前回言った通り勇者達との共闘です。
2019年7月28日に大幅に文字数を増やし、サブタイトルを変更しました。
アプリを起動した僕の体を光が包み、制服が変わる。
制服のズボンがジーンズに変わり、上の制服が消え、上半身が何も着ていない状態になり、瞬く間に真っ白な左右非対称の鎧が装着され、左右の腰にそれぞれ三つの白い筒が取り付けられる。最後に、僕の目の前に両端に柄が付いた白い棍棒のような物が出現、僕はその両端を握り、展開した。展開した棍棒は弓状になり、青く光り輝く無数の刃が出現した。
この無数の刃は、神のみが作ることができるエネルギーのようなもので、片方の柄からもう片方の柄に向かい高速移動している。この弓状の無数の刃を持つ物は"アーチ"と呼ばれる僕が使う武器の一つだ。
僕は完全武装し終わるとスマホのマップアプリを起動、乃木さん達の場所を確認して直ぐに向かう。
僕が着いた頃にはバーテックスとの戦闘が始まっていた。身体強化していても勇者と比べて機動力が低いのが問題だ。
僕はどこへ援護に行くか決めるため皆の様子を見る、土居さんが伊予島さんへの攻撃を盾になり、投擲することで武器にもなる旋刃盤でバーテックスの突進を弾き飛ばし、カウンターで旋刃盤を投擲する。この旋刃盤はワイヤーがついていて、投擲しても手元にもっどて来るが、すぐに戻って来るわけではなく、戻ってくるまでが大きい隙になるはずだが伊予島さんが連射式クロスボウでその隙をなくしている。この二人に援護しに行く必要はないだろう。
次に高嶋さんと郡先輩を見る。高嶋さんが郡先輩をリードしながら手甲を付けた拳と蹴りでバーテックスを砕き、郡先輩は高嶋さんの後ろを守るように立ち回りながら死神の鎌を連想させられる大鎌でバーテックスを刈り取る。ここも大丈夫だろう。
最後に一人でしかも先頭で戦っている乃木さんを見る。乃木さんは樹海の中を身軽に動きながらバーテックスの攻撃を回避、近づいてきた個体を日本刀で切捨て、近くのバーテックスが減るとバーテックスの群れに突撃し、一振りで何体ものバーテックスを斬り裂く。一見危なげないように見えるが、たまに後ろから近付いてきているのに気づかずにギリギリで回避、もしくは日本刀で斬るなどで対処していて危なっかしい。そして、先頭で戦っているからだろう他のみんなより数が多い。力尽きた時一巻の終わりだろう。
僕は乃木さんの所へ援護しに向かう。
乃木さんがいる先頭に近付いていっていると、バーテックス達が僕の存在に気づき何体も突っ込んでくる。
「―――っ!」
『問題ない私が補助する』
それを見た僕は一瞬怯むが、イーノックが僕を落ち着かせる。バーテックスの小さな集団が僕の前に迫ってにくる。まずは先頭の一体に狙いを定めた。
『今だ!』
「せいっ!」
突進して来た奴を最小限に回避、すれ違いざまにアーチで斬り裂き、切り裂かれたバーテックスは絶命すると同時にイクラの様な物―――力の焔と呼ばれるエネルギーを吹き出した後、白い煙の様になり樹海で霧散した。斬り裂いた感触は前に使った青銅の剣で斬った時と違い、熱したバターナイフでバターを切る時のような感触で何の抵抗もなかった。
「一体!」
『二体!』
「三体!」
『四体!』
一番最初に斬ったバーテックスでこの装備ならいけると、自信がつき、走りながら斬り、斬ったバーテックスを足場にし、跳躍しながら、次々とバーテックスを倒していき、乃木さんの所へ到着した。乃木さんは少し疲労しているようだ。動きが少し鈍っている。
「これを使うか」
僕は左腰に取り付けられている白い筒の一つを取り、物質操作で中くらいの祝福の光を作った。
この白い筒は神樹様の神のエネルギーを詰めたもので、物質操作で疲労するのを抑えるために作られた物で、武器と中くらいの祝福の光までをほぼ疲労することなく作ることができる。
「ごめん遅れた!後これあげる!」
「飯野か!ありがとう、これでまた余裕を持って戦える!」
乃木さんに遅れたことを謝り、鎧の修復・傷を癒す効果だけでなく、疲労も無くす効果を持つ祝福の光を乃木さんの近くで弾けさせる。
乃木さん達勇者と、イーノックの補助を受けながら戦う僕によってかなりの速度で数を減らしていったバーテックス達の残りは急に一か所に集まり、巨大な一っ本の棒のような形にを変えた。が全く動かず、こちらの動きを伺っているように見えた。
「あれが大社の人達が言ってた"進化体"?」
