新しい船で色々見ながらはしゃぐ二人に対しギンに案内を任せクリークはトムに話しかける。
「トムさんよ、もし世界政府が暗躍していると言ったらどうする?」
「暗躍?何の事じゃ?」
「プルトン」
首を傾げるトムにクリークはその名前を口にする。
「あぁ、確か昔にウォーターセブンで作られたっちゅう戦艦か。
それがどうしたんじゃ?」
「……ま、別にアンタが知らないってんなら深くは追及しないさ。」
「たっは……!わしが知っとるのは船の事だけじゃわい」
「……世界政府でスパンダとか何とかいう人間が動いている、身の回りには十分気をつけてくれ」
「……お前さん、何のつもりじゃ?」
薄々察したのだろう、こちらが何かを知っていると。
「別に、俺は政府のやり方が気に食わないってだけさ。あ、これはオフレコで頼む」
「たっはっ……!海軍の人間がそれを言うか」
「事実だしな。海賊王の船"オーロジャクソン号"・・・数多の海を越え、かの海賊王をラフテルまで導いたというその船を造ったアンタは凄いもんさ。
例え特例として海賊王に加担した者が全て悪だとしても俺はアンタの腕に感服するよ」
「たっはっはっ!褒められて悪い気はせんな!
おぉ、あれが廃船島じゃ。あまり島に近づきすぎん事じゃ、見えにくいが沈んだ船に座礁するでな」
「全員接岸準備!座礁に気を付けろ!!」
人払いをしていたので大声で操舵手に指示を出す。
クリーク、トム、フランキー、アイスバーグが降り立ったその島はなるほどその名の通りあちこちに廃船が打ち捨てられていた。
そしてその中の一角にそれぞれにBFというマークと番号が施された武装した小型戦艦が鎮座していた。
「これか、例の小型戦艦は」
「あぁ、おれはこんなもんを放置するってのが許せねぇんだ」
「だからこれは海王類を仕留める為のもんだって言ってんだろ!」
再び取っ組み合いを始めた二人を横目にクリークは辺りを見回す
「ひぃふぅみぃ……武装した船は全部で34……あれは作りかけみたいだな。
フランキーと言ったか、これは全部お前さんが?」
「あぁ!おれはいつか自分の手で海王類を仕留める為にこの船を作ってんだ!!」
取っ組み合いを止めこちらの質問に答えるフランキー
特に疑問に思っていなさそうなフランキーに対し、クリークは顎に手をあて思案する。
このフランキーが作った戦艦群は原作では司法船襲撃に利用されていた。
フランキーが自身の船を壊したくないという気持ちはわかるが、こうも無造作に放置されているのは流石に見逃せない。
となると荒療治が必要だろう。
そう考えたクリークは比較的新しそうな船に近づき武装を操作
「おっ、おい!勝手に動かしたら……」
フランキーの声は一歩遅かった。
クリークが適当に操作した武装から大砲が発射され真っ直ぐにフランキーの元へ。
「フランキー!!」
アイスバーグの悲鳴をよそに思わず両腕を前に出し目をつむるフランキーだったが砲弾はそれよりも前で爆発をおこした。
「な……何が……」
おそるおそる目を開けたフランキーの視界に映ったのは筋骨隆々とした背を向けて煙を纏うクリーク。
そしてクリークはこう尋ねた。
「さてフランキー。
例えばこの廃船島に廃材をとりに来た人間達がいたとしよう。
そこでたまたまお前のこの戦艦達を見つけ、誤った操作をしたとする。
運悪く大砲が発射され、その射線上には同じく廃材をとりに来た仲間が運悪く立っていた。
哀れ、射線上にいた男は砲弾の爆発で死んでしまい、誤って操作をした人間は仲間を殺してしまった事で嘆き悲しんだ。
さて、誰に責任がある?」
クリークのやった事は簡単だ。
誰でも使おうと思えば使える武装を動かし、その攻撃から庇った。
それだけの事だ。
しかしクリークの話を聞き、そしてそれを体感した事で言いたい事が分かったのだろう。
「お……おれ、別にそんなつもりじゃ……」
顔色を悪くするフランキーに
「なぁバカンキー……壊せとは言わないがせめて武装を使えなくするとか撤去するとかはしてくれないか?
別に船を作るなと言ってるわけじゃねぇんだ、この海兵の人が言いたい事はわかるだろ?頼む……」
そう言ってアイスバーグがフランキーの両肩に手を置く。
「……わかった」
そう言ってすっかり意気消沈した様に頷くフランキーに
「ま、流石に誰でも使える状態で海王類を仕留めるような武装が放置されているというのはあまり良い事では無いからな。
ではまた何かあったら声をかけてくれ」
そう言ってクリークは三人に背を向け来た道を戻るのであった。
ちょっと言いすぎた感もありますがクリークも海兵ですからね。
海王類を倒すような凶器が誰でも使える状態で置きっぱというのはあまり良くないですからね。
原作突入後の描写について、現在原作が始まった事により麦わら一味の描写が多くなっていますがそれについてのアンケートを行います
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麦わらメイン(原作のに近く変化がわかる)
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クリークメイン(傍観者、クリーク主人公)
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二つの視点(麦わら視点とクリーク視点)