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「何だこりゃ!何か仕込んでやがったのか!!」
軽く握って痛みを与えるつもりだったローは手に帰ってきた思わぬ感触、その硬さにクリークに問う。
「んー、まぁお前も医者ならわかると思うが生命帰還、バイオフィードバックという理論を知っているか?」
「…あぁ、身体全てを己の知覚下に置いて自身の身体全てを自在に操るという…まさか!自身の肉体を改造したのか!
いや、ありえない!内臓まで知覚下においたのか!?負担は相当なものの筈だ!」
「有り得ないなんて有り得ないさ、色々と苦労したぜ?
身体に走る激痛を乗り越えながら身体中の筋繊維を細く、空いた場所に更に筋繊維を増やし高密度に。
勿論筋肉だけ高密度にしても駄目だ、骨も密度を増やし血管も内臓も丈夫に作り替えた。
そして更に海軍には鉄塊と呼ぶ体術がある、これは体内の筋肉を収縮化して鉄の硬さを持たせるというものだが…
それらの成果がその心臓にも現れているだろう?
オペオペの実は斬ったものの感覚は繋がったままだという事が盲点だった模様だな」
クリークのその説明にローは両手で心臓を押し込もうとするがその硬さはローの腕力ではビクともしない様子だった。
「…そんな馬鹿げた人間がいるのか、いや実際に目の前で見せられれば納得するしかないが」
その言葉と共に呆れたような顔で言うローに戦意は見られない。
「さて、続きをやるか?その能力は厄介だしここからは少し本気でいかせてもらうが?」
その言葉と共にクリークの両腕が黒く染まりゆっくりと構えれば
「…いや、ここで有効な攻撃をできなかったおれの負けだな」
そう言ってローは心臓をクリークに放り投げ、更に指を動かすとクリークの目の前に切り飛ばされた足が現れた。
「お?家族の事はいいのか?ロシナンテ中佐も診るんじゃなかったのか?
おぉ、これがパーツが戻る感覚か…」
心臓や足を元の状態へと合わせそう聞けば
「新世界にはアンタみたいのがうじゃうじゃしてんだろ?それなのに中将って…
今の腕じゃ簡単に全滅するのがオチだ、精々腕を磨き直して順当に向かうさ。」
「まぁ俺もそこまで厳しくは言わん、手紙くらいなら預かるし向こうの手紙はこちらの伝手を使って届けよう」
「本当か!?少し待っててくれ、直ぐに手紙を書く!
あ、因みにモノは相談だが後でその身体ちょっと診させてもらえないか?流石にバイオフィードバックを完全に使いこなしている人間なんて初めて見たぞ…」
医者として興味があるのだろう、そう聞くローに
「…まぁ減るもんじゃないから別にいいが」
とクリークは了承するのだった。
そして二人はレベルの高い戦いに興奮する遊撃隊やハートの海賊団の面々を尻目に船に戻り、ローから家族への手紙を預かると甲板でローによる診察を受ける。
「うげ…本当に同じ人間か?わかるかこの切断面…皮膚の厚さもだが、アンタが言ってた筋肉の尋常な密度もそうだし骨も並の人間より更に太い。
骨格もだな、あちこちが変形している…いや、変形させたのか?
筋肉の密度は高いが単純に硬いだけでは無く柔軟性も高い。
血管も並の人間と比べると厚くなってるな…げ!!内臓も全体的に大きいし位置も全体的におかしいぞ!?
いや、理屈はわからないでも無いが…よくここまでバイオフィードバックで改造したもんだ…
まぁ外科手術の後等は見られないから本当に自力で改造したんだろうが。
しかしなるほど、頑丈なフレームにそれに見合った筋肉量…まるで巨人族だな、まぁ密度に関しちゃ巨人族より上だろうがな。
まぁ何はともあれ色々と異常な箇所はあるが身体は健康そうだ、その肉体を維持するには大量のエネルギーが必要だろうが…今の所はそれに対する手段は無いがな」
ローはROOMを展開するとクリークの身体をスパスパと切り裂くとあちこちを確認しひとしきり満足したようでそう結論づけた。
本当にあんだけ斬られて大丈夫か?とクリークはくっついた腕をさすりつつ
「あぁ、そうだった。
新世界には入った後だがドレスローザに気を付けろ、ドンキホーテファミリーの残党が国の中枢に入り込んでいる、何か企んでいる可能性がある。
お前は顔を知られているだろうから忠告だけしておく」
思い出したように告げ別れたのだった。
「そんなにあの熊のミンクが気に入ったのか?」
「ぐるるー!!ぐるるるるー!!!」
雄叫びを上げながら長い手を大きく遠くなっていくハートの海賊団の船に手を振るシグマを見て呟くクリーク。
ローからの手紙を懐にいれると事の顛末を報告すべく通信室へ
『そうかご苦労…そういう経緯でロシナンテはあの状態になったのか…』
「えぇ、ミニオン島での顛末はそういう事だったようです」
『しかしトラファルガー・ローにロシナンテを診させても良かったのでは?
あのオペオペの実の能力であれば或いは…』
「それは悪手ですよ元帥、オペオペの実の能力者が十分な力が無い状態で新世界に入ればそれこそ争奪戦になりかねません」
『お前を含む遊撃隊の面々がついていれば問題無いだろう?』
「いくら私がいると言っても流石に数には勝てないですよ、一対一ならまだしも四皇を始め新世界は魑魅魍魎の巣窟です、どんな化学反応があるかわかりませんよ?」
『…確かに、それでローが殺されてオペオペの実が他所の勢力に渡ろうものなら目もあてられんな。
どうだった?奴の強さは、流石に新世界ではまだ厳しいか?』
「…彼なら類い稀なる才覚とその能力のせいもあってか北の海なら全く問題は無いでしょう。
グランドライン前半部もあの強さなら問題無いでしょう、しかし新世界は及びもつかない化け物共がウジャウジャいますし、搦手を使って来る者もいるでしょう」
『…そうか、ならばお前の判断を信じるとしよう』
そうして諸々の報告を行うとクリークは通信を終了するのだった。
全身の筋肉を桃筋に置き換え、そして生命帰還を用いて肉体を改造、そしてそこに更に鍛え上げられた鉄塊、そして時々武装硬化。
硬さだけならトップクラスです。
原作突入後の描写について、現在原作が始まった事により麦わら一味の描写が多くなっていますがそれについてのアンケートを行います
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麦わらメイン(原作のに近く変化がわかる)
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クリークメイン(傍観者、クリーク主人公)
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二つの視点(麦わら視点とクリーク視点)