起きたらゴリラ顔だった   作:mi-ta

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オハラへGo、木の中を建物にしてるのは個人的に好き。


隠密潜入 ドンクリークさん

あの時の会談から数日後、一旦船を置きマリージョアを通過、反対側の支部にて軍艦を借りクリークの姿は現在西の海の海上にあった。

 

「しかし大佐殿、何故にオハラへ?」

 

そう聞くのはこの部隊に副官として着任したラパヌイ=パスクア大尉、陽に焼けた肌にサングラスをかけたカッコいい中年で海軍の歴も長いベテランなおっさんである。

 

「ちょっとコング大将が気になる事を言っててな(言ってないが)それで少し様子見にな」

 

そう言って机の上でビスケットを齧る鼠を眺めつつ手に持ったコーヒーを啜っているとゴンゴン!とドアが叩かれ

 

「大佐ぁ!目標の島が見えましたので司令室までお願いします!」

 

との報告がなされた。

 

原作では20年前に軍艦10隻と中将5名によってなされる総攻撃、通称"バスターコール"にて地図から名前を消された島"オハラ"。

 

考古学の聖地として各海から集められたあらゆる蔵書を持ち、歴史の探求の為に考古学者達が各国から集まり島民達もそんな島に誇りを抱いてる島だった。

 

ある一点、禁止されている古代文字の解読を行なっていなければであるがそれさえなければこの島は変わらず考古学の聖地としてあり続けただろう。

 

そして"バスターコール"はこの島の出身であり当時まだ8歳の幼女、原作では大きな役割を果たす麦わら一味のミステリアスで理知的な考古学者、メリハリボディーのクールビューティー、ニコ=ロビンの心にも深い傷を残した事件であった。

 

 

この一連の出来事を何とかできないか、それから現在のロビンの年齢から逆算して現在が原作から何年前なのかを把握したいからである。海賊王の処刑が原作から二十数年前としか覚えてないからなぁ…

 

 

そうしてつらつらと考えつつ司令室に来ると望遠鏡を渡されたので覗いてみるとそこにはオハラの象徴とも言うべき大樹"全知の樹"が写っていた。

 

「よし、帆を全部降ろせ。暗くなるまで一旦停泊する。」

 

「上陸はしないんですか?」

 

「少し調べたい事がある、それまでは一旦ここで待機だ。それから映像電伝虫の受信モニターを起動してくれ、カフウを飛ばす。」

 

了解しました、と各自散々個々に己の仕事にかかるのを尻目に

カフウの名を呼ぶと"クルルルッ!"という鳴き声と共に掲げた腕に止まったので、背中に取り付けた映像電伝虫と子電伝虫を起動させる。

 

これは映像と音声の送信ができる電伝虫と音声の送受信ができる無線機の様な物でこれで船にいながらにしてカフウに指示を出したり遠くの映像を観れる仕組みである。

「いいか?まず島の周りを一周してきてくれ、それをこちらで確認しながら追加の指示は追って出す。

 

帰ってきたらお前の好きなミネストローネを食べさせてやるから頼んだぞ!」

 

「クルッ!!」

 

そう一声鳴くとカフウは島の方へ飛び立った。

 

やはりこの世界の動物は頭がいいな、と思いつつ船のコックにミネストローネを作るようにとの伝言を近くの海兵に頼むのであった。

 

そうして日も暮れて月も登った頃、その船は明かりを点ける事もなく海の上に停泊していた。

 

数キロ地点に島があるにも関わらず何故か帆を畳み錨を降ろして佇むクリーク含む中隊が乗船する借り物の海軍艦である。

 

「では大尉殿、留守番をお願いします。」

 

「何も大佐本人が行かなくてもいいと思いますがねぇ…まぁ自分らは船以外の上陸手段が無いんですが…」

 

「少し調べ事をしてくるだけですよ、数時間で帰ってきますので」

 

そう言って甲板に立つクリークは何時もの鈍色の胴鎧に海軍コートを羽織った姿では無く深い藍色の全身を覆うスーツに、これまた同色の厚手の手袋に丈夫そうなブーツ、額にはゴツい機械式のゴーグルとそして腰元にいくつかのポーチをつけただけの姿で愛用の棍さえ手にしていなかった。

 

「了解しました、では我々は交代で見張りにあたります」

 

「ではまた後ほど」

 

そう言って宙を蹴って上空に登っていくクリーク、そしてある程度の高さまで来ると今度は島の方へ向かって進路をとる。

 

しばらく"月歩"で宙を蹴りつつ辿り着いたのは"全知の樹"、その上層部。

 

既に樹の中の伽藍に存在する図書館は明かりを落としており人の気配は存在しない。

 

とりあえず幹の近くまで移動し丈夫そうな枝の上に着地してしばし休憩を挟んだところで目を閉じ集中する。

 

戦闘中などではまだまだ上達の余地がある見聞色ではあるが静止した状態できちんと集中すればほぼ完璧に扱える。

 

つまり何が言いたいかというと

 