「なんだあいつ、全く動かないぞ…?」
僕と土居さんは同時に首をかしげる。
「まず私が様子を見ます!」
巨大な棒型の進化体にクロスボウで三本ほど撃ち込む。
飛んできた矢に反応し赤い半透明のガラスのようなものを発生させ、矢を反射する。
「―――なっ!」
「危なっ!」
三本の内二本が伊予島へ、もう一本が僕へ向かって飛んでくる。
「大丈夫か!あんず!」
「うん、ありがとうタマっち先輩」
「いいってことよ!」
矢と伊予島さんの間に土居さんが滑り込み矢を防ぐ。
『アーチを盾に!』
「わかった!」
僕はアーチを両手で掲げるように構え、矢を防ぐことに成功した。が、当たった場所が悪かったのだろうアーチにひびが入る。恐らく進化体を斬りつけるとバラバラになるだろう。
攻撃しても反射される、他のの方法はないか考えていると…
「勇者パーーンチ‼」
離れた所からミサイルのような勢いで気合の入った掛け声と共に高嶋さんが反射板を展開している進化体に拳を叩きつけた。
「一発で足りないなら‼一瞬で百発でも千発でも叩き付ける‼」
勇者である高嶋さん達は神樹様と繋がっていて、神樹様に蓄積されている概念的記録から力を抽出し、身に宿すことができる。今回、高嶋さんが選んだのは、暴風を具象化させた精霊、"一目連"だ。
勇者装束が変化し、高嶋さんに一目連の竜巻の力が宿る。
「千回連続ぅぅぅ勇者パーーンチ!」
荒れ狂う暴風の様に進化体に拳が叩き込まれ反射板は役目を果たさず、進化体は砕け散った。
高嶋さんが使った精霊を体に宿して戦う技は"切り札"と呼ばれるもので、肉体に大きく負担がかかるものだった。
進化体が高嶋さんによって倒され、気が緩んだのだろう。僕達は後ろからゆっくりと気配を殺して近付いて来た一体のバーテックスに気づくことが出来ず、乃木さんに襲い掛かる。
「乃木さん後ろ‼」
「―――っ!」
ギリィブチッ
このまま喰らい付かれる!と思ったが、体を少しずらしすれ違いざまに斬り裂いたあと、バーテックスの肉を食いちぎる
「不味いな、歯ごたえも気持ちが悪い」
『「うわぁ」』
イーノックと僕の声が見事にハモる。
それから残党がいないか全員で確認、そして何事もなく現実に戻り、バーテックスを食べた乃木さんが、鬼のようになった上里さんに長めの説教を受けた後、切り札を使用した高嶋さんと共に検査に連れていかれた。
勇者達と共闘をした日の翌日の昼休み、僕達は全員でうどんを食べていてた。
うどんを食べていると、土居さんが手を止め言い始めた。
「なあ若葉。みんなと一緒に話し合ったんだけどさ」
「ん?なんだ?」
乃木さんは一度うどんを食べる手を止めた。
「お前がリーダーをやるのが一番いいと思うんだ。今まで、大社が決めたから若葉がタマ達のリーダーってなっていたけど、昨日の戦いでハッキリ分かったよ」
「急にどうしたんだ?」
「いやさ、昨日の戦いで、お前が誰よりも速く行動して先頭になって飯野が来るまで一人で戦ってくれたから、タマ達も戦うことができたし、誰かが大怪我してたかもしれないし……死んでたかもしれない」
僕が援護しに行った時既に大体のバーテックスが倒されていた。
「だが…私より高嶋や飯野がリーダーをした方が―――」
「タマっち先輩と同じ意見です!私も若葉さんがリーダーをするのがいいと思います!」
伊予島さんも身を乗り出して、乃木さんの言葉を遮り、乃木さんがリーダーをやるのがいいと言った。
「うんうん。確かに若葉ちゃんってみんなを纏めるリーダーって感じがするもんね!私は若葉ちゃんみたいにリーダーって感じなこと向いてないと思うなぁ」
「私は…高嶋さんがあなたがリーダーに適格って言うから、私も賛成だわ。それに…あなた活躍は確かだった」
『確かに、乃木はみんなを引っ張っていたと思う、訓練でも、昨日の戦いでも』
「イーノックが乃木さんは訓練でも昨日の戦いでもリーダーしてたって言ってるよ。あと、僕もみんなを引っ張るリーダーは乃木さんがいいと思うよ」
伊予島さんに続き、高嶋さん、郡先輩、僕とイーノックが言う。
乃木さんは皆の言葉を聞き終え一言。
「ありがとう」
力強く、お礼を言った。
「良かったですね…若葉ちゃん」
上里さんは乃木さんに微笑みながらやさしい声で言う。
「よし!リーダーの事はきまったな決まったな!後は…」
「ん?まだあるの?」
土居さんがジト目で僕と乃木さんを見て溜めて何か言おうとしている。他にも何かあるのだろうか?
