「ゴリラのおっさん!!ちょっとききたいことがあるんだ!」
それは検査を終えた後、ジャッジと二人で歓談しつつ食事をとり用意された部屋に向かっていた時の事であった。
声をかけてきたのはヴィンスモーク5姉弟の中で4番目の少年、金色の髪を持つサンジだった。
原作ではいつであるか不明だが彼は改造人間として失敗作だった事が原因で父親に死んだ事にされ監禁。そこから…確かジェルマ王国がレッドラインを越えて北の海から東の海へ侵攻したタイミングで逃げ出して客船に拾われ、更にそこからクック海賊団にその客船が襲撃された事によりクック海賊団船長"赫脚のゼフ"と共に漂流だったか?
そして彼と共に海上レストランを開きそこに訪れた原作の主人公"麦わらのルフィ"と共に海上レストランに襲撃をかけてきた当時50隻の船と5000人の部下を持っていた東の海で最大の勢力、海賊艦隊提督"騙し討ちのクリーク"を筆頭としたクリーク海賊団を撃退しその縁で麦わらの一味に加入というなかなか波乱万丈な経験をしてきた男だった。
とは言え今は監禁されている事も無いようで見たところ普通の少年であるが。
「どうした少年、聞きたい事ってのは何だ?」
そう言って膝を着き問いかければ
「…なぁゴリラのおっさん、そらをとぶのはどうやってやるんだ?おっさんはのうりょくしゃじゃないんだろ?」
との質問
「うぅむ、どうやってと聞かれてもな…少年、どこかに開けた場所はあるか?」
「うん!こっちきて!!」
そう言ってこちらの裾を引っ張るサンジに苦笑しつつ先導されるがままについて行けば
「あら、サンジ…と昼間のおじさんじゃない。どういう組み合わせかしら?」
先導される途中で桃色の髪の少女、ヴィンスモーク5姉弟が長子レイジュにばったりと出会った。
そこでサンジがかくかくしかじかとレイジュに説明をすれば
「ふぅん、成る程ね。私もおじさんが空を飛んでたのは気になってたのよね、私も付いて行っていいかしらおじさん?」
「なぁ少年少女よ、今のうちに言っておくがゴリラのおっさんとかおじさんでは無くちゃんとクリークと言う名前があるのだが…」
「あら、私にもちゃんとレイジュと言う名前があるわよ?」
「おれもちゃんとサンジって名前がある」
「…わかったわかった、今度からはそう呼ぶからそれでいいか?」
と聞けばうむ、と満足そうな顔で再びこちらの裾を引っ張り先導を再開する二人。
暫くすればなかなかの広さを持つ城のバルコニーに連れてこられた
「よし、クリークのおっさん、このくらいのひろさならいいか?」
「さて、空の飛び方を教えてもらおうかしら?」
そう意気込む二人であったが
「まぁ待て二人とも、俺が空を飛んでいたってのはこれの事であっているか?」
そう言って超人的な脚力で空気を踏みしめて空中に軽く躍り上がりつつ六式の一つ、月歩を披露してみせれば二人とも首肯した為再び地上に降り立つ。
「うーむ、やり方を教えろと言われてもな…まず言っておくがこれは海軍でも教えられる"六式"と言う体術の一つでな、この六式の習得には超人的な脚力が必須なんだが…
この空中移動を可能とする月歩、それから後二つ、剃という歩法と嵐脚と呼ばれる体術があるがこの二つには類稀なる脚力が必要となる」
「そる?らんきゃく?」
「あぁ、説明してなかったな。剃と言うのは高速移動の体術で嵐脚と言うのは蹴撃により衝撃波を出す技術でなこんな感じだ」
そう言って地面を連続して素早く蹴り目にも止まらなぬスピードで移動して見せて、そのまま素早く右脚を斜め上に振り上げればズパンッ!と言う音を立ててバルコニーの一部が切断された。
「あ、やべ」
「…私からお父様に言っておくわ」
「すごいなクリークのおっさん、くだけるんじゃなくてキレイにせつだんされてるぞ?」
「とまぁこんな感じだが先程も言ったようにこれらには凄まじい脚力が必要だから多分今の二人には難しいと思うぞ?」
と、そう言い含めておく。
原作ではサンジはゼフから教えを受けた蹴り技に凄まじい適正を見せてそれをメインとしており、月歩の類似技である"スカイウォーク"を習得していたが流石に今の年齢だと難しいだろうと考えてそれを伝えれば
「そっか…すぐにはむずかしいのか…」
「まぁそう簡単には行かないと思ってたけどね…」
「まぁ何事にも近道は無いぞレイジュにサンジ、俺もこれの習得は地道に積み重ねたものだ。
頑張れよ少年少女、大志を抱けってやつだ。二人がこれらを出来るようになるのを楽しみにしているぞ」
そう言ってポーチから出した飴玉を渡しつつ二人に言ってその場を去るのであった。
「流石にレイドスーツは渡せんからな…とりあえず適当に見繕っておいた」
