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第1話 新学期そして 再び
二〇一八年九月一日の朝、新学期に必要な物が有るかどうか確認していた。
僕が丸亀城に来てから二年程経った。特に大きな問題も発生せず、勇者達や巫女と授業、訓練、各季節ごとのイベントを楽しむなどをして、大災害が発生し、天の神の異形達―――バーテックスが攻めて来る前と同じ様な日常生活を送っていた。
必要な物が全部揃っている事を確認し、寮から出て城内の教室に向かう。
(イーノックおはよう)
『……』
目を閉じてイーノックに朝の挨拶をするが、まだ寝ているようだ。無理に起こす必要はないな、と思いそのまま教室に向かう。
教室の扉の近くまで来た。そのままの勢いで教室の扉を開く、そこそこ早く寮を出たため教室には誰も居ないと思ったが、既に先客がいた。
「おはよう乃木さん、新学期の朝から早いね。何か、手伝える事は無い?」
「あぁ、飯野かおはよう。飯野もだいぶ早いじゃないか。では、棚の上を拭いてくれないか?」
「うん分かった」
先客の名前は乃木若葉、彼女は朝早く来て黒板のチョークを整えていた。
僕と、乃木さんが別々に教室の中を整頓してしばらく経つと教室の扉が勢いよく開かれる。
「おっはよー!あ!若葉と黒桜がいるじゃん!二人とも早いなぁ~今回こそタマが一番だと思ったのに~!」
扉を開けた時の勢いと同じくらいの勢いで教室に入って来たのは小柄で元気な土居球子さん、その後ろから土居さんと対照的で、おとなしい印象を受ける伊予島杏さんが、土居さんの後ろに隠れるように入って来る。土居さんより背が大きくて隠れてられていないが。
「おはよう。土居さん、伊予島さん」
「おはよう。土居、伊予島」
僕とほぼ同時に乃木さんも、土居さんと、伊予島さんに挨拶をする。
「若葉!黒桜!あと、イーノック!次こそは絶対、絶っ~対!!タマが一番乗りしてやるからな!!」
新学期から負けて(?)悔しいのだろう、かなり前のめりに勝負をしかけてくる。
「タマっち落ち着いて~朝から喧嘩を売るのはやめようよ~」
伊予島さんが、前のめりの土居さんを落ち着かせようとするが、土居さんはそれを振り切って伊予島に振り返り、ジト目をしながら
「タマっちとはなんだ!杏よりタマが一年先輩なんだからタマっち先輩と、呼べ!」
「タマっちは変えなくてもいいんだ…」
伊予島さんはそんな土居さんに少し困った様な笑顔をする。
『…ん?いつの間に教室に…おはようクロウ起こしてくれても良かったのだが…」
「あ、やっと起きたかイーノック。何となく起こさなくてもいいかな~と、思ってね」
二人が来て騒がしくなっただからだろうか、イーノックが起き、少し眠たそうな声が頭に響く。
「なんだ~?イーノック今起きたのか。タマよりも遅いな!」
『仕方ないだろう、訓練をしていたのだから。と伝えてくれクロウ。あと、おはようとも」
イーノックが言った特訓とは、夜ベッドに入って寝る前に、イーノックが"精神世界"というのを作り出してその中でイーノックと模擬戦をすることだ。
なぜ現実で他の勇者と一緒に訓練をしないかというと、僕が使う三つの武器が特殊で教えれるのがイーノックしか居ないというのと、三つの武器が危険だからだ。なぜ危険かというのかは、また今度説明しよう。
「土居さん、イーノックが《訓練していたから仕方ないだろう》だって、あと、おはようだって」
「ん、おはよう。なぁ黒桜、まだイーノックと直接話が出来る機械はいつできるんだ~?このままだとめんどくさいぞ」
「今の所進展なしだって」
土居さん言う通り、イーノックは僕以外の人と直接話ができない。いくら何でもこれは不便なので大社にどうにかならないか?と相談したところ、出来るかもしれないと言い、相談した次の日に開発し始めたがかなり難航しているらしくもう一年程経つ。
「おはようございます、皆さん。新学期から元気みたいですね」
僕と土居さんが雑談をしていると、穏やかな声で挨拶をし、気品溢れる立ち振る舞いで登校して来たのは、上里ひなたさんだった。僕は今だに上里さんが同学年だとは思えない。そのせいでたまに敬語を使ってしまうこともある。
