「なぁなぁナミ!次は何処いくんだ?」
新たな仲間を加えた麦わら一味は一路南西へと向かっていた。
船長であるルフィは航海に関してはさっぱりなので基本的に進路は優れた航海術を持つナミに任せていた。
「次に向かうのはコノミ諸島よ」
「このみ諸島…何かあんのか?」
聞き覚えがない地名に頭を傾げるルフィだったが
「…あたしの故郷よ、グランドラインに入るにしろあたしが海賊を続けるにしろ一度行く必要があるのよねぇ、他に航海士を見つけるっていう事なら別だけどね?」
「…おれはナミが航海士じゃねぇとヤだぞ?」
「だったら説得する必要がある人がいるのよねぇ…」
そう言いながらどう説得したものか、と思案するナミだったが
「なぁナミ、その説得する必要がある人ってどんな奴だ?まぁ?このおれがパパッと説得してやってもいいんだぜ?」
「へぇ?因みにその人赤いカモメを背中に背負ってるんだけど…」
「げえっ!?…ちょーっと急にお腹が痛くなってきたな…と言うわけで説得は皆に任せるぜ!」
ナミのその言葉にウソップは尻込みし、ルフィは
「ナミ!それって本当か!?」
と驚いたように聞く。
「?、えぇ、あたしの保護者代わりの人で所属としては東方方面軍なんだけどカモメの水兵団に所属する本部大尉よ?」
そんなルフィに自身の親変わりであるベルメールの事を教えると
「…赤カモメの人間ならかなり強いんだよな?」
「本部大尉って言うとバラティエに来てた鉄拳のなんちゃらって奴と同じか…」
ウソップのその言葉に
「…強さだけならベルメールさんの方が上だと思うんだけどなぁ?」
と新たに仲間に加わったサンジとあの本部大尉の戦いを見ていたナミは疑問を覚えるも
「任せておいてくれよナミさん!ナミさんは自分の夢の為にグランドラインに入りたいんだろ?ならおれが説得を成功させてみせるさ!」
サンジのその言葉に"簡単に説得できればいいんだけど…"と疑問を覚えつつ自身の故郷のある方向を見つつため息をつくのだった。
一方その頃クリーク達を乗せたベアトリーチェ号は麦わら一味に先んじでコノミ諸島、ココヤシ村へと到着していた。
ベアトリーチェ号は蒸気機関船であり風と海流を掴んで走る帆船と違いその航行速度は雲泥の差であり、その速度を持ってして麦わら一味より先回りして現状を把握する為にやって来ていたのだった。
ギン達には留守番を任せクリークは一人で目的の人物を探していた。
勿論休暇でありお忍びのためクリークはサンダルに長ズボン、半袖のシャツとシンプルな格好、勿論武器は持ってきていない。
目的の施設…東方方面軍海軍独立遊撃隊コノミ諸島派出所にてベルメールに会うべくやって来たが
「あぁ?大尉がお前みたいな怪しいヤツに会うわけないだろう?」
と派出所にいた男のすげない返事。
「いやだからちょっと話をしたいだけなんだが…」
「チチチチチ…まぁどうしてもって言うならそれなりの誠意を見せてもらおうかね」
と怪しい笑みを浮かべつつそう言う海兵であったが
「こーらネズミ中尉、小遣い稼ぎは程々にしときなさいってわたし言わなかった?」
その声に中尉の階級章をつけた男はビシリと固まる。
…というかこいつネズミか、とクリークは原作では支部大佐だった悪徳海兵を思い出す。
「べ、ベルメール所長…ですが怪しい奴をそう簡単に通しては海軍の沽券に関わるのでは…」
「この人はわたしのお客よ、応接室に通して頂戴」
「…わかりました」
そう答えたベルメールの言葉にネズミ中尉は渋々応接室へクリークを通すのだった。
「久しぶりねクリーク…随分とラフな格好だけどお忍び?」
「まぁな、しかしあの中尉大丈夫か?小遣い稼ぎって言ってたが」
「あぁ、ネズミ中尉の事?あぁ見えて情報の扱いに優れてるのよ。
まぁ加減はわかってるみたいだし、あんまやり過ぎるようならわたしの拳骨がうなるから大丈夫よ」
「…まぁお前がそう言うなら大丈夫だろう、少し確認したい事があって来たんだが時間は大丈夫か?」
「えぇ、急ぎの件も入って無いし大丈夫よ。で、確認したい事って何?」
赤色の髪をソフトモヒカンのロングヘアーに纏め、赤い海軍マークが入った海軍コート。
そして背中に黄金に輝く長銃を背負った女性はベルメール、本部大尉の階級を持つベテランの海兵である。
ナミとその義理の姉であるノジコの育ての親である、原作ではアーロンの襲来によりナミ達の目の前で殺されたが…
「まぁ動向を掴んでいなかったこっちにも問題があるんだが…数年前に魚人海賊団のアーロンが東海入りしたのは知ってるよな?
その後の動向がこっちに入ってきてなくてな、こっちに来てからこの近辺にいるという情報は掴んだんだがこの辺りならお前が詳しいだろ?」
その言葉にベルメールは合点がいった様子で
「あぁアイツの事ね、まぁアイツに関しての情報はネズミ中尉が抑えているからね…
グランドラインで名の知れた人間がこんな東の海にいるなんて知れたらどんなものを引き寄せるかわかったもんじゃ無いからね」
「あぁ、それでこっちに情報が入ってこなかったのか…まぁ確かにアーロンはジンベエの七武海入りに関して解放されたとは言え余計な物を誘き寄せるというのは納得だな」
「ま、暴れてるならまだしも特に報告するような事は無かったからね」
成る程、そういう理由でか…
「そういやそれまだ使ってるのか、いい加減別の銃使ってもいいんじゃないか?」
とベルメールが背中に背負った黄金長銃を指差して言えば
「あー、別れ際にもらったからもう十数年になるんだっけ?
でも使い慣れてるし何より頑丈だから今更別のに変えるのもなぁ…
魚人でさえ噛み砕けなかったんだし今更多少性能が上がったとは言え普通の銃使うのもねぇ…」
…ひょっとしてアーロンは東海入りの後に暴れてベルメールに鎮圧されたのか?若しくは暴れなくてもベルメールと一戦交えたという事だろうか…俄然今のアーロンがどうしてるか気になってきたぞ?
「因みにアーロンは今何処に?普段は何してるんだ?」
「アイツならココヤシ村から少し離れたとこに拠点構えてるわよ、普段はこのコノミ諸島を中心に傭兵的な仕事をしてるわよ」
…原作と全く違うじゃねぇか、と思いつつおくびにも出さず
「そうか、ならちょっとそっちにも話を聞きに行く必要があるな」
「あら行くの?ならわたしも一緒に行くわ、報酬に関して少し話す必要があるからね」
「報酬?」
「あぁ、言ってなかったわね。アイツらの雇主はこのわたしよ?」
そう言って自身の胸を叩くベルメールにクリークは"ホント原作とかなり違うなぁ…"と思いつつベルメールの先導でアーロンの元へ向かうのだった。
というわけで原作と違いベルメールは生存、アーロンもとある事情により支配を行っていません。
原作突入後の描写について、現在原作が始まった事により麦わら一味の描写が多くなっていますがそれについてのアンケートを行います
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麦わらメイン(原作のに近く変化がわかる)
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クリークメイン(傍観者、クリーク主人公)
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二つの視点(麦わら視点とクリーク視点)