明けて次の日、流石に王族からの歓待とあって豪華な朝食を終えるとクリークは演習場にてジャッジが待っていると話を受けて演習場へ。
演習場には台が置かれ、その上にはいくつかの装備を並べられており、その横には腕を組んで待つジャッジの姿があった。
「待たせてすまない、説明を頼んでも?」
「あぁ、本来ならレイドスーツ…形状記憶鎧を渡したいとこだがあれは流石に無理でな…」
「レイドスーツ?」
「そうか、貴様はレイドスーツについては知らないのか。
レイドスーツは私も今装着しているが形状記憶合金を使用した戦闘用スーツで着用すれば防御力の向上、敏捷性の向上、空中移動も可能とし不燃性もある一種の鎧のようなものだ。
流石にこれはこの国でも私しか持っておらず、今は我が子たちの分を開発している途中だからな。」
「成る程、かなり良さげな装備だけに残念だな」
「代わりと言っては何だがまずはこれだ」
そう言って台の上にあるブーツを指し示すジャッジ
「これは…何かの移動装置か?」
「ご名答、これは踵に加速装置、足の裏に浮遊装置がついており空中移動やスピードの向上が可能な"レイドブーツ"と呼ばれる物でジェルマの兵の基本装備だ。」
「空中移動か…一応生身でも可能だが?」
「海軍で教える六式というやつだろう?私が見たところアレは空中を蹴り続ける必要があると推測しているがどうだ?」
「まぁ…その通りだな。」
「これは靴底に空気と反発する力を持っていてわざわざ貴様の月歩のように蹴り続ける必要が無いというのが大きな違いだな。
それから踵のブースター、これは移動だけでなく蹴りの威力を飛躍的に高める事も可能だ。」
「成る程、ありがたく頂戴する」
「次はこのマントだ、これは一見唯の布に見えるが実際には幾重にも複数の素材を重ね合わせて作られている。
一見ひらひらしたマントであるが耐久性に優れ、攻撃を受けても盾として利用する事が可能だ。
…まぁ貴様はこれが無くとも生半可な攻撃は効かぬだろうが」
「いや、それは違うぞジャッジ。最終的には武力を多く持っているに越した事は無い。
例え銃弾すら弾く肉体を持っていようが鎧を更に纏っていた方がいいに決まっている。
武器もそうだ、例えば俺は武装が無くても戦えるが普段は棍や仕込み武装などあらゆる武器を所持している。
それも単に俺の考え方が"武力"に重点を置いてるからに他ならない、戦闘手段は多いに越した事はないからな。」
「ふむ、それが貴様の根底にある考え方か…そういう考え方もあるというのは覚えておこう。
さて説明を続けるが次が最後で1番の目玉で私の使用する槍…のスペアで"電磁機械槍"と呼ぶ」
「機械槍…という事は何かしらの機能があるという事か?」
「その通り、この槍は電磁気を操りそれを纏った斬撃を繰り出す事ができる
そして貴様に渡すこれらの装備だが…くれぐれもこれらの技術を海軍に流出させないと誓えるか?」
そう言ってざわり、と戦意を滾らせるジャッジ
「あくまで個人的な範囲でという理解でいいか?」
「あぁ、あくまで貴様が個人的にこれらの技術を使うならば良いがこれらの技術を海軍全体に行き渡らせるつもりならば…」
流石にジャッジもジェルマの科学技術を海軍にみすみす渡す気はないのだろう、誓えないならば総力を上げてこちらを排除しようという意気込みが感じられた。
「わかった、"海軍全体に行き渡らせる事は"しない、これらの技術はこちらで個人的に使わせてもらうという事でいいか?」
そう答えるとフッと力を抜くジャッジ
「よし、ならばこれらは貴様にくれてやる。とりあえず装備の説明はこんなところだ、何か質問はあるか?」
「いや、十分だ。そうだ、流石に子供の相手をしただけでこんな色々貰うのも悪いし俺の装備からいくつか見繕って渡そうと思うがどうだ?」
「ふむ、貴様の武装か。まぁ貰えるならば貰っておこう」
「よし、善は急げだ船に積んであるからついてきてくれ」
そうしてジェルマの科学装備を貰った礼にクリークは自身の予備の装備をいくつかジャッジにプレゼントするのであった。
ジェルマの科学装備をゲット、フル装備クリークのフラグが立ちました
原作突入後の描写について、現在原作が始まった事により麦わら一味の描写が多くなっていますがそれについてのアンケートを行います
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麦わらメイン(原作のに近く変化がわかる)
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クリークメイン(傍観者、クリーク主人公)
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二つの視点(麦わら視点とクリーク視点)