起きたらゴリラ顔だった   作:mi-ta

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アニメ版の方とは言え長くなっても冗長ですしサクサク進めて行きますかねー


海賊王の弔い酒

 

スモーカーが単身出撃、途中ちょっとしたトラブルはあったものの北の港に現れたギャレン一味を難なく捕縛。

 

途中で処刑台広場に行くのに迷子になっていた麦わら帽子を被った少年に道を聞かれたので葉巻の煙を燻らせて"煙の行った方だ"と教えてやった。

 

その足で考え事をしつつ行きつけの酒場に向かう、海賊旗の暖簾を潜り地下への階段を進んでいく。

 

客足も殆ど途絶え寂れた古い酒場の名は"ゴールド・ロジャー"

 

かつてスモーカーが着任する前はその伝説にあやかろうと合法違法問わず多くの海賊で賑わったもののそれは過去の話。

 

今や違法海賊はローグタウンに近づかず、公認海賊もスモーカーがここに来るのを知ってわざわざ首を突っ込みたく無いのかとんと姿を見せなくなった。

 

だいぶガタが来ているのだろう、ギイィィィと長く鳴く扉を開けば

 

「チッてめぇか…」

 

とスモーカーの顔を見た老人が吐き捨てる。

 

「おいおい、随分な挨拶じゃねぇか常連に向かってよ…」

 

スモーカーは老人…この酒場の店主に慣れているのかそんな軽口を叩く。

 

「ふんっ、この酒場を潰そうとする奴が良く言うわい、冗談をぬかすな」

 

「おいおいおれを恨むのはお門違いだぜ?今日びの海賊が腰抜け揃いなのが悪いんだよ、別に公認海賊が来るのはとやかく言うつもりはねぇぜ?」

 

そう言いながらカウンターに座るスモーカーは周囲を見渡す。

 

薄暗い店内には店主とスモーカーの二人だけ、他の客はおらず店内の様子から殆ど人も来てない事が窺われる。

 

「けっ、何が公認海賊だ馬鹿らしい。

 

どいつも海賊のかの字も持たねぇ腰抜け揃いじゃねぇか、お前が来ると知って及び腰になるような奴ぁ海賊でも何でもないわい」

 

「そう言うなよ、公認海賊筆頭"黄金の大海賊"なんかはどうなる、ありゃ中々だと思うが?」

 

「…ウーナンか、ありゃ気風のいい海賊だったな。

 

だがそんなのはごく一部、現にお前さんがこの店に来るようになってから客足は遠のくばかり、こっちは商売上がったりじゃわい」

 

「それこそこっちに言われてもな…うん?珍しい、客が来てたのか?」

 

そこでカウンターに乗った二つの空のグラスにスモーカーは気付いてそう聞くも店主の老人は無言でガチャガチャと洗い物をするのみ。

 

「まぁいい、ラムを一杯くれ」

 

「貴様に飲ます酒はねぇよ」

 

「そう邪険にするんじゃねぇよ、…今日は特別な日じゃねぇか、そうだろ?」

 

そう言いつつ腕を変化させつつ遠くの酒棚からラムの瓶をとるスモーカーに店主はチラリとスモーカーを見る。

 

ラムの瓶から直接飲むスモーカーは一気に飲むと

 

「あぁうめぇ…あの日の事は今でも良く覚えている…ロジャーの最期の姿をな…

 

あの日も今日みてぇな蒸し暑い日だった、処刑台のある広場に手枷を嵌められてるってのにまるで凱旋した将軍のように歩いていた…」

 

スモーカーは目を瞑り、あの時の事を脳裏に思い出す。

 

スモーカーはこのローグタウンで生まれ育った、それ故に二十二年前の今日、海賊王の処刑も見ていたのだ。

 

そしてその堂々とした姿にスモーカーは全身に震えが走っていた。

 

「…富、名声、力…この世の全てを手に入れた男ゴールド・ロジャー、死に向かって歩いてるというのにその姿はまるで王のように堂々としていた」

 

そして野次馬の一人の問いかけに応えた言葉が

 

「俺の財宝か?欲しけりゃくれてやる、探せ!この世の全てをそこに置いて来た!!…じゃったか、わしも二十二年前の今日あの場所にいたからな。

 

あの言葉で全員火が着いた、広場は歓声にわき…」

 

「あぁ、それからだそれから始まったんだ、俗に言う大海賊時代が…

 

腕っ節に自信のある奴はみんな海賊として名乗りを上げた、まぁ海軍も座して見ていたわけじゃないがな…」

 

「ふん、そのせいでこっちは商売上がったりになったんなら世話ないわい。

 

さぁ!用が済んだなら帰った帰った!うちの酒もタダじゃねぇんだよ!!」

 

「…かてぇ事言うなよ、海賊王の弔い酒さ」

 

そう言って再びラムの瓶に口をつけるスモーカー、それを見て店主は

 

「ふんっ、金はきちんと払ってくこったな!」

 

と吐き捨て自身も洗い物を中断しグラスにラム酒を注ぐのだった。

 

…一方その頃武器屋に向かっていたゾロは往来で騒ぎをおこした海賊と海兵の騒ぎに巻き込まれていた。

 

まぁ騒ぎと言っても大した事は無い、どうやら鬱憤ばらしらしく、女一人に大柄な海賊二人が襲い掛かろうとしていたので助太刀しようとしたところその女は見事な刀捌きで瞬く間に大男二人を下したのだ。

 

そしてゾロは彼女が落とした眼鏡を拾い上げ渡そうとしたところ

 

過去に亡くした幼馴染みと瓜二つのその姿に大きく動揺、思わず手に持った眼鏡を握り潰してしまったのだった。

 

当然彼女は怒り弁償を請求、とは言えゾロの見た目の格好で曰くありげと判断したのだろう、黙ってついて来て欲しいとの言葉にゾロも眼鏡を壊した手前強くは出れず渋々その言葉に従う。

 

「ったく何処まで行くんだ?弁償なら何とか…するって言ってんだろ?」

 

「いえ、貴方にお金があるようには見えませんいかにも曰くありげです」

 

「確かに金はねぇが…」

 

「その眉間のシワ、何日も食べてないようなその飢えた目つき…お母さんが病気なんじゃないですか?奥さんに逃げられたのでは?まだ幼い子供を筆頭に五人の乳飲み子がいるのでは?」

 

その言葉にゾロが反論しようとするも

 

「いえ深くは聞きません、兎に角一緒に!!

 

と勘違いか暴走か不明だが自身の思い込みであの"海賊狩り"を連れて来たのは

 

「はぁ!?海軍だと!!」

 

ローグタウンでも大きな部類に入る建物…海軍E1支部であった。

 

原作突入後の描写について、現在原作が始まった事により麦わら一味の描写が多くなっていますがそれについてのアンケートを行います

  • 麦わらメイン(原作のに近く変化がわかる)
  • クリークメイン(傍観者、クリーク主人公)
  • 二つの視点(麦わら視点とクリーク視点)

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