ビリビリと響くような大声に海兵達は耳を押さえてその場で膝をつく。
「E8支部准将、ネルソン・ロイヤル!!」
「うるさいでおじゃるぞ!海賊風情がなんでおじゃるかっ!!」
耳を塞いだままいきなりの大声に怒鳴り返すネルソン。
「俺が海賊風情か、ブーメランって知ってるか?今回の騒動だけでも民間人の誘拐未遂に、艦隊…ひいては支部の私物化。
守るべき筈の民間人に銃を向けるとは何事だ貴様ぁっ!!それでも海軍の、しかも将官かっ恥を知れっ!!」
「ふん!なーにを偉そうに言ってるのじゃ?海賊風情がどう喚こうがわしには関係ないでおじゃる」
「ほう、反省が見られないようだな…"鉄拳指導(てっけんしどう)"!!」
それと共に大きく右手をパーにした状態でネルソンの頬に向けて大きく振り抜く。
「っっっつつつ!!な!何をするでおじゃるかっ!!」
いくら衝撃を減衰しようが皮膚全体に痛みを与えるのなら問題無いだろうと思ったが案の定。
左頬を真っ赤に腫れさせ文句を言いながら抑えるネルソン。
「反省してないようだったからな、さて続けるが…素性の知れぬ者を傭兵として個人的に雇ったのはまぁいいだろう、だがその個人で雇った傭兵に部隊の指揮権を渡すとは何事かっ!!佐官教育で習った事を忘れたのかっ!!」
それと共にハーディ少佐はこれ幸いとハンドサインで何やら部下に指示を出していた、何をするつもりだ?
「それがどうしたのじゃ!わしの雇った傭兵でわしの命令権を一時的に貸した…何の問題があるのじゃ!!」
「問題だらけだ!支部最高指揮権を何だと考えている!!鉄拳指導!!」
それと共に今度は左腕が大きく振り抜かれ再びもんどりうつネルソン。
本来なら拳でやるからこんなもんじゃ済まないんだがな。
「に、二回もわしを叩きおってぇっ!!」
「…更にはE6支部とE7支部も巻き込んでこのような騒ぎ、何の為に各方面指令軍が設立され、各海50支部に統廃合した上で戦力を均一化したと考えているっ!!」
「そんなの知らんでおじゃるっ!!だいたい何じゃさっきから!何故貴様なんぞにそんな事を言われないといけないでおじゃるっ!!」
「それぞれエリアごとに分かれた上で隙間なく海域を守る為だよ!貴様が他の支部から戦力を引き抜いたらその分民が苦しむと思えっ!鉄拳指導っ!!」
全く反省の意図が見られないのでもう一発ぶっ叩いておく。
「わっ、わしは准将でおじゃるぞっ!わしは偉いのでおじゃるぞっ!!何処の馬の骨とも知れん海賊に好き勝手言われる謂れは無いでおじゃるっ!!」
そのネルソンの言葉に無言で平手を構えれば悲鳴を短くあげると頬を抑えて後退りするネルソンに
たった三回の平手打ちでもう折れたか…と思いつつも懐の電伝虫に手を伸ばそうとしたところで
「総員構えっ!!」
何やらコソコソしていたハーディ少佐の命令と共に一斉に銃口がこちらに円を書いて突きつけられた。
「ふ、ふはははは!そうじゃ!わしを馬鹿にするからそのような目に合うのでおじゃる!
さぁさっさと撃つでおじゃる!そいつを始末するでおじゃるよ!!」
もう一発くらわしてやろうかと思いながら
「…ハーディ少佐だったか?まだこの男に従うのか?」
とあれだけ啖呵を切ったのに従うのか、と思いつつ聞けば
「何の事だ海賊、このプレゼントはわたしがかつて敬愛した上司宛だ。」
それと共にハーディは銃口をネルソンに向け、包囲網の銃口もネルソンに向かう。
「なっ!何をやっておるのじゃ!!相手が違うでおじゃるっ!さっさとそこの海賊を撃つでおじゃるっ!!」
「…もう黙っててくれネルソン・ロイヤル。
アンタは昔は凄い海兵だったさ、アンタがこれ以上無様を見せる前に…ここで死んでくれ。
E8支部総司令にして東方方面軍准将ネルソン・ロイヤル、海賊と戦闘になり、自身の部下達を逃す為に単身残って戦い続け敵にダメージを与えるも多勢に無勢、最後には一斉の銃撃によって死亡。
部下を逃す為に単身残って海賊を食い止めたとなれば名誉の一つくらいにはなるでしょう…私利私欲に塗れていたとは言えその用兵で多くの海賊を仕留めてきたのは事実、今までお疲れ様でした…」
と、ハーディはネルソンに深く頭を下げたのだった。
「何処の馬の骨…か。だそうですが如何いたしますかセンゴク元帥?」
クリークがそれを見てそう言うと同時に懐から小電伝虫を取り出した。
『ネルソン・ロイヤル准将、報告は"色々と"受けている。
罪を受け入れて大人しくしている事だ、沙汰は追って下す』
「なっ!?センゴク元帥じゃと!!…いや!小電伝で本部まで電波が届く筈無いでおじゃるっ!!
皆騙されるな!アレは偽物でおじゃるっ!!」
「決めつけてるとこ悪いがこれは中継してるだけだ、通信自体はあっちの船で繋げてるから正真正銘センゴク元帥に繋がってるが?」
「ぐっ…何故でおじゃるっ!!何故強いとは言えたかだか海賊風情がセンゴク元帥と連絡を取れるでおじゃるっ!
そんな訳が無いでおじゃろう!どういう試みか知らんが口だけでわしを騙そうというのじゃ!!そうに決まってるでおじゃるっ!!
『…後は任せるぞクリーク、近くの支部に引き渡すなりなんなりした後にこちらに報告だけよこしてくれ』
その言葉を聞いていたハーディ少佐は顔色を変えたのだった。
決めきれないうちに全く別のパターンになりそうな気がしてきた
原作突入後の描写について、現在原作が始まった事により麦わら一味の描写が多くなっていますがそれについてのアンケートを行います
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麦わらメイン(原作のに近く変化がわかる)
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クリークメイン(傍観者、クリーク主人公)
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二つの視点(麦わら視点とクリーク視点)