…"強くなろう"って言ってくれた気がしたんだ。別にツクヨミと話したわけでもないんだけどね……不思議とその時はそう思えたんだ。…それでこんなことしてる場合じゃないって思ってまた頑張れたんだ。ね、ツクヨミ」
「キル!」
「そっか…それは良かった。ありがとうな、ツクヨミ」
自信が心配するまでも無かったようだ。自信がイナズマに助けられたように耳郎もまたツクヨミという大切なパートナーに助けられていたのだ。
(……そっか…そうだよな。今耳郎はツクヨミが傍にいてくれてる。俺が守らなくてもツクヨミが支えてくれてる…。俺が耳郎を守るなんて認識は甘かったのかもな。そもそも前世で俺達は競い合うライバルであり友人だった訳だし……トラウマのあまり無意識に保護意識が出ちゃってたのかもな)
《杞憂だったみたいだね。良かった良かった》
自身の気持ちを察してくれたようにイナズマが語りかけてくる。それに対してイナズマを見遣り軽く微笑んで返すと、今度は耳郎に向かって話しだす。
「そうだよな……こいつらがいなけりゃ俺達はここまで来れなかったし…これからも進むことは出来ねぇ。ほんとに……いいパートナーに恵まれたよ…」
「うん……旅まであと半年。…少しでも強くならなきゃね。夢の為に……支えてくれるこの子達の為に……」
「……あと半年か」
あと半年、という言葉を受け止めて現状を振り返る。
正直やばい。なんかぶっ飛んだ運命力でダイゴと巡り会えた所までは良かったが、前世から引っ張った付け焼き刃的な戦略しか組み立てられていない。もちろん‘‘個性’’が使えることや努力値を知っていることはかなりのアドバンテージになるとは思うが、それだけでは到底上位のトレーナーには勝てっこない。電気を上手く利用する戦術はもちろん、どんな仲間を集めるかとか自身の‘‘個性’’が切れた時の対処法など課題は山積みだ。
なんて考えていると。
「そういえばさ、あたし戦い方の基軸がイメージ出来てきたんだよね」
「お、どんな戦略なんだ?」
自身の思考を見透かしたように喋ってくる耳郎の言葉に耳を傾ける。少しでも戦術のパターンを増やしたい上鳴は、とりあえずいろんな人の戦術を聴いておきたい所だ。
「あたしはやっぱり音楽が大好きだからさ…音系の技を軸に戦っていこうかなぁ、なんて。ツクヨミはずっとあたしの弾くギターとかドラムとか聴いてくれてたし、1番繋がれるんじゃないかって思ったんだ」
「…なるほど、良いもの見つけたじゃん?」
「何で上からなのよ」
「はは、わりぃ。別にそんなつもりはなかったけどな」
…これは運命か否か。必然かはたまた偶然か。耳郎が『音』というものに可能性を感じてしまうのはある種当然かもしれない。ちょっとだけ前世の耳郎が垣間見えた気がして何だか嬉しかった。
《……前世では耳郎って音に関する‘‘個性’’だったんだよね?》
イナズマも同じことを考えていたようだ。視線は変えずに語りかけてくる。
《あぁ、音に関するというかモロ音を操る‘‘個性’’だ。耳から伸びるプラグを自在に操って爆音を発生させたり微細な音も関知して敵の行動を察知したりしてた》
《なにそれすごっ》
《だよな。俺も羨ましかったもん》
「そいつは楽しみだ。……っとそろそろ帰るか。結構長い時間居たし…。そうだ耳郎、お互い修行したらまたバトルしようぜ」
帰るか、とイナズマを一瞥してソファーから立ち上がる。ふと時計を見ると針は5時を指していた。耳郎の家に来てからいつの間にか3、4時間経っていたようだ。……そういえばイナズマと共に気絶してたのってどれぐらいなんだろう。
「もちろん!上鳴が驚いて声も出ないほど強くなってやるんだからね!」
耳郎が嬉しそうに了承してくれる。勝利宣言を高々と掲げられ、本能的に勝利欲を揺さぶられる。
「俺だって負けないぜ?返り討ちにしてやるよ」
自信満々に上鳴もそう返し、
「言ったね?」
「言ったぜ?」
お互いの言葉を確かめる。
耳郎と上鳴は無言で右手を握りしめ、目の前に突き出す。
そうして2人は不敵に笑うとーーー
互いの拳をコツン、とぶつけ合った。
今回も読んで下さりありがとうございますm(_ _)m
すみません。勝手ながら今年度はこれで更新を一時中断とさせていただきます。読んでくださる方々には大変申し訳ないです。
無事にリアルな試練を乗り越えられましたらまだまだ更新し続けようと思いますので、この小説を忘れずにいてください。耳郎&上鳴のパーティメンバー、特技、敵キャラ等の案がありましたら是非教えてください!
それではまた来年度に!!!!
※※※誠に勝手ながら、来年からもう一度この小説を作り直すかもしれません。アカウントを変えたりなどはしないので、そちらも読んで頂けると幸いです。さらに良い小説を作れるように尽力致しますので、これからも宜しく御願い致しますm(_ _)m