かの奴隷解放の英雄ことフィッシャー・タイガーの死亡がニュースで報じられた。
流石に輸血云々は書かれていなかったのでそこら辺は何とかしたのであろう。
そしてそれから数週間後、クリークの姿はグランドライン、シャボンディ諸島にあった。
誰もが寝静まった夜にコソコソと人目を忍び頭まですっぽりとローブを被った人影が細心の注意を払って待ち合わせ場所に向かう。
ココンコンコン、ココンコンと予め決めていた符丁通りにノックをするとガチャリと内側から鍵を外す音がして扉が開かれる。
扉を開けてでてきたのは緑の髪の男、ステラ・プロダクションオーナーでありクリークの協力者であるテゾーロ。
ここはクリークとテゾーロが何かあった時のためにとシャボンディ諸島のあちこちに用意してある建物の一つで見た目はただの古い倉庫であるが、生活するのには困らないように色々と揃えてあり中央の机にはローブを纏い鉄兜を被った大男が1人。
「はじめまして…ではないか、アンタが例の英雄か?」
「…アンタがテゾーロの協力者ってやつか、はじめましてじゃねぇってんならどっかで会った事あるか?」
そう言った大男にクリークはバサリとローブを脱ぎ捨て私服にニット帽を被った姿で
「あぁ、海軍本部少将のクリークだ」
と告げれば
「なっ!海軍!?おいテゾーロ!てめぇ騙したのか!?」
と激昂したように立ち上がるも
「落ち着けフィッシャータイガー、別に騙してないよ。
はてさてでは俺の秘密をアンタに告げよう、これなーんだ?」
そう言ってニット帽を引き下ろし覆面にするクリーク、その姿にしばしタイガーはフリーズし
「なっ!!おいおいおい、まじか例の覆面が海軍の人間だと?
ははっ、とんだお笑い種だなまさか海軍と政府が必死こいて追ってる奴が海軍の人間だとはな!
あぁ、それなら確かに初めましてじゃねぇな!」
と納得したように膝を打つ。
「これだけで簡単に信じていいのか?」
「ふん、やり合った時の記憶と背格好が言われてみりゃだいたいは一致してやがる、それに態々おれを捕まえようってんならこんな回りくどい真似しなくてもいいだろ。
それにおれは一応死人の筈だからな」
「わかってくれたようで何より、さてでは本題に入らせてもらうぞ?」
そう言って覆面を取りつつ中央のテーブルにつくクリーク、それと合わせてフィッシャータイガーも鉄兜を外し、テゾーロも席に座り話し合いを始める
「まずはおれを助けてくれた事に礼を言う」
「礼はテゾーロとアンタに血を分けたマリア・ナポレに言ってくれ」
「いやクリーク、アンタの指示が無けりゃおれ1人じゃどうしてたか分かんねぇぞ?」
「いや、それでも礼を言わせてくれ」
「…なら気持ちだけ受け取っとくさ、でアンタを死んだ事にした経緯だが」
「あぁ、その辺りならおれから説明したぞ?」
「あぁ、おれを死んだ事にするという理由やら何やらは説明を受けた。
だがおれは死んだ事になるのはいい、だが何をすればいい?若しくは"何をさせたい"ってんだ?」
「…へぇ?」
「アンタが例の覆面だと言うのは理解した、だがそれを差し置いても態々おれを助けて尚且つ死んだ事にする理由が何かあると判断しただけだ、危険を犯しておれを匿う理由がある筈だとな」
「まぁ正解って感じだな」
「なぁクリーク、その件に関してはおれも何も聞いてないが…」
「あぁ、すまんテゾーロ。
さて知っての通り例の覆面は俺だ、そしてそれを知っているのはここにいるテゾーロと…後は1人くらいか?」
「その後1人ってのは大丈夫なんだろうな?」
「安心しろフィッシャータイガー、俺がかなりの信頼をおいている人間だ」
「まぁ本人がそう言うなら納得しておくが…」
「そして例の覆面がマリージョア襲撃に際してやらかした事を教えておく。
まず天竜人の屋敷の多数に火を放ったのは覆面の仕業だ」
「やっぱりか、おれが奴隷達を逃してる途中にあちこちから火の手が上がり出したのはそう言う理由か」
「それから天竜人をぶん殴って気絶させたのも覆面の仕業だ」
「…お前は天竜人に対する敬意とか持ってないんだな、海軍の人間なのにな」
「そして最後に…これは超極秘事項で知ってるのは俺とテゾーロだけなんだが…
天竜人に対して人工的に開発した病疫を撒き散らしたのも覆面の仕業だ」
「!!…ハッハッハッハッ!傑作だな!!今も天竜人を苦しめてる病疫の正体がそれとはな!
…しかし他に感染する可能性もあるだろうに、大丈夫なのかそれ?」
「安心しろ、アレは直接投与でしか発症しない。その為に態々気絶させて直接投与したんだからな」
「いやおれもそんなもん使って大丈夫なのかって、心配だったんだがな」
「成る程例の覆面のやらかした事について話はわかった、で俺に何をさせるつもりだ?」
「と、その前に例の覆面がやった事は他にもあってだな…」
そう言ってCP9の長官とそのメンバーへの攻撃とオハラの生き残りを救出している事も話しておく
「成る程、さっき言ってた正体を知っており、尚且つ信頼できるって言ってたのはその生き残りか」
「正解だ、でアンタにやってもらいたい事だが例の覆面はあの後も望まない境遇の奴隷を解放している、人攫いから売られた奴隷何かが良い例だな。
時間に余裕がある時は秘密裏にやっていたんだが最近どうにも忙しくて手が回らなくてな…」
「成る程、それをおれにやれと言う事か?」
「あぁ、因みに海軍側では例の覆面の最有力候補は"白ひげ海賊団に所属するティーチ"という男だ」
「ん?手配書の覆面もティーチという男だったが…わざとか?」
「いや偶然だよ偶然、さてどうだろうかこの話受けてもらえないだろうか?」
とそう言いながらクリークはテーブルの上の覆面をフィッシャータイガーの方に押しやるのだった。
髑髏の意匠が施された手配書に載っているのと全く同じ覆面を。
最近色々と手が回らなくなってきましたので人員増強
原作突入後の描写について、現在原作が始まった事により麦わら一味の描写が多くなっていますがそれについてのアンケートを行います
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麦わらメイン(原作のに近く変化がわかる)
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クリークメイン(傍観者、クリーク主人公)
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二つの視点(麦わら視点とクリーク視点)