「なーんで若葉と黒桜は、タマの事を名字の方で言うんだ!若葉は友奈とかを《友奈》って言うのに!」
どうやら呼び方についてのことらしい。
「私は二人に名前で呼んでねって前に言ったからね!けど、黒桜君にはまだ名前で呼ばれてないなぁ…」
高嶋さんは少し寂しそうに言うと、郡先輩の方から圧が来た。
「僕は友達とかを名字で呼んでいたからなんか恥ずかしくって…ほんとにいいの?」
「うん!全然いいよ!」
「じゃあ…よろしくね。友奈さん」
「うん‼よろしくね、黒桜君!!」
僕が名字ではなく、名前で呼ぶと寂しそうな雰囲気がどこかへ吹き飛ぶと同時に、郡先輩から飛んでくる圧が消える。
「むぅ~~ならタマのことも《球子》とか、《タマっち》とかでも良いから、とにかく名字で呼ばないようにしてくれ」
僕と友奈さんとのやり取りを見て不機嫌そうに言った。
「じゃあ…球子さん」
「おぉ、やっと名前で呼んでくれたか!出来たらタマは《さん》も取ってほしいけどまあ、いいや。さあ、あと若葉もタマのことを名前で―――」
「私も名前で呼んでください!」
「わかった、僕はこれから名前で呼ぶよ杏さん」
「ありがとう、黒桜君」
杏さんさんが今度は土居さん…じゃなくて球子さんの言葉をさえぎって言った。あと、僕は友奈さんと球子さんを名前で呼んだからか、慣れて直ぐに杏さんを名前で呼ぶ事ができた。
「あんず!タマがまだ喋ってる途中だ!しかも、都合よくタマの言葉に乗ったな!」
「…私も名前で呼んでいいわ……あと敬語はいらない…」
「「「「『!?』」」」」
今までのやり取りを見て郡先輩も小さい声で言ったが、乃木さん、球子さん、杏さん、の驚いた顔を見るに全員の耳にしっかり聞こえたようだ。まぁ、僕も驚いた顔をしていると思うが。
「なに…そんなに驚くこと…?」
「いや、郡先輩が名前で呼べと言われると思わなく、少し意外だと思って…」
乃木さんが答えると頬っぺたを少し赤くした。
「…皆が名前で呼び合ってるのに自分だけ名字で呼ばれて、敬語で喋られるのは…変……だから…」
「わかった、これから名前で呼ぼうと思う。飯野も名前で呼んでいいか?」
「うん、問題ないよ」
「では、改めて千景、球子、杏、友奈、ひなた、黒桜、イーノック、私はリーダーを務めようと思う。まだリーダーとして私は未熟だと思うが、これからよろしく頼む」
皆がその言葉によろしくと返答した。この時皆が一つになった気がした。
「それでは皆さんで、記念撮影をしましょう!」
上里さんはスマホを満面の笑みをしながら取り出した。
「上里さん、ここで撮ろう」
「では、黒桜君の所で撮りましょう。あと、黒桜君私も名前で呼んでくださいね」
「わかった、ひなたさん。じゃあみんなここに来て~」
僕は上里さんに広くていい感じの場所を提案したら上里さんにも名前で呼んでと言われた。
「では、若葉ちゃんのリーダー着任記念ということで…あ、イーノックさんが写ることができませんね。どうしましょうか…」
確かにイーノックが写らないのは問題だどうするか…そうだ、あれを使えばいい。
僕は手に割り箸を持ち物質操作をしてイーノックの顔を思い出して木のお面を作った。
「問題ないよ、今お面を作ったよ。」
「ありがとうございます。では、再開しましょう。皆さんはい、チーズ…また若葉ちゃんの秘蔵コレクションが一つ増えました」
最後にサラッとすごいことが聞こえた気がする。
「お?なんだそれタマに見せてくれ」
「私も見せてください!」
それに反応した球子さん、杏さんが、ひなたさんに詰め寄る。
「な!ひなたまだそんな物あったのか!いつか消すからな!」
秘蔵コレクションというのに反応してコレクションを消す宣言をしたり
「あ…やばいめまいが…」
「え!黒桜君!?」
僕は物質操作の副作用で倒れ、友奈さんに心配され
「はぁ…しまらないわね…」
千景さんはあきれた声で呟いた。
そんな賑やかな様子をひなたさんは、写真に収めていた。
戦闘シーン書くの楽しかったです。上手く書けていたでしょうか?