「地下かぁ…面倒だな…」

 

戦闘中でなければ建物の中だろうが地下だろうが生命の位置を探る事など造作も無い事である。

 

そして徐に腰のポーチから取り出したのは1匹の鼠

 

「よし、あっちに小さな穴があるからそこから入り込んでこの足元の窓の鍵を開けるんだ、できるな?」

 

「ヂュッ!!」

 

「頼んだぞ"イシズミ"、船に帰ったら高級チーズ食わせてやるからな」

 

そう言ってから鼠を解き放つ。

 

"石色の鼠"の意を持つイシズミ、この世界の動物は人の言う事をきちんと理解するほど頭が良い。

 

ダメ元で船に出た鼠に色々教え込んでいるといつのまにかきちんと言う事を聞く様になったので何かの役に立つだろうと連れ歩く事にしたのだが今回の様な潜入や諜報など極めて役に立つと確信した。

 

別のポーチから水筒を出してコーヒーを飲みながら待っているとカチャリ、と足元の窓から音がした。

 

コーヒーを一気に飲みポーチに水筒を仕舞うと一度伸びをして幹の所々を掴みつつ窓まで近づき少し開け鍵がかかってない事を確認するとそのまま音がしないように開ける。

 

そのままイシズミを回収して腰のポーチに入ってもらい窓から内部に潜入する。

 

中は殆ど真っ暗で月明かりに照らされた本棚が見えるだけであった。

 

見聞色で探った時に図書館部分に人がいない事は確認しているが念の為に額につけていたゴーグルを降ろし起動すると眼下には一面の本。

 

技術班謹製の暗視ゴーグルを通して見たその視界は流石世界中から集められただけあって各本棚にびっしり入ったそれらは圧巻の一言に尽きた。

 

やはり見える範囲に人の気配は無く音を立てないようにスルリと床に着地する。

 

今回は地下室への入り口の確認、扉は上から見た感じカウンター奥や本棚の間に何個か。

 

まぁ間違えて入り込む事が無いように多分隠し扉か何かがあると思われる、秘匿して研究してるくらいだから早々わかりやすい場所にあるとも思えないし。

 

再びイシズミを床に下ろし怪しい箇所が無いか調べて来るように頼み、イシズミが行った方向と反対側から探し始め時折見聞色で地下の動向を探るのも忘れずにだ。

 

そして怪しい箇所を確かめたり扉を少し開けて室内を確認していると地下の気配の1つが動くのが感じられたので慌てて本棚をスルスルと登り天井まで来ると息を潜めた。

 

カウンター奥の扉が開いて出てきたのは一人の男、先程確認した時はあの扉の向こうは本棚が何個か並んでいただけだったが…

 

男が館の外に出たのを確認して素早く先程の扉に向かいそっと侵入する。

 

やはり先程見た時と変わりなく小ぢんまりとした部屋で壁は一面本棚に家具は机と椅子、おそらく調べ物か何かの為の部屋なのだろう。

 

そうして外に出ていた男が戻ってきた為素早く飛び上がり天井に張り付く。

 

天井と掌の間の空気を出来るだけ真空に近づけ、まるでヤモリだなと思いながら息を潜めているとガチャリと扉が開いてそのまま男は右側の本棚へ。

 

そうして何個かの本を押し込むとズズズ・・・、と本棚の一部が引っ込んで通路が現れ、そしてそのまま男はそこに入って行くと今度は巻き戻すように本棚は元通りとなる。

 

気配が遠ざかるのを確認して静かに床に降り立つ。

成る程こういう仕組みだったか、開き方は…と脳みそ絞って思い出してるといつのまにか来ていたイシズミが「ヂュッ!」と鳴いて何個かの本を往復し始めた。

 

ふむふむ赤、緑、赤、黄、藍、藍、青、緑で最後に赤と黄を同時に、かな?

 

イシズミに聞くとそれで合っていたようで「ヂュヂュッ!」と首を頷かせた。

 

とりあえずメモに残しておきさっさと出よう、本棚の先を確認しておきたい気もするが一気に発見されるリスクが上がるだろうからなぁ。

 

しかし、やはり賢い…と記憶力で負けたのを複雑に思いつつイシズミを回収して素早く入ってきた窓から脱出、去り際にまだ日が昇っているうちに確認した島の要点も忘れずに確認しておく。

 

ロビンと思しき黒髪幼女が歩いていたコースと腰掛けて本を読んでいた場所と居候してると思われる親戚だったか?の家である。

 

声をかけなきゃいけないのだが…怖がられないよな?

 

実際子供には泣かれた事あるからなぁ…

 

 

 




任務完了、カフウは生きた武装ドローン、パイロットがいれば戦闘機って言えるんですけどねー

原作突入後の描写について、現在原作が始まった事により麦わら一味の描写が多くなっていますがそれについてのアンケートを行います

  • 麦わらメイン(原作のに近く変化がわかる)
  • クリークメイン(傍観者、クリーク主人公)
  • 二つの視点(麦わら視点とクリーク視点)

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