「あれか…」
「みたいですね」
「しかし何というわかりやすいグレかた…」
建物の影から伺うクリークとギンの視線の先には一人の少年の姿があった。
年の頃は10代前半、上半身は肩にかけた白いマントに下は簡素な皮のズボン。
特徴的なのはその髪型、俗にリーゼントと呼ばれる事も多いポンパドールヘアー
その髪を揺らしながら
「おい!さっさとお菓子持ってこい!」
などと十代後半の少年たちを周りに従え横柄に指示を出していた
「ボス、どうします?」
「仲間にする予定だしな…俺が出ていっても大人と子供だしギン、お前が行ってこい。
増長しているようならその拠り所となっている力を一度叩きのめす必要があるだろうからな」
「了解」
とギンは短く答えると特徴的な髪型の少年、カチカチの実の能力者であるパールの元へ向かうのだった。
少年は退屈していた。
小さい頃に食べた悪魔の実、おぼろげな記憶から食べる必要があったというのは理解している。
だがここに越してきて以降自身が悪魔の実の能力者と知ると化け物でも見るかのように見る周囲。
面と向かって言ってくる者がいないだけで裏でヒソヒソと言う辺りが実に気に入らない。
父親は気にするなと言ってくれていたが周囲の環境から少年は次第に鬱屈していきそしてある時街を襲いに来た海賊達を叩きのめした事でとうとう少年はグレた。
そりゃもうわかりやすくグレた。
周囲はまだ十に満たない子供が一人で海賊を倒したと聞いて更に化け物を見る目で見るようになったのだ。
そして少年は若く力の有り余る町の不良を自身の力で屈服させ自身に従わせるとそれらを率いて一気にこのローグタウンで名前を上げていったのだ。
いつか、自身と配下に従えた不良少年達と海に出るために。
そんな彼の前に一人の黒髪の少年が現れた。
「お前がパール・・・でいいのか?」
そう尋ねてきた少年は黒い短髪に灰色の動きやすそうな上下。
両腕には銀のガントレット、両脚には銀の膝までのレギンス。
只者では無いだろうと判断したパールは血気にはやる部下達を手で制して
「ぁん?おれがパールだが何だてめぇは」
立ち上がって睨みを利かせる、まだ年は11歳故に身長が低いのでイマイチ迫力には欠けているが
「なに、かなり強いと聞いてな少しその腕試させてもらう」
そう言って武器を持たずに構える黒髪の少年
「どこのどいつか知らねぇが…舐めたクチきいてんじゃねぇよ!!」
そう言って自身の能力を用いて鋼鉄の硬さとなった腕で殴りかかるも
「なるほど、これが例の能力ってやつか…」
鋼鉄同士がぶつかるような音を立ててその身を持って拳を受け止める黒髪の少年。
「な!パールさんのパンチが止められたぞ!」
「馬鹿な!あのパンチは鋼鉄の硬さを持ってるんだぞ!あの黒髪もなんかの能力者に違いねぇ!!」
「全員囲め!相手は一人だ、全員で袋叩きにすりゃあどうとでもなる!!」
そう言いつつそれぞれ武器を手に黒髪の少年を取り囲む不良達であったが
「やめろてめぇら!!サシの戦いに水さしてんじゃねぇ!!」
パールの一括で大人しく端の方による。
態々自分達がボスの機嫌を損ねる必要は無いと考えたのだろう。
「悪りぃな、子分共が騒がしくてよ」
「問題ない、次はこちらからいくぞ?」
と、黒髪の少年が高い軌道を描き踵を打ち下ろし相手の肩に打ち付けるも再び金属同士をぶつけるかのような音が響き
「はっ!効かねぇなぁっ!!俺の体は鋼鉄だ!鉄壁!故に無敵ってなぁっ!!」
そう言いつつ自身への攻撃を意にも介さないで肩を前方へ向け体当たりを繰り出すパールであったが少年はそれを両手で押し留め素早く距離をとる
「へっ、おれの攻撃を食らっても起き上がるとはやるじゃねぇか…」
「いや、倒れてもいないが…」
「ごちゃごちゃうるせぇ!!だったらこれでもくらえぇっ!!」
と腕を交差させてそのまま勢いよく右腕を耳障りな音を立てて左腕に擦り付ければ右腕が真っ赤に赤熱していく。
これは自身の能力を思考錯誤してる時に思いついた技で鋼鉄の力を持つ自身の腕同士を摩擦で高熱化させる技である。
最も片腕しか出来ないが。
「へぇ、赤熱化も使えるのか、ボスの言う通りこれは先が楽しみだな」
「その涼しい顔をボコボコにしてやるよ!"ヒート・ナックル!!"」
と赤熱化させた右腕で殴りかかれば
「が、まだ力不足、壁を知っておくといい」
そうボソリと言った少年の腕で自身の技を左腕で払い退けられると同時に腹部に強い衝撃を受け
「かっ…なに…が…」
パールの意識は暗転したのであった。
いくらパールが能力者と言えゼファーとクリークから鍛えられたギンが相手だとこんなもんですかねー
原作突入後の描写について、現在原作が始まった事により麦わら一味の描写が多くなっていますがそれについてのアンケートを行います
-
麦わらメイン(原作のに近く変化がわかる)
-
クリークメイン(傍観者、クリーク主人公)
-
二つの視点(麦わら視点とクリーク視点)