何となく土居さんに目を向けると、土居さんはフルフルとしていた。
「くそ~いっつもそんなモノを見せ付けやがって~タマが成敗してやる!覚悟!」
と、悔しそうに言い終えた瞬間上里さんの方へそこそこの速さで迫り、ある部位をがっしり掴む寸前に僕とイーノックは土居さんが何をするつもりか判断し、全力で後ろを向き、更に手で目を覆う。
「た、タマっちさん、胸を揉まないで下さい!」
「嫌だ!タマは諦めないぞ!その悪魔のブツをもぎ取るまでっ!」
「落ち着け!土居!飯野もいるんだぞ!」
「そうだよタマっち、飯野君もいるんだよ!それに、タマっち先輩はまだ成長途中なんだよ!」
「うわ~ん!あんずにも上から目線で止められた~!」
僕は後ろ向いて目を覆い隠し、しゃがみ込んでいるのでが声だけしか分からないが、何とか収まったらしい。
せめて僕がいないところでやってほしい。
教室内がカオスになっている所にまた一人、カオスになっている原因を一瞥し、登校して来が、黒桜はまだ目を覆っていたため気付いていない。
「おはよーございまーす!高嶋友奈!新学期も変わらず元気に登校しましたー!」
教室内に響き渡る元気な挨拶を高嶋さんに、僕含め「おはよう」と返す。
高嶋さんはそのまま先ほど登校してきた人物―――郡千景先輩の所へ向かう。
僕は、高嶋さんが郡さんと話しているのを見て郡さんが登校してきているのに気付いた。
「あ、郡先輩おはようございます」
「…おはよう」
ギリギリ僕に聞こえるくらいの声で返答してくれた。
郡先輩は基本的には口数が少ないが高嶋さんと話すときは、笑顔で話しているのを見かける。ちなみに僕は、偶にゲームの話をしたりする。
新学期最初の訓練では自衛隊員がバーテックスと戦っている映像を見せられた。自衛隊員は銃、戦車、戦闘機などで戦うが、全く効かず、地面で戦っている自衛隊員、戦車などは捕食され、空に展開している部隊も同じ様に捕食されたり、バーテックスが何体かが合わさりできた光の矢を発生させた"進化体"と呼ばれる個体に撃ち落されていた。
その映像が終わり、戦闘訓練の時間が来た。
「あぁ、運動しているカッコイイ若葉ちゃんの姿を、若葉ちゃんの画像コレクションに加えたいのですが…巫女の訓練があるので私はこれで…」
上里さんは残念そうに言いながら巫女の訓練に向かう。
「ひなた、また後で会おう、飯野も、イーノックも訓練頑張れよ」
「うん、乃木さん達も頑張ってねー」
僕も乃木さん達と別れ、訓練の一つである座禅で使う部屋に向かう。
『準備はいいか?』
「問題ないよイーノック、じゃあ始めよう」
部屋についてすぐに目を閉じてイーノックに精神世界を作ってもらい訓練を始めた。
訓練が終わって昼ご飯を食べに食堂に行くと皆食べ終わっていた。
土居さんと伊予島さんが呼びに来たらしいが、邪魔してしまうのはダメかと思って無理に現実に戻さなかったようだ。あと、僕の昼食が終わるまでみんな話しながら食べ終るのを待ってくれた。皆優しい。
僕は昼食が終わった後、教室に戻り訓練のまとめをイーノックと話しながらしていた。そして、まとめを終えようとノートを閉じようとすると不自然にページが止まり―――
けたたましい警報音が響く。
窓から外を見ると神樹様の壁の向こうから光が溢れてきてそのまま丸亀城ごと僕を呑み込む。
前が見えるようになってから景色は変わっていた。僕が立っていた木の床はカラフルな木の根っこの様な上に立っていて、辺り一面同じ根っこだらけになっていた。
「あぁ…遂に来たか、三年前はなんとかなったけど今回は大丈夫だろうか」
あの時は数が少なかったり、隠れてやり過ごしたりしたが、今回は絶対戦わないといけない。不安になる。
『大丈夫だ、あの時と違い一番いい装備も使える、なにより頼れる仲間がいる、だから問題ない』
「うん、そうだねイーノックありがとう」
イーノックの自信が溢れる言葉を聞いて不安が消え、スマホを取り出した。
「じゃあ行くよイーノック、準備はいい?」
『大丈夫だ、問題ない』
僕はスマホの画面に表示されている白い羽の描かれた紋章を押して姿を変えた。
次からオリ主達と勇者達がバーテックスと戦闘します。
遅くとも土日くらいには次出せると思います。